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ガラスブロックとは?施工方法・メリットとおしゃれな活用例を徹底解説

ガラスブロックの基礎知識と施工のコツ—現場で迷わないための完全ガイド

「ガラスブロックって、タイルとどう違うの?」「内装で使うときの注意点は?」——初めて現場に入ると、そんな疑問が自然と湧いてきます。この記事では、建設内装の現場で職人が日常的に使う現場ワード「ガラスブロック」を、やさしく・実践的に解説します。どんな場面で使われ、どう施工するのか、失敗しやすいポイントやチェックリストまで網羅。読後には、図面の読み合わせや材料手配、当日の段取りが不安なく進められるはずです。

現場ワード(ガラスブロック)

読み仮名がらすぶろっく
英語表記Glass block

定義

ガラスブロックとは、主に2枚のガラスを高温で溶着して中空状(空洞)にした直方体の建材です。光を通しつつ視線をほどよく遮る性質があり、室内の間仕切りや明かり取り、外壁の開口部アクセントなどに使われます。モルタルやシーリングで目地を取りながら格子状に積み上げ、面として仕上げるのが一般的です。基本的には意匠材・採光材であり、荷重を負担する構造材としては扱いません。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では次のように呼ばれることがあります。

  • ガラスブロック/グラスブロック(同義)
  • ブロック(周囲にガラス系材料がない現場で省略形)
  • 中空ブロック(中身が空洞のタイプを強調するとき)
  • コーナーブロック/ハーフブロック(形状バリエーションの呼称)

使用例(会話・指示の具体例)

  • 「ここ、ブロックは190角で3×4段。目地は白、スペーサー入れて通り見てね。」
  • 「周囲は躯体に剛結しないでクリアランス確保、上端はシリコンで逃がし頼む。」
  • 「洗面の袖壁はウェーブ柄で。角はコーナーブロック回して納めよう。」

使う場面・工程

ガラスブロックは、採光とプライバシーを両立したい場所で重宝します。室内では玄関横の袖壁、トイレや脱衣室の明かり取り、キッチンの腰壁、階段室の間仕切り、店舗什器の意匠面など。外装では袖壁やアクセントとして用いられます。工程としては、下地確認→墨出し→支持枠(下地枠)施工→ブロック積み(スペーサー・モルタルまたはシーリング)→目地仕上げ→清掃・養生、の流れが一般的です。

関連語

  • スペーサー:ブロック同士の目地幅を一定に保つ道具(プラスチックや金属製)。
  • モルタル/目地材:組積時に使用。白華(エフロ)対策材を併用することも。
  • シーリング:周囲クリアランスや伸縮目地の充填に使用。中性硬化が基本。
  • 伸縮目地(エキスパンションジョイント):熱伸縮や躯体の微動を吸収するための逃げ。
  • ユニット工法:枠付きの乾式ユニットで施工する方式。
  • コーナーブロック/ハーフブロック:端部・Rや隅の納まり用の形状バリエーション。

種類と仕様の基礎

中空タイプと実心(ソリッド)タイプ

もっとも一般的なのは中空タイプ。2枚のガラスを溶着しており、軽量で光拡散性が高く、室内の明かり取りや間仕切りに適します。一方、実心(ソリッド)に近いガラス“ブリック”と呼ばれる製品群もあり、カウンターや什器の意匠、床用の専用システムなどで使われます(用途は製品仕様に依存)。実務では「壁面で面をつくるなら中空」「什器やアクセントなら実心系も検討」というイメージです。

サイズ・厚み・重さ(目安)

定番は一辺が約190mmクラスで、厚みは約80〜100mm程度の製品が多く流通します。ほかに約145mm、約240mmといったバリエーションも存在します。重量は1ピースあたり数kg程度。目地厚は10mm前後が一般的ですが、製造元やスペーサーによって指定が異なります。設計時は「ブロック寸法+目地厚」で割り付け、仕上げ面の寸法を整えます。

柄・透過性・色

ガラスの表面加工により、透明感の強いものから、波模様・リブ・ドットなど視線を柔らかくぼかすものまで幅広く選べます。無色クリアのほか、カラーガラスや一部磨りガラス調の製品もあります。採光量・視線カット・デザインのバランスで選定しましょう。

形状バリエーション

  • 標準(正方形):最も一般的。モジュール設計がしやすい。
  • ハーフ(半マス):寸法調整や端部納まりに便利。
  • コーナー(L形やR対応):外角部を連続した表情で回り込ませたいときに使用。
  • 端部用(端面仕上げ済み):見付けが露出する納まりで使われることがある。

施工方法(内装)

モルタル組積工法(湿式)

もっとも一般的な工法。タイルに近い発想ですが、ブロックは重量があり、三次元に組むため手順と養生が重要です。

  • 下地・枠:自立する壁とせず、周囲の枠(支持下地)で面を支える設計。枠は木・金属など。躯体との取り合いに伸縮の逃げを確保します。
  • 墨出し・通り出し:割り付け図に基づき基準線を明確化。縦横の通りを見ながら進めます。
  • スペーサー:目地を一定に保つキーアイテム。十字やT型など。通りと通気のためのクリップ式を使う場合も。
  • 組積:下段から水平と直角を確認しながら積み上げます。ブロック面は吸盤を使うと扱いやすい。ゴムハンマーで微調整。
  • 目地詰め:硬すぎないタイミングで充填・押さえ。表面のモルタルは硬化前に拭き取り、ガラス面の擦り傷に注意。
  • 周囲処理:上端・側端は伸縮目地(シーリング)で逃げを確保。剛結・拘束は避けます。
  • 養生・清掃:硬化中の振動を避け、結露や汚れが残らないように清掃。白華対策として乾燥・換気を管理。

乾式フレーム/ユニット工法

工場または現場でユニット化した枠にブロックを納める方法。仕上がりの安定性、施工スピード、目地の均一性に優れ、改修や小規模開口に向きます。製品・システムごとに組み方や許容寸法が定められているため、メーカー手順を厳守します。

納まりの基本思想

  • 非耐力扱い:ガラスブロック面は荷重支持を想定しない。上部から荷重を伝えないディテールに。
  • クリアランス:周囲に最小限の逃げを確保し、目地・シーリングで熱伸縮や微動を吸収。
  • 下地剛性:たわみの少ない下地・枠を用意。下地が動くと目地割れ・ブロック破損の原因。
  • 割り付け:ブロック寸法+目地でモジュール化し、端部で無理な割寸を避ける。必要に応じハーフや端部材を採用。

デザインとプランニングのポイント

ガラスブロックは「光をデザインする」材料です。以下の観点で検討すると失敗が減ります。

  • 採光計画:方位・近接空間の明るさを踏まえ、透明度や柄を選ぶ。直射が強い場所は拡散性のある柄が快適。
  • 視線コントロール:脱衣室やトイレでは透けにくい柄を。店舗では商品が映える透明度を選ぶ。
  • 目地色:白は軽やか、グレーは引き締まった印象。空間テーマに合わせる。
  • 照明連携:間接照明や床照明と組み合わせると、夜間もガラスの表情が生きる。
  • モジュール感:3×4、4×6など、面としての比率が整うと見映えが良い。

よくある不具合と防止策

  • 白華(エフロレッセンス):目地から白い析出が出る現象。防止には適切な配合と混練水、乾燥管理、白華抑制材の使用、硬化養生後の撥水処理などが有効。
  • 目地割れ:躯体変形や温度変化、たわみが主因。周囲の伸縮目地・クリアランス確保、下地剛性確保で予防。
  • がたつき・通り不良:スペーサー未使用や精度不足。基準墨・通り糸・水平器・レーザーで逐次確認。
  • ガラス面傷・汚れ:硬いヘラで擦る、アルカリ汚れの放置。柔らかいウエスで早期に拭き取り、研磨剤入りは避ける。
  • 結露:温湿度差で発生。換気計画、空調バランス、室内側に結露水が溜まらない納まりを検討。

安全・法規と性能の考え方

法規適合は計画地域・用途・製品仕様で異なるため、設計者と確認のうえ進めます。一般的な考え方は以下の通りです。

  • 構造:ガラスブロック面は耐力壁として計画しない。地震時の安全性を考慮し、面積や支持方法に制限が設けられる場合がある。
  • 防火・開口部:防火区画や界壁に用いる場合、認定・仕様が必要なケースがある。該当するか事前に確認。
  • 断熱・遮音:近年の高断熱サッシほどの断熱は期待しにくい一方、目隠ししながら採光が取れるのは強み。用途に応じた使い分けを。
  • 安全ガラス:ガラスブロックは頑丈ですが、衝撃性能は製品差がある。腰壁高さ・人通り・小児施設など状況に応じ、仕様確認を徹底。

メーカーと入手の目安

代表的なガラスブロックの供給元として、海外では以下が知られています。

  • Seves Glass Block(セベス グラスブロック):欧州を中心に幅広いサイズ・柄・カラーを展開する世界的メーカー。
  • Vitrablok(ヴィトラブロック):欧州拠点のメーカー。定番サイズとデザインバリエーションを持つ。

国内では建材商社・代理店経由でこれらの製品が流通していることが多く、在庫品と取り寄せ品で納期が異なります。プロジェクトでは「型式・色・サイズ・必要数量・予備」を早めに確定し、割付図と合わせて手配しましょう。

道具・材料リスト(内装実務の視点)

  • 材料:ガラスブロック本体、スペーサー、モルタルまたは専用目地材、シーリング材(中性)、養生材、必要に応じて防錆・撥水材。
  • 道具:吸盤、ゴムハンマー、コテ一式、レベル・レーザー、通り糸、スポンジ・ウエス、撹拌機、カット不要でも端部の微調整に当て木等。
  • 安全:手袋(耐切創)、養生メガネ、養生シート。重量物のため二人施工を前提に。

予算感と工期の考え方

金額はサイズ・数量・柄・工法(湿式/ユニット)・現場条件で大きく変わります。目安としては、材料費+施工費で1平米あたり数万円台後半〜十数万円程度まで振れ幅があります。小面積でも割付が複雑だったり、高所作業・下地補強・既存撤去・産廃などが加わるとコスト増に。工期は面積が小さくても養生・硬化時間を要するため、他 tradesとの取り合い調整を早めに行いましょう。

メンテナンスと掃除

  • 日常清掃:中性洗剤を薄めて柔らかい布で拭き取り。研磨剤入りスポンジや金属たわしは厳禁。
  • 目地の点検:乾燥収縮や衝撃でクラックが出ることがある。微細なクラックは経過観察、貫通や剥離は早めに補修。
  • シーリングの劣化:周囲の伸縮目地は年数とともに硬化・ひび割れが起きる。定期交換を想定。
  • 白華対策:発生初期なら乾拭き・専用クリーナーで対応。強い薬剤はテストの上で最小限に。

失敗しない発注・施工チェックリスト

  • 用途・法規:防火区画・界壁・安全性要件の当否を事前確認。
  • 割付図:ブロック寸法+目地厚でモジュール化。端部の納まり(ハーフ・コーナー)を決める。
  • 枠・下地:剛性確保とクリアランス設定。上部荷重をかけないディテール。
  • 工法:湿式か乾式ユニットか。使用材料・施工手順書を確定。
  • 材料手配:型式・柄・色・数量・予備・スペーサーの規格一致。
  • 工程調整:養生・硬化時間を見込んだ後工程(塗装・クリーニング)との取り合い。
  • 清掃計画:モルタル付着の早期除去、最終クリーニングの手順共有。

用途別のおすすめ活用例

  • 玄関袖壁:外からの視線を抑えつつ、昼光を室内へ。ウェーブ柄で柔らかい拡散光に。
  • 洗面・脱衣室:窓が取りづらい間取りでも採光を確保。プライバシー優先の柄を選定。
  • キッチン腰壁:手元の生活感を隠しながら、光の抜けで圧迫感を低減。目地色は白やライトグレーが無難。
  • 店舗什器:バックバーやショーケース背面をガラスブロックで面構成。照明と連動させて商品を魅せる。
  • 階段室:踏面・蹴上げに光を入れて安全性と演出性を両立(構造安全と法規は事前確認)。

よくある質問(FAQ)

Q1. ガラスブロックは外壁に使えますか?

A. 可能な場合がありますが、地域・用途・法規と製品仕様の確認が必須です。防水納まりや温度差・結露にも配慮し、適切な枠・伸縮目地を設計してください。

Q2. 断熱性は高いですか?

A. 一般的なガラスブロックは光の拡散に優れますが、最新の高性能複層ガラスに比べると断熱性能は劣る傾向です。寒冷地や外皮性能が厳しい案件では、用途や面積を調整するか、仕様を事前に精査してください。

Q3. 音はどれくらい通しますか?

A. ガラス自体は硬く反射しますが、目地・枠・開口の取り合いで性能が左右されます。完全な遮音を求める用途には不向きで、視線と光のコントロールを主目的と考えるのが現実的です。

Q4. 割れた場合はどう交換しますか?

A. モルタル組積面では局所的な撤去・再組積が必要になることがあります。ユニット工法では一体交換が前提のケースも。施工者と交換性を事前に確認しておくと安心です。

Q5. 目地を薄くしてスタイリッシュにできますか?

A. 可能な範囲は製品とスペーサー規格に依存します。過度に薄い目地は通りが狂いやすく割れの原因にも。推奨目地厚を守るのが基本です。

現場のコツ(プロの視点)

  • はじめの一段がすべて:基準段・基準列の水平・直角で仕上がりが決まります。ここに時間をかける価値あり。
  • 汚れはその場で落とす:モルタルの固着は後処理が大変。濡れウエスでこまめに拭き取り。
  • 通りと光を“両方”見る:昼間の自然光と夜間照明の見え方が異なるため、色柄のサンプルは現場光で確認。
  • 端部の意匠:端面が見える納まりは、端部用ブロックや見切り材で仕上げ品質を上げる。
  • 搬入と割付の整合:重量物のため搬入動線と保管場所を確保。割付順に近い並べ方で手戻りを防ぐ。

まとめ

ガラスブロックは、「光を通して、視線をコントロールする」ことが得意な内装・外装の定番意匠材です。基本は非耐力扱いで、枠や目地の逃げ、モジュール割付、清掃・養生が品質のカギ。工法は湿式・乾式のどちらも選択肢があり、現場条件とデザイン意図に合わせて選ぶのがコツです。この記事のポイントを押さえておけば、図面読みから材料手配、当日の段取り、仕上げ確認まで自信をもって進められるはず。まずは小さな面から、光のデザインを現場で体験してみてください。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
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