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突板とは?建設現場で役立つ意味・種類・使い方まで徹底解説

  1. 突板のすべて:内装職人が教える意味・選び方・納め方
  2. 現場ワード(突板)
    1. 定義
  3. 突板の基本理解
    1. なぜ突板を使うの?(メリットと価値)
    2. 突板と似た材料との違い
    3. 構成要素と厚みの目安
  4. 突板の種類
    1. 樹種(見た目の違い)
    2. 製法(カット方式)
    3. マッチング(柄合わせの方法)
  5. 現場での使い方
    1. 言い回し・別称
    2. 使用例(現場での具体的な会話3つ)
    3. 使う場面・工程
    4. 関連語
  6. 施工のポイントと手順
    1. 1. 材料選定(樹種・基材・厚み)
    2. 2. 目方向・マッチングの確定
    3. 3. 接着と圧締(プレス)
    4. 4. 小口の納まり
    5. 5. 研磨と塗装(仕上げ)
    6. 6. 養生・保護
  7. 品質・不具合対策
    1. よくあるトラブルと原因
    2. 現場チェックリスト(短時間で効く要点)
  8. メンテナンスと長持ちのコツ
  9. コストと発注のコツ
  10. 環境・安全・規格の基礎知識
  11. 用途別おすすめの考え方(実践ヒント)
    1. 建具(フラッシュ戸・親子扉など)
    2. 造作家具(扉・側板・天板)
    3. 壁面パネル(エントランス・ラウンジ)
  12. よくある質問(Q&A)
    1. Q1. 突板はどれくらいの厚みですか?研磨しても大丈夫?
    2. Q2. 無垢と突板、どちらが良い?
    3. Q3. キッチンまわりでも使えますか?
    4. Q4. 色ムラや節は不良ですか?
    5. Q5. 紫外線で焼けますか?
  13. 現場で失敗しないコツ(プロの実感)
  14. 用語ミニ辞典(突板まわり)
  15. まとめ:突板を使いこなせば、空間の格が一段上がる
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突板のすべて:内装職人が教える意味・選び方・納め方

「突板って何? メラミンや無垢材と何が違うの?」——内装の図面や見積書に急に出てくるこの言葉に、戸惑う方は多いはずです。この記事では、建設内装の現場で日常的に使われる「突板(つきいた)」について、初心者にもわかりやすく、現場目線で丁寧に解説します。意味や種類の違い、使いどころ、施工のコツ、よくある失敗まで一通り押さえれば、材料選定や打合せで迷いが減り、仕上がりもトラブルもぐっと良くなります。

現場ワード(突板)

読み仮名英語表記
つきいた(突き板/突板)wood veneer(veneer)

定義

突板とは、天然木をごく薄く(おおむね0.2〜0.6mm程度)スライスした「化粧単板」を、合板・MDF・パーティクルボードなどの下地材に貼り付け、表面に本物の木目を見せる仕上げ材のことです。見た目や触感は「無垢木」に近く、材料コストや寸法安定性は「板材(合板・MDFなど)」のメリットを活かせるため、建具や造作家具、壁面パネルなどで広く用いられます。なお、日常会話で「ベニヤ」と呼ばれることがありますが、これは本来「単板(veneer)」や「合板」の俗称で、突板仕上げと混同されがちなので注意が必要です。

突板の基本理解

なぜ突板を使うの?(メリットと価値)

突板最大の価値は「本物の木の表情を、安定した材料で、合理的なコストで実現できる」点です。

  • 意匠性:天然木ならではの色味・杢(もく)が出る。経年で味が出る。
  • コスト:無垢板より材料費・歩留まりの点で有利。大面積でも均一に仕上げやすい。
  • 寸法安定:芯材(合板・MDF)の動きが小さく、反りや割れが起きにくい。
  • 環境配慮:薄くスライスするため、資源の有効活用につながる。

一方、注意点として「サンディングしすぎると下地が出る」「紫外線や水分で変色・白化が起きやすい」「無垢のような深い再研磨は難しい」などが挙げられます。

突板と似た材料との違い

  • 無垢材:丸太から切り出した一枚板。風合いは豊かだが、反り・割れ・コストの課題がある。
  • 化粧合板(天然木突板合板):突板を表面に貼った合板。工場貼りで品質が安定。
  • メラミン化粧板:樹脂の硬い化粧板。耐久・耐汚染性は高いが、木のリアル感は突板に劣る。
  • オレフィン・塩ビシート:木目柄の樹脂シート。コスト・メンテは良いが、天然木の深みは弱い。
  • 単板(ベニヤ):突板そのもの(貼る前の薄板)。現場では突板=単板と呼ぶ場合も。

構成要素と厚みの目安

一般的な構成は「突板(0.2〜0.6mm)+接着層+芯材(MDFや合板等)+バランス材(裏面)」です。裏面に薄い単板を貼って「バランス貼り」を行うのが反り対策の定石。突板厚が0.5mm前後の場合、研磨代はごくわずかで、ペーパーは240〜320番程度から慎重にかけるのが安全です。

突板の種類

樹種(見た目の違い)

  • オーク(ナラ):力強い導管と虎斑。カジュアル〜重厚まで幅広く使える。
  • ウォールナット:濃色で高級感。モダン・ホテルライクに好相性。
  • メープル:淡色で緻密。明るく清潔感のある空間に。
  • チェリー:赤味のある経年変化が魅力。上品な雰囲気。
  • チーク:油分が多く耐久的。落ち着いた高級感。
  • アッシュ、バーチ、マホガニーなども定番。

同じ樹種でも切り出し方で表情は大きく変わります。試験板(サンプル)で色味や杢の出方を必ず確認しましょう。

製法(カット方式)

  • スライス(平削り):年輪に対して平行に薄くスライス。板目・柾目が明確で、家具・建具に多用。
  • ロータリー(丸剥ぎ):丸太を回転させながら剥く。大判が取りやすく、柄は連続的で個性的。
  • ソーン(挽き割り・厚単板):やや厚め(1mm以上)に製材。研磨代や耐久性が増すがコストは上がる。

マッチング(柄合わせの方法)

  • ブックマッチ:ページをめくるように左右対称に貼る。連続感とリズムが出る。
  • スリップマッチ:同方向に順送りで貼る。落ち着いた連続性。
  • ランダム/ミスマッチ:意図的に揃えず貼る。ラフで自然な印象。
  • センターバランス:中心から左右対称に展開。大型面の意匠で使う。

図面指示に「縦目・横目」「目地位置」「マッチング指定」がある場合は、割付図で最終確認すると錯誤が減ります。

現場での使い方

言い回し・別称

  • 呼び方:突板/突き板/ツキ板/化粧単板
  • 関連呼称:突板合板(=表面が突板の化粧合板)、天然木化粧合板、バランス貼り、木口テープ
  • 口慣用:目(木目)を通す/目を寝かす/柄合わせ/ブックで取る/縦目で拾う

使用例(現場での具体的な会話3つ)

  • 「この袖壁、表はオーク突板で縦目、裏はバランス単板で反り止め入れて。」
  • 「カウンターはウォールナット突板合板で。木口は無垢の縁貼って一体に見せよう。」
  • 「建具はスライスのブックマッチ指定ね。サンプル通りの濃色に着色して、クリアは艶消しで。」

使う場面・工程

  • 使う場面:造作家具(扉・側板・天板)、建具(フラッシュ戸・扉框の面材)、壁面装飾パネル、カウンター笠木、収納扉など
  • 工程の流れ:樹種・柄の選定 → 基材決定(MDF/合板) → マッチング・目方向の打合せ → 加工・プレス → 小口処理 → 取付 → 塗装・クリア仕上げ → 養生・引渡し

関連語

  • 木目方向(縦目/横目)、目合わせ、割付、ブックマッチ/スリップマッチ
  • バランス貼り(裏単板)、フラッシュ構造、框(かまち)、小口(こぐち)
  • 化粧合板、メラミン化粧板、オレフィンシート、JAS、F☆☆☆☆(ホルムアルデヒド放散等級)

施工のポイントと手順

1. 材料選定(樹種・基材・厚み)

用途と求める意匠、予算に合わせて選定します。家具の扉や建具ならMDF芯がフラットで塗装肌も安定。重量を抑えたい場合は合板芯が有利。厚みは反りに強いバランスを意識し、片面突板なら裏面もバランス材を貼る前提で計画しましょう。

2. 目方向・マッチングの確定

縦目は高さ方向に伸びやかな印象、横目は幅方向に広がりを感じます。空間のスケールに合わせて選択。大面積で扉が連続する場合は、隣り合う面同士で木目を通すと高級感が出ます。割付図で「どこからどこまでが一枚の流れか」を可視化して確認します。

3. 接着と圧締(プレス)

工場ではホットプレスまたはコールドプレスで均一に加圧・養生します。現場接着(突板シート貼りなど)の場合は、吸い込みムラを抑えた下地調整、適正塗布量、オープンタイム厳守、ローラー圧着が要点。接着剤はF☆☆☆☆相当のものを選び、温湿度管理を徹底します。

4. 小口の納まり

  • 木口テープ(突板テープ)で見切り:コスト・施工性に優れ、色合わせが鍵。
  • 無垢縁貼り:耐久・高級感は高いが、含水変化に注意。事前に含水率や仕口を検討。
  • 役物(見切り材)で押さえる:金物で保護しつつ意匠を整える。出隅の欠け防止に有効。

5. 研磨と塗装(仕上げ)

サンディングは目に沿って軽く行い、突板を抜いてしまわないように注意(抜け=下地露出)。塗装はクリア(ウレタン・アクリル・UV等)が一般的。艶は3分艶〜艶消しが自然で人気。着色は試験片で色決めをし、ロット差を吸収。現場では塗装順序(シーラー→研磨→トップ)と乾燥時間の管理が仕上がりを左右します。

6. 養生・保護

引渡しまでの養生が品質を決めます。保護シートは低粘着を選び、粘着剤の移行や日焼けムラに注意。水分・溶剤の飛散防止、出隅の角当て養生、直射日光の遮蔽を徹底しましょう。

品質・不具合対策

よくあるトラブルと原因

  • 突板の抜け(下地が出る):過研磨、角の当てすぎ、突板厚みの見誤り。
  • 剥がれ・浮き:接着剤不足、圧締不足、オープンタイム不遵守、施工時の温湿度不良。
  • 反り:片面のみの貼り、裏のバランス不足、芯材の含水率差、取付環境の急変。
  • シミ・白化:水分付着、溶剤の相性不良、日射によるクリアの劣化。
  • 色ムラ・柄ムラ:ロット混在、目合わせ指示の不足、着色の吸い込みムラ。

現場チェックリスト(短時間で効く要点)

  • 材料確認:樹種・マッチング・目方向・ロットの統一が取れているか。
  • 反り対策:裏面のバランス貼りの有無、保管時は平置きで反りを出さない。
  • 小口の保護:運搬・据付時に角養生、当て傷防止材の準備。
  • 塗装テスト:本番前に端材で発色・艶・密着を確認。
  • 環境管理:施工・乾燥時の温湿度を記録。直射日光は避ける。

メンテナンスと長持ちのコツ

日常は乾拭きまたは固く絞った布で拭き、アルコール類は多用しない。水染みは早めに拭き取り、熱い鍋やケトルの直置きを避ける。紫外線で退色しやすい場所はカーテンやUVカットフィルムで対策。クリア塗膜が摩耗してきたら、早めの再クリアで突板本体へのダメージを防ぎます。深い傷は補修用ワックスやピース木で目立ちにくくできますが、突板が薄い場合は無理に削らないのが原則です。

コストと発注のコツ

  • コスト要因:樹種の希少性、突板の厚み、マッチング指定の有無、面積、着色や艶の指定、小口の納まり(無垢縁は上がる)。
  • 見積のポイント:樹種・目方向・面積の算定根拠、裏バランスの有無、塗装仕様、サンプル支給の可否を明確に。
  • 歩留まり:大版で柄を通す指定は端材が増えやすい。割付を工夫してロスを抑える。
  • 納期:突板の取り寄せやプレス工程が必要。他材より前倒しで手配する。

環境・安全・規格の基礎知識

室内空気質の観点から、芯材・接着剤はホルムアルデヒド放散量が最も少ない等級(JAS表示でF☆☆☆☆相当)を選ぶのが一般的です。現場では換気を確保し、粉じん対策としてマスクや集じん装置を使用。可燃性溶剤の扱いに注意し、保管・使用は安全データシート(SDS)に従います。木材は自然素材ゆえに色差や節・杢の個体差があるため、仕様書には「許容範囲」を明記しておくとトラブル回避に有効です。

用途別おすすめの考え方(実践ヒント)

建具(フラッシュ戸・親子扉など)

MDF芯に突板貼り+裏バランスで反りを抑え、重量と剛性のバランスを取ります。縦目で高さを強調し、ブックマッチで節度ある表情に。把手周りは下地を入れて剛性を確保。

造作家具(扉・側板・天板)

扉は目を通して高級感を演出。天板は熱や水に触れやすいので、クリア塗装を厚めに、または使用条件によってメラミン化粧板に切り替える判断も。小口は無垢縁で耐久性と質感を上げると綺麗に納まります。

壁面パネル(エントランス・ラウンジ)

大面積は割付計画が命。中央基準でシンメトリーにするか、端基準で連続性を優先するかを決め、照明の当たり方(グレージング)も含めてモックアップで確認しましょう。

よくある質問(Q&A)

Q1. 突板はどれくらいの厚みですか?研磨しても大丈夫?

A. 一般的には0.2〜0.6mm程度です。下地が出るリスクがあるため、現場での過研磨はNG。下地調整を丁寧に行い、研磨は軽く・均一にが基本です。

Q2. 無垢と突板、どちらが良い?

A. 目的次第です。風合い重視・経年変化を楽しむなら無垢、寸法安定とコスト・施工性のバランス重視なら突板が有利。天板の耐久性重視ならメラミンも選択肢です。

Q3. キッチンまわりでも使えますか?

A. 使えますが、水・油・熱に配慮が必要。突板天板なら塗装グレードを上げ、鍋敷きやコースター併用を推奨。扉や側板は問題なく使われます。

Q4. 色ムラや節は不良ですか?

A. 天然木由来の個体差は「味」として許容されることが多いです。許容範囲は契約・仕様書で事前合意し、サンプルと現物の差異はモックアップで確認しましょう。

Q5. 紫外線で焼けますか?

A. 多少の退色・飴色化は避けられません。UVカット塗装や窓のフィルム、レイアウトで直射を避けると変化を緩やかにできます。

現場で失敗しないコツ(プロの実感)

  • 「裏も貼る」:片面貼りは反りのもと。バランス貼りは原則です。
  • 「目方向の統一」:扉列やパネル連続は、縦横・ブック/スリップの指定を最初に固める。
  • 「端部が命」:角は欠けやすく、最初にダメになります。小口の納まりと養生を最優先。
  • 「塗装で決まる」:同じ突板でも塗装で別物になります。艶・色・手触りは試験で握る。
  • 「サンプル≠現物」:ロット差は必ず出ます。モックアップで合意を可視化。

用語ミニ辞典(突板まわり)

  • 化粧単板:突板そのもの(貼る前の薄板)。
  • 化粧合板:表面に突板などの化粧材を貼った合板の総称。
  • フラッシュ構造:枠組みに面材を貼った軽量なパネル構造(建具や家具扉で多用)。
  • 木口(こぐち):板の厚み側の面。テープや無垢縁で仕上げる。
  • バランス貼り:裏面にも単板を貼って反りを抑える施工。
  • 杢(もく):木目に現れる模様。虎斑・玉杢・縮み杢など。
  • JAS・F☆☆☆☆:ホルムアルデヒド放散量などの規格・等級表示。

まとめ:突板を使いこなせば、空間の格が一段上がる

突板は「本物の木の表情」と「施工・コストの合理性」を両立できる、内装では非常に使い勝手のよい材料です。選定段階で樹種・目方向・マッチング・小口納まりを固め、バランス貼り・接着・塗装・養生という基本を丁寧に守れば、仕上がりも耐久性も安定します。迷ったら、割付図と実物サンプルで目合わせを行い、関係者全員のイメージをそろえるのが近道。この記事が、突板に対する不安を解き、現場でも安心して使いこなす一助になればうれしいです。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

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