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CFシートとは?基礎知識から施工手順・選び方まで徹底解説

職人が現場で使う「CFシート」をやさしく解説:意味・使い方・施工の流れまで

「CFシートってよく聞くけど、何のこと?フロアタイルや長尺シートと何が違うの?」そんな疑問は、内装の世界ではとても自然なものです。本記事では、内装現場で当たり前に飛び交う現場ワード「CFシート」を、初心者の方にもわかりやすく、実務に役立つ形で丁寧に解説します。読み終えるころには、指示のやり取りがスムーズになり、見積もりや製品選び、施工の流れもイメージできるはず。プロの内装施工者の視点で、現場での言い回しから施工のコツまで、安心して使える知識だけをまとめました。

現場ワード(キーワード)

読み仮名しーえふしーと(クッションフロアシート)
英語表記Cushion Floor (vinyl) Sheet

定義

CFシートは「クッションフロアシート」の略称。塩化ビニル系の表層に、発泡(スポンジ状)の裏層を一体化させたシート状床材の総称です。住宅の洗面所・トイレ・キッチンなどで広く使われ、適度なクッション性と防水性、清掃性、デザインの豊富さが特長。一般的な厚みはおよそ1.8~2.3mm程度、ロール巾は約1820mm(いわゆる「182巾」)が主流です。施工は接着剤で下地に貼り込み、ジョイント(継ぎ目)はダブルカット後にジョイントシーラーで処理するのが基本です。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では「CF」「CFシート」「クッションフロア」と呼ばれます。短く「CF貼り」、貼り替えなら「CF張替え」と言うことが多いです。類似語に「長尺(ちょうじゃく)シート」「フロアタイル(LVT)」「Pタイル(VCT)」がありますが、別材料なので使い分けに注意します。

使用例(3つ)

  • 「トイレは既存撤去してCF貼り替え、巾木はソフト巾木で仕上げます。」
  • 「洗面のCFは182巾で一枚物いける?ジョイントは洗面台の下で拾おう。」
  • 「CFは一般工法の糊でOK。立ち上げは50ミリ回してコーキングで納めて。」

使う場面・工程

CFは水はねや汚れが出やすい住宅の水回り(トイレ・洗面・脱衣・キッチン)や賃貸の原状回復で定番です。工程の一例は次の通りです。

  • 養生・設備撤去(便器や洗面台の取り外しがある場合)
  • 既存床材の撤去(古いCFやクッション材、糊の除去)
  • 下地調整(不陸・段差のパテ処理、ビス頭の処理、清掃・乾燥)
  • 採寸・仮敷き(木取り、ジョイント位置の検討)
  • 接着(くし目ゴテで糊をのばし、オープンタイム後に貼り込み)
  • 圧着・ジョイント処理(ダブルカット、ジョイントシーラー)
  • 端部納まり(巾木取付やシーリング、入隅・出隅の処理)
  • 設備復旧・清掃・養生(硬化時間を確保)

関連語

  • 長尺シート:商業施設やバックヤード向けの高耐久ビニル床シート
  • フロアタイル(LVT):タイル形状の塩ビ床材。部分張替えに強い
  • Pタイル(VCT):ビニル系コンポジションタイル。硬く耐久性が高い
  • ソフト巾木:壁と床の取り合いを納めるビニル系巾木
  • ジョイントシーラー:継ぎ目を保護・防汚する液体
  • くし目ゴテ・押さえローラー・突きつけベラ:CF施工で使う代表的な工具

CFシートの特徴と、向いている場所・向いていない場所

長所(メリット)

  • 水に強く掃除がしやすい:トイレや洗面に最適
  • クッション性があり足当たりがやわらかい:転倒時の衝撃緩和にも
  • デザインが豊富:木目・石目・タイル柄など空間づくりがしやすい
  • コストが比較的抑えられる:賃貸や原状回復でも使いやすい
  • 施工スピードが早い:1日で貼替えが完了するケースが多い

短所(デメリット)

  • 重い家具で跡が付きやすい:キャスターや脚ゴムに注意
  • 日射や可塑剤移行による変色リスク:ゴム製品の長期設置は避ける
  • 商業用ほどの耐久性はない:台車・車輪の頻繁な走行には不向き
  • 下地の影響を受けやすい:不陸や段差が透けやすいので下地調整が重要

向いている場所

  • 住宅:トイレ、洗面・脱衣室、キッチン、納戸
  • 賃貸・原状回復:短工期で見栄えを整えたい場所

向いていない・注意が必要な場所

  • 台車・車椅子などの車輪荷重が多い場所(耐久グレード選定が必要)
  • 直射日光が強く当たるサンルーム(熱・紫外線の影響に留意)
  • 常時水がかかるエリア(浴室内など。別仕様の床材を検討)

CFシートの選び方(プロの目線でチェックするポイント)

  • 厚み・クッション性:一般住宅は1.8~2.3mmが主流。段差や見切り高さとの整合も確認
  • 表面性能:ノンワックス、抗菌・防カビ、耐汚染、消臭機能の有無
  • 滑り性:水回りでは滑りにくさの評価もチェック(転倒防止)
  • デザイン・エンボス:木目・石目・タイル柄、艶感、足触りの質感
  • 巾(ロール幅)とジョイント計画:1820mm巾で一枚物にできると見栄え良好
  • 周辺部材との相性:巾木、見切り材、既存フローリングとの段差や納まり
  • 環境・安全性:F☆☆☆☆や低VOCの接着剤を選定し、室内空気への配慮

施工手順(プロの基本フローとコツ)

1. 事前確認と撤去

  • 設備の取り外しが必要かを確認(便器・洗面台等)。止水・養生を確実に
  • 既存床材や糊、クッション材を撤去し、下地を露出

2. 下地調整

  • ビス頭を沈め、段差や穴をパテで平滑に。凹凸は透けやすいので妥協しない
  • モルタル下地は含水に注意。湿気が多いと膨れの原因になるため十分乾燥
  • 清掃・脱脂で接着性を確保。粉塵や油分は大敵

3. 採寸・仮敷き

  • 1820mm巾を意識しつつ、木取り(カット計画)。ジョイント位置は目立たない位置へ
  • 壁のクセを拾いながら、突きつけベラでラインを写し取り、余裕を見てカット

4. 接着・貼り込み

  • くし目ゴテで接着剤を均一に塗布。オープンタイム(所定の乾き待ち)を守る
  • CFを丁寧に敷き込み、中央から外へ空気を逃がす。押さえローラーで圧着
  • 端部は巾木で隠れる想定か、立ち上げ処理かを事前に決めておく

5. ジョイント・納まり

  • 重ねて二枚同時に切る「ダブルカット」で継ぎ目を作ると隙間が出にくい
  • ジョイントシーラーで継ぎ目処理。水回りでは特に丁寧に
  • 入隅・出隅は切り込みと圧着でスキなく納め、必要に応じてシーリング

6. 復旧・養生

  • 設備を復旧し、シーリングで水密確保。硬化時間中の重量物移動は避ける
  • 完了後は動線養生を行い、剥がれ・浮きの予防

よくある失敗と対策

  • 下地の不陸が透ける:パテ処理を省かない。光の入る方向を意識して確認
  • 継ぎ目が開く・汚れが入る:ジョイントシーラー必須。オープンタイム厳守
  • 端部がめくれる:圧着不足や糊量不足。端部はしっかり押さえ、立上げや見切りで保護
  • 膨れ(ブリスター):下地の湿気や油分が原因。乾燥・脱脂・適正接着剤を徹底
  • 色ムラや変色:ゴム製マット・家具脚の可塑剤移行に注意。保護シートや脚キャップを使用

メンテナンスと長持ちのコツ

  • 日常清掃:乾拭き・掃除機+中性洗剤拭き。強アルカリ・強酸は避ける
  • ワックス:ノンワックス仕様なら基本不要。塗る場合は製品仕様を確認
  • 家具対策:キャスターカップやフェルト。重い家具の引きずりは厳禁
  • 水はね対策:トイレ・洗面は巾木上端や設備まわりのシーリング点検を
  • 部分補修:めくれは早期に接着・シールで対処。放置すると拡大しやすい

メーカーと製品の傾向(代表例)

CFシートは国内の主要内装材メーカーから幅広く展開されています。以下は代表的な企業と一般的な位置づけの一例です(各社の最新カタログで仕様をご確認ください)。

  • サンゲツ:住宅向けから多目的まで柄・バリエーションが豊富。カタログ提案力に強み
  • 東リ(TOLI):床材全般に強く、施工性と機能性のバランスが良いラインナップ
  • リリカラ:住宅・賃貸で使いやすい定番柄が充実。コストと意匠の両立
  • シンコール:ベーシックからトレンド柄まで幅広く、原状回復でも選ばれやすい
  • タジマ(田島):床材専業としての技術に定評。耐久性や質感重視のセレクトに

接着剤は床材メーカー指定の「アクリル樹脂系エマルション接着剤(一般工法)」が主流で、湿気が懸念される下地や立上げ部には耐水性の高い仕様を選びます。製品・接着剤の適合は必ずメーカーの工法に従ってください。

見積りと費用感の目安

地域・物件条件・面積により変動しますが、目安として次のように見積もられることが多いです。

  • 材料+施工費(住宅水回り・小面積):1平米あたりおおむね3,000~6,000円程度
  • 最低出張(諸経費)や駐車場代、廃材処分費が別途かかる場合あり
  • 便器脱着・洗面台の一時撤去復旧は別工事・別費用になることが多い

同じ「CF」でもグレードや機能で材料単価は変わります。現場の状況(既存撤去の難易度、下地補修量、設備の有無)により合計金額は大きく変わるため、現調と写真共有を前提に複数社で比較すると安心です。

現場で役立つ寸法・豆知識

  • 標準巾:1820mm(「182巾」)。小空間は一枚物で貼れると継ぎ目が消える
  • 厚み:1.8~2.3mm前後が中心。段差・見切り高さとの整合を事前に確認
  • ジョイント計画:目立ちにくい位置(設備下、視線の届きにくい壁際)で拾う
  • 温度・湿度管理:低温時は材料が硬く割れやすい。室温を整えてから施工
  • 既存上貼り:可能な場合もあるが、段差・接着・可塑剤移行のリスクを評価して判断

CFシートと間違えやすい材料の違い

長尺シート(ビニル床シート)との違い

長尺シートは商業用・施設用で高耐久・高機能。厚み・耐摩耗性・滑り抵抗などが設計上強く、溶接棒による熱溶接(溶接処理)を行う製品も多い。一方、CFは住宅向けでクッション性と意匠性、コストメリットを重視。用途と工法が異なるため、混同しないことが大切です。

フロアタイル(LVT)・Pタイル(VCT)との違い

タイル形状の硬質床材は部分補修に強く、耐久性や質感も高い反面、足当たりは硬め。CFは一体のシートで継ぎ目が少なく、やわらかさと水拭きのしやすさで優位。空間用途と求める機能で選び分けます。

工具・材料チェックリスト(CF施工)

  • CF本体、見切り材・ソフト巾木、ジョイントシーラー、シーリング材
  • 接着剤(アクリル樹脂系エマルションなど)、くし目ゴテ、ヘラ
  • カッター(大・小)と替刃、突きつけベラ、定規、スキージー
  • 押さえローラー、パテ・パテベラ、サンドペーパー、掃除用具
  • 養生材、マスキング、手袋、膝当て、安全保護具

安全・環境への配慮

  • 換気:接着剤使用時は換気を確保。低臭タイプでも基本は換気が前提
  • ホルムアルデヒド等:F☆☆☆☆・低VOCの材料・接着剤を選定
  • 廃材処理:既存材・糊残渣は分別・適正処理。剥離粉じんの吸入防止

ケーススタディ:トイレCF貼替えの段取り

小規模でも段取りが品質を左右します。例としてトイレ1室(0.5~1坪)を想定。

  • 事前:止水・便器脱着の有無確認、見積りは便器脱着費別途で明記
  • 当日午前:既存撤去→下地補修→乾燥→採寸→仮敷き
  • 午後前半:接着→圧着→ジョイント・端部処理→巾木→コーキング
  • 午後後半:設備復旧→動作確認→清掃→養生(硬化時間の周知)

ポイントは、ジョイントをできるだけ目立たない位置に設定し、便器のベース周りはシーリングで水密を確保すること。施工後すぐの水通しは避け、接着剤・シールの硬化時間を守ります。

こんな時はどうする?よくある質問

Q. 既存のCFの上に重ね貼りできますか?

A. 条件が良ければ可能な場合もありますが、密着性・段差・可塑剤移行のリスク評価が必要です。下地が弱い・軟らかい・汚れている場合は撤去が無難です。

Q. 水に強いなら浴室にも使えますか?

A. 一般的なCFは「水に強い」ものの「常時水に浸かる」用途は想定外です。浴室内は専用の防水床材・工法を検討してください。

Q. お手入れはワックスが必要?

A. ノンワックス仕様が多く、基本は不要です。ワックスを使用する場合はメーカー推奨品・方法に従ってください。

Q. 椅子のキャスターで凹みませんか?

A. 凹みや傷が生じやすい素材です。硬質キャスターやチェアマット、キャスターカップの併用を推奨します。

現場での声かけ例(指示が伝わるフレーズ集)

  • 「CFは182巾で一枚拾えるから、ジョイントなしでいこう。」
  • 「既存下地、凹みが多いからパテ二度打ちでフラット出して。」
  • 「オープンタイム短めの糊だから、範囲を小割りで貼っていこう。」
  • 「巾木はソフト巾木新設、入隅はコーキングでシール忘れずに。」

まとめ:CFシートを味方にすれば、水回りは速く・きれいに・長持ち

CFシートは、住宅の水回りを中心に「清掃しやすく」「コストも抑えやすい」実用派の床材。現場では「CF」「クッションフロア」と呼ばれ、1820mm巾を前提に一枚物で納められるか、ジョイントをどこで拾うかが仕上がりの鍵です。下地調整とジョイント処理、端部のシーリングを丁寧に行えば、見栄えと耐久性が大きく変わります。材料選定では厚み・表面機能・デザイン・環境性能をバランス良く。メーカー標準工法と適合接着剤を守り、安全と品質を確保しましょう。疑問があれば、現場写真とともにプロへ相談するのが最短の近道です。あなたの現場でも、CFシートを賢く使って、気持ちのいい仕上がりを実現してください。