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スリーブとは?建設内装現場での役割・種類・施工ポイントを徹底解説

  1. スリーブの基本が丸わかり:配管・配線の貫通に欠かせない理由と現場での使い方
  2. 現場ワード(キーワード)
    1. 定義
  3. スリーブの役割とメリット
    1. なぜ必要なのか(基本の5機能)
    2. スリーブと開口の違い
  4. スリーブの種類と材質
    1. 用途別の主な種類
    2. 材質の特徴
  5. 寸法選定の考え方(失敗しないクリアランス)
    1. 基本の考え方
    2. 長さ(出代)と納まり
  6. 施工手順(新築・改修)
    1. 新築での先行スリーブ
    2. 改修での後施工スリーブ
  7. 現場での使い方
    1. 言い回し・別称
    2. 使用例(会話・指示の実例)
    3. 使う場面・工程
    4. 関連語
  8. 防火・止水・遮音:貫通部の性能確保
    1. 防火区画を貫通する場合
    2. 止水が必要な場所
    3. 遮音・気密の配慮
  9. よくあるミスと防止策
  10. 現場で役立つチェックリスト
  11. 代表的なメーカー・資材(例)
  12. 内装との取り合いと美観のポイント
  13. ケーススタディ:こんなときどうする?
    1. ケース1:ケーブル増設に備えたい
    2. ケース2:防火区画をケーブル束で貫通
    3. ケース3:地下外壁での止水
  14. FAQ(よくある質問)
    1. Q. スリーブ径はどれくらい大きくすればいい?
    2. Q. スリーブは必ず入れないとダメ?
    3. Q. スリーブの材質は何を選ぶべき?
    4. Q. 化粧座は必須?
  15. 図面・現場指示のコツ
  16. 安全・品質・工程管理のポイント
  17. まとめ:スリーブは“段取り”で品質が決まる
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スリーブの基本が丸わかり:配管・配線の貫通に欠かせない理由と現場での使い方

「図面に“スリーブ入れ”って書いてあるけど、そもそも何? どんなときに必要? 大きさはどう決めるの?」——初めて建設や内装の現場に入った方から、よくいただく疑問です。この記事では、現場で日常的に使われるワード「スリーブ」を、内装・設備・躯体の視点からわかりやすく解説します。役割や種類、寸法の考え方、施工手順、よくあるミスまで、実務に役立つ内容を丁寧にまとめました。読み終えた頃には、図面指示の意図がスッと理解でき、現場でのやり取りにも自信が持てるはずです。

現場ワード(キーワード)

読み仮名すりーぶ
英語表記sleeve(pipe sleeve / penetration sleeve)

定義

スリーブとは、配管・電線・ケーブル・ダクトなどが壁・床・天井などの躯体や間仕切りを貫通する際、その通り道としてあらかじめ設置する「保護用の筒(管)」のこと。主な目的は、貫通部の保護、施工スペースの確保、仕上げ精度の維持、防火・防水・止水・遮音などの性能確保です。新築では型枠に固定してコンクリート打設時に一体形成する方法が一般的で、改修ではコア抜き後にスリーブを挿入・固定します。配管やケーブルの交換・増設がしやすくなるメリットもあり、各職種の取り合いを円滑にする“現場の橋渡し役”ともいえます。

スリーブの役割とメリット

なぜ必要なのか(基本の5機能)

スリーブが現場で重宝される理由は、以下の通りです。

  • 保護:配管やケーブルが躯体の角で擦れて傷むのを防ぐ
  • クリアランス確保:施工時の通しやすさ、後の入替・増設を容易にする
  • 性能確保:防火・止水・遮音などの貫通部処理を“やりやすく・再現性高く”する
  • 仕上げ品質:内装の見切りを整え、クラックや欠けを抑える
  • トレーサビリティ:開口位置が明確になり、他職との干渉や誤穿孔を防ぐ

スリーブと開口の違い

「開口」は単に穴や孔を設ける行為・状態を指す言葉で、そこに保護管(スリーブ)を設けるかは別問題です。高い再現性や性能が求められる貫通部は「開口」+「スリーブ」+「適切な貫通処理(防火・止水・遮音など)」のセットで考えるのが基本です。

スリーブの種類と材質

用途別の主な種類

  • 一般スリーブ:配管・ケーブル等の通線・通管用。内装・設備で最も一般的。
  • 防火スリーブ:防火区画(耐火・準耐火)貫通に使用。認定工法とセットで施工。
  • 止水(防水)スリーブ:地下や水廻りで漏水を防ぐ目的。止水リング等と併用。
  • 可とうスリーブ:地震時の躯体相対変位に追従するタイプ。外装・躯体貫通で使用。
  • 化粧スリーブ:仕上げ見切りと美観重視。エスカッション(化粧座)と併用。

材質の特徴

  • 塩ビ(PVC・VP管等):軽量・加工容易・コスト良好。内装や一般設備で多用。
  • 鋼製(薄鋼板・亜鉛めっき・ステンレス):強度・耐久・耐火性に優れる。外部や防火区画、機械室など。
  • ポリエチレン・ゴム系:止水リングや可とう性が必要な部位で併用。

現場では「VP50の短管でスリーブ作っといて」のように、身近な管材を流用してスリーブとして使うケースが多いです。防火・止水が求められる場合は、認定を受けた部材・工法の採用が必須です。

寸法選定の考え方(失敗しないクリアランス)

基本の考え方

スリーブ内径は「通すものの“外径”+必要クリアランス」で決めます。クリアランスは施工性、保温・保護材の厚み、防火・止水工法の要求寸法を考慮します。

  • 配管(裸管)の目安:外径+20〜30mm程度
  • 配管(保温あり):外径+保温厚×2+10〜20mm程度
  • ケーブル束・PF/CD管束:束径+10〜20mm程度
  • ダクト:ダクト外寸+周囲クリアランス(最低でも10mm以上)。大開口は枠・補強検討

例えば、50A(外径約60.5mm)の鋼管を裸で通す場合、スリーブ内径は75〜100mmが現実的。保温厚が20mmなら、内径は最低でも100〜125mm程度が目安です。最終的には、図面・仕様書・メーカーの認定工法の要求値を優先します。

長さ(出代)と納まり

  • 壁:仕上げ面でツラ、または数ミリの出代を取り、後で化粧座やシーリングで納める。
  • 床:仕上げ面ツラ〜数ミリ上がりで段差・防水を考慮。床仕上げ厚を見込んで設定。
  • 天井内:干渉物(ダクト・ブリダ・吊り材)とのクリアランスに注意。

コンクリート躯体貫通の場合は、型枠厚さと躯体厚を合算した長さで事前にカットします。改修の後挿入では片側面で固定し、必要に応じてモルタル+シールで仕舞います。

施工手順(新築・改修)

新築での先行スリーブ

  • 1. 墨出し:中心・レベル・躯体位置を確認。鉄筋・スリーブ干渉を事前調整。
  • 2. 固定:型枠へ釘・ビス・番線・タイラップ等で確実に固定。ずれ防止の当て木や治具も有効。
  • 3. 打設:コンクリート流入防止の栓(養生)を実施。浮き・傾き・位置ズレに注意。
  • 4. 脱型後:栓を外し、内外面のバリ・スラッジを除去。必要な貫通処理へ。

改修での後施工スリーブ

  • 1. 位置決め:配筋探査・配線探査を実施し、安全位置を確定。
  • 2. コア抜き:所定径で穿孔。粉じん・防音・防振に配慮。
  • 3. 挿入固定:スリーブを挿入し、モルタル・アンカー・シーリングで固定。
  • 4. 仕舞い:防火・止水の必要があれば認定工法で処理し、化粧座で見切る。

現場での使い方

言い回し・別称

  • 別称:スリーブ管、袖管、貫通スリーブ
  • 略語・口語:「スリーブ入れ」「袖入れ」「袖通し」
  • 関連指示:「先行スリーブ」「後施工スリーブ」「防火スリーブ」「止水スリーブ」

使用例(会話・指示の実例)

  • 「この壁、給水50Aが通るから、100のスリーブを先行で入れといて。保温あるから大きめで。」
  • 「ここ防火区画だから、認定の防火スリーブで。ケーブル束の隙間は耐火パテで塞いでね。」
  • 「床は後貼りフロアだから、スリーブは仕上がりツラで止めて、化粧座で見切る納まりにしよう。」

使う場面・工程

  • 設備先行:RC躯体の型枠建込み時に配管・配線の貫通位置へ先行設置。
  • 内装工程:軽量間仕切りや二重床での配線・配管通過部に化粧・見切り目的で使用。
  • 改修工事:コア抜き→スリーブ挿入→防火・止水処理→仕上げ。

関連語

  • 開口(コア抜き)、ボイド、インサート、アンカー
  • 耐火パテ、ロックウール、耐火シーリング材、バックアップ材
  • 化粧座(エスカッション)、止水リング、パッキン
  • PF管・CD管、VP管、ダクト見切りリング

防火・止水・遮音:貫通部の性能確保

防火区画を貫通する場合

防火区画(耐火・準耐火)を貫通するスリーブは、評価・認定を受けた工法に従うのが必須です。一般的には、スリーブ+耐火パテ・モルタル・ロックウール等の組み合わせで、貫通後に規定の充填厚・両面処理・はみ出し寸法を守って施工します。スリーブ径や隙間の許容値、ケーブルの本数や被覆材の条件など、認定の“適用範囲”を必ず確認しましょう。

止水が必要な場所

地下・ピット・屋外貫通などでは、漏水や逆流対策が求められます。止水スリーブ(フランジ付)や止水リング・膨張材を併用し、スリーブ外周の打ち継ぎ目・貫通部の周囲を確実にシールします。配管側でも防水継手や防水シールを組み合わせ、二重三重の対策とするのが実務的です。

遮音・気密の配慮

ホテル・病院・オフィスなどの間仕切りを貫通する場合、遮音や気密確保が重要です。スリーブと管・ケーブルの隙間は、指定の遮音シーラントやバックアップ材で施工し、両面処理・厚み・幅を図面通りに守ることが品質の要です。

よくあるミスと防止策

  • 位置ズレ:型枠固定が甘い、墨の転記ミス。→当て木・貫通治具で固定、複数基準からのダブルチェック。
  • 径不足:後から保温・化粧座が入らない。→早期に設備・内装と情報連携し“完成外形”で設計。
  • 防火不適合:認定外の材料・手法で施工。→必ず認定番号と施工手順書を確認、写真管理徹底。
  • 止水不良:外周シール抜け、打ち継ぎ部の隙間。→止水リング・二次シール・水張り試験で検証。
  • 仕上げ割れ・欠け:ツラ調整不足。→端部の面取り・バリ取り・化粧座の座彫りを丁寧に。
  • 干渉:梁・スラブ筋に当たる。→配筋図と照合し、必要なら設計と代替位置を調整。

現場で役立つチェックリスト

  • 用途は?(一般/防火/止水/遮音)
  • 通すものの外形(保温・被覆を含む)と施工クリアランスは十分?
  • 材質(PVC/鋼製/ステンレス)と長さ(出代)は適切?
  • 新築先行か、改修後施工か。固定方法・養生は?
  • 認定工法の番号・手順・適用範囲を確認済み?
  • 干渉(配筋・梁・ダクト・設備機器)チェックは完了?
  • 仕上げ納まり(化粧座・シール色・見切り)は合意済み?
  • 写真・記録(位置・寸法・材料・認定書)は保存できている?

代表的なメーカー・資材(例)

スリーブは多くの場合、一般的な管材を活用します。用途に応じて以下のようなメーカー・資材を現場でよく見かけます。

  • 塩ビ管(VP・VU等):積水化学工業(エスロン)、クボタケミックスなど——軽量・加工が容易で、内装や設備の一般スリーブに使いやすい。
  • 鋼製スリーブ・電設用部材:未来工業など——電設資材メーカーで、貫通部材・ボックス・PF/CD管関連も豊富。
  • 防火貫通部材・耐火パテ:ヒルティ、3M(スリーエム)など——各種の防火認定工法・製品を展開。適用範囲に従って使用。

製品や工法は物件仕様・認定条件で異なるため、採用時は必ず最新のカタログ・認定書・施工要領書を確認してください。

内装との取り合いと美観のポイント

スリーブは“見えないところの仕事”と思われがちですが、最終的な見え方を左右します。壁・天井の仕上げ前にスリーブの出代や水平・垂直を確認し、化粧座(エスカッション)やシーリングの色・幅を揃えると、仕上がりの印象が格段に向上します。床では清掃性や水の溜まりを避けるため、ツラ調整や面取り、シールの段差処理まで気を配ると良いでしょう。

ケーススタディ:こんなときどうする?

ケース1:ケーブル増設に備えたい

将来の増設を見込む場合は、束径を見込んだ余裕を持たせるか、空スリーブを近傍に設置します。空スリーブには必ず養生栓をし、行き先ラベルを貼っておくと迷いません。

ケース2:防火区画をケーブル束で貫通

認定工法で「ケーブル束径」「スリーブ径」「充填材の厚み・片面/両面処理」が規定されています。束の構成が変わると認定条件から外れることがあるため、施工前に現場の実情と認定書を突き合わせましょう。

ケース3:地下外壁での止水

止水スリーブや止水リングを使用し、コンクリート打設前にしっかり固定。外周は打ち継ぎ部に膨張材シール、内外面は二次シールでリスクを分散します。通管後の管周りにも防水シールを追加し、導水経路を断ちます。

FAQ(よくある質問)

Q. スリーブ径はどれくらい大きくすればいい?

A. 目安は「外径+20〜30mm」。ただし保温・被覆の有無、認定工法の要求値、化粧座の外径を考慮して決めます。迷ったら一段階大きめにし、最終は図面と要領書を優先してください。

Q. スリーブは必ず入れないとダメ?

A. 性能や仕上げが求められる貫通部では基本的に推奨・指定されます。とくに防火・止水が必要な場所は、スリーブ+貫通処理がセットで計画されます。

Q. スリーブの材質は何を選ぶべき?

A. 内装で一般的なのは塩ビ(軽くて加工が楽)。外部・防火区画・機械室・高荷重では鋼製・ステンレスが安心です。要求性能とコスト、施工性でバランスを取ります。

Q. 化粧座は必須?

A. 必須ではありませんが、見切りと清掃性が向上し、シールの劣化も隠せます。意匠性が求められる内装では付けることが多いです。

図面・現場指示のコツ

スリーブは「位置・高さ・径・材質・性能・納まり」をセットで指示すると伝わりやすく、手戻りを減らせます。

  • 位置・高さ:通り芯・基準からの寸法、床・天井レベル
  • 径:通過物の外形+クリアランス(保温・化粧座考慮)
  • 材質・長さ:PVC/鋼、出代、端部処理
  • 性能:防火/止水/遮音の要否と工法番号
  • 納まり:化粧座の有無、シール色、片面/両面処理

安全・品質・工程管理のポイント

  • 探査の徹底:後施工は配筋・設備・電線の探査が安全の要。
  • 固定と養生:打設時の浮き・ズレ・モルタル流入を防止。
  • 記録写真:材料ラベル、設置前後、寸法、認定工法の要点を撮影。
  • 他職連携:設備・電気・内装・躯体の取り合いは日々共有。
  • 検査タイミング:配筋検査・型枠検査・内装下地検査で位置と径を再確認。

まとめ:スリーブは“段取り”で品質が決まる

スリーブは、単なる筒ではなく「後工程をスムーズにし、性能と仕上がりを支える重要部位」です。適切な径と材質、認定に則った貫通処理、内装の見切りまでを含めて計画すれば、やり直しやトラブルは大幅に減ります。迷ったら「何を通すか」「どんな性能が必要か」「最終の見え方はどうしたいか」を整理し、図面・要領書・メーカー資料を確認しましょう。現場での一言「ここ、スリーブどうする?」が、品質と工程を守る合言葉になります。

株式会社MIRIX/ミリックスのロゴ
執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
  • 情報の扱い:記事は現場経験・法令・公的資料を根拠に作成。広告掲載時は本文中に明示します。
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