石綿障害予防規則 最新改正の要点・現場で求められる実践対応をわかりやすく解説
石綿(アスベスト)に関する規制は頻繁に改正されており、「何から始めればいいのか分からない」「どこまで何を記録保存すればいいの?」「健康診断や作業主任者の対応は?」など、初心者の方は不安や疑問を抱えているのではないでしょうか。特に法改正の内容やポイントを正しく理解しないまま工事や管理を進めてしまうと、重大な法令違反や健康被害のリスクが高まります。
この記事では、最近の石綿障害予防規則(石綿則)の改正ポイントと、現場担当者が実際に押さえておくべき変更内容・実務対応を初心者目線で丁寧に解説します。「何を」「いつ」「どのように」対応すればいいのか、分かりやすくまとめていますので、読み終わる頃には不安が解消され、自信を持って対応に着手できるでしょう。
石綿障害予防規則とは?―まず知っておくべき基礎知識
石綿障害予防規則(通称:「石綿則」)は、建築物や工作物の解体・改修工事などの現場で、石綿による健康障害を防ぐために定められた国のルールです。特に、作業員や近隣住民の健康を守る目的で、作業方法・測定・記録・作業員の健康診断・管理区域の設定など、詳細な規定が設けられています。
- 建築物、設備、機械の解体・改修・補修工事を行う場合に必須
- 対象は公共・民間問わず全ての事業者・現場担当者
- 石綿暴露による健康障害(中皮腫、肺がんなど)を未然に防ぐためのもの
2022年の大幅な法改正を含め、現場での実務対応が大きく変わっています。最新ルールをしっかり押さえましょう。
石綿則の近年の主な改正ポイント
直近10年で石綿則は何度も改正され、特に2020年・2021年・2022年の施行分が現場に大きな影響を及ぼしています。主な改正ポイントを分かりやすく解説します。
1. 石綿含有建材の規制強化
以前は「吹付け石綿」など一部のみが厳しく規制されていましたが、近年の法改正で「石綿を含有する全ての建材・製品」が対象となりました。以下が代表的な変更点です。
- 解体・改修工事前の事前調査が義務化(建築物・工作物ともに)
- 石綿含有の有無は目視・設計図だけでなく、必要に応じて分析調査も必須
- 調査結果を記録し、保存・報告義務が明文化
2. 作業環境測定の義務・頻度の見直し
石綿を取り扱う作業では、作業環境(空気中の石綿濃度)の測定が厳格化されました。
- 解体・改修作業中や管理区域内での定期的な測定が必要
- 測定頻度は作業内容・発じんの程度により異なる(例:原則1日1回以上、要件により増)
- 測定結果を記録・保存する必要あり
初心者の方は「測定忘れ」や「記録不備」に注意しましょう。
3. 記録の保存期間・方法の明確化
石綿則の改正で、調査・作業・測定などの全ての記録の「保存期間」「保存方法」が明確になりました。
- 記録保存期間は原則30年(健康障害は長期に現れるため)
- 紙だけでなく、電子データでの保存も可
- 保存場所・管理者を明確にし、不要な廃棄・紛失を防ぐ
万が一のトラブル対応や監督署の調査時に重要な証拠となりますので、慎重に管理しましょう。
4. 健康診断の実施・診断項目の拡充
石綿作業に従事する作業員には、健康診断の実施が徹底されています。法改正により、以下の点が強調されました。
- 作業前および作業後に、医師による健康診断を実施することが義務化
- 検査項目には胸部X線、呼吸機能検査などが含まれる
- 診断結果の記録・保存(30年間)が必須
- 異常があれば、作業内容の変更や精密検査の実施が必要
「健康診断って何をどこまでやればいいの?」という疑問も、上記を押さえておきましょう。
5. 作業主任者の資格・講習要件の厳格化
石綿作業現場では、「石綿作業主任者」の選任が原則義務です。改正により、以下が明確になっています。
- 主任者は所定の講習を修了した有資格者であること
- 主任者の資格取得講習のカリキュラムが拡充
- 主任者は現場ごとに1名以上配置し、現場管理や作業監督を行う
- 主任者名・資格証の現場掲示が望ましい
「主任者の資格ってどう取るの? どんな役割?」と不安な方も、講習の受講から現場での実際の業務まで把握しておきましょう。
6. 管理区域の設定・標識の義務付け
石綿作業を行う場所では、作業区域(管理区域)の明確な設定と標識表示が義務化されました。
- 石綿作業現場は「管理区域」とし、立入禁止などの標識表示を明確に設置
- 境界を明示し、一般作業員や第三者の立ち入りを厳格に管理
- 区域内外で空気中石綿濃度が基準値を超えないよう換気・防じん対策を徹底
標識の例や設置場所、管理方法が細かく規定されているため、現場チェックリストで確認してから作業を始めましょう。
【現場対応】石綿則改正で押さえるべき具体的実務チェックポイント
法令順守だけでなく、現場で実際に「どう対応するか」が大切です。ここでは作業環境・測定・記録・健康診断・主任者・管理区域設定について、具体的なチェックリスト形式で解説します。
1. 事前調査・記録保存の進め方
- 解体・改修前に必ず石綿含有建材の有無を調査(必要に応じてサンプリング・分析)
- 調査結果は書面または電子データで記録
- 調査記録は30年間保存(施工管理者・元請が管理)
- 自治体や労働基準監督署への報告も忘れずに
2. 作業環境測定と頻度管理
- 作業開始前に作業環境測定士による測定を実施
- 作業中も定期的(原則1日1回以上)に測定し、記録する
- 測定結果が基準(0.1本/cm³)を超えた場合は、作業の中断や換気強化が必要
- 測定結果の記録・保存も30年間
3. 健康診断の実施・記録
- 作業前・従事期間中・作業後に法定健康診断を受診
- 診断内容:胸部X線・呼吸機能・問診など
- 異常があれば、作業内容の見直しや精密検査手配
- 診断結果の記録・30年保存
4. 作業主任者の資格確認・現場配置
- 主任者は厚生労働省認定の講習受講・資格取得者から選任
- 現場ごとに主任者を1名以上配置し、職務を明確に
- 主任者の資格証・選任状を現場に掲示
- 主任者が作業手順・安全対策を現場全体に周知する
5. 管理区域の設定と標識掲示
- 石綿作業エリアを「管理区域」として明示し、立ち入りを制限
- 「石綿作業中」「立入禁止」等の標識を入口・境界線に掲示
- 区域外への飛散防止のため、防じん・換気設備の点検・運転
6. 記録保存・管理の注意点
- 調査・測定・健康診断・主任者選任など、全記録を30年間保存
- 紙・電子どちらでもOKだが、消失・改ざん・廃棄しないよう厳重管理
- 保存先担当者を明確化、万が一の際にすぐ提出できる体制を整える
石綿則改正におけるよくある疑問とその解消法
Q1. どんな建物・工事が対象になるの?
原則として、1980年代以前に建てられた建物・工作物(住宅、ビル、工場、学校、橋梁など)は、石綿含有建材が使われている可能性が高く、解体や改修時には全て石綿則の規制対象となります。最近の建物でも一部使用例があるため、必ず専門家による事前調査が必要です。
Q2. 健康診断で何を診てもらえばよい?費用は?
石綿作業従事者の健康診断には「胸部X線」「呼吸機能検査」「問診」が必須項目です。費用は医療機関や地域により異なりますが、会社負担が一般的です。不明な場合は産業医や専門の医療機関に相談しましょう。
Q3. 記録保存は電子だけでも大丈夫?
法令上は電子データ保存も認められていますが、消失や改ざん・故障リスクを考慮し、定期的なバックアップやクラウド利用を推奨します。万一の時に速やかに提出できるよう、保存体制も整えましょう。
Q4. 作業主任者の資格取得はどうやるの?
全国の労働局認定団体が開催する「石綿作業主任者技能講習」を受講し、修了証を取得することで主任者資格が得られます。1〜2日の講習で、筆記試験や実技指導があります。詳細は各都道府県の安全衛生協会等で確認できます。
Q5. 管理区域の標識はどんなもの?どこに掲げればいい?
「石綿作業中」「関係者以外立入禁止」と大きく表示した看板や標識を、作業区域の全ての入り口や外周に取り付けます。見やすさ・耐久性・設置場所を考慮し、風や雨で飛ばされたり隠れたりしないよう固定しましょう。
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まとめ:石綿則改正は“正しく知って、着実に対応”が安心への近道
石綿障害予防規則の改正内容は複雑で戸惑うことも多いですが、押さえておくべきポイント(作業環境測定、記録保存、健康診断、主任者の配置、管理区域の設定と標識など)を一つずつ確実に対応すれば、違反リスクや健康被害の不安を大きく減らすことができます。初心者の方も、「何をどう進めれば安心か」が明確になれば、もう怖くありません。
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