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ダンボール養生の正しい使い方と失敗しない選び方・現場プロが教えるポイント

現場ワード「ダンボール養生」徹底ガイド:意味・使い方・選び方を内装のプロがやさしく解説

「ダンボール養生って、ただ段ボールを敷くだけのこと?」と疑問に思って検索された方へ。現場では当たり前に飛び交う言葉ですが、実は素材選びや貼り方ひとつで仕上がりや安全性、コストまで大きく変わります。本記事では、内装現場のプロの視点で、ダンボール養生の基礎から実践のコツ、失敗しないための注意点までを、初心者向けにわかりやすく整理して解説します。読み終えるころには、安心して現場で使いこなせるようになります。

現場ワード(ダンボール養生)

読み仮名だんぼーるようじょう
英語表記cardboard protection(temporary surface protection with corrugated cardboard)

定義

ダンボール養生とは、工事中に床・壁・建具(ドア枠など)・設備機器の表面を傷や汚れ、へこみから守る目的で、波状の芯(フルート)をもつ紙製の「段ボール」を仮設的に取り付ける作業および施工方法を指します。主に搬入・搬出や組立作業の接触、工具や脚立の設置、作業員の歩行に伴うリスクを軽減するために用いられ、コストの手頃さ・加工のしやすさ・リサイクル性の高さが特徴です。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では以下のように呼ばれることがあります。指示や確認の際に役立つ言い回しも合わせて覚えておきましょう。

  • ダンボール養生/段ボール養生(一般的な呼称)
  • 紙養生(紙系素材の養生の総称として)
  • 床ダンボール・床養生(床面に限定した指示で使用)
  • 当てダンボール(角や面に当てて保護する用途)
  • ※類似語:プラダン養生(プラスチック段ボール、別素材)/養生ボード(専用の硬質ボード、別素材)

使用例(3つ)

  • 「明日の什器搬入ルート、幅1メートルでダンボール養生を二重に敷いておいて。」
  • 「ドア枠はコーナーだけじゃ不安だから、面で当ててダンボール養生しておこう。」
  • 「床材が無垢だから、テープは弱粘着でベース貼りしてからダンボール養生ね。」

使う場面・工程

ダンボール養生が活躍する主なシーンは次のとおりです。

  • 搬入・搬出工程(家具・什器・建材・家電・設備機器の搬入時)
  • 組立・据付工程(家具・キッチン・洗面・建具の施工作業中)
  • 仕上げ工程前後(塗装・クロス・クリーニング時の擦れ防止)
  • 引渡し前の保全(最終仕上げ後の美観保持、内覧対応)
  • 短期の改修・原状回復工事(施工期間が短く、コスト重視の場合)

関連語

  • 養生テープ(弱粘着のテープ。床材を傷めにくいものを選ぶ)
  • マスカー(ポリシート+テープの一体型養生材。壁・巾木周りに)
  • プラダン/ダンプラ(プラスチック段ボール。耐水・耐久性が高い)
  • 養生ボード(硬質ボードや発泡材のボード。強度・再利用性が高い)
  • コンパネ養生(合板による養生。重量物や台車通行に)
  • コーナーガード(角部専用の保護材。L字・U字形状)

種類とスペックの基礎知識

段ボールは「フルート」と呼ばれる波形の芯の形状と厚みで強度が変わります。用途に応じて選ぶと効果的です。

  • Bフルート(約3mm):取り回しがよく、一般的な床・壁の短期保護に向く。
  • Aフルート(約5mm):Bよりクッション性が高く、やや強度が必要な場面に。
  • Wフルート(約7mm:A+Bの複層):重量物の通行や角当たりのリスクが高い箇所に。

形状・サイズの目安

  • ロールタイプ:幅1000〜1200mm×長さ30〜50m程度。広い面を素早く養生でき、継ぎ目が少ない。
  • シート(平板)タイプ:900×1800mm(いわゆる“三六サイズ”)など。カットの手間が少なく、敷き並べやすい。

特殊仕様の例

  • 撥水・耐水コート品:湿気が多い場面や短時間の水飛散が想定される場合に。
  • 滑り止め加工:歩行量が多い通路や階段での転倒リスク低減に。
  • 無地(インク印刷なし):インク移り対策が必要なデリケートな床材向け。

選び方のコツ(現場規模・床材・搬入物で決める)

「どのダンボールをどれだけ敷くか」は、次の3観点で決めると失敗が減ります。

  • 床材のデリケートさ
    • フローリング(無垢・突板):弱粘着テープ+無地段ボール。長期は避け、定期的に貼り替え。
    • 塩ビタイル・長尺シート:可塑剤移行や粘着残りに注意。必ず弱粘着テープをベースに。
    • タイル・石:硬度は高いが欠けやすいエッジはコーナー保護を追加。
  • 搬入物・荷重
    • 軽微な工具・小物:Bフルートで十分なことが多い。
    • 中重量(家具・家電・脚立):Aフルート、必要に応じ二重貼りやWフルート。
    • 重量台車・ピアノ等:段ボール単独は不可。合板や養生ボードを併用。
  • 期間・環境
    • 短期(1〜3日):コスト優先でBフルート+弱粘着テープ。
    • 中期(1〜2週間):A〜Wフルート+部分補強。湿気・結露に注意。
    • 長期・屋外に準じる環境:段ボールは避け、プラダンやボード系を選ぶ。

施工手順(床のダンボール養生の基本)

現場でトラブルを呼びやすいのは「貼り方の粗さ」と「テープ選定ミス」です。以下の手順を守れば安定した仕上がりになります。

  • 1. 事前確認
    • 床材の種類・状態・含水を確認し、写真で現況を記録。
    • 搬入ルート・通路幅・荷重箇所(曲がり角・段差)を把握。
  • 2. 清掃・乾拭き
    • 砂粒・切粉・水分は養生の敵。モップや掃除機でクリアに。
  • 3. 材料準備・裁断
    • ロールは必要寸法+余裕を見てカット。角はR面取りしてめくれ防止。
    • 印刷面は上向きにし、床へのインク移りを避ける(無地ならより安心)。
  • 4. ベーステープ工法
    • 床側に弱粘着マスキングテープ(和紙・養生用)を先に貼る。
    • その上に養生テープ(やや強め)で段ボールを固定。床に直接強粘着はNG。
  • 5. 敷き込み
    • 目地は50〜100mm重ねてズレを防止。歩行通路は流れ方向に敷く。
    • 端部は巾木に沿わせつつ、通気を妨げない範囲で軽く押さえる。
  • 6. 要所の補強
    • 曲がり角・出入口・エレベーター前は二重貼りやWフルートを当てる。
    • 段差部はテープでスロープ状にしてつまずき防止。
  • 7. 点検・掲示
    • 浮き・めくれ・段差を全数チェックし、「養生上歩行注意」などを掲示。
  • 8. 維持管理
    • 毎日始業前に破れを補修。湿気・水濡れ時は即時交換。

壁・建具まわりの養生ポイント

  • ドア枠・窓枠:L字のコーナーガード+段ボールの面当て。丁番・錠前まわりは可動域を妨げないよう切り欠き。
  • 巾木:テープは上端のみに軽く。塗装や木部は弱粘着を徹底。
  • 階段:踏面は滑り止め加工の段ボールを選ぶか、踏鼻部に追加テープでズレ防止。蹴上は面当て。
  • 設備機器(キッチン・洗面):化粧面にインクが触れないよう無地段ボールを使用、熱源近傍は避ける。

よくある失敗と対策

  • 粘着跡が残った
    • 原因:強粘着テープの直貼り、長期放置、日射・高温。
    • 対策:ベーステープ工法+弱粘着。長期は週1回のテープ更新。窓際は直射回避。
  • 滑って転倒した
    • 原因:粉塵・水濡れ・段ボールのツルツル面。
    • 対策:清掃徹底、滑り止め加工の使用、テープで端部固定、通路に注意表示。
  • インクが移った
    • 原因:印刷面を下にして湿気・圧力がかかった。
    • 対策:印刷面は上。無地段ボールを選ぶ。湿気環境では使用を控える。
  • 凹み・キズが入った
    • 原因:重荷重に段ボール単独で対応。
    • 対策:合板・養生ボードを併用。曲がり角や台車ルートは二重貼り。
  • ふやけ・カビ
    • 原因:水濡れ放置、結露、床の含水。
    • 対策:濡れたら即交換。換気・除湿を行い、撥水品を検討。
  • つまずき・引っかかり
    • 原因:継ぎ目の段差、端部のめくれ。
    • 対策:重ね幅を確保し、端部は面取り+テープでナナメ仕上げ。
  • 火気リスク
    • 原因:可燃物である段ボールを溶接・ヒーター近傍に敷設。
    • 対策:熱源周りは不燃・難燃のボード材に切替。消火器の近接配置。

安全・品質チェックリスト(現場用)

  • 床は乾燥・清掃済みか(砂・水分なし)。
  • テープは弱粘着をベースに使用しているか。
  • 継ぎ目は50〜100mm重ね、端部はめくれなし。
  • 通路幅は必要幅を確保(人通行・台車に応じて計画)。
  • 曲がり角・出入口・階段は二重貼りや滑り止めを追加。
  • 印刷面は上向き、もしくは無地を使用。
  • 掲示・注意喚起が設置されているか。
  • 日々の点検・補修・交換ルールが決まっているか。
  • 火気・熱源の近傍では使用していないか。
  • 撤去・分別・再資源化の手順が共有されているか。

コスト感と調達の目安

市場価格はグレード・数量で変動しますが、目安は以下のとおりです(時期・地域で差があります)。

  • ロール段ボール(幅1m×長さ50m・Bフルート):おおむね2,000〜4,000円前後。
  • シート段ボール(約900×1800mm・B〜Aフルート):1枚あたり200〜500円前後。
  • 養生テープ(弱粘着):1巻200〜500円程度(幅50mm)。

調達先は、建材商社・作業工具系EC・ホームセンターなど。段ボール自体の国内主要メーカーには、王子コンテナー(王子グループ)、レンゴー、トーモクなどの大手段ボールメーカーがあり、品質の安定性や規格の明確さで選ばれます。養生テープはニチバン、積水化学工業(セキスイ)、カモ井加工紙、3Mなど、床材に優しい弱粘着タイプのラインアップが豊富です。

環境配慮と廃棄ルール

段ボールは再生紙由来でリサイクル性が高く、適切に分別すれば資源循環に寄与します。現場でのポイントは以下です。

  • 乾いた状態で回収へ。油・塗料・石膏粉が大量付着したものは再資源化が難しい。
  • テープ・ラベルは可能な範囲で除去し、平らに畳んでPPバンド等で結束。
  • 事業系排出物は自治体ごとに扱いが異なります。現場の産廃契約・マニフェストに従う。
  • 再利用可能な良品は、別現場用として保管することでコストと廃棄量を削減。

代替材との比較(使い分け早見)

  • ダンボール養生
    • 長所:安価・軽量・加工容易・リサイクルしやすい。
    • 短所:水・油・高荷重に弱い。長期は不向き。
    • 適用:短期の床・壁保護、軽〜中荷重、室内の乾燥環境。
  • プラダン(プラスチック段ボール)
    • 長所:耐水・耐久性・繰り返し使用に強い。
    • 短所:コスト高。静電気で粉塵を寄せることがある。
    • 適用:中期〜長期、湿気・水飛散の可能性がある場所。
  • 養生ボード(硬質・発泡ボード)
    • 長所:衝撃吸収・耐荷重に優れる。台車・重量物向け。
    • 短所:初期コスト・保管スペースが必要。
    • 適用:重量物通行ルート、繰り返し利用の現場。
  • 合板(コンパネ)養生
    • 長所:高い耐荷重・面剛性。段差養生にも有効。
    • 短所:重い・加工粉塵。表面保護に別シートの併用が必要。
    • 適用:重機・重量台車・ピアノなどのスポット通行。

ミニ用語辞典(周辺ワード)

  • 養生(ようじょう):工事中に仕上げ面や設備を保護するための仮設的処置の総称。
  • フルート:段ボールの波状部分。A・B・Wなどの種類があり厚み・強度が変わる。
  • ベーステープ工法:弱粘着テープを床側に先貼りし、その上から固定テープで養生材を留める方法。粘着残り対策に有効。
  • マスカー:テープとシートが一体になった養生材。広い面や立面の養生に素早く対応できる。

ケース別の実践アドバイス

  • 新築マンションの内装仕上げ
    • 床:B〜Aフルート+ベーステープ工法。窓際は日射で粘着が強まるため、短いスパンでテープ交換。
    • 建具:コーナーガード+段ボール面当て。ハンドル・丁番は動作確認を欠かさず。
  • 店舗の什器搬入
    • ルート:Wフルート二重貼り、曲がり角は合板を重ねてエッジ保護。
    • 注意:開店前の限られた時間で施工・撤去するため、ロール品でスピード優先。
  • 賃貸原状回復・短期工事
    • コスト重視でBフルートを選択し、破れやすい箇所のみAフルートで補強。
    • 撤去後の清掃作業を見越し、テープ糊残り対策を徹底。

まとめ:ダンボール養生を味方にする3原則

ダンボール養生は、現場の仕上がりと安全を守る「最初の一手」です。素材特性を理解し、環境と荷重に合った選定、丁寧な貼り方、そして日々の点検という基本を守れば、コストを抑えつつ高い効果を引き出せます。最後に要点を振り返ります。

  • 選ぶ:床材・荷重・期間でB/A/Wフルートを使い分ける。重荷重にはボードや合板を併用。
  • 貼る:清掃→裁断→ベーステープ工法→重ね貼り→要所補強→点検の順で。
  • 守る:水・熱・日射・強粘着を避け、毎日点検・補修・交換。撤去後は資源として適切に分別。

「ダンボールを敷くだけ」から一歩進んで、「現場のリスクに合わせて設計する」視点を持てば、仕上がり品質と安全性、そしてコスト管理まで確実にレベルアップします。迷ったときは、床材と搬入物を起点に、無理のない強度を選ぶことから始めてみてください。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
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