ご依頼・ご相談はこちら
ご依頼・ご相談はこちら

分別解体とは?現場で失敗しない手順・メリット・注意点をわかりやすく解説

分別解体をやさしく解説—内装現場で迷わない実務フローとコツ

見積りや打合せで「今回は分別解体でお願いします」と言われ、具体的に何をどう進めればいいのか不安になっていませんか。分別解体は、ただ壊すのではなく、素材ごとにきれいに分けながら外していく内装解体の基本。ルールと手順を知っておけば、コストや工期の見通しも立ち、現場の評価も上がります。本記事では、初心者の方にもわかる言葉で、現場で通用する分別解体の考え方・使い方・手順・注意点を実務目線でまとめました。

現場ワード(分別解体)

読み仮名ぶんべつかいたい
英語表記Selective Demolition / Source-Separated Demolition

定義

分別解体とは、解体工事の際に発生する資材や廃棄物を、木材・金属・コンクリート・石膏ボード・プラスチック・ガラス・繊維などの種類ごとに分けながら解体・搬出する方法のことです。内装工事では、機械で一気に壊して「混合廃棄物」にするのではなく、手バラシを中心に丁寧に外していくのが特徴。再資源化率の向上、処分費の最適化、法令遵守、安全性の向上を目的として実施されます。

分別解体の目的とメリット

分別解体には、現場と発注者の双方にメリットがあります。単なる「手間のかかる作業」ではなく、結果的にコストや品質、安全の面で得をする場面が多いのが実態です。

  • 再資源化率の向上と資源循環:木材、金属、石膏ボード、コンクリートなどは分ければ再資源化のルートに乗せられます。
  • 処分費の最適化:混合廃棄物は処分単価が高くなりがち。分けるほど総コストが下がるケースが多いです。
  • 法令遵守の徹底:建設リサイクル関連のルールやマニフェスト管理に適合しやすくなります。
  • 安全性の向上:見通しの良い現場になり、転倒・刺創・切創などのリスク低減につながります。
  • 品質と信頼:建物の躯体や既存設備を傷めにくく、原状回復・スケルトン引き渡しの品質が安定します。

分別解体の基本手順(内装)

1. 事前準備・調査

着工前の準備が成否を分けます。図面・仕様・仕上げの構成を把握し、壁や天井内の配線・配管ルートを確認。必要に応じて試験開口を行い、躯体の状態も事前にチェックします。石綿(アスベスト)やPCBなどの有害物の有無は、法令に基づく事前調査の対象です。電気・ガス・給排水・通信類は停止手続きと安全確認を済ませ、搬出ルート・仮置き場・エレベーター使用条件など建物側の運用ルールも確認しておきます。規模や内容によっては、関係法令に基づく届出・契約書類・マニフェスト(産業廃棄物管理票)の準備が必要です。

2. 現場段取りと養生

養生は「汚れ防止」だけでなく、分別解体の効率化にも直結します。搬出動線、分別保管スペース(ストックヤード)、台車の停車位置、積み込み口を明確にし、資材ごとに色分けしたラベルや看板で「どこに何を置くか」をチーム全員で共有します。粉じん対策として養生シートで区画し、開口部は目張り。集じん機や低粉じん工具を用意し、床は滑りにくい養生で安全確保します。

3. 解体の順序(仕上げ→下地→設備)

  • 残置物・可動什器の撤去:家電・家具・書類などは最初に外へ。可燃・不燃・有価物で分別。
  • 天井仕上げの撤去:天井材、点検口、照明器具の取り外し。配線は切る前に必ず無電確認。
  • 壁仕上げの撤去:ボード・クロス・タイル・ガラス等。石膏ボードは専用系統へ分別。
  • 床仕上げの撤去:タイルカーペット、長尺シート、フローリング等。接着剤はスクレーパーや低騒音機械で除去。
  • 下地の解体:軽量鉄骨(LGS)や木下地をビス単位で外し、木・金属を混ぜない。
  • 設備撤去:配管・ダクト・機器類。封水・残圧・フロンの有無を確認し、必要な資格者の作業で安全に。
  • 躯体確認と清掃:アンカー・ビス残りや欠損を点検し、金属片を回収。最終清掃まで含めて分別を徹底。

4. 搬出・計量・記録管理

分別した資材は、フレコンバッグ、パレット、ドラム缶、鉄箱コンテナなど適切な容器で管理します。各系統の排出量・搬出日・処理先を記録し、必要に応じてマニフェストで追跡。写真記録は、数量の妥当性や現場説明の根拠になるため有効です。

分別区分の具体例(内装でよく出るもの)

現場のルールや受け入れ先によって呼び名は多少違いますが、基本的な考え方は共通です。「混ぜない・濡らさない・異物を入れない」が原則です。

  • 木くず:造作材、下地、巾木など。金属ビス・金物は極力外す。防腐処理材は別扱いの場合あり。
  • 金属くず:軽量鉄骨(LGS)、鉄骨部材、アルミ、銅・電線、金物。材質別に分けると有価回収しやすい。
  • 廃石膏ボード:紙付きボードは専用系統。断熱材や木片の混入を避ける。耐火・防音仕様の識別に注意。
  • 廃プラスチック類:樹脂見切り、塩ビ系巾木、配管一部、梱包材。可燃ゴミと混ぜない。
  • ガラス・陶磁器くず:ガラス建具、タイル、陶器。ケガ防止のため割れ物は別容器で管理。
  • 紙くず・繊維くず:ボード紙、クロス、カーペット。濡れると処理費が上がるため防水養生を。
  • コンクリートがら:はつりガラ、モルタル。金属メッシュやワイヤーは可能な限り分離。
  • 混合廃棄物:どうしても分けられない残渣。量を最小化するのが分別解体の肝です。

特別な管理が必要なもの(例:石綿含有建材、PCB含有機器、フロン類、鉛含有塗膜など)は、法令・指針に従い、専用の手順・保管・処理ルートで対応します。疑わしい場合は自己判断せず、事前調査と専門業者・行政への確認を優先してください。

現場での使い方

分別解体は、見積り・工程会議・朝礼など、さまざまな場面で使われる現場ワードです。言い回しや関連語も合わせて覚えておくと意思疎通が早くなります。

言い回し・別称

  • 選別解体(せんべつかいたい):素材ごとに選り分けながら解体すること。分別解体とほぼ同義。
  • 手バラシ分別:機械を使わず手作業中心で外し、同時に分別するやり方。
  • スケルトン解体(内装解体の一種):躯体だけ残す原状化。ほとんどの場合で分別解体を伴います。

使用例(3つ)

  • 「今回は分別解体でお願いします。石膏ボードは単独系統、LGSは鉄でまとめて、木下地はビス抜きまで徹底で。」
  • 「混合は極力ゼロで。床材はカーペットと長尺は分けて剥がし、接着剤残りは別運搬に回しましょう。」
  • 「ボードに木くずが混じると受け入れ不可なので、はがし係と運搬係で役割を分けてください。」

使う場面・工程

見積り段階の条件整理、工程会議での人員配置・役割分担、ストックヤード設計、搬出便の手配、中間処理場との受け入れ条件確認などで頻繁に用います。写真付きの分別基準書を配布すると、初参加の作業員にも伝わりやすくなります。

関連語

  • マニフェスト(産業廃棄物管理票):排出から最終処分までの追跡票。
  • 建設リサイクル関連法令:一定規模以上の工事で分別・再資源化・届出等を求めるルール。
  • 手元・小運搬:分別解体で重要な役割。場外への搬出と現場内の仕分けを担う。
  • 有価物回収:銅線・アルミ・鉄など、売却や減額となる資源の回収。
  • ストックヤード:現場内の分別保管エリア。雨養生・防犯も含めて設計する。

よくある失敗と対策

  • 石膏ボードに木くずや断熱材が混入して受け入れ不可になる
    • 対策:解体班と運搬班の動線を分け、ボード専用フレコンを設置。外す順序を統一。
  • 木材に金属ビスが残り、破砕時にトラブル
    • 対策:解体直後に磁石・ペンチでチェック。ビス抜き専任を1名配置。
  • ガラス破片の混入でケガ・処理費増
    • 対策:割れ物は別容器・別ルート。搬出時は封緘表示を徹底。
  • 壁内の配管・配線を見落として切断
    • 対策:事前調査・試験開口・通電確認。設備業者と立会いで撤去範囲を明確化。
  • 粉じん・騒音で近隣クレーム
    • 対策:作業時間帯の配慮、集じん機・低騒音工具の活用、養生・散水の適切運用。
  • 混合廃棄物が増えて処分費が膨らむ
    • 対策:分別基準書の掲示、色ラベルの運用、朝礼での再周知と巡回チェック。

安全・法令・書類のポイント

  • 法令遵守:一定規模以上の工事では、分別解体や再資源化、事前の届出などが求められます。対象や手続きは地域・工事内容で異なるため、所管窓口と最新要件を確認してください。
  • アスベスト:事前調査・結果の掲示・適切な除去方法・特別管理の保管と運搬など、関連法令に基づく厳格な対応が必要です。
  • フロン・PCB・鉛:対象機器の有無を調査し、専門資格者・専用ルートで処理。勝手に分解・排出しない。
  • マニフェスト:産業廃棄物は管理票による適正管理が基本。交付・収集運搬・処分までの確認を徹底します。
  • PPE(保護具):ヘルメット、保護メガネ、防じんマスク(DS2/RL2相当)、カット耐性手袋、安全靴、耳栓を状況に応じて着用。
  • 搬出・保管:資材の落下・崩れを防ぐ結束と積載。通路幅・床荷重の確認、エレベーター養生も必須です。

コスト・工期の考え方

分別解体は「手間が増える=コスト増」と誤解されがちですが、混合廃棄物を減らせるほど総額は下がる傾向があります。特に石膏ボード、金属、木材をしっかり分けるだけでも、処理費の差が目に見えて変わります。一方、手元の人数や搬出便の回数は増える場合があるため、工程表と搬出計画を合わせて最適点を探るのがコツです。

  • 積算のコツ:分別の手間(人件費)と処理単価の差(混合 vs 分別)を並べて試算する。
  • 効率化:分別看板・色ラベル・役割分担で迷い時間をゼロに。解体→分別→搬出のタクトを崩さない。
  • 物流最適化:資材ごとに満載基準を決め、空気を運ばない。中間処理場の受け入れ時間に合わせて便を組む。

現場で役立つミニチェックリスト

  • 着工前:事前調査(有害物・設備・図面)/ 受け入れ条件の確認 / 分別基準書と掲示物の準備
  • 段取り:ストックヤード設計 / 養生と動線 / 色ラベル・容器・工具・PPEの手配
  • 施工中:朝礼で分別ルール共有 / 巡回チェック / 撮影記録 / マニフェスト管理
  • 完了時:残材ゼロ確認 / ビス・金物残りの最終チェック / 清掃・写真整理・数量報告

内装分別解体で使う代表的な工具・備品

作業効率と安全を高めるため、工具と備品の選定も重要です。以下は現場で定番のものです(あくまで一般例)。

  • 解体工具:バール、解体ハンマー、レシプロソー、マルチツール、スクレーパー、インパクトドライバー
  • 切断・はつり:ディスクグラインダー(低粉じんカバー)、小型はつり機、ケレン
  • 集じん・清掃:業務用集じん機、ほうき、マグネットスイーパー
  • 運搬・保管:台車、フレコンバッグ、鉄箱コンテナ、パレット、養生材、結束バンド
  • 安全備品:ヘルメット、保護メガネ、防じんマスク、耳栓、手袋、安全靴、反射ベスト

初心者が最初に覚えるべきポイント

  • 「混ぜない・濡らさない・異物を入れない」を合言葉に。
  • 石膏ボード、金属、木材の3系統をまず確実に分ける。
  • 迷ったときはリーダーに確認してから投入。自己判断で混合化させない。
  • 写真とメモで「なぜ分けたか」を残す。説明責任と改善に効く。

まとめ

分別解体は、内装解体の“段取り力”そのものです。事前調査でリスクをつぶし、現場の動線とストックヤードを設計し、チームで同じルールを守る。これだけで、処分費は下がり、クレームは減り、品質は上がります。今日から現場で「どこで何を分けるか」をはっきり示し、写真と記録で見える化していきましょう。分別解体が自然に回り出せば、あなたの現場は確実に強く、誠実になります。

株式会社MIRIX/ミリックスのロゴ
執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
  • 情報の扱い:記事は現場経験・法令・公的資料を根拠に作成。広告掲載時は本文中に明示します。
  • Web:
  • 電話:03-6823-3631
  • お問い合わせ:お問い合わせフォーム