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コンセントボックスとは?現場で役立つ種類・選び方・設置ポイント徹底解説

内装職人のためのコンセントボックス完全ガイド—呼び方の違いから納まり・施工のコツまで

「コンセントボックスって、現場で“ボックス”とか“コンボ”って呼ばれてるけど、実際なに?どれを選べばいいの?」—そんな疑問にやさしく、実践的にお答えします。この記事は、建設内装の現場で日常的に使われる現場ワード「コンセントボックス」について、基礎から種類、選び方、下地別の納まりや注意点まで、初心者にもわかりやすく整理しました。図面の読み方がまだ不安、電気工事との分担が曖昧…という方でも、読み終えるころには「現場で会話が通じる」レベルに到達できる内容です。

現場ワード(コンセントボックス)

読み仮名こんせんとぼっくす
英語表記Outlet Box / Receptacle Box

定義

コンセントボックスとは、壁や天井・床などに設けるコンセント(差し込み口)やスイッチ類の埋込・露出取付のための「器具取付箱」です。電線の接続部や配線の曲げ部分を保護し、器具をしっかり固定するための受けとなる部材で、電気設備の安全性と仕上がりの美観を支える重要パーツです。内装の現場では、主に石膏ボード(PB)を貼る前の位置出し・固定と、PB貼り後の開口精度・出面(ではめん)の管理がポイントになります。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では次のように呼ばれます。

  • ボックス/コンボ:コンセントボックスの略称(スイッチボックスを含め“ボックス”で総称することも)
  • スイッチボックス:スイッチ用の器具取付箱(用途で呼び分け)
  • アウトレットボックス:露出取付用のボックスを指すことが多い呼称
  • 埋込ボックス:壁内や天井内に埋め込むタイプの総称

使用例(現場会話のサンプル3つ)

  • 「この壁、PB貼る前にコンボだけ先付けしといて。位置は図面通りで。」
  • 「ここは2連の深型で。ボード厚見込んで出面合わせてね。」
  • 「LGSのスタッドにボックスバンド使って固定、ビスは音が出ない長さで。」

使う場面・工程

一般的な工程は以下の流れです。

  • 墨出し(芯・高さ・器具位置の確認)
  • 配線・配管の先行(電気工事士)
  • ボックス固定(電気工事が主体/内装側が補助・調整する場合あり)
  • PB(石膏ボード)張り
  • 開口(ボードカッター・のこぎり等で)
  • 器具付け・通電試験(電気工事士)

関連語

  • 器具取付枠:スイッチ・コンセントをボックスに固定するための金具
  • フロアボックス:床用のコンセントボックス
  • プルボックス:配線の通線・引き出し用の中継箱(コンセント用とは用途が異なる)
  • ボックスバンド/吊り金具:LGS下地にボックスを固定するための金具
  • 気密ボックス:気密性を確保するための専用ボックス(住宅など)

コンセントボックスの種類と選び方

取付方式で分ける

  • 埋込型(壁・天井内):内装仕上げ面とプレートがフラットに収まる一般的タイプ。住宅・事務所等の壁面で主流。
  • 露出型(アウトレットボックス):仕上げ面の上に箱が出てくるタイプ。倉庫・工場・改修現場などで配線を露出で走らせるときに用いる。
  • 床用(フロアボックス):床面に設置し、掃除や歩行に配慮した構造の専用ボックス。

サイズ・形状で分ける

  • 連数:1連・2連・3連…と、並べる器具の数で選ぶ。
  • 深さ:浅型・標準・深型。収める結線量や配線径、機器(USBコンセント等)の奥行に合わせて選定。スペースに余裕があれば深型が作業性・放熱面で有利。
  • 特殊:情報コンセントや弱電用のセパレート構造、気密対応、防滴・防塵対応など。

材質で分ける

  • 樹脂製:軽量・加工しやすい・結露に強い。住宅・オフィスの内装で広く使用。
  • 金属製:堅牢・耐熱性に優れる。露出配線や工場、耐火・防火上の要求が高い箇所で選定されることがある。

選定の基本は「用途(埋込/露出)」「連数」「深さ」「下地(木造/LGS/RC)」「必要性能(気密・防滴等)」の5点です。図面条件(仕上厚、器具仕様)と施工環境(配線径・本数、スペース)を必ず照らし合わせて決めましょう。

下地別の取り付けポイント(内装視点での納まり)

木造(間柱・胴縁)

  • 固定:ビス止めが基本。間柱にしっかり効かせ、ぐらつきを防止。
  • 出面:貼るPBの厚みを見込んで、最終仕上げ面にプレートがフラットに収まるよう微調整。
  • 注意:欠き込みしすぎると強度低下。ボード開口時は割れ防止のため刃を立てすぎない。

LGS(軽量鉄骨・スタッド)

  • 固定:専用のボックスバンド/吊り金具でスタッドに固定。置き寸法がブレないようレーザーで通りを合わせる。
  • 出面:PB厚+仕上げ厚を見込んで、器具プレートが面一になるようにスペーサーで調整。
  • 注意:スタッド内の配線通し穴(サービスホール)とボックス位置を事前にすり合わせる。

RC(コンクリート)

  • 固定:新設は躯体にボックスを先付け(埋設)する計画が多い。改修は露出やふかし壁で対応。
  • 出面:左官・GL工法・PBふかし等、仕上げ厚が多様。各工種で事前共有が必須。
  • 注意:防火区画・耐火被覆の連続性を損なわないよう、貫通部の処理に注意(防火措置は計画・仕様に従う)。

位置決め・寸法感と開口の勘所

高さ基準は設計図・現場標準に従います。一般的には、スイッチ・コンセントの芯高さが用途別に定められていますが、現場ごとにルールが異なるため、都度確認が鉄則です。

  • 芯位置の墨出し:プレート芯で管理するか、床からの高さで管理するかを明確に。
  • 出面(ではめん):PB厚・仕上げ厚を合算し、プレートが面一〜わずかに出る程度に。
  • 開口:器具枠の寸法に合わせて、ボードカッターやのこぎりで正確に。角が欠けないよう、四隅は無理にこじらない。
  • 並び(2連以上):プレートの見切りラインが一直線になるよう、ボックス自体の平行出しとピッチ管理を丁寧に。

施工の基本フロー(内装・電気の分担を明確に)

  • 図面確認:器具一覧、連数、特殊仕様(気密・防滴・情報系)をチェック。
  • 墨出し:高さ・芯・通りをレーザーで確定。
  • 配線・ボックス仮固定(主に電気工事):配線本数と結線スペースを考慮してボックス種別・深さを確定。
  • PB張り(内装):出面を都度確認しながら張り進める。開口位置のマーキングを忘れずに。
  • 開口(内装):器具枠の寸法に合わせて切り欠き。バリは除去し、欠けはパテ補修。
  • 器具付け・通電(電気工事):最終固定、通電確認、絶縁・接地の確認。

よくある不具合と対策

  • プレートが出過ぎ/引っ込み:出面調整不足。PB厚・仕上げ厚再確認とスペーサーでの微調整が有効。
  • プレートの歪み・隙間:ボックスが斜めに固定されている可能性。スタッドへの固定を直し、器具枠の水平・垂直を揃える。
  • ボード割れ:開口時に力を入れすぎ。カッターは表裏から少しずつ、四隅は無理に引っ張らない。
  • 納まり不足(奥行きが足りない):浅型選定のミス。USB付コンセントなど奥行のある器具は深型を選ぶ。
  • 気流止め・断熱欠損:住宅で気密が必要な場合は気密ボックスや気密処理材の使用を検討。

代表的なメーカーと特徴(例)

商品名・仕様は各社で異なるため、最新カタログで確認してください。

  • 未来工業(Mirai Industry):樹脂製ボックスや配管部材の定番。施工性の高い金具・気密対応品も豊富。
  • パナソニック(Panasonic エレクトリックワークス社):器具と一体で考えやすいラインナップ。住宅・オフィスで広く採用。
  • 日東工業(NITTO KOGYO):金属製ボックスや盤類で実績。露出配線や産業用途にも強い。
  • 日動電工:樹脂製ボックス・モール関連で知られ、改修や露出配線に便利な製品が揃う。
  • ネグロス電工:ボックスを支持するハンガー・支持金具類が充実。LGSとの取り合いに役立つ。

安全・法令と職種の分担

電気工事(配線の接続・結線や通電に関わる作業)は、電気工事士など有資格者による施工が原則です。内装職人が関与するのは、主にボードの開口・納まり調整・墨出しの共有など。分担範囲は現場ルールに従い、無理な作業は行わないことが安全と品質に直結します。また、防火区画・耐火被覆・気密性能などが要求される場合は、所定の材料・工法で貫通部処理を行い、検査に備えて写真や実測記録を残しておきましょう。

現場で役立つチェックリスト(保存版)

  • 図面確認:器具番号・連数・高さ・特殊仕様(気密/防滴/情報系)
  • 下地確認:木造/LGS/RC、仕上げ厚とPB厚
  • 材料確認:ボックス種類・深さ・連数、支持金具、スペーサー、ビスの長さ
  • 位置出し:レーザー・メジャー・スケール、芯墨の共有
  • 工具:インパクト、水平器、ボードカッター/のこぎり、下地探知、ケガキ用マーカー
  • 品質確認:出面、平行・直角、開口の欠け無し、器具枠がスムーズに入るか
  • 安全:停電・通電状況の確認、無資格作業の禁止、保護具の着用

用語辞典ミニガイド(混同しやすい用語の整理)

  • コンセントボックス:コンセントやスイッチを取り付けるための箱(内装ではこれを総称して“ボックス”と呼ぶことが多い)。
  • スイッチボックス:スイッチ用のボックス。現場では用途で呼び分ける程度で、構造は近い。
  • アウトレットボックス:露出配線で使う箱の呼称として使われることが多い。
  • 器具取付枠:ボックスに器具を固定する金具。プレートとも関連する。
  • プルボックス:通線・分岐のための中継用ボックス。コンセント用とは用途が異なる。
  • フロアボックス:床用のコンセントボックス。蓋付きで歩行や清掃に配慮した構造。
  • 気密ボックス:住宅などで気密を確保するための専用構造を持つボックス。

よくある質問(FAQ)

Q. 浅型と深型はどちらを選べばいい?

A. 収める配線本数・結線スペース・採用する器具の奥行で決めます。USB内蔵など奥行のある器具や、分岐が多い位置は深型が有利です。スペースに制約がなければ、作業性を見て深めを選ぶとトラブルが減ります。

Q. PB開口は誰がやる?

A. 現場ルール次第ですが、内装がPB張りと合わせて開口するケースが多いです。器具枠がスムーズに入る寸法・角の欠け防止・出面の整合を意識しましょう。器具の結線・取付は電気工事士が行います。

Q. LGSの時、位置がブレやすいです…

A. 事前の墨出しをレーザーで統一し、ボックスバンドやスペーサーで確実に固定。スタッドのゆがみや干渉物(ダクト・配管)も先に確認しておくと再施工が減らせます。

Q. 改修で露出にしたいが見た目が気になります

A. 露出用の薄型・デザイン性の高いアウトレットボックスや、モールと組み合わせる製品もあります。意匠と清掃性のバランスを見て選定しましょう。

Q. 気密や防火が必要な部屋はどうする?

A. 気密ボックスや防火対応の部材・工法を採用します。要求性能は設計条件によるため、仕様書・メーカー推奨施工に従い、貫通部処理の写真記録を残してください。

現場で使えるコツ(プロの小ワザ)

  • 下書きは大きめに:PB面に器具位置の枠を書いてから開口すると、角の欠けが減る。
  • 仮当てで出面チェック:薄い板やプレートで面を仮当てし、ボックスの出位置を微調整。
  • 2連以上は芯優先:端から攻めず、芯と水平を優先して並べるとプレートのラインが揃う。
  • 音・粉対策:稼働中の施設では静音工具・集塵併用。時間帯調整でクレーム防止。
  • 写真で記録:ボードを貼る前にボックス位置と配線状況を撮影。探査や改修時に役立つ。

失敗しない製品選定フロー

  • 1. 図面の器具表で連数・特殊仕様を確認
  • 2. 下地(木・LGS・RC)と仕上厚を確認
  • 3. 収める配線本数・器具奥行で深さを決定
  • 4. 環境要求(気密・防滴・耐久)に合わせて材質・構造を選ぶ
  • 5. 金具類(バンド・スペーサー・ビス)を忘れず手配

内装と電気の“気持ちよい連携”のために

コンセントボックスは、電気・内装どちらの出来も映すパーツです。電気は安全・機能を、内装は納まり・美観を担保します。お互いに「出面」「芯」「仕上厚」「開口寸法」を共通言語にして、工程の前後で小さな確認を積み重ねるだけで、手戻りは大幅に減ります。墨出し時に5分、PB貼り前に3分、器具付け前に3分の合わせ—この“合計10分”が、仕上がりの差になります。

まとめ

コンセントボックスは、単なる“箱”ではありません。安全と機能を守り、プレート1枚の見栄えまで左右する、内装品質の要です。種類(埋込/露出、浅型/深型、連数、材質)を理解し、下地に応じた納まりと出面を丁寧に管理すれば、初心者でも確実にワンランク上の仕上げができます。わからない点は図面・仕様書・メーカー資料で確認し、電気工事士と早めに情報共有。これだけで現場のストレスはぐっと減ります。今日から「ボックス」の会話に、胸を張って参加していきましょう。