アスベスト分析調査の基礎知識と建物オーナーが知っておきたい安心ポイント
建物に使われているアスベスト（石綿）は、適切な調査や管理がなされていないと、健康被害や法的トラブルにつながる恐れがあります。しかし、「どこに相談すれば良いの？」「調査ってどんな流れ？」「健康への影響は？」など、初めてアスベスト調査を検討される方には不安が尽きませんよね。本記事では、アスベスト調査の実際の手順や分析方法、健康リスクや除去対策、信頼できる専門業者の選び方まで、初心者の方にも分かりやすく徹底解説します。正しい知識を身につけ、安心して建物の健康を守るための第一歩を踏み出しましょう。
アスベストとは？その特徴とリスク
アスベスト（石綿）の基礎知識
アスベストは、天然の繊維状鉱物で、耐熱性・絶縁性・耐薬品性などの優れた特性を持つため、かつて建材や断熱材として多くの建物に使用されてきました。しかし、アスベスト繊維を吸い込むことで、肺がんや中皮腫、アスベスト肺などの深刻な健康被害を引き起こすことが判明し、現在では使用が全面禁止されています。ただし、過去に建てられた多くの建物には、いまだアスベストが残存している可能性があります。
アスベストが使用されている主な場所
- 断熱材（ボイラー周辺、配管、天井裏など）
- 吹付け材（建物の柱・梁、天井、壁など）
- 屋根材（スレート、波板、コロニアルなど）
- 床材（ビニルタイルなど）
- 壁材（パネル、化粧板、石膏ボードなど）
特に1970年代から1990年代に建てられた建物は、アスベスト含有の可能性が高いとされています。
健康リスクの評価とその重要性
アスベストは、壊したり削ったりして繊維が空気中に放出され、長期間吸い込むことで健康リスクが高まります。以下の点を知っておきましょう。
- アスベストは目に見えない微細な繊維となり、吸い込むことで体内に蓄積する
- 健康被害は、曝露から数十年後に現れることもあるため、早期の対策が重要
- 建物のリフォーム・解体時には、特に飛散リスクが高まる
そのため、調査・分析により正確な状況把握を行い、リスク評価・管理をすることが大切です。
アスベスト調査の流れとサンプリング手順
アスベスト調査はなぜ必要？
建物のリフォームや解体、売買、用途変更時には、アスベストの有無と含有量を調べる調査が義務付けられています。適切な調査を行わず着工すると、工事中にアスベストが飛散し、作業者や近隣住民に健康被害を与える恐れがあります。また、法令違反や損害賠償トラブルの原因にもなりかねません。
アスベスト調査の全体的な流れ
- 1. 事前打合せ・ヒアリング：建物の図面や使用建材情報の収集
- 2. 建材・部位の特定：アスベスト含有が疑われる箇所を特定
- 3. サンプリング（試料採取）：対象部位から建材試料を安全に採取
- 4. 専門分析機関での分析：定量・定性分析を適切な方法で実施
- 5. 結果報告書の提出・説明：調査結果・健康リスク・今後の対策を報告
具体的なサンプリング手順と注意点
サンプリング（試料採取）は、正確な分析を行うための重要な工程です。以下に主な流れと注意点をまとめます。
- 採取前に現場を養生し、飛散防止措置を徹底（養生シートやマスク・防護服の着用）
- カッターやドリル等で、必要最小限の量（数グラム程度）を採取
- 採取箇所ごとに密封袋へ入れ、ラベルで管理（部位・採取日・採取者）
- 採取後は現場を清掃し、二次飛散を防止
- 分析機関へ迅速・確実に試料を送付
サンプリングは、必ずアスベスト調査の有資格者や専門業者に依頼しましょう。自身での採取は、健康リスクや法的責任が生じるため絶対に避けてください。
アスベストの定量分析と各種分析手法
定性・定量分析の違いと目的
アスベスト分析には「定性」と「定量」の2種類があります。
- 定性分析：アスベストが「含まれているか／いないか」を調べる方法
- 定量分析：アスベストの「含有率（重量%）」まで測定する方法（0.1%以上で規制対象）
工事の計画や法令対応を正確に行うためには、定量分析による含有率の把握が特に重要です。
偏光顕微鏡観察（PLM法）
偏光顕微鏡観察は、アスベスト調査で最も広く用いられる基本的な定性分析法です。建材を微細に砕き、偏光顕微鏡で観察することで、アスベスト繊維の有無や種類を判定します。PLM法は、作業コストも比較的低く、迅速な結果が得られる点が特徴です。
SEM-EDS分析（走査型電子顕微鏡・エネルギー分散型X線分析）
SEM-EDS分析は、微量なアスベストや複雑な建材分析に用いられる高精度な方法です。走査型電子顕微鏡（SEM）で繊維の形状を拡大観察し、エネルギー分散型X線分析（EDS）で元素組成を特定。PLM法で判別が難しい場合や、より確実な判定が求められる際に活用されます。
FTIR分析（フーリエ変換赤外分光分析）
FTIR分析は、赤外線を建材に照射し、反射・吸収のパターンからアスベストの有無や種類を判定します。主に建材が有機物と混在している場合や、繊維状でない形態のアスベスト検出に有効です。分析機関の設備や、必要に応じて使い分けられます。
分析方法の選定とチェックリスト
現場の状況や建材の種類によって、分析方法の選択が異なります。専門業者に調査を依頼する際は、以下の点を確認しましょう。
- PLM法・SEM-EDS法・FTIR法のいずれに対応可能か
- 必要に応じて複数の分析方法を組み合わせてくれるか
- 定量分析（含有率測定）に対応しているか
- 分析機関の信頼性（第三者認定・実績など）
健康リスク評価と除去対策のポイント
健康リスクの評価基準
アスベスト調査の結果、含有が判明した場合は健康リスクを正しく評価する必要があります。主な評価基準は以下の通りです。
- 建材の劣化度（飛散しやすいか否か）
- アスベストの含有率（0.1%以上が規制対象）
- 周囲の環境や利用状況（人の出入り、換気の有無など）
- 今後リフォーム・解体予定の有無
調査報告書には、これらを総合的に判断した健康リスク評価が記載されます。
アスベストの除去・封じ込め・囲い込み対策
アスベスト対策には大きく分けて3つの方法があります。
- 除去：アスベスト含有建材を全て撤去し、安全な建材に交換する方法
- 封じ込め：薬剤やコーティング材でアスベスト表面を固定化し、繊維の飛散を防ぐ方法
- 囲い込み：アスベスト部分をボードやパネルで覆い、空気中への繊維飛散を防止する方法
どの方法が適切かは、調査結果や建物の利用状況、法令の要件によって異なります。必ず専門業者の提案・説明をよく確認しましょう。
除去対策の注意点とチェックポイント
アスベスト除去は、必ず「特定建設作業届」や「作業計画書」の提出が法令で義務付けられており、作業は有資格者のみが行う必要があります。主なポイントは以下の通りです。
- 作業エリアの完全隔離と養生、負圧管理による飛散防止
- 作業者の防護具着用（防護服・マスク・手袋など）
- 作業中・作業後の空気中アスベスト濃度測定
- 廃棄物の適切な封入・管理・搬出
- 自治体への届出・報告義務の順守
除去作業中は建物の使用制限や仮住まいが必要になるケースもあるため、スケジュールや生活への影響を事前によく確認しましょう。
アスベスト関連法令の遵守とトラブル回避
主なアスベスト関連法令
アスベストの調査・除去には、以下の主な法令・通知が適用されます。
- 労働安全衛生法および施行令（アスベスト含有建材調査・作業基準の義務化）
- 大気汚染防止法（飛散防止義務・作業届出義務）
- 建築基準法（新築・増改築時の規制）
- 廃棄物処理法（アスベスト廃棄物の適正処理）
2022年4月から、すべての建築物解体・改修工事で「事前調査」が義務化され、調査結果の記録・報告も必要となっています。
法令違反時のリスクと注意点
不十分な調査や、無許可での除去作業を行うと、以下のようなリスクが発生します。
- 行政による指導・罰則（過料・営業停止等）
- 近隣住民や工事関係者とのトラブル
- 訴訟・損害賠償責任
- 不動産売却時の資産価値低下や売買停止
こうしたトラブルを未然に防ぐためにも、専門業者への依頼と、きちんとした書面管理・報告が不可欠です。
法令遵守チェックリスト
- 事前調査・報告義務の有無を確認
- 調査・除去作業の有資格者による実施か
- 各自治体への届出・報告が適切に行われているか
- 作業計画書・作業記録・廃棄物管理票の保存
- 住民・関係者への説明・周知が適切か
信頼できる専門業者の選び方
業者選定の基準と注意点
アスベスト調査・除去は、専門知識や資格、法令順守体制が不可欠です。業者選びで失敗しないために、以下のようなポイントを必ず確認しましょう。
- アスベスト分析・調査の実績（過去の件数や対応建物の種類）
- 有資格者（建築物石綿含有建材調査者、アスベスト作業主任者など）が在籍
- 第三者機関の認定や登録（分析機関・除去工事業者の認証）
- 明確な見積内容と追加費用の有無
- 調査・分析・除去までワンストップで対応可能か
- 調査報告書や法令対応サポートの有無
信頼できる業者を選ぶためのチェックリスト
- 現地調査・見積もりを無料または明瞭価格で行っているか
- 調査～分析～報告まで一貫して責任対応があるか
- 法令・自治体対応のサポート体制が整っているか
- トラブル時の対応マニュアルや保険加入状況
- 実績や口コミ、第三者評価の有無
おすすめ業者・ランキング
- MIRIX（ミリックス）
対応エリア：東京都23区
得意分野／特徴：アスベスト分析調査・除去対策の専門業者。定量分析・偏光顕微鏡・SEM-EDS・FTIR分析等の先端設備を保有し、調査計画から法令対応、除去工事までワンストップで対応可能。豊富な実績と丁寧な説明、アフターフォロー体制が特徴。
まとめ：安心・安全なアスベスト調査で建物の未来を守ろう
アスベストは、見た目だけでは判断できず、誤った対応が健康被害や法令違反、資産価値の低下に直結する重大なリスクです。しかし、正しい知識と、信頼できる専門業者による調査・分析・対策を行えば、そのリスクは大きく軽減できます。本記事でご紹介した手順やチェックポイントを参考に、慌てず一つずつ、確実な対策を進めていきましょう。
「自分でどう調べたらいいか分からない…」「本当に信頼できる業者に相談したい」とお感じの方は、ぜひ専門家にご相談を。
弊社MIRIXでは、豊富な経験を持つ有資格者が、現地調査から分析・報告・除去工事・法令対応まで、分かりやすく丁寧にサポートいたします。あなたの建物の健康と安心のために、まずはお気軽にご相談ください。理想の安全な暮らしを、一緒に実現しましょう。
提供サービス
