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遮音壁とは?効果・施工方法・選び方まで徹底解説【建設現場向け現場ワード】

遮音壁の基礎と実務が一気にわかるガイド:仕組み・構成・納まり・現場での言い回しまで

「隣室の声が漏れないようにして」「会議室の音が外に出ないように」――図面や打合せでそんな要望が出ると、現場ではすぐに「遮音壁でいきましょう」という会話が飛び交います。ただ、初めてこのワードに触れる方からは、「遮音と吸音の違いは?」「遮音壁って具体的に何を指すの?」といった疑問をよくいただきます。この記事では、建設内装の現場で日常的に使われる現場ワード「遮音壁」を、実践目線でやさしく分解。仕組み・構成・施工のコツ・失敗しやすいポイント・現場での言い回しまで、これ一つで迷わない解説をお届けします。

現場ワード(遮音壁)

読み仮名しゃおんへき
英語表記sound-insulating wall(一般には「soundproof wall」とも)

定義

遮音壁とは、部屋から部屋へ伝わる空気音(声・音楽・機器音など)の漏れを抑えることを主目的に設計・施工される間仕切り壁の総称です。現場では、軽量鉄骨(LGS)下地+石膏ボード多層貼り+吸音材(グラスウール等)+気密・防振ディテール(目地シール、隙間防止、共振対策)といった「複合的な構成」を取るのが一般的です。「音を止める=質量を持たせつつ、隙間と振動の回り込みを断つ」ことが基本思想で、単にボードを厚くするだけでなく、層の取り方や納まり、開口部の処理まで含めて設計・施工するのがポイントです。

遮音の基本と仕組み

空気音と固体伝搬音(回り込み)の違い

遮音壁が相手にする主な音は空気音です。これは空気を介して伝わる音で、壁の面を通過して隣室に届きます。一方で、壁・天井・床の躯体や下地を伝って回り込む固体伝搬音も無視できません。壁の性能だけを上げても、天井や床、スリーブや開口を通じて振動が回り込むと効果が下がるため、ディテールや周辺納まりの一体設計が重要になります。

質量則と多重構造

音は重い材料ほど通りにくい(質量則)性質があります。そこで、遮音壁では「石膏ボードを複数枚貼る」「高密度の面材を使う」などで質量を確保します。ただし質量だけでは限界があるため、二重下地や空気層・吸音材の組み合わせで共振をずらし、透過音を減衰させます。代表例が、LGSの片側・両側にボード多層貼り+間にグラスウールを充填する構成です。

吸音と遮音の違い

吸音材は音を「壁内部で減衰」させるために使い、遮音材(面材)は音を「通さない」ために使います。吸音材(グラスウール等)は単独で防音になるわけではなく、遮音壁の空気層に組み合わせて初めて効果が発揮されます。「吸音=響きを抑える」「遮音=漏れを抑える」と覚えると混同しにくくなります。

遮音壁の主な種類

LGS+石膏ボード(シングルスタッド)

最も一般的。LGSスタッドに片側または両側から石膏ボードを複数枚貼り、スタッド間にグラスウール等を充填します。軽量で施工性に優れ、事務所・商業施設・学校など多用途で採用されます。基本性能はボード枚数・種類と吸音材の有無・厚み、そして気密処理の丁寧さで左右されます。

ダブルスタッド(独立下地)

左右の壁下地(スタッド)を構造的に切り離し、振動の伝達を抑える方式です。左右のボード面が直接つながらないため、固体伝搬音の抑制に有利。音にシビアな会議室、スタジオ寄りの用途、医療・福祉の静穏空間などで検討されます。コストと厚みが増しやすい点が注意です。

RC躯体+ふかし壁(遮音ふかし)

鉄筋コンクリート躯体の上に空気層と下地を設け、面材を多層貼りするタイプ。躯体の質量とふかし壁の多重構造を組み合わせます。既存建物の改修で隣戸間の音対策を強化したい場合などに用いられます。

遮音シート併用について

遮音シートは薄いゴム系などの高比重シートで、面密度を稼ぐ目的で使用されることがあります。ただし、シート単独で劇的な効果は望めません。基本は「面材の多層化+空気層+吸音材+気密」であり、シートは納まりや既存条件に応じて補助的に使うイメージが現実的です。

代表的な構成例と考え方の目安

性能は材料・層構成・納まりの総合力で決まります。ここでは具体的な数値ではなく、現場で選びやすい「考え方の型」を示します。

  • 基本構成(事務所・教室など): LGSシングルスタッド+両面石膏ボード二重貼り+スタッド間にグラスウール(高密度)+四周の気密シール
  • 強化構成(会議室・相談室など): 上記にボードの厚みアップまたは一部高密度面材の採用、片側または両側の三重貼りを検討
  • 高遮音構成(スタジオ寄り・医療): ダブルスタッド+空気層拡大+高密度吸音材+開口部の専用対策(防音ドア・サッシュ)
  • 改修構成(既存RCに追加): 躯体から離隔したふかし下地+多層面材+吸音材+躯体縁の防振・気密重視

いずれも「開口部(ドア・ガラリ・コンセント)」「四周の隙間」「床・天井との取り合い」の処理が、最終性能のボトルネックになりやすい点を忘れないでください。

施工手順(標準フローとコツ)

現場条件や仕様書に従うのが前提ですが、典型的な流れと要点は以下の通りです。

  • 1. 墨出し・割付: 下地(スタッド)位置と開口の割付を決めます。ダブルスタッドの場合は左右の位置関係と離隔寸法を厳守。
  • 2. ランナー敷設: 床・天井ランナーを取り付け。フランanking(回り込み)対策として、必要に応じて防振目地材や気密材を併用。
  • 3. スタッド建込: ピッチ・たわみ・通りを確認しながら建て込み。共振を避けるため固定ビスのピッチ・締め付け過多に注意。
  • 4. 片側ボード貼り(一次面): 石膏ボードの目地は千鳥貼り。ジョイントは互い違いにして透過経路を作らない。ビス間隔は仕様書に準拠。
  • 5. 吸音材充填: スタッド間にグラスウール等を隙間なく充填。押し込み過ぎは空気層を潰し性能低下につながるため「ふんわり密着」が基本。
  • 6. 反対側ボード貼り(二次面): 一次面の目地と合わせ目が重ならないよう千鳥。多層貼りは層ごとに目地位置をずらす。
  • 7. 四周の気密: 壁の周囲(床・天井・柱・躯体)とボード小口を気密シール。コンセントボックス等の開口も裏当て+気密処理。
  • 8. 開口部(ドア・窓)納まり: 枠回りに隙間を作らない。必要に応じて防音ドアやガラスの厚み・仕様を指定。
  • 9. 仕上げ前検査: 目地・ビスの打ち忘れ、貫通・欠損、隙間の有無をチェック。特に床際・天井際の「線の気密」を入念に。
  • 10. 仕上げ: クロス等の仕上げは基本的に遮音性能に直接大きく影響しませんが、気密を損なう破れ・欠損はNG。

工具・材料の例: LGS部材、石膏ボード、グラスウール(またはロックウール)、ビス、気密・防振目地材、シーリング材、裏当て板(開口部用)など。メーカーや品名は設計仕様・現場調達に合わせて選定します。

現場での使い方

遮音壁という言葉は、図面・打合せ・搬入・施工・検査の各工程で頻繁に登場します。言い回しや関連語をセットで把握しておくと会話がスムーズです。

言い回し・別称

  • 別称・近い表現: 防音壁、遮音間仕切、遮音パーティション、ダブルスタッド、二重壁
  • 会話の例: 「ここ遮音仕様で」「ダブルで切って」「目地シール忘れないで」「ボード二重でいく?」

使用例(3つ)

  • 使用例1: 「会議室は遮音壁で、両面二重貼り+GW充填にしてください。」
  • 使用例2: 「ここはダブルスタッドで回り込みを切ろう。開口部は防音ドア指定で。」
  • 使用例3: 「コンセントの背中合わせは音漏れの元だから、位置ずらすか裏当てボックス入れて。」

使う場面・工程

  • 設計・VE: 要求性能とコスト・厚みのバランス調整(ボード枚数、下地形式、吸音材種別など)
  • 施工計画: 材料手配(面材・吸音材・シール材・開口部建具)、工程・搬入計画、目地処理方針
  • 施工・検査: 下地精度、ボード千鳥貼り、気密シールの連続性、開口部納まりの確認

関連語

  • 吸音材(グラスウール、ロックウール)、遮音シート、石膏ボード多層貼り、LGS(軽量鉄骨)、ダブルスタッド
  • 気密・防振(目地シール、防振目地、回り込み、固体伝搬)、開口部(防音ドア、枠周り気密)
  • 性能評価の用語例(一般的な指標名): STC、Rw、DnT,w 等(仕様検討時の参考呼称)

よくあるミスとチェックポイント

  • 四周の気密不足: 床・天井・柱との取り合いの隙間が連続すると、一気に性能が落ちます。線で気密を確保。
  • コンセントの背中合わせ: 同じスタッド位置で両側にボックスが向き合うと音が抜けます。位置をずらす、裏当てで容積を確保、気密処理を徹底。
  • ボードの目地重なり: 多層貼りの層間で目地が一直線に重なると漏れ経路に。必ず千鳥貼り。
  • 吸音材の押し込み過多: 空気層を潰すと効果ダウン。ふわっと密着、隙間ゼロが正解。
  • 開口部の過小評価: 壁を強化してもドアが一般仕様だと抜け道に。必要に応じて防音建具やパッキン強化を採用。
  • 天井・床の回り込み未対策: 壁だけでなく天井ふところやRaised floor経由での回り込みを確認。必要なら天井も遮音仕様に。
  • 器具・ダクト貫通の無造作な処理: スリーブ周りは下地補強+気密シール。グリルやガラリは音の直通路にならないよう仕様検討。

採用の判断基準と選び方

遮音壁の仕様は、求める静かさ・設置スペース・コスト・工期のバランスで決めます。

  • 用途別の考え方
    • オフィスの会議室・集中スペース: まず両面二重貼り+吸音材+気密徹底。重要会議室は開口部も強化。
    • 医療・福祉(診察室・処置室): 会話のプライバシー確保が要。ダブルスタッドや高密度面材の採用を検討。
    • 教育・塾・スタジオ寄り: 隣室への影響が課題。壁のみならず天井・ドアの仕様も合わせて設計。
    • 集合住宅の住戸内: ふかし壁や間仕切り強化で既存改修にも対応。厚み増・重量増の制約に注意。
  • スペース(厚み): ダブルスタッドは性能が伸びやすい反面、厚みが必要。動線や有効寸法とトレードオフを調整。
  • コスト: ボード枚数・面材グレード・下地形式・建具仕様で大きく変動。VEで「ここは厚みだけ」「ここは開口部重視」などメリハリを。
  • 工期・施工性: 多層貼りや気密・裏当て処理は手間が増えます。工程内で時間確保と中間検査を計画的に。

納まり・ディテールのコツ(実務の勘所)

  • 床・天井取り合い: ランナー下に防振・気密材を挟み、ボード小口も連続シール。仕上げ後に隙間が出ないよう下地段階で詰める。
  • 柱・躯体取り合い: 寸法のばらつきで小さな三角隙間が出やすい。小口処理と充填・シールの確実化が必須。
  • 開口部: 枠の剛性確保とパッキンの連続性。ガラリ付きは音の直通路にならない仕様に見直しを。
  • 電気・弱電: ボックス位置を相手側とずらす。必要に応じて遮音ボックスや裏当てを使用。
  • 設備貫通: スリーブに対して下地補強+可とう・気密材で隙間ゼロ。複数本が束で通る箇所は特に注意。
  • 目地・ビス: 目地は層ごとにずらす。ビスピッチは仕様通り。ビス頭の出・めり込みは仕上げ前に是正。

よくある質問(FAQ)

Q1. 吸音材をたくさん入れれば遮音性能は上がりますか?

A. 吸音材はあくまで「層の中で音を減衰」させる補助役で、遮音(通さない)の主役は面材の質量です。バランスが重要です。

Q2. 遮音シートを貼れば十分ですか?

A. シート単独の効果は限定的です。基本は面材多層化+空気層+吸音材+気密の組み合わせで性能を作ります。シートは補助的に使うイメージです。

Q3. ドアから音が漏れるのはなぜ?

A. 壁よりも弱点になりやすいからです。ドアは開閉部であり、パッキンや枠周りの気密が性能を左右します。必要なら防音建具を採用します。

Q4. 厚みを増やせない場合の工夫は?

A. 面材の高密度化、ボード枚数の見直し、開口部の強化、気密ディテールの徹底が候補です。回り込み経路の遮断も効果的です。

Q5. どのくらいの性能が出るか、現場で簡易確認できますか?

A. 専門測定が理想ですが、簡易的には「隙間ゼロの確認」「開口部の遮音仕様」「天井・床経路の回り込み点検」を行い、想定外の抜け道を潰すのが実務的です。

Q6. 仕上げ材(クロス)で遮音は変わりますか?

A. 仕上げによる遮音変化は小さいです。むしろ気密の連続性を保つことが大切です。

参考になるメーカー・素材の例(一般情報)

遮音壁は多社の材料を組み合わせて構成します。以下は代表的な区分とメーカーの一例です(具体採用は設計仕様・入手性・コストで判断)。

  • 石膏ボード・関連面材: 吉野石膏(石膏ボード各種 など)
  • LGS(軽量鉄骨)下地材: JFE建材、日鉄建材 など
  • 吸音材(グラスウール等): 旭ファイバーグラス など
  • 吸音材(ロックウール等): ニチアス など
  • シール・接着剤: コニシ、セメダイン など

性能評価には、周波数帯域を加味した単一数値化の指標(例: STC、Rw、DnT,w 等)が使われることがあります。具体の数値や目標等級は、設計条件・用途・測定方法によって変わるため、案件ごとに設計者・専門会社と協議してください。

用語辞典的に押さえるポイント

  • 遮音壁=空気音の漏れを抑えるための「壁の構成・納まり」の総称
  • 基本は「質量を持たせる+層を分ける+中で吸音+隙間ゼロ」
  • 壁だけでなく「開口部」「天井・床の回り込み」「貫通部」の処理が同じくらい重要
  • 別称:防音壁、遮音間仕切、ダブルスタッド(二重壁)など
  • 現場での決めどころ:ボード枚数・種類、下地形式(シングル/ダブル)、吸音材密度、気密・防振ディテール

小さな工夫で効く実践テク

  • ボードの端部は必ず下地で受け、隙間は小口シールで塞ぐ
  • 千鳥貼りは「層ごとに違うリズム」で。水平目地・垂直目地の連続を避ける
  • 床際は巾木前に一次気密を作る。後戻りしにくい工程なので先行で確実に
  • コンセントは相手側と位置ずらし+裏当て板+気密で三段構え
  • 天井ふところが共有の場合、上で繋がっていないか確認し、必要なら上部も遮音連続させる

まとめ

遮音壁は「特別な板を貼ること」ではなく、「音の通り道を断つための考え方と納まりの総合パッケージ」です。面材の質量、多重構造、空気層と吸音、そして何より気密と回り込み対策――これらをきちんと積み上げれば、図面通りの性能に近づけます。現場では「ボード枚数」「スタッドの方式」「吸音材の密度」「開口部の仕様」「四周気密」を合言葉に、工程ごとにチェックを入れていきましょう。この記事が、初めて遮音壁に触れる方の不安を和らげ、実務で迷わないための道標になれば幸いです。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

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