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ロックウールとは?特徴・用途・グラスウールとの違いを徹底解説【内装現場で失敗しない選び方】

ロックウール完全ガイド:意味・現場での使い方・選び方と施工のコツ

「ロックウールって何?グラスウールとどう違うの?」そんな疑問を持って検索に来られた方へ。現場で当たり前のように飛び交う言葉ほど、最初はつまずきがちです。本記事では、内装工事の現場で実際に使われる目線で、ロックウールの意味から使い方、選び方、施工のコツまでをやさしく丁寧に解説します。読み終える頃には、職人さんの会話がスッと理解でき、材料手配や施工で迷わなくなるはずです。

現場ワード(キーワード)

読み仮名ろっくうーる
英語表記Rock wool(Mineral wool)

定義

ロックウールとは、玄武岩や溶鉱炉スラグなどの鉱物を高温で溶融し、綿状の繊維にした不燃の断熱・吸音材の総称です。建築では、間仕切り壁や天井裏の充填材、ダクトや配管の保温、梁・柱の耐火被覆、吸音天井板(岩綿吸音板)の原料として幅広く用いられます。軽量で加工しやすく、耐火性・吸音性に優れるのが特長です。

ロックウールの基礎知識

どんな素材?どう作られる?

原料の岩石やスラグを約1,400℃前後で溶かし、遠心力やエアブローで細い繊維状に成形します。できた繊維に少量のバインダー(結合材)を加えてマット状・ボード状に成形したものが一般的な「ロックウール断熱材」です。用途に応じて、柔らかいマット(ロール品/バット品)、しっかりしたボード、成形ブロックなど形状が分かれます。

主な特性(現場で評価されるポイント)

  • 不燃・耐火性が高い:鉱物繊維のため燃えにくく、耐火被覆や防火区画の納まりで重宝します。
  • 吸音性が良い:繊維間の空気層が音を減衰させ、遮音壁の充填材や天井の吸音対策で効果を発揮します。
  • 断熱性:熱を伝えにくく、冷暖房効率の向上や結露抑制に寄与します。
  • 寸法安定性:ガラス繊維に比べて腰があり、つぶれにくい製品が多いのが特徴です。
  • 水に強い仕様もある:撥水処理タイプは吸水しにくく、施工性や性能の安定に有利です。
  • 加工性:カッターや専用ナイフでまっすぐ切れ、現場合わせがしやすい素材です。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では、ロックウールを略して「ロック」「ロック入れる」「RW(アールダブリュー)」と呼ぶことがあります。天井仕上げ材としては「岩綿吸音板(がんめん)」の呼び名も一般的です。密度表記は「K(ケー)」を使い、「32K」「40K」「80K」といった言い回しで指定します(Kは概ねkg/m³の目安)。

使用例(3つ)

  • 「この間仕切り、ロック32Kの50ミリ充填ね。ピッチ450で隙間なしで。」
  • 「機械室周りは遮音効かせたいから、ボード二枚貼り+ロック80Kで。」
  • 「梁の耐火はロック巻きでいく。ピン打ち位置、常務図面通りに。」

使う場面・工程

  • LGS(軽量鉄骨)間仕切りの充填:遮音・断熱目的でスタッド間に押し込みます。
  • 天井の吸音・防音:野縁の上にマットを敷き込む、または岩綿吸音板の天井仕上げに。
  • 耐火被覆:梁・柱・デッキスラブにロックウールを巻き、ピンや結束で固定。
  • 設備ダクト・配管の保温:断熱や結露対策として外周に巻き付け、覆い・被覆を施工。
  • 床・浮き床の遮音:スラブ上に敷設し、床衝撃音の低減を狙います。

関連語

  • 岩綿吸音板(岩綿天井板):ロックウールを主原料にした天井仕上げ材。
  • グラスウール:同じ繊維系断熱材の仲間。ガラスが原料。
  • K(密度記号):32K、40Kなど。おおむね密度の目安。
  • LGS・スタッド・ランナー:間仕切りの下地材。ロックウールはこの間に充填。
  • 防湿フィルム・気密テープ:外気に面する部位での結露・気密対策に使用。
  • ピン打ち工法・巻付け工法:耐火被覆での固定方法の呼称。

グラスウールとの違い(ざっくり理解)

素材・性質の違い

  • 原料:ロックウールは岩石・スラグ、グラスウールはガラス。
  • 耐火性:どちらも不燃が基本ですが、ロックウールは高温下でも形状保持に優れる製品が多く、耐火被覆で採用されやすいです。
  • 吸音・遮音:密度が高いロックウールは遮音壁の充填に使われることが多い一方、グラスウールも吸音性能は高く、用途や仕様で使い分けます。
  • 重量・コシ:ロックウールはやや重くコシがあり、立て込んだ際に安定しやすい製品が多いです。
  • 価格感:一般にロックウールのほうが単価が高めになる傾向があります(仕様・厚みにより異なる)。

使い分けの目安

遮音や耐火要求が高い間仕切り、梁・柱の耐火被覆、吸音天井などにはロックウールが選ばれることが多め。外壁充填の断熱やコスト重視の一般用途ではグラスウールも広く使われます。最終的には設計仕様(不燃・耐火・吸音等の要求値)とコスト・施工条件で決めるのが基本です。

選び方と仕様の読み解き方

ここを確認すれば失敗しにくい

  • 密度(K)と厚み:遮音には密度高め(例:40K~)が効きやすく、断熱は厚みが効きます。図面や仕様書の指示を最優先に。
  • 形状:マット(バット)かボードか。間仕切り充填はマット、耐火被覆や天井下地ではボードも多いです。
  • 撥水の有無:湿気や結露の懸念がある部位では撥水タイプが無難です(ただし別途防湿・気密計画は必要)。
  • 不燃・耐火の性能証明:不燃材の認定、耐火構造の認定仕様に適合しているかを確認。
  • 寸法:幅はスタッドピッチに合わせた455mm前後の定番サイズが多く、厚みは25/50/75/100mmなど。現場納まりに合わせて手配。
  • 吸音性能:天井やスタジオ・会議室などでは吸音率や面密度のデータをチェック。
  • 表面仕上げ:露出する場合は表面材(ガラスクロス貼りなど)有無も検討。

施工のコツ(内装での基本)

準備・養生

材料は雨濡れ厳禁。現場搬入後は直射日光・湿気を避け、パレットや木杭で床から浮かせて保管します。切断粉じんを抑えるため、作業区画の掃除と養生を事前に。個人保護具(マスク・手袋・長袖・保護メガネ)を着用します。

カットの基本

定規(角材・幅木)を当て、ロックウールナイフや刃の長いカッターで一気に切ります。仕上がり寸法より10mm程度大きめに切ると、スタッド間に「ちょいキツ」で納まって隙間が出にくいです。

充填のコツ

繊維をつぶさない程度の押し込みで、面で支えるイメージ。押しすぎると密度が偏り、吸音・断熱性能が落ちます。配線・配管貫通部は割り欠きしてぴったり合わせ、隙間が出る場合は端材で充填。横向きの天井裏は、軽くS字に曲げて野縁間に掛けたり、軽天用の支持材やタッカーで落下防止をします。

防湿・気密

外気に接する部位や結露が懸念される部位は、防湿フィルムと気密テープで連続性を確保。コンセントボックス周りなどの微細な隙間もテープ処理を怠らないこと。内部結露を防ぐには、断熱計画と通気計画をセットで考えます。

耐火被覆の注意

梁・柱の被覆は、認定仕様に定められた密度・厚み・固定方法(ピン打ち、巻付け、結束線等)を厳守します。継目は段違いにして熱橋を避け、端部は金物やワッシャで確実に押さえます。

仕上げとの取り合い

石膏ボードや吸音板のジョイント位置に合わせ、ロックウールの継目・割付を計画しておくと仕上がりが安定します。器具開口・点検口周りは、後からの落ち込みや隙間発生に注意し、補助材で支えると安心です。

よくある失敗と対策

  • 隙間だらけで性能が出ない:10mm大きめでカットし、四周に隙間を作らない。柱・スタッドの欠き込みも丁寧に。
  • 押し込みすぎてつぶれる:ふんわり面で支える。必要以上に詰め込まない。
  • 落下・ズレ:天井裏は支持材やタッカー併用。壁は上下で軽く突っ張るように納める。
  • 湿気の巻き込み:雨天搬入を避け、濡れたら乾かしてから使用。必要に応じて撥水タイプを選定。
  • 仕様違いの誤手配:密度(K)・厚み・サイズ・数量を発注前に現場と再確認。代替は監理者承認を得る。

メーカー・代表的な製品分野(例)

以下はロックウール関連の代表的なメーカー・分野例です(順不同)。最新のラインアップは各社公式情報をご確認ください。

  • JFEロックファイバー株式会社:ロックウール断熱材(マット/ボード)、耐火被覆用材など。
  • ニチアス株式会社:保温・断熱・耐火関連のロックウール製品や付属材。
  • 大建工業株式会社(DAIKEN):ロックウールを主原料とする岩綿吸音板(天井材)分野で多数の製品を展開。
  • ROCKWOOL Group(海外):世界的なロックウール専門メーカー。建築・産業向けに幅広い製品群を持つ。

同じ「ロックウール」でも、密度・厚み・表面仕上げ・撥水の有無などが異なります。設計仕様書・認定図・カタログで性能と適合性を必ず確認してください。

安全衛生と法規の基礎

ロックウールはアスベスト(石綿)ではありません。とはいえ繊維粉じんが出るため、切断や充填時は防じんマスク、手袋、長袖、保護メガネの着用が基本です。皮膚への刺激を感じたら、こすらずに流水で洗い流し、作業後は手洗い・うがいを徹底します。

建築基準法や各種認定に基づき、不燃材料区分や耐火構造の認定仕様が定められています。特に耐火被覆や防火区画に関わる工事では、製品の認定番号や仕様図に従うことが必須です。現場判断での仕様変更はせず、必ず設計・監理者の承認を得ましょう。

ケース別の使い分け(現場実例の考え方)

オフィスの会議室間仕切り

会話の漏れを抑えたいなら、石膏ボード増し張り+目地ずらし+ロックウール32~40K程度を充填。コンセント・配線開口には防音ボックスやグロメットを併用すると遮音が安定します。

機械室・空調機周り

機械音の低減と耐火を意識し、ボード二重貼り+高密度ロックウール充填。ダクトはロックウール保温の上に粘着テープやラッピング材で仕上げ、継目の気密を確保します。

集合住宅の床衝撃音対策

スラブ上にロックウール敷設+二重床で浮き構造とし、軽量床衝撃音を低減。遮音ゴム脚や下地のレベル出しと合わせて、隙間や硬結部を作らないのがポイントです。

ミニ用語辞典(合わせて覚えると便利)

  • 岩綿(がんめん):ロックウールの別称。岩綿吸音板=ロックウール系天井板。
  • NRC・吸音率:吸音性能の目安。値が高いほど音を吸い込みやすい(製品データ参照)。
  • 熱伝導率:断熱性能の目安。値が小さいほど断熱性が高い(仕様により異なる)。
  • 面密度:単位面積あたりの重量。遮音検討で重要になる指標。

よくある質問(FAQ)

Q. ロックウールはチクチクしますか?対策は?

A. 皮膚に触れるとチクチク感を覚えることがあります。長袖・手袋・マスク・保護メガネを着用し、作業後は流水で洗い流すと刺激を抑えられます。無理にこすらないのがコツです。

Q. 外壁の充填にも使えますか?結露は大丈夫?

A. 使えますが、防湿層の位置・通気計画が重要です。撥水タイプを選び、設計の指示に従って防湿フィルムと気密テープで連続性を確保しましょう。

Q. グラスウールからロックウールに置き換えると性能は上がりますか?

A. 用途によります。遮音や耐火ではロックウールが有利なケースが多い一方、断熱では厚みや施工品質の影響が大きいです。単純な置き換えではなく、必要な性能指標(遮音、耐火、断熱)で比較しましょう。

まとめ:ロックウールを味方につければ、現場はもっとスムーズに

ロックウールは、「不燃」「吸音」「断熱」という内装の基本性能をバランス良く押さえられる頼れる素材です。現場では「何Kを、どの厚みで、どこにどう固定するか」を正しく押さえるだけで、仕上がりと性能が大きく安定します。言い回し(ロック・岩綿・K表示)に慣れ、選び方の勘所(密度・厚み・撥水・不燃認定)を掴み、施工の基本(隙間ゼロ・つぶさない・落下防止・防湿気密)を守る。この4点を徹底すれば、内装現場でロックウールを扱うときに迷うことはほぼなくなるはずです。今日から自信を持って「ロック32Kの50ミリ、隙間なしで!」と指示できるようになりましょう。