バリアフリー設備の選び方5つのポイント|誰もが安心して使える住まい・施設づくりの秘訣

バリアフリーを実現するための設備選び|使う人みんなにやさしい空間づくりのポイント

「家族や利用者に、安心して過ごしてほしい。でも、どんなバリアフリー設備を選べばいいの?」
高齢のご家族や車椅子ユーザー、身体に不安のある方を迎える住まいや施設づくりで、こんな悩みを抱えていませんか?
バリアフリー設備は種類も多く、専門用語も多いため「自分で選んで大丈夫?」と不安になる方が多いのも当然です。
この記事では、初めてでも失敗しないバリアフリー設備選びの大切なポイントを、やさしく・具体的に解説します。
必要な設備や注意点、実践的なチェックリスト、最新のユニバーサルデザイン事情まで丁寧にまとめました。
安心して使える住まい・施設づくりの第一歩として、ぜひご活用ください。

なぜ今、バリアフリー設備が必要なのか?

日本は高齢化が進み、障がいのある方やご高齢の方など、さまざまな立場の人が安心できる「バリアフリー設備」はますます身近なものとなっています。
また、バリアフリーは一部の人だけのものではありません。
一時的なケガや妊娠中、ベビーカー利用時など、誰にでも「支えが必要な瞬間」が訪れるからです。
バリアフリー設備やユニバーサルデザインが整っている空間は、すべての人にとって快適で安心できる場所になるのです。

バリアフリーとユニバーサルデザインの違いとは?

「バリアフリー」という言葉は、もともとは“障壁(バリア)を取り除く”という意味。
段差の解消や手すり設置のように、既存の障害をなくす設備や工夫を指します。
一方で「ユニバーサルデザイン」は、年齢・性別・障がいの有無にかかわらず、はじめから誰もが使いやすいようにデザインされた空間や製品の考え方です。
つまり、バリアフリー設備はユニバーサルデザインの一部でもあり、両者をバランスよく取り入れることで、真の「みんなが使える」空間づくりが実現します。

バリアフリー設備選びの基本5ポイント

ここからは、誰もが安心して使える住まい・施設をつくるために、特に大切な5つのポイントをわかりやすくご紹介します。

1. 車椅子の方も安心できる「段差解消」

バリアフリーといえば、まず思い浮かぶのが「段差解消」です。
玄関や廊下、浴室、トイレの入り口など、わずかな段差でも車椅子や歩行が不安定な方にとっては大きな障害となります。

  • スロープの設置:外構や玄関アプローチ、建物の出入口にスロープを設けましょう。
    手すり付き・適切な勾配(1/12〜1/15程度)が基本です。
  • 敷居のフラット化:室内のドアや引き戸の敷居は、できるだけ段差をなくし、フラットに。
  • 段差解消用の簡易スロープ:既存の段差には、後付けできる簡易スロープも便利です。

注意点:スロープの幅は車椅子が安全に通れる「80cm以上」が理想です。
また、滑り止め加工や雨天時の安全にも配慮しましょう。

2. 「多機能トイレ」で誰もが使いやすく

公共施設や店舗で増えている多機能トイレは、車椅子ユーザーや高齢者、オストメイト(人工肛門・膀胱保有者)、ベビーカー利用者、妊婦さんなど多様なニーズに応えます。

  • 広めのスペース(最低でも1.6m×2m程度が理想)
  • 車椅子で旋回できる十分な空間
  • 手すりの設置(便器の横・後ろ、出入口にも)
  • オストメイト対応設備(洗浄用水栓・汚物流し)
  • ベビーベッド、着替え台の設置
  • 音声案内や点字案内(視覚障がい者対応)

チェックリスト:

  • 車椅子で出入りしやすいドア幅(85cm以上)か?
  • 引き戸や自動ドアなど、開閉しやすい扉になっているか?
  • 便座の高さや手すりの位置は使う人の身長や体格に合わせて調整可能か?

3. 「手すり設置」で日常動作をしっかりサポート

手すりは転倒リスクを減らし、自立した生活をサポートします。場所ごとに最適な手すりの種類や高さを選ぶことが大切です。

  • 廊下・階段:途中で切れ目のない連続手すりが理想。両側設置が安心です。
  • トイレ・浴室:立ち座り用・移動用のL字型やI字型手すりが便利。
  • 玄関:靴の脱ぎ履きや段差昇降時にしっかり握れるものを。

注意点:

  • 手すりの高さは利用者の身長や体格に合わせて調整(一般的には床から75cm〜85cm)
  • しっかりとした下地に固定し、ぐらつかない設置を
  • 滑りにくい素材や握りやすい太さ(直径3.2cm〜3.8cm程度)が目安

4. 「ユニバーサルデザイン」でみんなの使いやすさを実現

ユニバーサルデザインとは、「年齢・性別・障がいの有無を問わず、誰もが直感的に使えるデザイン」のことです。バリアフリーよりさらに幅広い視点での空間づくりが求められます。

  • 入口・通路・浴室・キッチンなど、全体を広めに設計
  • 床材は滑りにくく、車椅子でも負担の少ない素材を選択
  • 操作パネルやスイッチは大きく、わかりやすく配置
  • 視覚障がい者への配慮(ガイドブロックや点字案内、音声案内)
  • 色覚多様性に配慮した色使いやコントラスト

例:バスや駅でよく見かける「黄色い点字ブロック」は、視覚障がい者だけでなく、誰にとっても足もとに注意を促すサインです。
また自動水栓や自動ドアも、荷物を持った人や小さなお子さんにもやさしいユニバーサルデザインの一つです。

5. 「視覚障がい者対応」も忘れずに

バリアフリーと聞くと「車椅子」のイメージが強いですが、視覚障がい者や弱視の方への配慮も大切です。

  • 点字案内(エレベーターやトイレのボタン、館内案内など)
  • 音声案内(改札・トイレ・エレベーター・自動販売機など)
  • コントラストの強い色使い(階段の端に黄色テープなど)
  • 歩行誘導のためのガイドブロックや誘導マット
  • 照明は明るさのムラがないよう調整し、強すぎないやさしい光を

ワンポイント:視覚障がい者対応を考える際は、「音」と「色・形」の両面からサポートできる設備選びがポイントです。

バリアフリー設備選びの実践チェックリスト

「どこをどうチェックすればいい?」という方のために、実際に役立つチェックリストをまとめました。
新築・リフォーム・既存施設の改善、いずれにも応用できます。

  • 入り口・廊下・トイレなど主要な動線に段差がない(またはスロープ設置済み)
  • 車椅子やベビーカーでスムーズに出入りできる幅が確保されている(80cm以上が目安)
  • トイレや浴室、玄関など動作が不安定になりやすい場所に手すりが設置されている
  • 床材は滑りにくく、つまずきにくい素材か
  • 多機能トイレやオストメイト対応設備が設けられている
  • 視覚障がい者向けの点字案内や音声案内がある
  • 明るさや色使いがわかりやすく、操作パネルやスイッチも大きく見やすい
  • ドアや窓の開閉が軽く、ユニバーサルデザインの取っ手やボタンが使われている

アドバイス:一度にすべてのバリアフリー設備を取り入れるのが難しい場合、「最も困っている場所」「日常で一番使う場所」から優先的に整備しましょう。

バリアフリー設備導入の注意点とよくある質問

注意点:失敗しないために気を付けたいこと

  • 利用者本人の意見を聞く:ご本人やご家族の本音を確認し、「本当に使いやすい」設備かどうか検討しましょう。
  • 将来の変化も見据える:今の体調や状況だけでなく、数年後の変化も想定してスペースや設備を選ぶことが大切です。
  • 適切な専門家に相談する:専門業者や福祉住環境コーディネーター、設計士などのアドバイスを受けると安心です。
  • 自治体の助成金・補助制度を活用する:自治体によっては、バリアフリー工事に補助金や税制優遇が受けられる場合があります。
  • 定期的なメンテナンスも重要:手すりやスロープのぐらつき・劣化・清掃状態など、点検を忘れずに。

よくある質問Q&A

  • Q:バリアフリー設備を導入したいけど、費用が心配です。
    A:規模や範囲によって大きく異なりますが、一部のバリアフリー工事には自治体の補助金が利用できる場合があります。
    また、「すべてを一度に」ではなく、優先順位の高い場所から段階的に導入し、費用負担を抑えることも可能です。
  • Q:一般的な住宅でも手軽にできるバリアフリー化は?
    A:手すりの後付け、簡易スロープの設置、滑り止めマット敷設、引き戸への交換など、比較的低コストな方法も多くあります。
    まずは「つまずきやすい」「よく使う」場所から始めるのがおすすめです。
  • Q:どこに相談すればよいか分かりません。
    A:バリアフリー設備専門の業者や建築士、福祉住環境コーディネーター(有資格者)に相談されると、現状に合った的確なアドバイスが受けられます。
    また、弊社MIRIXでも無料相談を承っていますので、お気軽にご連絡ください。

最新のバリアフリー事情と今後の展望

近年では、2020年東京パラリンピックをきっかけに、公共施設や商業施設、交通機関でのバリアフリー・ユニバーサルデザイン設備が急速に普及しています。

  • 既存施設の段差解消・トイレ改修・手すり設置など、バリアフリー化の義務化が進行中
  • 多言語対応や、聴覚障がい者向けモニター・サイン表示の充実
  • IoTやICTを活用した「スマートバリアフリー」:アプリ連携でトイレ空き情報や点字データの配信など
  • 住宅分野でも、ユニバーサルデザインを標準にした新築が増加

今後の課題:バリアフリー設備は整ってきているものの、「実際の運用」「メンテナンス」「利用者への十分な案内」など、よりきめ細やかな配慮が求められています。
また、利用者自身が「困ったときにすぐ相談できる窓口」を持つことも大切です。

まとめ:安心できるバリアフリー空間づくりをはじめましょう

バリアフリー設備の選び方は、単に「設備を取り入れる」というだけではなく、「誰もが安心して、その場所でのびのびと過ごせる」ことが一番の目的です。
車椅子の方や高齢者、妊婦さん、目や耳に障がいのある方、そして一時的なケガや体調不良の方にもやさしい空間は、日常のちょっとした不安や不便を取り除いてくれます。

初めてバリアフリー設備を選ぶ方は、「困っていること・心配なことを正直に相談し、納得いくまで話し合う」ことがとても重要です。
難しそうに思えるかもしれませんが、少しずつ始めてみることで、毎日の暮らしに大きな安心が生まれます。

もし「どこに相談したらいいか分からない」「具体的な設備選びに迷う」という方は、弊社MIRIXにお気軽にご相談ください。
あなたのご要望やご家庭・施設の状況に合わせて、最適なバリアフリー設備のご提案から施工、アフターサポートまで、専門スタッフが誠実にサポートいたします。
「これで良かった」と心から思える住まい・施設づくりを、MIRIXと一緒に実現しましょう。