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コンパネとは?現場で役立つ使い方・種類・選び方を徹底解説

「コンパネ」って結局なに?現場で迷わないための基礎と実践の使い分け

現場で「そこ、コンパネで養生しといて」「下地はコンパネでいける?」といった指示を受けて、具体的に何を指すのか迷ったことはありませんか。コンパネは内装・建築の現場で非常に頻繁に飛び交う言葉ですが、実は厳密な意味と、現場での“通称”が少しズレることも。この記事では、プロの施工者の目線で、初めてでも迷わないように「コンパネ」の正しい定義、現場での使い方、種類や選び方、注意点までをわかりやすく整理します。読み終える頃には、指示の意図がすっと入ってくるはずです。

現場ワード(キーワード)

読み仮名こんぱね
英語表記formwork plywood(concrete formwork panel)

定義

「コンパネ」とは、本来「コンクリートパネル」の略で、コンクリートの型枠に用いるための合板(=型枠用合板)を指します。表面に樹脂フィルム(フェノール樹脂など)や塗装が施され、コンクリートが剥離しやすく、繰り返し使えるように作られています。耐水性の高い接着(JASでいうところの耐水性のある等級)を用いるのが一般的です。一方、内装下地に使う「構造用合板」や「普通合板」とは用途も仕様も異なります。なお現場では、合板類をひとまとめに「コンパネ」と呼ぶ俗用もありますが、厳密には「型枠用合板」が正しい意味です。

現場での使い方

コンパネという言葉は、型枠工事の場面はもちろん、内装現場でも「養生板」「作業台天板」「仮設の当て板」などの文脈で多用されます。ただし、仕上げ材の下地にそのまま使うのは原則おすすめしません(塗装・接着が乗りにくい、室内環境基準の適合が不明などの理由)。用途に応じて合板の種類を使い分けるのがポイントです。

言い回し・別称

  • 型枠用合板(これが正式)
  • 茶コンパネ(フィルムが茶色のもの。フィルムフェイス型枠合板)
  • 白コンパネ/塗装コンパネ(片面または両面塗装品を指す俗称)
  • フィルムコンパネ(フィルム貼りの型枠用合板の通称)
  • ベニヤ(合板全般の俗称。厳密には「コンパネ」=型枠用、「ベニヤ」=普通合板という使い分けが望ましい)

使用例(現場の言い回し)

  • 「床、動線だけコンパネ敷いて養生しといて。」
  • 「この立ち上がりの型枠、茶コンパネで回して端部はシールしといて。」
  • 「作業台の天板、コンパネ15ミリに替えてたわみ防止しよう。」

使う場面・工程

  • 型枠工事:基礎・壁・スラブなどのコンクリート打設用の型枠面材として。
  • 内装・設備工事の養生:搬入動線の床・開口部の一時保護板として(滑りに注意)。
  • 仮設作業:現場作業台の天板、工具置き、当て板・スペーサーなどの仮設材。
  • 治具・テンプレート:穴位置出しの冶具、墨出しの簡易定規など。

関連語

  • 構造用合板:耐力壁・床下地など構造用途の合板。内装下地はこちらが基本。
  • 普通合板(ラワン合板・シナ合板など):仕上げ下地や家具芯材に用いる合板。
  • 針葉樹合板:スギ・マツ系の合板。下地・捨て貼りで多用。
  • OSB・MDF・PB:代替の木質ボード類。
  • 型枠・セパ・タイロッド・Pコン:コンクリート型枠の周辺部材。
  • 離型剤:コンクリートと型枠の剥離性を高める薬剤。
  • F☆☆☆☆:ホルムアルデヒド発散等級。室内使用時の目安。

コンパネの種類と仕様をおさえる

代表的な種類

  • フィルムフェイス型枠用合板(茶コンパネ):表面に樹脂フィルムを圧着。打ち放し面がきれいに仕上がり、剥離性・耐久性に優れる。表面が滑らかで塗装・接着が乗りにくい。
  • 塗装コンパネ(白・グレーなど):工場塗装で表面を保護した型枠用合板。養生や仮設にも流用される。こちらも基本は仕上げ塗装の下地には不向き。
  • 無塗装型枠用合板:サンディングのみでフィルムなし。離型は離型剤に依存。仮設用途に回しやすいが、型枠面としての再利用回数はフィルム品に劣ることが多い。
  • 片面/両面仕様:片面のみフィルム・塗装のものと、両面仕上げのものがある。用途やコストで選ぶ。

サイズ・厚み・重さの目安

  • 定尺:3×6判(約910×1820mm)が最も一般的。3×8判(約910×2430mm)、3×10判(約910×3040mm)なども流通。
  • 厚み:主に12mm、15mm、18mm。仮設養生や作業台は12〜15mm、型枠で剛性が必要な場面やスパンが長い場合は15〜18mmが使われることが多い。
  • 重さ:材種や仕様で変わるが、3×6・12mmでおおよそ10kg台前半が目安。厚くなるほど重くなる。
  • エッジシール:型枠用途では、端面からの吸水・割れを防ぐために、塗料やシーラーで端部を封止するのが一般的。

規格・マークの基礎

型枠用合板はJAS(日本農林規格)の対象製品が流通しており、等級や接着の耐水性などが表示されます。屋外やコンクリートとの接触を想定するため、耐水性の高い接着が前提です。一方で、内装の見えがかり部や恒常的に室内に残す用途では、ホルムアルデヒド発散量(F☆☆☆☆など)の要件を満たす必要が生じることがあります。型枠用合板はこの室内基準の表示がない製品も多いため、室内仕上げの下地に使う場合は「構造用合板・普通合板でF☆☆☆☆の表示があるもの」を選ぶのが無難です。

選び方のポイント(現場で迷わない判断軸)

まずは用途で切り分ける

  • コンクリートの型枠面に使う → 型枠用合板(コンパネ)を選ぶ。フィルム面の状態や剛性、再利用回数を重視。
  • 室内の下地(床の捨て貼り・壁下地など) → 構造用合板や普通合板を選ぶ。F☆☆☆☆表示や厚み、釘打ち性を重視。コンパネは原則不向き。
  • 一時的な養生板・仮設天板 → コンパネでも可。ただし滑りやすさ・重量・搬出入のしやすさを考え、養生専用品(プラベニヤ等)との使い分けを検討。

内装で使うときの注意

  • 塗装・接着の乗りにくさ:フィルム面は塗料や接着剤が密着しにくい。サンディング+プライマーでも密着保証が難しい場合がある。
  • 室内環境基準:恒常的に残す部位ではF☆☆☆☆等級が必要になることがある。型枠用合板は室内用途の等級表示がないことが多い。
  • 反り・収縮:含水による寸法変化は合板にもある。端部留めは割れやすいので下穴を推奨。

型枠用途での着眼点

  • 表面の平滑度:打ち放し仕上げの品質に直結。フィルムの種類・厚みを確認。
  • 端面処理:端部のシールが不十分だと膨れ・割れ・寿命低下につながる。
  • 反復回数:何回転使う計画かでグレードを選ぶ。丁寧な取り扱いが寿命を左右。
  • 保管環境:直射日光・雨濡れ・地面直置きは反り・黒ずみの原因。桟木で浮かせて風通し良く。

養生・仮設でのコツ

  • 滑り対策:フィルム面は滑りやすい。歩行動線はノンスリップテープや養生シートで対策。
  • 段差・つまずき防止:小口の面取り、テープでの段差養生を併用。
  • 再利用の計画:サイズを揃え、使用後は泥・粉を落として乾燥保管。端部欠けは早めに補修。

加工・施工の基本テクニック

切断(丸ノコ・ジグソー)

  • 直線切りはガイド定規を活用。裏面軽めの当て木でバリを抑える。
  • フィルム面はバリが出やすい。刃は鋭利な多刃を使い、送りを一定に。
  • 安全第一:保護メガネ・防じんマスク・耳栓。切粉はこまめに清掃。

穴あけ・ビス留め

  • 端からの縁距離は10〜15mm以上確保し、下穴を開けると割れにくい。
  • ビスは木用のコーススレッドが扱いやすい。座堀りして頭を揃えると養生で引っかかりにくい。
  • 型枠での固定は、設計・施工基準に従いピッチと締め付けを管理。

塗装・接着の可否

  • フィルム面は基本「乗らない」。どうしても塗る場合は足付け研磨+密着プライマーでも保証外になりやすい。必要なら塗装コンパネや下地専用合板に切り替える。
  • 両面テープや接着剤は、試験片での事前テストを推奨。剝離時の下地破損も考慮。

価格感・入手性

コンパネは建材店やホームセンター、資材レンタル・商社経由で広く流通しています。多くは海外(東南アジア、欧州など)からの輸入を含み、市況や為替で価格が変動します。同じ3×6・12mmでも、フィルムの質や合板のグレードで価格差が大きいのが特徴です。最新の相場は地域の建材店・販売店で確認し、用途に合わせた仕様書(厚み・片面/両面・表面仕上げ・等級)を伝えるとスムーズです。

よくある勘違い・やりがちなミス

  • 「コンパネ=合板全般」ではない:正しくは型枠用合板。内装下地は構造用合板などを使う。
  • 「防水合板だから室内でも安心」ではない:耐水接着=水に強いという意味で、室内環境基準(F☆☆☆☆)とは別。用途適合を確認。
  • 「床養生に敷けば滑らない」ではない:フィルム面は滑る。動線はノンスリップ対策が必須。
  • 「足場板の代わりにできる」ではない:荷重安全性の基準が違う。人が乗る仮設は認定資材を使用。
  • 「そのまま仕上げの下地にして塗装」も非推奨:密着不良・剥離の原因。塗装前提なら下地用合板に変更。

代替材・使い分け早見

  • コンクリート型枠の面材 → コンパネ(型枠用合板)
  • 床の捨て貼り・耐力壁下地 → 構造用合板(F☆☆☆☆表示品)
  • 家具・造作の芯材 → 普通合板(ラワン・シナなど)やMDF
  • 壁の面材で意匠重視 → シナ合板など意匠面の良い普通合板
  • 一時的な床養生 → 専用養生ボード(プラベニヤ、発泡系)、または再利用コンパネ+ノンスリップ対策
  • コスト重視の下地 → 針葉樹合板・OSB(用途・基準適合を確認)

保管・運搬のベストプラクティス

  • 平積み+桟木で通気:直置きは反り・吸水のもと。雨濡れは避ける。
  • 端面保護:角欠け防止にコーナー材や養生テープで保護。型枠用は端面シールを維持。
  • 運搬は二人以上で:3×6でも重量があり、風の影響も受けやすい。安全最優先。

現場コミュニケーションのコツ(発注・指示の言い方)

誤解を避けるには、口頭でも「用途・厚み・面の仕様」をセットで伝えるのが有効です。

  • 例1:「養生用で3×6の12ミリ、フィルム面は下向き、ノンスリップテープ併用で」
  • 例2:「打放し面用に両面フィルムの15ミリ。端部はシールして再利用前提」
  • 例3:「壁下地は構造用合板の12ミリ、F☆☆☆☆指定、ビスピッチは図面どおり」

メーカー・流通の実情と選定の勘所

型枠用合板は国内外の複数メーカー・商社から供給されており、同じ呼び名でも芯材樹種や接着、フィルムの質で性能が異なります。JAS表示や各社の仕様書で「芯材(単板厚)」「接着性能」「表面フィルムの種類・重量」「含水率の管理」を確認すると選びやすくなります。地域によって流通銘柄が変わるため、常用の建材店で「型枠面の仕上げ重視」「回転数重視」「コスト重視」など意図を伝えると、在庫や取り寄せ品から最適を提案してもらえます。

小ネタ:なぜ「コンパネ」と呼ぶの?

語源は「コンクリートパネル」の略。コンクリート工事とともに普及し、型枠用合板の代名詞的に使われるようになりました。現場では合板全般の通称としても定着していますが、前述のとおり厳密には型枠用合板を指します。用語を使い分けられると、発注ミスや施工トラブルを避けやすくなります。

トラブル回避チェックリスト

  • 用途は「型枠」「下地」「養生」のどれかを明確にしたか?
  • 厚み・サイズ・片面/両面の指定は伝えたか?
  • 室内で恒常的に使う場合、F☆☆☆☆等級の確認をしたか?
  • 滑り止め・端部シールなどの安全対策は計画に入っているか?
  • 搬入経路と保管場所の確保(平積み・通気)はできているか?

まとめ:今日から「迷わない」コンパネの使い方

コンパネは本来「コンクリート型枠用合板」のこと。現場では養生・仮設でも活躍しますが、内装下地の常用には向きません。用途で使い分け、厚み・面仕様・等級を確認し、滑りや端部の処理、安全な保管まで管理する—これだけでトラブルはぐっと減ります。次に「コンパネで」と指示が来たら、「型枠用ですか?養生用ですか?厚みは?」と一歩踏み込んで確認してみてください。言葉の定義と現場の実態を正しくつなげることが、段取り上手への最短ルートです。