災害発生時のアスベスト調査――例外規定と安全確保のために知っておきたいポイント
突然の地震や火災といった災害時、住まいや建物が損傷を受けることで「アスベストが飛散しないか不安」「通常とは違う調査や対策が必要なの?」「法律の例外や緊急時のルールが分からない」と感じていませんか?
この記事では、災害時におけるアスベスト調査の基本から、例外的な対応、安全に進めるための対策、そして実際の適用ケースまで、分かりやすく丁寧に解説します。
初心者の方でも「参考になった」「不安が解消できた」と思える具体的な知識を、専門用語を噛み砕きながらお伝えしますので、どうぞ安心してお読みください。
災害時にアスベストが問題となる理由
アスベスト(石綿)は、かつて建材として広く使われ、その後人体への危険性が判明し、現在では製造や使用が禁止されています。
しかし、古い建物には今も多くのアスベスト含有建材(非飛散性・飛散性)が残っています。災害時にこうした建材が壊れると、微細なアスベスト繊維が空気中に舞い上がり、周囲の人々が吸い込むリスクが生じます。
アスベスト繊維を長期間吸い込むと、肺がんや中皮腫など深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。そのため、災害時には特に「アスベストが飛散していないか」「住民や作業員が曝露する危険はないか」が強く懸念されます。
アスベストの主な種類と災害影響
- 非飛散性建材(例:スレート、硬質石綿板)
通常は繊維が封じ込められており、破損しなければ飛散しにくいですが、災害で損傷した場合には飛散リスクが増します。 - 飛散性建材(例:吹付け材)
もともと繊維が剥離しやすく、災害で破損すると大量のアスベストが空中に撒き散らされる危険性があります。
災害時におけるアスベスト調査の必要性
災害後の復旧作業や建物の解体、修理、廃棄物処理の現場で「この建材にアスベストが使われていたか」「安全に作業できるか」を調べることは極めて重要です。
特に、未破損建材(災害で壊れていない部分)でも、将来的な作業時に飛散源となる可能性があるため、しっかりと調査・管理することが求められます。
また、アスベスト調査は法律で義務づけられており、災害時であっても原則として「事前調査」が必要です。ただし、緊急時には例外的な措置が認められる場合もあります。次章で詳しく見ていきましょう。
災害時のアスベスト調査に関する法律と例外規定
通常時の調査義務
日本では、石綿障害予防規則(石綿則)や大気汚染防止法などの法令により、解体・改修工事を行う前に「アスベスト含有建材が使われているかどうかの事前調査」が義務付けられています。
この調査は、専門の調査員によって現地で建材を確認したり、必要に応じてサンプリング・分析を行います。
災害時の調査例外とは?
災害時には「人命救助」「二次災害防止」などの緊急対応が最優先されるため、例外的に事前調査を省略できる場合があります。
しかし、これはあくまで「緊急やむを得ない場合」に限定されており、全ての工事や対応が自由になるわけではありません。
- 人命救助や安全確保を目的とする応急措置(倒壊した建物からの救出、火災拡大防止など)
- 二次災害の恐れが高く、直ちに対応しなければならない状況(倒壊しそうな家屋の緊急撤去など)
このような場合には「短時間曝露(しばらくの間だけ作業する)」や「未破損建材をなるべく壊さない」など、被ばくリスクをできる限り低減したうえで作業が進められます。
注意点と誤解しやすいポイント
- 災害時でも、通常の復旧・修繕作業や解体工事は原則として事前調査が必要です。
- 例外が認められるのは、緊急の人命救助や二次災害防止など限定的な場面です。
- やむを得ず調査を省略した場合も、事後にアスベスト含有の有無を確認し、必要な措置を講じることが求められます。
災害時における安全対策と具体的な対応方法
飛散防止のための事前封止措置
災害時にアスベストが含まれる建材が露出・損傷している場合、まず最優先で「事前封止」処理を行い、繊維が飛び散らないようにします。
以下のような方法があります。
- 損傷部分をビニールシートやテープでしっかり覆う
- 市販の石綿封じ込め用スプレーを使用する
- ふき取り清掃や湿潤化(濡れた布で覆うなど)
これらの対策を講じることで、たとえ短時間でも現場に立ち入る際の曝露リスクを大きく減らすことができます。
個人でできる応急対応のチェックリスト
- 破損した建材に直接触れない・近づかない
- 室内の換気は控え、飛散を防ぐ
- マスク(できれば防塵マスク)を着用する
- 疑わしい建材は専門業者に調査・処理を依頼する
- 小さな破損でも、乾いた状態で掃除機をかけたり、ホウキで掃かない
自分の判断で作業を進めるのは非常に危険です。どうしても緊急で対応せざるを得ない場合も、なるべく最小限の接触で済ませることを心がけましょう。
専門業者による調査・封じ込め・除去の流れ
災害時でもアスベストに関する作業は、できるだけ経験豊富な専門業者に依頼することが安全への近道です。
- 現地調査:被災状況を確認し、アスベストの有無・飛散状況を診断
- 封じ込め:飛散リスクのある部位を専用資材で封止
- 除去作業:必要に応じて適切な方法・装備で作業を実施
- 空気中アスベスト濃度測定:安全確認のための測定・記録
業者選びでは「実績」「資格」「災害対応力」を重視すると安心です。
災害時におけるアスベスト調査の適用ケースと例外判断
どのような場合に調査が省略できる?
災害現場では、すべての作業で「調査が不要」になるわけではありません。
以下のようなケースのみ、例外的に事前調査が省略されることがあります。
- 倒壊した建物に閉じ込められた人命救助
- 火災拡大やさらなる崩壊の危険を直ちに回避する応急作業
- 災害廃棄物の仮置き場など、人の健康や安全を守るための緊急撤去
この際も、できる限り事前に現場の状況を目視確認し、「非飛散性建材かどうか」「損傷の有無」「被ばくの恐れがあるか」を判断します。未破損建材は、そっとしておけばリスクは低いため、むやみに壊さないことが大切です。
一般的な復旧工事や廃棄物処理は調査が必要
人命救助や緊急の安全確保が終わったあとは、通常の修理・解体・廃棄物処理に入ります。この段階では、原則としてアスベスト調査が必須となります。
- 建物の部分解体・改修工事
- 災害廃棄物(がれきなど)の運搬・処分
- リフォームや再建のための工事
調査を怠ると、作業員や周囲住民への健康被害、法令違反による罰則リスクがあるため注意しましょう。
避けるべき危険な行為とその理由
- むやみに建材を壊してしまうこと
⇒ アスベストが封じられていた部分から繊維が飛び出し、大量被ばくのリスクが高まります。 - 普通の掃除機やエアブローで飛散した粉じんを掃除
⇒ フィルターを通り抜けて室内に再拡散してしまう恐れがあります。 - 素手・通常の布マスクでの対応
⇒ 微細なアスベスト繊維は布マスクでは防げず、皮膚からも取り込まれる可能性があります。
災害時の未破損建材と短時間曝露について
未破損建材の扱い方
災害時でも壊れていない状態のアスベスト含有建材(未破損建材)は、非飛散性である限り急な飛散リスクは高くありません。
ただし、今後の作業や余震、追加の損傷で破損する可能性もあるため、現場の管理・監視は続ける必要があります。
- むやみに取り外したり壊したりしない
- 必要になった場合は専門業者に相談
- 現状を写真で残し、管理記録をつける
短時間曝露のリスク
アスベストは「大量に、長期間吸い込む」ことで健康被害のリスクが高まりますが、「短時間の曝露」であっても100%安全というわけではありません。
たとえ一時的な作業でも、作業者・住民双方の安全確保を意識しましょう。
- 短時間でもマスクや防護具を使う
- 作業時間を最小限に抑える
- 作業後は着替えや手洗いを徹底する
災害発生後に役立つ安全対策の実践例
事前封止の具体的な手順
- 破損部分全体をビニールシートで覆う
- シートの端をしっかりとテープで密封する
- 市販の石綿飛散防止剤を散布し、繊維が舞い上がるのを防ぐ
- 必要に応じて、周囲に「危険・立ち入り禁止」の表示をする
封じ込め作業は、できる限り専門業者に依頼しましょう。どうしても自分で行う場合は、マスク・手袋・長袖長ズボンを必ず着用してください。
災害時に避難する場合の注意点
- アスベスト建材の破片が散乱している場所は近づかない
- 家屋が無事でも、近隣で損傷があれば窓・換気口を閉める
- 小さな子どもや高齢者は、特に曝露リスクが高いので早めに安全な場所へ避難
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得意分野/特徴:アスベスト調査・分析、災害時の緊急対応、飛散防止措置など幅広い実績を持つ。丁寧な現場診断と的確な安全対策に定評あり。
まとめ:災害時のアスベスト対策は冷静な行動と専門家への相談がカギ
災害時には「とにかくすぐ片付けたい」「身近なもので応急処置したい」と焦る気持ちが出てきますが、アスベスト対策は一歩立ち止まり、「何を優先し、どう安全を守るか」が大切です。
調査や作業の例外が認められるのは、ごく限られた緊急時だけ。復旧や廃棄、修繕の際は、必ず法律や安全基準を守りましょう。
一人で抱え込まず、災害対応にも強い専門業者へ早めに相談することで、ご自身やご家族・地域の安全を守ることができます。
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