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面材とは?種類・用途・選び方をわかりやすく解説【現場で役立つ基礎知識】

面材の意味を現場目線で解説|種類・役割・選び方とプロの使い回し

「面材(めんざい)って、結局なにを指しているの?」と戸惑う方は多いはず。図面や現場の会話で当たり前のように飛び交うのに、誰もわざわざ定義してくれない——そんな“現場ワード”の代表格が面材です。本記事では、内装現場で日常的に使われる面材の意味から、種類、選び方、施工のコツ、そして職人同士の言い回しまでを、はじめての方にもわかりやすく実務目線でまとめました。読み終える頃には、「面材ってそういうことか」と自信を持って会話に入れるはずです。

現場ワード(面材)

読み仮名めんざい
英語表記panel material / facing material(panel, sheet material などの総称)

定義

面材とは、壁・天井・家具などの「平らな面(プレーン)」を作る板状の材料の総称です。石膏ボード、ケイ酸カルシウム板、合板、MDF、化粧板、金属パネル、樹脂パネル、ガラス等、素材は問いません。枠や下地に取り付けて面を形成する「板もの」を広く指し、角材・鋼材などの線状材料(線材)や、見切り材・巾木・笠木・モールなどの付属部材(役物)とは区別されます。仕上げ材として見える面を構成する場合もあれば、クロスや塗装の下地として見えなくなる場合も含まれます。

面材の種類と特徴

代表的な素材カテゴリ

面材は用途・性能・仕上げ方法に合わせて多様です。内装でよく使う代表例を素材別に整理します。

  • 石膏ボード(PB):壁・天井の下地の定番。不燃で加工しやすく、クロスや塗装下地に向く。厚みは9.5mm・12.5mmが一般的。
  • ケイ酸カルシウム板(ケイカル板):不燃・耐湿に優れ、湿気の多い部位や準外部に。塗装仕上げやタイル下地にも使う。
  • セメント系ボード(繊維強化セメント板など):耐水性・耐久性が高く、外装や水回りの下地・仕上げに採用されることが多い。
  • 木質系(合板・MDF・パーティクルボード):造作や家具の面材、下地、化粧仕上げのベースに。ビスの保持力に優れ、加工性が高い。
  • 化粧板(メラミン化粧板、突板化粧合板、オレフィン・塩ビ化粧板):家具・建具・造作カウンターなどの見える面。耐汚染・耐擦傷・意匠性を重視。
  • 金属パネル(アルミ・スチール・ステン):意匠性・耐久性・不燃性を活かす。エントランス、設備室、病院などで使用例。
  • 樹脂パネル(PVC・FRPなど):軽量・耐水・清掃性を活かして水回りや食品工場などに。
  • ガラス・セラミック系:意匠性、清掃性、耐薬品性を重視する特殊用途に。

寸法と厚みの目安

流通性・施工性から、いわゆる「3×6=910×1820mm」や「3×8=910×2420mm」等の定尺が基本です。長尺(910×2730/3030mm)や1000幅の製品も一般的。厚みは用途で選び、石膏ボードなら9.5/12.5mm、ケイカル板は6〜12mm、合板は5.5/9/12/15mmなどがよく使われます。強度・耐火・遮音・取合い寸法により選定します。

性能で選ぶときの観点

  • 防火性能:不燃・準不燃・難燃の区分と認定番号の有無(建築基準法に適合)。
  • 耐湿・耐水:浴室周りや厨房、準外部は耐湿タイプやセメント系を選ぶ。
  • 強度・ビス保持力:手すり・棚の取付予定がある面は下地補強や木質系を検討。
  • 遮音・吸音:間仕切りは石膏ボード二重貼りや吸音面材の活用。
  • 仕上げ適性:クロス・塗装・直貼り化粧のいずれに適するか(パテ性状・表面平滑性)。
  • 環境・健康:ホルムアルデヒド発散量区分(F☆☆☆☆等)、VOC配慮。

用途と選び方(部位別の考え方)

壁・天井(居室・オフィス・店舗)

基本は石膏ボードで面を作り、クロスや塗装で仕上げます。軒裏や湿気の多い部位はケイカル板、意匠壁は化粧板や金属パネル等に置き換えます。遮音が必要な間仕切りは二重貼りや、ボード厚み増し+吸音材充填で性能を確保します。

水回り(トイレ・洗面・厨房)

耐湿・清掃性がポイント。ケイカル板やセメント系ボードを下地にして塗装、パネル直貼り、タイル仕上げなどを選択。目地には防カビ・防水のシーリング処理を徹底します。

造作・家具・建具

平滑性とエッジの美観が重要。基材はMDFや合板、仕上げはメラミン化粧板や突板化粧合板、オレフィンシートなどが定番です。耐擦傷や耐熱など使用環境も加味して選びます。

規格・法規の基礎知識

面材の選定では、設計図・仕上表に加え、法規と製品仕様の整合が欠かせません。

  • 防火材料の区分:不燃・準不燃・難燃のいずれか。必要部位では国土交通大臣認定などの番号を確認。
  • ホルムアルデヒド規制:F☆☆☆☆等級であれば使用面積制限なし。接着剤・下地材も含めて総合的に管理。
  • JIS・製品規格:石膏ボード(JIS A 6901 等)ほか、各製品の規格・施工標準を確認。

施工の基本ポイント

搬入・保管

面材は反りやすく、水濡れに弱いものもあります。平置き・パレット上で水平保持、直射日光・高湿を避け、端部の欠けを防ぐ養生を行います。長尺は二人以上で搬送し、角を守ります。

取り付け(例:LGS下地+石膏ボード)

  • 墨出しと下地確認:割付、開口補強、胴縁・間柱ピッチを事前に整合。
  • 留付ビス:仕様書に従う(例:周辺部@150mm、中央部@200mm程度が目安。必ず製品・現場仕様を優先)。
  • 目地のずらし:隣り合う列・両面で目地をずらし、強度とクラック抑制。
  • ジョイント処理:下地処理はテープ併用(紙・ファイバー)+パテ2〜3回で平滑に。
  • 出隅・入隅:コーナービードやコーナーテープの採用で耐久性・直線性を確保。

開口部・荷重部の補強

手すり・棚・TV金物などが付く位置は、事前に合板下地や補強材を仕込むのが鉄則。後追いで効かないケースが多いので、仕上前に段取りします。

防火・防湿の留意点

防火区画に関わる面材は仕様厳守(貼り枚数・厚み・ビスピッチ・目地処理など)。湿気に晒される部位は耐湿材と防水シール、通気や防露も合わせて検討します。

現場での使い方

言い回し・別称

  • 「面材」「板もの」「パネル」「板(いた)」:状況で言い換え。厳密には面材が最も広い総称。
  • 「PB」:Plaster Board=石膏ボードの略。面材の一種。
  • 「ケイカル」:ケイ酸カルシウム板の略。不燃板として通称。
  • 「化粧板」:見える面に使う化粧仕上げの板(メラミン等)。

使用例(会話のリアルな3パターン)

  • 例1:「ここの面材はPB12.5二重で、開口周りだけ合板下地入れておいて。」(壁面の仕様と補強の指示)
  • 例2:「水がかかるから、面材はケイカルに切り替え。取合いはシールで納めよう。」(耐湿配慮と納まりの判断)
  • 例3:「意匠壁の面材はメラミン直貼り。下地はパテ拾いしっかりね。」(化粧板仕上げと下地品質の注意)

使う場面・工程

  • 下地組み後の「ボード張り工程」:壁・天井の面を作る中心作業。
  • 造作・家具の「箱物組み」:側板・背板・扉など、面材の精度が仕上がりを左右。
  • 仕上げ前の「パテ・研磨」:面材のジョイント処理で最終の平滑性を確保。

関連語と違い

  • 線材:ランナー、スタッド、胴縁など、棒状の材料。面材の下地骨組みを構成。
  • 役物・見切り材:コーナー材、巾木、廻り縁、笠木など、納まり・保護のための部材。
  • 仕上げ材:クロスや塗料、タイルなど。面材の上に施工される「仕上げ」そのもの。
  • 面取り:角のエッジを落とす加工のこと。「面材(板)」の“面”とは意味が異なるので注意。

よくある疑問Q&A

Q. 面材と石膏ボード(PB)は同じ?

A. PBは面材の一種です。面材は「板状で面を作る材料」全般を指します。

Q. 面材=仕上げ材ですか?

A. 仕上げになる面材(化粧板・金属パネル等)もあれば、仕上げの下地になる面材(PB・合板等)もあります。図面の「仕上表」でどちらかを確認しましょう。

Q. 厚みはどう決める?

A. 強度・防火・遮音・取り合い寸法で決まります。例えば遮音ならPB二重貼り、手すりが付くなら合板下地+十分な厚み、という具合に目的から逆算します。

Q. LGSと木下地で面材は変えるべき?

A. 施工性やビスの保持力、湿度条件に応じて選びます。LGSはPBが基本、荷重が見込まれる面には合板下地を併用、湿気が多い部位はケイカル・セメント系などが安心です。

メーカー・ブランドの代表例(用途の目安)

面材は各社から多彩に出ています。現場での選定時に名前が挙がりやすい代表例を用途とともに挙げます(採用時は最新カタログ・認定情報を必ず確認してください)。

  • 吉野石膏:石膏ボードの国内大手。一般PBから耐火・遮音タイプまでラインアップ。
  • チヨダウーテ:住宅・内装向けの石膏ボードメーカー。調湿・吸音などの機能品も展開。
  • ニチアス:ケイ酸カルシウム板など不燃建材に強み。耐熱・耐湿分野で実績。
  • アイカ工業:メラミン化粧板やポストフォームカウンターなど、造作・家具の化粧面材で定番。
  • 大建工業:内装建材全般。吸音パネルや壁天井材、化粧面材のバリエーションが豊富。
  • 永大産業:化粧合板・造作材・建具など、住宅・非住宅の意匠面材を展開。
  • ニチハ:繊維強化セメント系の外装パネル(サイディング)で知られる。外装の面材に。
  • ケイミュー(KMEW):窯業系外装材の大手。外部の面材・軒天材などで採用例が多い。

見積・発注・段取りのコツ

  • サイズ取り都合:定尺(3×6、3×8等)での歩留まりを想定し、ロスを抑える割付に。
  • 数量算出:面積+端材ロス(一般に数%上乗せ)で見積。現場の加工難度や欠損リスクも加味。
  • 搬入計画:エレベーター寸法・搬路の柱間を事前確認。長尺は階段搬入が難しい場合あり。
  • 後施工を減らす:補強下地の位置を図面・墨で明確化し、先行して仕込む。
  • 外注・工場加工:化粧板貼りや曲げ・穴あけ加工は、精度重視なら工場対応も検討。

品質・安全(現場で外せない基本)

  • 粉じん対策:切断時は集じん・保護具(マスク・ゴーグル)。特にセメント・ケイカル系は粉じんが出やすい。
  • 端部保護:運搬・立て掛けで角欠けが起こりやすい。コーナーガードや面当てを活用。
  • ビス浮き・目地割れ防止:下地の通り、含水変化、テープ+パテの養生時間を守る。
  • 不燃区分の維持:認定仕様は「厚み・貼り枚数・下地・仕上げ」まで含めて一体で性能が出る。代替時は必ず設計者承認。

面材と納まりの基本発想

面材は「平面をどの順番で、どの精度で作るか」が肝です。先行・後行の取り合い(床・天井・サッシ・設備)を読み、目地位置を統一。出隅は保護、入隅は逃げを確保するなど、仕上がりをイメージして部材選定と施工順序を決めましょう。面材が決まると、ビス・ジョイント・下地補強・目地・見切りが連動して決まります。

用語ミニ辞典(面材まわり)

  • 下地(したじ):面材や仕上げを支える基礎。LGS・木軸・胴縁等。
  • 目地(めじ):面材の継ぎ目。意匠目地と機能目地(伸縮・逃げ)に分かれる。
  • 二重貼り:ボードを2層にして性能(遮音・耐火・剛性)を上げる工法。
  • GL工法:躯体に接着剤(GLボンド)でボードを直貼りする工法。乾式内装の一種。
  • 役物(やくもの):巾木・見切り・コーナー材など、納まり補助部材の総称。

初心者が失敗しやすいポイントと対策

  • 誤解:「面材=仕上げ材」だけと思い込む → 下地用も含む総称。仕上表と施工図を必ず確認。
  • 厚み不足:後から金物が付かない → 合板下地位置を事前共有し、マーキングしておく。
  • ジョイント処理の甘さ:クロス仕上げで目立つ → テープ併用・パテの乾燥時間厳守・研磨の平滑管理。
  • 耐湿不適合:水回りで膨れ・カビ → 材料の耐湿区分・シール計画・換気をセットで検討。

まとめ(面材を使いこなすコツ)

面材は「面を作る板状材料」の総称で、下地から仕上げまで幅広い素材が含まれます。選定の軸は、部位の条件(防火・耐湿・強度・遮音)と、仕上げの適性、そして納まり。現場では「PB」「ケイカル」「化粧板」といった略称が飛び交い、会話の中で自然と選定・段取りが決まっていきます。この記事のポイントを押さえ、図面・仕様書・メーカーの施工要領を照らし合わせれば、初めての現場でも迷いが減り、品質・安全・コストすべてに良い結果が出せるはずです。面材を理解することは、内装の“面”づくりそのものを理解する近道。ぜひ、次の現場で今日の知識を活かしてください。

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