ご依頼・ご相談はこちら
ご依頼・ご相談はこちら

天井伏図とは?現場で役立つ意味・見方・作成ポイントを徹底解説

天井伏図を完全ガイド:意味・読み方・図面の活かし方と現場チェックの勘所

「天井伏図って何?平面図とどう違うの?」「記号が多すぎて読み方がわからない…」そんな不安を抱えて検索している方へ。この記事では、内装・電気・設備の現場で毎日飛び交う現場ワード「天井伏図」を、やさしく・実践的に解説します。図面の意味から見方、現場での使い方、ミスを防ぐチェックポイントまで、初めての方でも自信を持って図面に向き合えるように丁寧にまとめました。

現場ワード(天井伏図)

読み仮名てんじょうふせず
英語表記Reflected Ceiling Plan(RCP)

定義

天井伏図とは、室内の天井を「床面に鏡で反射させたように」上から見た形で描いた図面のことです。英語ではReflected Ceiling Plan(RCP)と呼ばれ、照明・空調吹出し口・換気扇・スプリンクラー・火災感知器・点検口・天井の種類や段差(下がり天井)・天井高さ(CH)・天井下地の芯や目地・割付など、天井に取り付く要素がひと目でわかるよう整理されています。内装・電気・空調・消防など複数職種の取り合い確認、墨出し、下地組み、開口補強、器具の位置決めに不可欠な、現場の共通言語となる図面です。

天井伏図に載る主な情報

天井伏図には、次のような情報がまとめて記載されることが多いです(物件や業種により分冊・分図される場合もあります)。

  • 天井仕上げの種類(例:PB+塗装、化粧石膏ボード、システム天井、吸音板、ルーバーなど)
  • 天井高さ(CH)・段差・下がり天井、見切り・巾木状の縁(廻り縁)
  • 照明器具の種類・数量・配置(型番は器具表と連動)
  • 空調吹出し口・吸込み口、換気扇、ダクト点検口
  • スプリンクラーヘッド、煙・熱感知器、非常放送スピーカー
  • 点検口の位置とサイズ、点検スペースの確保
  • 天井下地(LGS)の割付基準、野縁方向、吊りボルトピッチ(必要に応じて)
  • 開口のサイズ・補強の指示、器具の開口目地位置との関係
  • 基準線(通り芯、グリッド)、寸法・納まりディテールの参照記号

図面の見方の基本

まず確認するポイント(優先順位)

天井伏図を初めて開いたら、次の順番で確認すると迷いません。

  • 方位と基準線:上がどちらか、通り芯・グリッドで位置合わせ
  • 縮尺:1/50、1/100など。細かい納まりは詳細図の縮尺を確認
  • 天井高さCH:室ごとの基準高さ、段差や勾配の有無
  • 仕上げの種類:凡例(レジェンド)でハッチと仕上げを照合
  • 器具の位置:照明・空調・消防・点検口の相互位置と寸法
  • 開口・補強:どの開口に補強が必要か、施工図や詳細図の参照記号

よく出る記号・略語の読み方

図面によって表記は多少異なりますが、現場でよく見る略語の一例です。

  • CH:Ceiling Height(天井高)。例:CH=2,600
  • FL:Finished Level(仕上げ床)。±0の基準レベルと組み合わせて使われる
  • CL:Ceiling Level(天井レベル)。CHと併記される場合あり
  • LGS:軽量形鋼下地(軽天)。ランナー、スタッド、野縁、吊りボルトなど
  • PB:プラスターボード(石膏ボード)。t=12.5など厚み表記
  • GL工法:躯体直貼り工法の一種(天井では直貼り天井などの指定に登場)
  • 点検口:600×600などサイズ表記。設備点検や器具交換のための開口
  • 開口記号:□や○に寸法記載、または器具番号で器具表と連動

天井高さの読み方と注意

天井高さは、仕上げ床(FL)から仕上げ天井下面までの寸法で示されるのが一般的です。複数の仕上げが混在するとCHが室内で変わるため、段差の位置や見切りを図面で必ず追います。梁下やダクト経路で局所的に下がる「チャンネル」や「ボックス」も天井伏図と詳細図で確認し、仕上がり高さが意図通りか干渉がないかをチェックします。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では、次のような言い回しがよく使われます。

  • 天伏(てんぶせ):「天井伏図」の略称。「天伏出して」「天伏どおりに墨出しして」など
  • RCP:設計・BIMチームとのやり取りで使われる英語略
  • 照明伏・電気天伏・設備天伏:職種ごとに分けた天井伏図の呼び分け
  • 天井平面図:会話ではこう呼ばれることもありますが、図面名としては「天井伏図」が基本

使用例(3つ)

  • 「この会議室、天伏だとCH2,600でルーバー入ってる。スプリンクラーと感知器の位置、ルーバー割付と芯合わせておいて」
  • 「器具開口は天伏の寸法優先。ボード張る前に下地補強も入れて、点検口は梁際から300以上離して」
  • 「電気の天伏更新されてるよ。ダウンライトが40角からΦ125に変わったから、開口と補強の再確認お願いします」

使う場面・工程

天井伏図は、計画段階から竣工まで、さまざまな工程で使います。

  • 計画・調整:設計間調整(電気・空調・消防・内装)での干渉チェック
  • 施工図作成:器具表・詳細図と連動させた施工図の作成、割付決定
  • 墨出し:器具芯、点検口、下地の基準線を実寸で床へ転写(床墨から天井へ投影)
  • LGS下地・吊り込み:吊りボルトピッチ、野縁方向、下がり天井の枠組み
  • ボード施工:器具開口、補強、目地位置の調整
  • 仕上げ・器具付け:仕上げ傷防止と取り付けクリアランスの最終確認
  • 検査・引渡し:照明位置のズレ、感知器・スプリンクラーの離隔、点検口のアクセスなどの確認

関連語

天井伏図とセットで理解したい用語です。

  • 平面図(床平面):壁・建具・家具配置の基礎となる図
  • 展開図:壁面を正面から見た図。廻り縁や見切りの納まりを確認
  • 照明器具表・機器表:器具番号と型番・性能・取付高さの一覧
  • 詳細図:天井の段差、ルーバー、見切り、開口補強などの拡大図
  • 割付:仕上げ材や目地の割り振り。美観と寸法整合に直結
  • 納まり:異なる材料や機器がぶつかる部分の仕上げ方法・寸法調整

作成・チェックのポイント(設計・施工図担当向け)

作図の基本手順

天井伏図を新規に作る、あるいは施工図に落とす際の流れです。

  • ベース:最新の平面図(通り芯・建具位置・家具レイアウト)を取り込み
  • 仕上げゾーニング:天井仕上げの種類と境界、段差ラインを定義
  • 高さ設定:室ごとのCH、下がり天井のレベル、勾配の有無を明記
  • 器具配置:照明・空調・消防・スピーカー・点検口を所要離隔を守って配置
  • 割付・目地:仕上げ材のサイズ基準を決め、器具と目地の関係を整理
  • 寸法・注記:主要寸法、中心線、取り付け高さ、詳細図の参照記号を付与
  • 凡例・器具表連携:ハッチ・記号の凡例、器具番号を器具表と一致させる
  • 干渉チェック:梁・ダクト・配管とのクリアランス、点検性を検討

干渉と納まりのチェック

見落としやすいポイントを事前に潰すと、手戻りが激減します。

  • スプリンクラーと照明の離隔:火災時の散水障害を避ける(メーカー・規程の基準値を遵守)
  • 感知器と吹出し口の離隔:誤作動防止のため、送風の直当てを避ける
  • ダウンライトと下地位置:ボード目地・野縁の位置と干渉しないよう割付を調整
  • 点検口のアクセス:梁際や壁際に寄りすぎない、設備メンテスペースを確保
  • ルーバー・間接照明:器具のメンテ性、光源の見え方、熱対策
  • 非常・誘導関係:非常灯や誘導灯の見付位置と法規位置、視認性

美観と仕上げのコツ(割付・芯合わせ)

仕上がりの印象は「芯合わせ」と「目地の通し方」で決まります。

  • 部屋の主軸を決める:出入口に対して器具・目地がまっすぐ見えるか
  • 中心線でそろえる:テーブル・家具・建具芯と器具芯を合わせる
  • 端部の切り寸調整:半端な幅を目立たない側へ逃がす
  • 連続空間の通し:廊下などは目地・器具芯を通してリズムを作る

よくあるミスと防止策

  • 最新図を使っていない
    • 対策:図面番号・改定履歴(Rev.)を必ず確認。受領日と版を記録
  • 開口と下地の不整合
    • 対策:施工前に開口位置で下地の芯寸をマーキング。補強の有無を施工図で明記
  • 設備機器の離隔不足
    • 対策:各機器のメーカー仕様・法規の離隔をチェックリスト化し、配置検証
  • 点検性の不足
    • 対策:点検口サイズと開口方向、梯子の設置スペースまで図で示す
  • 段差の消し忘れ・高さの取り違え
    • 対策:CHとCLの表記ルールを統一。段差ラインは太線・注記で強調
  • 器具表との不一致
    • 対策:器具番号は連番管理。図面と表の相互チェックをダブルで実施

関連図面との違いをスッキリ整理

混同しやすい図面の違いを押さえておくと、検索や問い合わせがスムーズになります。

  • 平面図(床平面):
    • 床レベルで壁・建具・家具等の配置を示す基礎図。天井の情報は基本的に載らない
  • 天井伏図(RCP):
    • 天井面の仕上げ・器具・高さ・段差を示す。複数職種の取り合い調整のハブ
  • 照明配置図(電気天伏):
    • 照明・非常照明・スイッチ回路など電気要素に特化。天井仕上げ情報は簡略化されることも
  • 設備天伏(空調・衛生):
    • 吹出し・吸込み・換気、ダクト経路や点検口に特化。離隔・メンテ性を重視
  • 展開図:
    • 壁面の仕上げや巾木・見切り・器具高さなどを正面から確認。天井周りの納まりも参照
  • 詳細図:
    • 下がり天井、ルーバー、間接照明、開口補強などの拡大納まり。実施工は詳細図が決め手

現場で役立つ読み方のコツ

  • 凡例と器具表を最初にチェック:記号の意味を先に理解すると迷わない
  • 「中心」と「端部」を意識:器具芯の通りと端部の切り寸を先に押さえる
  • 寸法基準を一つ決める:通り芯、壁仕上げ面、家具芯のどれ基準かを統一
  • 法規・離隔の観点で二度見:美観だけでなく安全基準に照らして点検
  • 矛盾は現場で即共有:電気・設備・内装の三者で立会い確認が最短ルート

BIM・CADの活用(初心者でも知っておくと楽)

最近は、BIMやCADで天井伏図を運用する現場が増えています。名称と用途のイメージをつかんでおくとコミュニケーションがスムーズです。

  • AutoCAD(Autodesk):2D作図の定番。天井伏図のレイヤ分け・参照管理に強い
  • Revit(Autodesk):BIMでRCPを自動生成。干渉チェックや器具表連動が効率的
  • Vectorworks:建築・舞台照明分野での照明レイアウトに強み
  • Jw_cad:国内現場で普及。軽快で職人さんとのやり取りでも使われる

どのツールでも「レイヤ(電気・設備・内装)」「参照(外部図面の取り込み)」「凡例・器具表の整合」を意識して管理するのがコツです。

用語ミニ辞典:天井伏図でよく見るキーワード

  • 下がり天井:梁や設備をかわす、またはデザイン意図で部分的に下げた天井
  • 見切り:仕上げの切り替えや端部をきれいに納める部材・ライン
  • 割付:仕上げ材や器具の配置を寸法に合わせて割り振ること
  • ルーバー:細い部材を規則的に並べた天井意匠。吸音・意匠性の両立に使う
  • ピット・スペース:天井裏に必要な空間。ダクト・配線・器具のメンテスペース
  • 目地:仕上げ材の継ぎ目。器具芯と通すと美しく見える
  • 廻り縁:天井と壁の取り合いに使う見切り。影を作り見切りを美しくする効果

初心者Q&A

Q1. 天井伏図と照明図、どっちを見ればいい?

A. まず天井伏図で「高さ・仕上げ・段差・点検口」を把握し、照明や設備の詳細は各専門図で確認します。最終判断は最新改定の施工図で統一しましょう。

Q2. どの位置を基準に墨出しすればいい?

A. 通り芯や壁仕上げ面からの寸法が優先です。器具芯や割付基準線が図示されているはずなので、現場の基準墨と必ず整合させてから天井へ投影します。

Q3. 図面どおりに器具が入らないと言われたら?

A. まず干渉箇所(梁・ダクト・配管)を特定し、代替案を提示します。器具のサイズ変更、位置微調整、下がり量の再設定などを関係者で即時協議しましょう。

Q4. スプリンクラーと照明の距離はどのくらい必要?

A. 使用するヘッドや照明器具、適用規程によって必要な離隔が異なります。必ずメーカー仕様書と適用法規・基準で確認し、図面に根拠付きで記載しましょう。

Q5. 美しく見せるコツは?

A. 入口からの見え方を最優先に、中心を通す・端部の切り寸を隠す・連続空間で目地と芯を通す。この3点を守れば仕上がりが格段に良くなります。

小規模店舗・住宅での実践ポイント

大規模オフィスと比べ、図面枚数が少ない小規模案件では「天井伏図に多くの情報を集約」する傾向があります。そのぶん、注記の抜けや器具表の更新漏れが起きやすいので注意が必要です。

  • 一本化のリスクに注意:電気・設備の変更が天井仕上げに波及しやすい
  • 現場モックアップ:ダウンライトや間接照明は現物確認で最終判断が確実
  • 点検性の確保:住宅でも点検口はケチらない。将来のメンテが楽になります

チェックリスト(持ち出せる実務メモ)

  • 図面版数(Rev.)と受領日を表紙に記入したか
  • CH・段差・仕上げ凡例を読み込んだか
  • 器具番号と器具表の一致を確認したか
  • スプリンクラー・感知器・吹出しの離隔を満足しているか
  • 開口位置に下地補強と目地計画はあるか
  • 点検口の位置・サイズ・アクセスは十分か
  • 展開図・詳細図との記号参照は齟齬がないか
  • 現場墨と図面寸法の整合は取れたか

ケース別の注意点

オフィスのシステム天井

グリッドピッチ(例:600角)と器具サイズの整合が最重要。パネル割付を崩さずにスプリンクラーや感知器を配置できるか、開口専用パネルの手配可否を事前確認します。

店舗の意匠天井(ルーバー・折上げ・間接照明)

見え方とメンテ性のバランスが鍵。器具の光束・指向性、熱対策、清掃・交換の方法まで図面注記と詳細図で明文化します。

ホテル・医療・学校など法規制が多い用途

避難・防火・衛生の基準が厳格。防火材料の等級、スプリンクラーの種類、清掃性や抗菌仕様など、仕様書と法令に照らして慎重に確認します。

トラブル事例から学ぶ(要点だけ)

  • 事例:感知器が吹出し口直近で誤報多発
    • 教訓:離隔基準を事前に確認。天井伏図での配置段階で回避する
  • 事例:点検口が梁に干渉し開かない
    • 教訓:梁型を平面・断面で確認し、開口方向とクリアランスを注記
  • 事例:器具開口と目地が重なり仕上げ割れ
    • 教訓:割付基準線を先出し。ボード目地と器具芯の調整を施工図に反映

まとめ:天井伏図は「現場の共通言語」

天井伏図は、単なる図面ではなく、内装・電気・設備が共通で使う「現場の言語」です。意味と見方の基本(高さ・仕上げ・器具・割付)を押さえ、関連図面と器具表を横断して確認すれば、施工の迷いはぐっと減ります。この記事のチェックリストや用語ミニ辞典を手元に、今日の打合せや墨出しからさっそく活用してみてください。きっと「図面が読める」実感が得られるはずです。