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遮音シートとは?効果・選び方・施工方法を徹底解説【現場のプロが教える内装防音対策】

  1. 遮音シートの基礎を丸ごと理解!現場で失敗しない選び方・使い方・施工のコツ
  2. 現場ワード(キーワード)
    1. 定義
  3. 遮音シートで何ができる?仕組みと効果の考え方
    1. 「遮音」「吸音」「防振」の違い
    2. なぜ効く?“質量則”の基本
    3. どこに使う?用途と狙い
  4. 現場での使い方
    1. 言い回し・別称
    2. 使用例(現場での声・指示の仕方)
    3. 使う場面・工程
    4. 関連語
  5. 選び方のポイント(目的別の考え方)
    1. 1. 音の種類を特定する
    2. 2. 厚み・面密度(重さ)で選ぶ
    3. 3. 下地・仕上げとの相性
    4. 4. 重量・施工性・安全
    5. 5. 法規・認定の確認
  6. 施工方法(プロの手順とコツ)
    1. 共通の準備
    2. 壁への施工(LGS間仕切りなど)
    3. 床への施工(捨て貼り合板や置床の上)
    4. 天井への施工(上階・設備騒音対策)
    5. 貫通部・端部処理のポイント
    6. ありがちな失敗例
  7. メンテナンス・取り扱い・廃棄
  8. メーカーと入手先(代表例)
  9. 用途別の構成例(考え方のサンプル)
  10. よくある質問(Q&A)
    1. Q1. 遮音シートと吸音材、どちらを入れれば良い?
    2. Q2. 一枚貼れば完全防音になりますか?
    3. Q3. 賃貸でも使えますか?
    4. Q4. 自分で施工しても大丈夫?
    5. Q5. 厚いほど良い?重いほど効く?
  11. チェックリスト(現場で使う前に)
  12. まとめ:遮音シートは“隙間ゼロ+正しい構成”で効かせる
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遮音シートの基礎を丸ごと理解!現場で失敗しない選び方・使い方・施工のコツ

「遮音シートって、貼れば静かになるの?吸音材と何が違う?床と壁どっちに使う?」——初めての防音対策で、こんな疑問を持つ方は多いはずです。この記事は、建設内装の現場で日常的に使われる“遮音シート”というワードを、初心者にも分かる言葉で丁寧に解説します。プロの視点で、効果の出る使い方や失敗しやすいポイント、施工の実務的なコツまでまとめました。読み終えるころには、「どの場面で、どの遮音シートを、どう貼れば良いか」がイメージできるようになります。

現場ワード(キーワード)

読み仮名しゃおんしーと
英語表記Sound insulation sheet / Sound barrier sheet / Mass-Loaded Vinyl (MLV)

定義

遮音シートとは、主に塩化ビニル(PVC)など高比重の樹脂を用いた薄いロール状のシートで、音を通りにくくする(空気中を伝わる音の透過を減らす)ために壁・床・天井・設備シャフトなどの建築下地に貼る内装用の材料です。厚みはおおむね0.9〜3mm程度、面密度(重さ)は約2〜5kg/m²程度の製品が一般的で、単体で音を吸収するものではなく、主に“質量を足して音の通り道を重くする”ことで、話し声・テレビ音・給排気の通過音などの空気音を小さくします。

遮音シートで何ができる?仕組みと効果の考え方

「遮音」「吸音」「防振」の違い

防音と一口に言っても役割は3つに分かれます。遮音は音を通りにくくすること(音の壁を作る)。吸音は反射を減らし残響を抑えること(室内の響きを整える)。防振は振動を抑えて固体伝播音を減らすことです。遮音シートはこのうち「遮音」を担当する部材で、吸音材(グラスウール・ロックウールなど)や防振材(防振ゴム・防振吊り金具など)と組み合わせると効果が最大化します。

なぜ効く?“質量則”の基本

音の通過は、相手が重くて密なほど通りにくくなります。これを“質量則”と呼び、遮音シートは薄くても重い性質を持つため、石膏ボードや合板の裏側に重ねるだけで透過損失(音の通りにくさ)が向上します。特に中高音域(話し声・テレビ・高めの家電音)で効果を得やすい一方、低音(ドンドンという足音やサブウーファーの重低音)は質量だけでは止めにくく、防振・浮き床・二重天井など構造的な対策が必要になります。

どこに使う?用途と狙い

遮音シートは以下のような場面で活躍します。

  • 壁:隣室・隣戸への話し声やテレビ音の漏れを軽減。LGS間仕切りでボードの間に挟む、もしくはボードの表面に直貼りして仕上げで覆う方法が一般的。
  • 床:階下への空気音の漏れを抑えたり、床仕上げの下地に面密度を足して総合的な遮音性能を上げる。なお足音などの床衝撃音対策には、遮音シートに加え防振下地や置床・直貼り防音フロアなどの構成が必要。
  • 天井:上階・機械室からの空気音の低減。吸音材と併用し、防振吊りで固体音もケアすると効果が安定。
  • 設備シャフト・PS:管路や機器騒音の空気音漏れを抑える目的で内張りに使用。継ぎ目の気密処理が重要。

現場での使い方

遮音シートは「とりあえず貼る」では本領を発揮しません。どんな音を、どの経路で、どれくらい減らしたいのかを決めたうえで、下地と仕上げの“構成”を組むのがプロのやり方です。以下に現場での言い回し、具体的な使用例、工程、関連語をまとめます。

言い回し・別称

  • 遮音シート(正式・一般的)
  • 防音シート(現場では同義で使われることが多いが、厳密には「防音」は総称)
  • 遮音マット(床用途で厚めのタイプを指す場合あり)
  • MLV(Mass-Loaded Vinyl:海外資料や輸入品での呼称)

使用例(現場での声・指示の仕方)

  • 「このLGS間仕切り、片面ボードの内側に遮音シート一枚挟んで。コンセント周りはテープで気密忘れないように。」
  • 「床は捨て貼り合板の上に遮音シートを全面敷き。端部は10ミリ立ち上げて、見切りで押さえる段取りにしよう。」
  • 「天井の機械室側、ダクトの回りは継ぎ目無しで巻いて、突合せはブチル系の気密テープで塞いでね。」

使う場面・工程

代表的な工程は次のとおりです。

  • 墨出し・下地確認(ビス位置、貫通予定箇所の洗い出し)
  • 下地清掃(粉じん・油分除去)
  • シート仮合わせ・裁断(巻きクセを取る、巻き径を考えて逆巻きで癖直し)
  • 仮固定(タッカー・ホチキス・両面テープ・点着の弾性接着剤など)
  • 継ぎ目処理(10cm程度の重ね、または突合せ+気密テープ)
  • 端部・貫通部のコーキング処理(変成シリコンなど)
  • 仕上げ貼り(石膏ボード、合板、床材などで覆って完成)

関連語

  • 吸音材(グラスウール・ロックウール)
  • 防振材(防振ゴム、防振吊り金具)
  • 捨て貼り合板、二重床、置床、二重天井
  • 石膏ボード(高比重タイプ)、遮音ボード
  • 気密テープ、コーキング、見切り材
  • L値(床衝撃音の指標)、質量則、透過損失

選び方のポイント(目的別の考え方)

1. 音の種類を特定する

まず、問題が「空気音(話し声・テレビ・機械音)」なのか「床衝撃音(足音・物の落下音)」なのかを切り分けます。空気音中心なら遮音シートが有効。床衝撃音は遮音シートだけでは限界があるため、防振下地やクッション性のある床材、上階側の対策などを併用します。

2. 厚み・面密度(重さ)で選ぶ

厚い・重いほど遮音は有利ですが、下地の許容荷重や取り回しとのバランスが必要です。一般的な室内壁には2〜3kg/m²クラス、機械室やシャフト、より高い遮音が必要な場合は4〜5kg/m²クラスを検討する、といった考え方が現実的です。カタログの透過損失データや推奨構成も参考にします。

3. 下地・仕上げとの相性

石膏ボードを二重貼りする場合、間に遮音シートを挟むと効率良く質量を稼げます。床では捨て貼り合板の上、あるいは置床の上に全面敷き。突起や段差があるとシートが浮き、仕上げに影響するため、下地は平滑に調整しましょう。仕上げ前に“面で密着”させられるかが鍵です。

4. 重量・施工性・安全

ロール一本の重量は製品によっては20〜40kgになることもあります。搬入は二人以上、無理に抱えず台車を使う、腰・手指の保護具を着けるなど安全を優先しましょう。冬期はシートが硬くなり割れやすいことがあるため、室温に馴染ませてから施工します。

5. 法規・認定の確認

内装制限が掛かる用途(避難経路等)では不燃・準不燃などの認定が必要な場合があります。遮音シート自体の難燃性能、F☆☆☆☆等のホルムアルデヒド放散等級、使用可能部位など、必ずメーカーの最新資料で確認してください。火気・高温部への近接使用にも注意が必要です。

施工方法(プロの手順とコツ)

共通の準備

下地を乾燥・清掃して粉じんと油分を除去。割付を決め、巻きクセを逆巻きで矯正。切断はカッターで数回に分けて切るとエッジが潰れにくく安全です。ジョイントは“隙間ゼロ”が鉄則。重ね張りか突合せ+気密テープで確実に塞ぎます。

壁への施工(LGS間仕切りなど)

  • 吸音材(必要に応じて)をスタッド間に充填し、配線・ボックス位置を先に確定。
  • 遮音シートを縦張りまたは横張り。スタッドにかかる位置でタッカーや両面テープで仮留め。
  • コンセントボックス周りの切り欠きは最小限にし、周囲を気密テープやコーキングで必ず処理。
  • 上から石膏ボードを貼る。継ぎ目がシートの継ぎ目と同じ位置に重ならないよう割付に配慮。

床への施工(捨て貼り合板や置床の上)

  • 床を平滑にし、釘頭・ビス頭の出を撤去。段差はパテで均し、掃除機で粉じん除去。
  • 全面に敷き込み、端部は10mm程度立ち上げて見切り材や巾木の内側に隠すと気密が取りやすい。
  • ジョイントは10cm重ね、または突合せ+気密テープ。浮きが出る場合は点着で弾性接着剤を使用。
  • 上から合板や仕上げ材(フロア・シート・タイル等)を施工。仕上げの接着剤適合性を確認。

天井への施工(上階・設備騒音対策)

  • 粉じん落下に注意し、保護メガネ・マスクを着用。二人作業でたるみなく貼る。
  • 防振吊りを併用できると固体音に有効。吸音材との組み合わせで総合的に効かせる。
  • 照明・配管の開口は最小限にし、貫通部はコーキングを確実に。

貫通部・端部処理のポイント

  • 貫通部はスリーブに抱かせて巻き込み、周囲をブチル系テープ+変成シリコンで二重止水ならぬ“二重気密”。
  • 端部は見切りや巾木で押さえ込み、空気の通り道を作らない。目地からの漏気は遮音性能を大きく下げます。

ありがちな失敗例

  • 継ぎ目に微小な隙間が残る(実感できるほどに効きが落ちる原因の筆頭)
  • 仕上げのビスがスタッドから外れてシートのみを貫通(局所的な弱点になる)
  • コンセントボックスとボードの隙間を気密処理しない(音の抜け道ができる)
  • 床で立ち上げを省略(巾木裏で音の回り込みが起こる)
  • 低音対策を遮音シートだけで済ませようとする(構造対策が必要)

メンテナンス・取り扱い・廃棄

完成後の庇護は基本的に不要ですが、可塑剤を含む製品では一部仕上げ材との相性に注意が必要です(相溶や移行の懸念がある場合はメーカーの適合表を確認)。保管は直射日光・高温を避け、立てかけ保管は変形の原因になるため推奨されません。廃材はプラスチック系の産業廃棄物として適切に分別・処理します。古い鉛シートなどを撤去する場合は、安全対策・処分方法について法令に従い専門家の指示を仰いでください。

メーカーと入手先(代表例)

遮音シートや関連する防音下地は、内装建材メーカーや床材メーカーから幅広く供給されています。具体的な型番や仕様は各社の最新カタログで確認してください。

  • 大建工業(DAIKEN):室内音環境に強みがある建材メーカー。防音床、吸音・遮音関連の提案が豊富。
  • 東リ(TOLI):床材総合メーカー。床仕上げと相性の良い遮音下地・マット類を展開。
  • サンゲツ:内装総合メーカー。壁紙・床材と併せたトータルな内装提案の中で遮音下地を扱うことが多い。
  • ノダ(NODA):木質系フロアや建材を展開。フロアと組み合わせる遮音下地の構成提案がある。

入手は建材流通、内装材の一次店、工務店経由のほか、プロ向けECでも取り扱いがあります。性能・認定・施工条件はロットや仕様変更で変わるため、必ず最新資料で確認しましょう。

用途別の構成例(考え方のサンプル)

以下は設計・施工の考え方の一例です。実際の仕様は現場条件・法規・仕上げ仕様に合わせて調整してください。

  • 住居の間仕切り壁(隣室の話し声対策):LGS(スタッド)+片側二重ボード構成。ボード間に遮音シートを一層挟み、スタッド間に吸音材を充填。コンセントは背合わせを避け、配線周りは気密処理。
  • 集合住宅の床(階下への空気音+軽微な衝撃音対策):捨て貼り合板上に遮音シートを全面敷き→仕上げフロア。軽量衝撃音には下地の剛性を上げつつ、必要に応じてクッション性や防振部材を併用。
  • 機械室に面する壁(機器騒音対策):高比重遮音シート+高比重石膏ボードの複合+空気層に吸音材。隙間ゼロの気密施工を徹底。

よくある質問(Q&A)

Q1. 遮音シートと吸音材、どちらを入れれば良い?

A. 役割が違うため「どちらか」ではなく「両方」を適所に使うのが基本です。壁なら、スタッド間に吸音材、ボードとの間に遮音シートを挟む構成が定番。吸音材だけでは音は止まらず、遮音シートだけでは室内の響きが残ることがあります。

Q2. 一枚貼れば完全防音になりますか?

A. いいえ。遮音シートは“質量を足す”アイテムで、隙間のない施工と、下地・仕上げとの組み合わせがあって初めて力を発揮します。低音や床衝撃音には構造対策(防振・二重化)が必須です。期待値は現実的に設定しましょう。

Q3. 賃貸でも使えますか?

A. 原状回復が前提のため、直貼りやビス止めが難しいケースが多いです。置き敷きできる遮音マットや、フロアタイルと組み合わせる仮設的な方法を検討してください。管理規約も必ず確認しましょう。

Q4. 自分で施工しても大丈夫?

A. 小規模な壁・床であればDIYも可能ですが、隙間ゼロの気密処理や重量物の取り扱いに注意が必要です。性能を確実に出したい、低音やシャフト周りの対策が必要、といった案件はプロに相談するのがおすすめです。

Q5. 厚いほど良い?重いほど効く?

A. 基本的にはその通りですが、下地の許容荷重・仕上げの納まり・運搬性・コストとのバランスが重要です。壁なら面密度2〜3kg/m²クラスから検討し、必要に応じて上げていくと良いでしょう。

チェックリスト(現場で使う前に)

  • 音の種類(空気音/衝撃音)を特定したか
  • 面密度(kg/m²)と厚みは目的に合っているか
  • 下地の平滑性・強度・許容荷重に問題はないか
  • 継ぎ目・端部・貫通部の気密処理方法が決まっているか
  • 仕上げ材の接着剤・工法との適合を確認したか
  • 難燃・F☆☆☆☆等の必要な認定を確認したか
  • 搬入・施工の安全対策(人員・道具・PPE)を用意したか

まとめ:遮音シートは“隙間ゼロ+正しい構成”で効かせる

遮音シートは、薄いのに重く、空気音を通しにくくする頼れる現場資材です。ただし、単体で万能ではありません。吸音材・防振材・下地の二重化などと組み合わせ、継ぎ目や端部、貫通部まで気密を徹底したときに、初めてカタログに近い効果が得られます。どの音を、どの経路で、どれくらい減らしたいのか——そこを明確にして選定・施工すれば、住まいもオフィスも確実に“静けさの質”が上がります。迷ったら、現場に慣れた内装業者や建材メーカーの技術窓口に相談してください。最適解は、目的と現場条件から必ず導けます。

株式会社MIRIX/ミリックスのロゴ
執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
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