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アスファルト防水とは?メリット・工法・費用相場まで徹底解説【初心者でもわかる】

  1. アスファルト防水を現場目線でやさしく解説:種類・手順・耐用年数・費用のキホン
  2. 現場ワード(アスファルト防水)
    1. 定義
  3. アスファルト防水の基本と仕組み
    1. 主な材料(現場で耳にするもの)
    2. 保護仕上げの種類
  4. 工法の種類と違い
    1. 1) 熱工法(ホットアスファルトによる積層)
    2. 2) 改質アスファルトシート防水(トーチ・常温粘着)
  5. 代表的な施工手順(現場の流れ)
    1. 新築・熱工法の例
    2. 改修・改質アスファルトシート(トーチ)の例
  6. どこに向いている?適用部位と向き不向き
  7. 耐用年数とメンテナンス
  8. 費用相場の目安(新設・改修の参考)
  9. よくある不具合と原因・対策
  10. 安全・品質管理のポイント(現場の実務)
  11. 現場での使い方
    1. 言い回し・別称
    2. 使用例(会話のイメージ:3つ)
    3. 使う場面・工程
    4. 関連語
  12. 代表的なメーカー(例)
  13. 他工法との比較(選び方のヒント)
  14. 用語ミニ辞典(初心者向け)
  15. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 戸建てバルコニーでもアスファルト防水は使えますか?
    2. Q. 膨れが少しあります。すぐに全面改修が必要?
    3. Q. 耐用年数を延ばすコツは?
    4. Q. 工事中の臭いが心配です。
  16. 実務のチェックリスト(発注・監理の観点)
  17. 実例でイメージ(改修の現場あるある)
  18. 関連規準・参考の方向性
  19. まとめ:アスファルト防水を味方にする要点
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アスファルト防水を現場目線でやさしく解説:種類・手順・耐用年数・費用のキホン

「アスファルト防水ってよく聞くけど、具体的にどんな工事?ウレタンやシート防水と何が違うの?」——そんな疑問に、現場で実際に使う言い回しや流れまで踏み込んで、やさしく解説します。本記事は、建設内装や改修の現場で職人が当たり前に使っている“現場ワード”を、初心者でもイメージできるように整理したもの。メリット・デメリット、工法の違い、費用の目安、トラブルの予防策まで、実践的にまとめました。

現場ワード(アスファルト防水)

読み仮名あすふぁるとぼうすい
英語表記Bituminous Waterproofing(Asphalt Waterproofing / Built-up Roofing)

定義

アスファルト防水は、アスファルト系の材料を用いて屋上やバルコニーなどの躯体を水から守る防水工事の総称です。大きく「熱工法(ホットアスファルトでルーフィングを積層する工法)」と「改質アスファルトシート防水(トーチ工法や常温粘着工法)」に分かれます。重ねて貼る層構成により、耐久性・止水性能に優れ、平場が広い屋上スラブやパラペット立上りなどで多用されます。

アスファルト防水の基本と仕組み

アスファルトは石油由来の粘着性・防水性に優れた材料です。防水層は、アスファルトを含浸・コーティングした「ルーフィング(シート)」を複数層に重ね、継ぎ目を溶着・密着させて水の侵入経路を断つことで成立します。仕上げは直射日光から防水層を守るため、砂付きシートやコーティング、押さえコンクリートなどの“保護層”を組み合わせます。

主な材料(現場で耳にするもの)

  • ルーフィング(アスファルトルーフィング、改質アスファルトシート)
  • プライマー(下地密着を高める下塗り)
  • ホットアスファルト(熱工法で使用)/トーチバーナー(シート溶着で使用)
  • 押えモルタル・押さえコンクリート(保護仕上げ)
  • 端末金物・改修ドレン(取り合い・排水強化)
  • シーリング材(端末処理、ディテールの止水補助)

保護仕上げの種類

  • 露出保護仕上げ:砂付きシートやトップコートで紫外線から保護。点検しやすい。
  • 保護コンクリート仕上げ(押えコン):上にコンクリートを打設して保護。耐久性・耐荷重に優れるが、改修はやや大掛かり。

工法の種類と違い

1) 熱工法(ホットアスファルトによる積層)

溶融釜でアスファルトを加熱し、下地にプライマー→アスファルト→ルーフィングを重ね、所定の層数で積層する工法。歴史が長く、強固な防水層を作りやすいのが特長です。平場が広い屋上などで採用されます。

  • メリット:層構成で高い耐久性/立上りも強固/押えコンとの相性が良い
  • 注意点:火気・高温管理が必要/臭気対策が必須/施工熟練度が品質に影響

2) 改質アスファルトシート防水(トーチ・常温粘着)

アスファルトに改質材(ポリマーなど)を加えたシートを用い、トーチバーナーで炙って溶着する工法や、常温粘着タイプを貼る工法。ホットアスファルトを使わず、施工性・安全性のバランスが良いのが魅力です。

  • トーチ工法:バーナーでシート裏面を溶かしながら貼る。密着・溶着の安定性が高い。
  • 常温粘着工法:火気を使わず貼れるため、臭気や火気制限が厳しい環境で有利。
  • 注意点:下地の清掃・含水率管理、重ね幅・端末処理の精度が品質を左右。

どちらの系統でも、下地状態(乾燥度・平滑性・既存層の有無)、改修か新築か、施工場所の制約(火気・臭気)に応じて最適な工法を選びます。

代表的な施工手順(現場の流れ)

新築・熱工法の例

  • 1. 下地確認・清掃:段差やレイタンスを除去し、平滑に調整。含水率が高い場合は乾燥期間を確保。
  • 2. プライマー塗布:下地の吸い込みを押さえ、密着を高める。
  • 3. 立上り処理:入隅・出隅に面木や補強シートを先行施工。
  • 4. ルーフィング積層:ホットアスファルトを塗布し、所定層数(例:2〜3層)で貼り重ねる。
  • 5. 端末・ジョイント処理:重ね幅・溶着状態を確認し、端末金物で押さえる。
  • 6. 保護仕上げ:露出保護(砂付き・トップ)または押えモルタル/コンクリートを施工。
  • 7. 検査・通水試験:目視・打診・通水で漏水リスクを確認。

改修・改質アスファルトシート(トーチ)の例

  • 1. 既存層調査:浮き・膨れ・クラック・ドレン状況を確認。撤去か増貼りかを判定。
  • 2. 下地調整・プライマー:既存層の清掃・補修後に下塗り。
  • 3. シート貼り:トーチで裏面をあぶり、重ね代を守って溶着。立上りは補強シート+端末金物。
  • 4. 端部シール:ディテール部にシーリングで二次止水。
  • 5. 仕上げ:砂付き仕上げやトップコートで紫外線保護。
  • 6. 検査:シーム(継ぎ目)を重点的に確認。

補足:下地に水分が多い場合は、密着させずに「絶縁(通気)仕様」を選ぶことがあります。これにより蒸気による膨れリスクを下げます。

どこに向いている?適用部位と向き不向き

  • 向いている:屋上スラブ、機械室上、外廊下・バルコニー、パラペット、下駄ばき駐車場のスラブなど、平場が広く動きが小さい部位。
  • 注意が必要:大きな挙動(たわみ・振動)が出るデッキ床、複雑な三次元形状の納まり、火気・臭気制限が厳しい室内直近(常温粘着や他工法の検討)。

耐用年数とメンテナンス

一般的な目安として、適切な設計・施工・維持管理が前提で、熱工法(押えコン仕上げなど)は20〜30年程度、改質アスファルトシート防水(露出仕上げ中心)は15〜20年程度とされるケースが多いです。直射日光・温度差・歩行荷重・メンテ頻度により差が出ます。

  • 定期点検:年1回程度、継ぎ目・端末金物・ドレン周り・立上りのシールを点検。
  • 軽微補修:トップコートの再塗装、端末シールの打ち替え、局所的な増貼りなど。
  • 改修判断:膨れ・浮きが広範囲なら、部分補修より全面改修の方が結果的にコスト効率的な場合が多い。

費用相場の目安(新設・改修の参考)

条件により幅がありますが、一般的なレンジ感は以下の通りです(材料・層構成・地域・高さ・搬入出・下地補修量で変動)。

  • 熱工法(新設・保護仕上げ含む):おおむね 7,000〜15,000円/m²
  • 改質アスファルトシート防水(トーチ/露出):おおむね 5,000〜10,000円/m²
  • 常温粘着工法:おおむね 5,500〜11,000円/m²
  • 付帯工事(端末金物、改修ドレン、立上り増し、下地補修、仮設・搬入出)は別途

正確な見積もりには、現地調査(面積、立上り高さ、既存層、ドレン位置、入隅・出隅数、搬入経路など)の確認が不可欠です。

よくある不具合と原因・対策

  • 膨れ(ブリスター):下地水分・残留湿気や溶着不足が主因。対策は絶縁仕様の採用、乾燥期間の確保、通気層・排気ディテールの設置など。
  • 端末の浮き・剥がれ:重ね不足、押さえ不足、端末金物の緩み。対策は規定重ね幅の厳守、圧着ローラーでの押さえ、金物固定・シールの見直し。
  • ドレン詰まり・漏水:落ち葉・砂塵の堆積。対策はドレンカバーでのゴミ受け、定期清掃、改修ドレンの設置。
  • 仕上げ劣化(チョーキング・ひび):紫外線・熱。対策はトップコートの周期再塗装、保護層の適切選定。

安全・品質管理のポイント(現場の実務)

  • 火気・高温管理:熱工法やトーチは防火養生・消火器・火気管理者の配置が必須。風向きと可燃物距離に注意。
  • 臭気・近隣配慮:臭気が出る工程は時間帯・養生・換気計画を事前説明。必要に応じて常温粘着へ切り替え。
  • 気象条件:降雨・降雪・結露は厳禁。露点・下地温度を確認し、無理施工を避ける。
  • 下地乾燥・含水率:乾燥不足は膨れの大敵。必要なら乾燥機や養生期間を確保し、絶縁仕様を検討。
  • 検査記録:重ね幅、温度、施工写真、通水試験結果を記録。引継ぎと将来改修に役立つ。

現場での使い方

言い回し・別称

  • アス防(あすぼう)/アスファルト/熱アス(熱工法の略)
  • 改質アス(改質アスファルトシート)/トーチ(トーチ工法)/コールド(常温粘着)
  • ルーフィング(アスファルト系シート全般の呼称)

使用例(会話のイメージ:3つ)

  • 「この屋上は熱アスで2層、立上りは金物押さえでいくよ。」
  • 「今回は火気NGだから、トーチは不可。常温の改質アスで仕様組もう。」
  • 「既存に膨れが多いから絶縁で増貼り、ドレンは改修ドレン入れといて。」

使う場面・工程

  • 屋上・露台・外廊下の防水工程で、下地調整→プライマー→シート貼り→端末処理→保護仕上げの流れで使用。
  • 内装工程との取り合いでは、パラペットの内外装仕上げ、サッシ下端、笠木金物との納まり確認が重要。

関連語

  • 密着工法/絶縁工法、露出防水/保護防水、押えコンクリート(押えコン)、端末金物、改修ドレン、パラペット、入隅・出隅、通水試験

代表的なメーカー(例)

以下は国内でアスファルト系防水材を扱う代表的メーカー例です(五十音順)。採用にあたっては各社の技術資料・仕様書をご確認ください。

  • 田島ルーフィング株式会社:アスファルト防水・改質アスファルトシートの大手。仕様体系が豊富で新築・改修双方に対応。
  • 日新工業株式会社:アスファルト系防水材を中心に展開。各種工法の標準仕様と技術サポートが充実。

他工法との比較(選び方のヒント)

  • ウレタン塗膜防水:複雑形状に強く、シームレスで納まりやすい。下地水分に弱い面があり、通気緩衝などの仕様選定がポイント。
  • 塩ビ・ゴム系シート防水:軽量で施工が早い。機械的固定や接着で施工し、下地の動きに追従しやすいタイプもある。
  • アスファルト防水:積層構成で耐久性・止水性に優れ、押えコン仕上げと相性が良い。火気・臭気管理や施工計画が鍵。

既存防水の種類、下地状態、使用環境(歩行・設備架台・日射)、工期・周辺条件(火気・臭気制限)を整理し、最適解を選ぶのが実務のコツです。

用語ミニ辞典(初心者向け)

  • ルーフィング:アスファルトをしみ込ませた防水シートの総称。
  • 改質アスファルト:アスファルトに改質材を加え、耐熱・耐寒・弾性などを高めたもの。
  • トーチ工法:トーチバーナーでシート裏面を加熱して溶着する施工法。
  • 絶縁工法:下地と防水層を密着させず、湿気の逃げ道を確保する仕様。
  • 押えコンクリート:防水層の上に打つコンクリート保護層。荷重分散・紫外線保護の役割。
  • 改修ドレン:既存ドレンに差し込んで性能を回復・向上させる専用金物。

よくある質問(FAQ)

Q. 戸建てバルコニーでもアスファルト防水は使えますか?

A. 可能です。ただし形状が複雑・火気が使いにくい場合は、改質アスの常温粘着や他工法が適することもあります。周辺の安全条件と納まりを優先して選定します。

Q. 膨れが少しあります。すぐに全面改修が必要?

A. 膨れの大きさ・位置・数、歩行の有無で判断します。局所補修で済む場合もありますが、再発が続く・広範囲なら絶縁仕様での改修が長期的に有利です。

Q. 耐用年数を延ばすコツは?

A. 定期清掃(ドレン・排水経路の確保)、トップコートの適期更新、端末金物・シールの点検が効きます。植栽や重量物の直置きは避け、荷重は保護層で分散しましょう。

Q. 工事中の臭いが心配です。

A. 臭気が問題になる現場では、火気・加熱を伴わない常温粘着工法や、臭気対策を施した時間帯施工・養生で配慮します。事前周知がトラブル防止に有効です。

実務のチェックリスト(発注・監理の観点)

  • 仕様と工法:密着か絶縁か、層数、仕上げ(露出/押えコン)を明確に。
  • 下地:勾配(排水経路)、含水率、段差・クラック補修の計画を確認。
  • 端末・取り合い:サッシ・笠木・手すり根元・設備架台周りの詳細図を用意。
  • 安全・近隣:火気・臭気・搬入ルート・仮設計画を事前合意。
  • 検査:通水試験の条件(時間・水位)、写真記録、是正手順を決める。

実例でイメージ(改修の現場あるある)

築20年超の集合住宅屋上で、既存露出のアスファルト防水に膨れと端末劣化が見られるケース。全面撤去はコスト・工期が増えるため、既存層の健全部は活かし、絶縁仕様で改質アスシートを増貼り、ドレンは改修ドレンで更新。立上りは金物を新調し、端末シールを打ち直す。結果、臭気と火気を抑えつつ、膨れ再発リスクを低減しながら耐久性を確保できる——こうした判断が現場ではよくあります。

関連規準・参考の方向性

設計・施工にあたっては、国内で広く参照される建築の防水工事標準(例:日本建築学会の防水工事に関する標準仕様書など)に準拠した仕様・施工管理が基本となります。実際の選定は、メーカーの技術資料・試験データ・納まり図と照らし、現場条件に合わせて決定します。

まとめ:アスファルト防水を味方にする要点

  • 「熱工法」と「改質アスファルトシート(トーチ/常温)」の違いを理解する。
  • 下地の乾燥・勾配・取り合いが品質のカギ。膨れ対策には絶縁仕様を検討。
  • 費用は仕様と条件で大きく変わる。見積り前に現地の実測・調査が必須。
  • 定期点検と清掃・端末メンテで、寿命と安心感は大きく伸びる。
  • 火気・臭気など周辺配慮を踏まえ、現場に合う工法を選ぶのがプロの仕事。

この記事が、「アスファルト防水」という現場ワードの輪郭をつかむ助けになれば幸いです。仕様の細部は現場条件で変わりますが、要点を押さえれば、発注・監理・施工の会話がグッとスムーズになります。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
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