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蝶番とは?種類・選び方・取り付け方をプロが徹底解説【建設内装現場で役立つ基礎知識】

  1. 現場の「蝶番」をやさしく解説—種類・名称・選び方・取り付けのコツまで【内装職人が基礎から】
  2. 現場ワード(蝶番)
    1. 定義
  3. 蝶番の基礎知識
    1. 「丁番」「蝶番」「ヒンジ」は何が違う?
    2. 主な種類と用途
  4. 蝶番の選び方(失敗しない基準)
    1. 1. 扉のサイズ・重量と枚数
    2. 2. 扉の納まり(全かぶせ/半かぶせ/インセット)
    3. 3. 材質と仕上げ(環境に合わせる)
    4. 4. 機能(ソフトクローズ/自閉/着脱性/調整範囲)
    5. 5. 右勝手・左勝手
    6. 6. 施工条件(下地・ビス・クリアランス)
  5. 取り付け方の基本(プロが押さえるポイント)
    1. 木製建具の平丁番/旗丁番
    2. スライド丁番(カップヒンジ)
    3. ピボット/フロアヒンジ
  6. 現場での使い方
    1. 言い回し・別称
    2. 使用例(現場会話・指示の言い回し)
    3. 使う場面・工程
    4. 関連語
  7. よくあるトラブルと対策
    1. 扉がこすれる・閉まりが悪い
    2. ビスが効かない・穴がバカになった
    3. 異音・きしみ
    4. ソフトクローズが効かない
  8. 現場で信頼のある主なメーカー
  9. 安全・法規の注意
  10. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 蝶番と丁番、どちらが正しい?
    2. Q. 室内ドアの丁番は何枚が基本?
    3. Q. スライド丁番のカップ径は?
    4. Q. 既存のヒンジを別メーカーに交換できる?
    5. Q. バタンと閉まる音を小さくしたい
  11. 現場で失敗しないチェックリスト
  12. まとめ:蝶番を制する者は建付けを制す
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現場の「蝶番」をやさしく解説—種類・名称・選び方・取り付けのコツまで【内装職人が基礎から】

「蝶番(ちょうつがい)って丁番と何が違うの?」「ドアや扉の金具を選ぶとき、どれを買えばいいの?」——現場でよく耳にするのに、意外と説明がむずかしいのがこの言葉。この記事では、内装のプロ目線で、蝶番の意味・種類・選び方・取り付けの基本までをやさしく整理して解説します。現場で恥をかかない用語理解から、失敗しない製品選び、トラブルの予防・対処まで、今日の作業にそのまま役立つ実践情報をまとめました。

現場ワード(蝶番)

読み仮名ちょうつがい
英語表記hinge(ヒンジ)

定義

蝶番(ちょうつがい)とは、扉・フタ・建具などを回転開閉させるための軸付き金具の総称です。日本の現場では「丁番(ちょうばん)」と書くことも多く、日常会話ではほぼ同義で使われます。意匠的に蝶の形をした飾り金具を特に「蝶番」と呼ぶ場合もありますが、建設内装分野では「丁番=蝶番=ヒンジ」という理解で差し支えありません。

蝶番の基礎知識

「丁番」「蝶番」「ヒンジ」は何が違う?

現場では以下のニュアンスで使い分けられることが多いです。

  • 蝶番(ちょうつがい):一般名。和室の箱物や意匠金具の文脈で目にする表記。
  • 丁番(ちょうばん):図面・発注書・現場会話での頻出表記。プロはこの字をよく使います。
  • ヒンジ(hinge):カタログや輸入金物、家具金物での呼び方。特に隠し丁番やスライド丁番の場面で使われがち。

機能としては同じ「回転軸金具」です。現場のコミュニケーションでは、相手がイメージしやすい言葉(丁番/ヒンジ/蝶番)を使い分ければOKです。

主な種類と用途

建設内装でよく使われる種類を用途別に整理します。

  • 平丁番(ひらちょうばん):最も基本的な板状の丁番。室内の軽い木製扉や箱物に。シンプルで安価。
  • 旗丁番(フラグヒンジ):片側が旗のような形。戸先側の取り外しがしやすく、建具の吊り込みで使います。
  • スライド丁番(コンシールド/カップヒンジ):扉側に丸いカップ穴を掘って埋め込む家具・収納用の隠し丁番。全かぶせ/半かぶせ/インセットの扉に対応し、三方向調整が可能。キッチンや洗面化粧台などで定番。
  • ピボットヒンジ:上下の軸で扉を支えるタイプ。重い扉や框の細い扉、開口部の見た目をすっきりさせたい場合に。
  • フロアヒンジ(床埋込型):ドアクローザー機能を持つ床埋込の軸受。主に店舗・共用部のガラス扉や重量扉。
  • 連続丁番(ピアノヒンジ):長尺の細い丁番。薄い扉の反りを抑えたいときや、全長にわたってしっかり支えたいときに。
  • オートヒンジ(スプリング内蔵):自閉機能をもつ丁番。小型のドアクローザー代わりに使うことがあります。
  • ダンパー内蔵ヒンジ:ソフトクローズで「バタン」を防止。住宅収納・キッチンで主流。
  • デザイン蝶番(装飾丁番):真鍮や鉄の意匠型。和洋の意匠に合わせて家具・建具の見せ場に。

現場で「家具ヒンジ」といえばスライド丁番、「建具丁番」といえば平丁番や旗丁番、「ピボット」は上下軸、「フロア」は床埋込タイプ、というイメージを持っておくと会話がスムーズです。

蝶番の選び方(失敗しない基準)

1. 扉のサイズ・重量と枚数

丁番は「どれだけの重さ・高さの扉を何枚で支えるか」で決まります。基本はメーカーの耐荷重表に合わせるのが鉄則です。一般的には、軽い室内木製扉なら2~3枚、重い扉や高い扉は3枚以上で支えるのが目安。スライド丁番も同様に枚数とピッチを仕様に従って配置します。

2. 扉の納まり(全かぶせ/半かぶせ/インセット)

家具・収納でスライド丁番を使う場合はここが最重要です。

  • 全かぶせ:扉が側板を全面的に覆う納まり。
  • 半かぶせ:左右の扉が側板を半分ずつ覆う納まり。
  • インセット:扉が内側に収まる納まり。

それぞれ対応する丁番・台座が異なるため、合わない組み合わせにすると開かない/隙間が出るなどの不具合が起きます。カタログで「対応納まり」を必ず確認しましょう。

3. 材質と仕上げ(環境に合わせる)

  • スチール(鉄):コスパ良好。室内向けの標準。
  • ステンレス:防錆性が高く、湿気の多い場所や屋外に適合。
  • 真鍮:意匠性が高く、経年変化を楽しむ家具や意匠建具に。

仕上げ(サテン、黒、真鍮色など)も内装デザインとの相性で選びます。水回りや海沿いなど腐食リスクの高い場所はステンレス推奨です。

4. 機能(ソフトクローズ/自閉/着脱性/調整範囲)

住宅やオフィスでは、ソフトクローズや三方向調整のある丁番が施工後の満足度を上げます。トイレや共用部では自閉機能(オートヒンジ)が便利なケースもあります。

5. 右勝手・左勝手

開き勝手は丁番選定の基本。扉を手前に引いて開ける位置で立ち、丁番が右にあれば右勝手、左にあれば左勝手が一般的な見分け方です。旗丁番や一部のヒンジは勝手が固定のため、発注ミスに注意します。

6. 施工条件(下地・ビス・クリアランス)

扉と枠のクリアランス(チリ)は、製品仕様と建具設計に依存します。丁番の厚み・曲げ形状で必要な隙間が変わるため、設計図とメーカー資料で事前確認。重い扉は下地補強やビスの下穴加工が必須です。

取り付け方の基本(プロが押さえるポイント)

木製建具の平丁番/旗丁番

  • 位置決め:上から一定ピッチ(例:上端から200mm前後・下端から200mm前後、中間1枚)など、設計指示や慣例に合わせて決める。
  • 彫り込み:埋め込みが必要なタイプはノミやトリマーで座板厚さに合わせて浅く掘る。面一を意識。
  • 下穴:割れ防止と保持力のため、ビス径に合わせた下穴を開ける。
  • 固定:仮止め→建付け確認→本締めの順。最初から強く締めすぎない。
  • 建付け:扉と枠のチリ、床との擦り、戸先の当たりを確認・調整。

スライド丁番(カップヒンジ)

  • カップ穴:専用の座ぐりビットでカップ径・深さを指定通りに加工。扉端からの距離も図面に従う。
  • ビス固定:扉側に丁番本体、キャビネット側に台座を取り付ける。
  • 調整:左右・前後・上下の三方向調整ネジで、面の通りと隙間を追い込む。
  • ソフトクローズ:内蔵や別体のダンパー有無を確認。複数枚扉は動きのバラつきを合わせる。

スライド丁番は「対応納まり(全かぶせ等)」「台座の高さ」「かぶせ量」といった要素が相互に関係します。メーカーの組み合わせ表を参照するのが最速・最確実です。

ピボット/フロアヒンジ

  • 芯位置:上・下の軸の芯を正確に通す。ここが狂うと開閉が重くなる。
  • 躯体固定:フロアヒンジは床下の埋設やレベル出しが重要。鉄骨・コンクリートへのアンカー計画も事前に。
  • 調整:閉じ速度、ストップ角度、左右のクリアランスを現地で微調整。

重量扉・共用部は関係者の安全に直結するため、経験者の監督下で施工し、必ずメーカー資料に従いましょう。

現場での使い方

言い回し・別称

  • 「丁番」「蝶番」「ヒンジ」:ほぼ同義。家具はヒンジ、建具は丁番と言われやすい。
  • 「旗(はた)」「平(ひら)」「スライド」「ピボット」:種類の略称。
  • 「吊元(つりもと)」「戸先(とさき)」:丁番側が吊元、反対が戸先。

使用例(現場会話・指示の言い回し)

  • 「ここは旗丁番でいこう。左右勝手、各3枚ずつで拾っておいて」
  • 「この扉は全かぶせだから、スライドヒンジは全かぶせ用。台座の高さは図面通りで」
  • 「建付け甘いね。ヒンジ側で1ミリ寄せて、戸先のチリそろえて」

使う場面・工程

  • 建具吊り込み工程:枠が立ち、床が仕上がる前後で建具を仮吊り→調整→本吊り。
  • 家具・造作据付工程:箱体設置後、扉を取り付け、調整・通り合わせ。
  • 仕上げ工程:クロス・塗装に干渉しないよう養生し、最終調整・クリーニング。

関連語

  • 台座(プレート):スライド丁番のキャビネット側部品。
  • クローザー/ドアチェック:ドアの閉まりを制御する機器。
  • かぶせ量/チリ:扉と本体の重なり・隙間の寸法概念。
  • 勝手(右/左):開き方向の指定。

よくあるトラブルと対策

扉がこすれる・閉まりが悪い

  • 原因:丁番位置ズレ、ビスの緩み、扉の反り、床レベル差。
  • 対策:ビス再固定、スライド丁番の三方向調整、上丁番の増し締め、扉反りが大きい場合は連続丁番や補強の検討。

ビスが効かない・穴がバカになった

  • 原因:下穴不適合、繰り返しの脱着、柔らかい下地。
  • 対策:埋木(堅木)+木工用接着剤で穴を補修し、乾燥後に再タッピング。重い扉は長いビスや座金で保持力を確保。

異音・きしみ

  • 原因:ピン部の摩耗、汚れ、偏荷重。
  • 対策:可動部の清掃後、少量の潤滑(樹脂・塗装を侵さないシリコン系など)を点注。垂れや飛散に注意し、拭き取りを徹底。

ソフトクローズが効かない

  • 原因:ダンパーの寿命、調整不足、扉重量の不一致。
  • 対策:調整ネジで作動域を合わせる。非対応重量の場合は丁番仕様を見直す。劣化時は部品交換。

現場で信頼のある主なメーカー

  • スガツネ工業(LAMP):日本の代表的金物メーカー。建築金物から家具金物までラインアップが広く、国内現場での採用が多い。
  • BLUM(ブルム/オーストリア):スライド丁番・引出し金物の世界的メーカー。滑らかな動きと調整性が高評価。
  • Hettich(ヘティヒ/ドイツ):家具金物大手。丁番・スライドレールともに住宅・オフィスで実績がある。
  • HAFELE(ハーフェレ/ドイツ):総合家具金物ブランド。幅広い規格とアクセサリが強み。

同じ「全かぶせ用」でもメーカーごとに寸法体系や調整量が異なるため、同一メーカーで統一するのが安全です。交換時も型番互換を必ず確認しましょう。

安全・法規の注意

  • 防火設備・特定用途の扉:認定品・指定金物以外の使用は不可。図面・メーカー指定に厳密に従う。
  • 重量扉:複数人での施工、仮設支持具の使用、指挟み防止を徹底。
  • 共用部・高頻度開閉:耐久性の高い仕様を選び、定期点検計画を立てる。
  • 引渡し前確認:開閉の軽さ、チリ、ソフトクローズ作動、ビス緩み、干渉の有無をチェックリストで確認。

よくある質問(FAQ)

Q. 蝶番と丁番、どちらが正しい?

A. 現場では同義で使われます。図面・発注では「丁番」表記が多く、家具分野や一般向け記事では「蝶番」がよく使われます。

Q. 室内ドアの丁番は何枚が基本?

A. 扉の高さ・重量で変わります。一般的な木製室内ドアでは2~3枚が目安ですが、最終判断はメーカーの耐荷重表に合わせてください。

Q. スライド丁番のカップ径は?

A. 家具用では直径35mmが広く使われていますが、薄扉向けや小型では別径もあります。扉厚と合わせて、採用製品の仕様書で確認してください。

Q. 既存のヒンジを別メーカーに交換できる?

A. 可能な場合もありますが、穴位置・かぶせ量・台座規格が異なると建付けが崩れます。同等互換の有無を型番で確認し、試し付けやスペーサーで調整するのが安全です。

Q. バタンと閉まる音を小さくしたい

A. ソフトクローズ機能付き丁番への交換、別体ダンパーの追加、クッション材の貼付などで改善します。重量・扉サイズに合った製品を選ぶことが重要です。

現場で失敗しないチェックリスト

  • 勝手(右/左)は合っているか。
  • 扉重量・サイズと丁番の耐荷重が一致しているか。
  • 納まり(全かぶせ・半かぶせ・インセット)に対応した製品か。
  • 下地補強とビスの下穴加工を行ったか。
  • チリ・通りを調整して、開閉がスムーズか。
  • 可動部に干渉物や鋭利なエッジがないか。

まとめ:蝶番を制する者は建付けを制す

蝶番(丁番/ヒンジ)は、扉の動きと見映えを左右する要の金具です。種類と納まりを正しく理解し、扉の重量・サイズ・環境に合った製品を選ぶこと。取り付け時は位置決めと下穴、本締め前の調整を丁寧に行うこと。これだけで仕上がりは大きく変わります。今日の現場で「この扉、なんか決まらないな」と感じたら、まずは蝶番まわりを見直してみてください。きっと改善の糸口が見つかります。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
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