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断熱材の種類と選び方|性能の違いと後悔しない施工ポイント徹底解説

  1. 内装現場で使う「断熱材」を完全理解|意味・使い方・種類・施工のコツまで一気に解説
  2. 現場ワード(キーワード)
    1. 定義
  3. 現場での使い方
    1. 言い回し・別称
    2. 使用例(会話・指示の実例)
    3. 使う場面・工程
    4. 関連語
  4. 断熱材の主な種類と特徴
    1. 無機繊維系(グラスウール/ロックウール)
    2. 発泡プラスチック系(EPS/XPS/硬質ウレタン/フェノールフォーム)
    3. 自然系(セルロースファイバー/木質繊維/羊毛など)
  5. 性能の見方(カタログ・ラベルの読み解き)
  6. 施工の基本と「失敗しない」チェックポイント
    1. 1. 断熱ラインを連続させる
    2. 2. 防湿層(室内側)を切らない
    3. 3. 通気・排湿の道を塞がない
    4. 4. 圧縮もスカスカもNG
    5. 5. 気流止めを要所に
    6. 6. 露出使用の可否・防火を確認
  7. 部位別の要点
    1. 外壁
    2. 屋根・天井
    3. 床・1階土間
    4. 浴室・水回り
    5. 間仕切り・遮音
  8. よくあるミスとトラブル事例
  9. メーカーと代表的な製品例(順不同・一例)
  10. 選び方の考え方(迷ったらここを見る)
  11. 現場で役立つ小ワザ・プロのひと工夫
  12. リフォーム・改修でのポイント
  13. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 断熱材は厚いほど良い?
    2. Q. 吹付ウレタンとグラスウール、どちらがいい?
    3. Q. 結露を防ぐコツは?
    4. Q. 断熱材はカビますか?
  14. 現場チェックリスト(配布用メモ)
  15. 用語ミニ辞典(断熱まわり)
  16. まとめ:言葉の意味がわかると、現場の“正解”が見えてくる
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内装現場で使う「断熱材」を完全理解|意味・使い方・種類・施工のコツまで一気に解説

「断熱材ってそもそも何?どこにどう入れるの?」——初めて現場用語に触れると、似た言葉や素材が多くて戸惑いますよね。本記事は、建設内装の現場で毎日のように飛び交うワード「断熱材」を、初心者にもわかりやすく、実務に役立つ視点で解説します。意味・使い方から、種類ごとの違い、部位別の施工ポイント、よくある失敗までをまとめて確認できるので、読み終える頃には「図面の指示がスッと入ってくる」「職人さんとの会話が噛み合う」状態に。後悔しない材料選びと、現場で頼られる基本の施工判断を身につけましょう。

現場ワード(キーワード)

読み仮名だんねつざい
英語表記Thermal Insulation / Insulation Material

定義

断熱材とは、熱の伝わりを抑えるために建物の壁・天井・床・屋根などに充填・貼付・吹付して使う材料の総称です。室内の暖冷房エネルギーのロスを減らし、結露やカビの発生を抑え、居住性・耐久性・省エネ性を高めます。グラスウールやロックウールなどの繊維系、発泡プラスチック系(ポリスチレンフォーム、ウレタン、フェノールなど)、セルロースファイバー等の自然系まで、素材により熱性能・耐火性・透湿性・施工方法が異なります。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では「グラス」「ロック」「スタイロ」「ネオマ」「ウレタン吹き」「断熱ボード」など、商品名や素材名の省略で呼ぶことがあります。図面上は「断熱材 t=〇mm」「GW16K 100」「XPS3種b 30mm」など、素材種・密度・厚みが指示されるのが一般的です。

使用例(会話・指示の実例)

  • 「この外壁ライン、グラス16Kの100入れて、室内側は防湿シート先張りでね。」
  • 「床下はXPS30ミリを根太間に、気流止めは柱間上端で。」
  • 「水回りは発泡の連続断熱で欠損作らないように。配管周りはウレタンで充填して。」

使う場面・工程

主に内装下地工事の工程で使用します。木造では上棟後〜外装下地・サッシ取り付けと並行して壁・屋根に充填。鉄骨・RCの内装ではGL工法やLGS(軽量鉄骨)下地の直貼・充填・ボード貼りの前後で施工します。設備配管・電気配線との取合い調整、気流止め・防湿層・通気層の確保など、複数職種の段取りが重要です。

関連語

  • 気流止め/防湿層(防湿フィルム)/通気層
  • 熱橋(ヒートブリッジ)/結露(表面結露・内部結露)
  • 遮熱材/吸音材/防音層/耐火被覆
  • グラスウール(GW)/ロックウール(RW)/XPS・EPS/硬質ウレタンフォーム/フェノールフォーム/セルロースファイバー

断熱材の主な種類と特徴

無機繊維系(グラスウール/ロックウール)

ガラスや岩石を繊維状にしたマット状・ボード状の断熱材。多孔質で空気をため込むことで熱を伝えにくくします。

  • 長所:不燃性、コスパが良い、吸音性に優れる、安定した品質で建築標準に馴染みがある
  • 注意:施工の密実さで性能が左右されやすい(隙間・押し込みNG)。防湿層の位置づけが重要
  • 主な用途:壁・天井・間仕切り、二重天井の吸音兼用、耐火間仕切りの充填

発泡プラスチック系(EPS/XPS/硬質ウレタン/フェノールフォーム)

樹脂に発泡体を形成した板・吹付フォーム。熱伝導率が低い製品が多く、厚みを抑えられるものもあります。

  • EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム):軽量、コスパ良好、床・外断熱にも使用。吸水配慮が必要な部位あり
  • XPS(押出法ポリスチレンフォーム):EPSより吸水しにくく、床・基礎外側・下地の不陸が少ない面に適する
  • 硬質ウレタンフォーム:現場吹付で連続気密がとりやすい。ボード品もあり。高い断熱性能
  • フェノールフォーム:非常に低い熱伝導率で薄くても高性能。耐火性にも配慮された製品が多い
  • 注意:可燃材区分のものがあるため、仕上・下地・防火区画の取り合いに留意。屋内の露出使用不可なケースあり

自然系(セルロースファイバー/木質繊維/羊毛など)

紙や木質、羊毛由来の繊維を充填するタイプ。現場吹込みで空隙を埋めやすく、吸放湿による湿度緩和も期待されます。

  • 長所:環境負荷の低減、調湿性、吸音性、隙間充填性
  • 注意:指定の施工密度の確保や防湿・防露設計の整合、含水管理がポイント

性能の見方(カタログ・ラベルの読み解き)

断熱材は「熱を通しにくい」ほど有利ですが、同じ素材でも厚みや密度、施工状態で最終性能は変わります。以下を総合でチェックしましょう。

  • 熱伝導率(λ):小さいほど高性能。比較は厚みとセットで
  • 厚み(t):必要な断熱等級や地域区分に応じて設定。胴縁・下地寸法との兼ね合いを確認
  • 密度・種類:グラスウールの10K/16Kなど、強度と吸音性、たわみに影響
  • 透湿性:内部結露を抑えるため、防湿層の位置づけと合わせて判断
  • 防火性:不燃・難燃の区分や、仕上げ材との組み合わせで法令適合を確認
  • 吸音性:間仕切りや天井での遮音・吸音性能に関係
  • 耐水性・吸水性:浴室周り・基礎・外断熱など、部位ごとの注意
  • 環境性・健康性:リサイクル含有率、VOCなど室内空気質への配慮

施工の基本と「失敗しない」チェックポイント

1. 断熱ラインを連続させる

開口部まわり、梁・土台・間柱の取り合い、コンセントボックス、配管・ダクト周りは欠損や隙間が生じやすい場所。欠損は熱橋や結露の原因。切り欠きは最小にし、残りは同材や専用フォームで丁寧に充填します。

2. 防湿層(室内側)を切らない

寒冷地や冷暖房条件では、室内側に連続した防湿層(気密層)を設けるのが基本。継ぎ目は重ね貼り+気密テープで連続させ、貫通部はブーツ・テープで確実に処理します。

3. 通気・排湿の道を塞がない

外壁の通気層、屋根の換気スペースは断熱材がはみ出すと機能低下。厚みの選定・スペーサーの活用で、所定の通気寸法を確保します。

4. 圧縮もスカスカもNG

繊維系は「ふんわり密実」が基本。押し込むと性能低下、逆に隙間があると対流で効きません。規定厚みの空間を確保し、配線奥に先回りで充填します。

5. 気流止めを要所に

床下・天井裏・間仕切り内に流れる空気を止める「気流止め」が断熱の効きを大きく左右します。基礎と土台の取り合い、胴差し周り、間柱上端・下端などにボード・部材で確実に形成します。

6. 露出使用の可否・防火を確認

発泡系は原則、室内側で石膏ボード等の仕上げ材で被覆します。法規・仕様書に従って厚みや被覆材を選定します。

部位別の要点

外壁

充填断熱の場合、柱・間柱間にぴったりサイズでカットし、耳付きのグラスウールならステープルで固定。室内側で防湿シートを連続させ、コンセントボックスは防気カバーなどで処理。外側は通気層を確保します。

屋根・天井

屋根断熱では通気層の確保が特に重要。天井断熱は天井上に敷き込み、気流止めで小屋裏の空気と区画します。点検口周りは断熱欠損が出やすく、蓋にも断熱補強を。

床・1階土間

根太間充填または床合板下にボード状断熱材を連続貼り。基礎断熱の場合はXPSやフェノールを外周に連続して貼り、継ぎ目を気密処理。防蟻仕様の要否は設計・地域条件に合わせます。

浴室・水回り

配管貫通が多く欠損の温床。発泡系や現場発泡を使って、連続性と防湿・防水の取り合いを丁寧に。湿気の抜け道・点検性も考慮します。

間仕切り・遮音

LGSや木下地の間仕切りでは、遮音目的で繊維系を充填。双方向のボード枚数・目地ずらしとセットで性能が決まります。

よくあるミスとトラブル事例

  • 防湿シートの穴あき・未テーピング:内部結露→カビ・断熱劣化の原因。穴は即補修
  • 開口部まわりの欠損:窓周りの結露・冷気漏れ→小割で細かく充填し気密処理
  • 断熱材の湿り・雨濡れ:性能低下・カビリスク→濡れたら乾燥・交換、現場養生を徹底
  • 設備後施工での断熱切断:欠損放置→要補填・再気密。事前のスリーブ計画が有効
  • 通気層の閉塞:外壁仕上げの不具合・湿気こもり→スペーサー・通気見切りで確保

メーカーと代表的な製品例(順不同・一例)

下記は日本の建築現場で広く知られるメーカーと代表的なカテゴリ例です。最新仕様・適用は各社公式資料で必ず確認してください。

  • 旭ファイバーグラス株式会社:グラスウール断熱材の国内大手。住宅から非住宅まで幅広いラインナップ
  • マグ・イソベール株式会社(サンゴバン・グループ):グラスウール・ロックウール系の主要メーカー
  • 旭化成建材株式会社:フェノールフォーム断熱材「ネオマフォーム」など高性能ボードを展開
  • カネカ:押出法ポリスチレンフォーム(XPS)ボード「カネライトフォーム」等で知られる
  • JSP:XPS系断熱材「ミラフォーム」など樹脂発泡素材を供給
  • 株式会社日本アクア:現場吹付の硬質ウレタンフォーム「アクアフォーム」等を施工提供
  • 株式会社デコス:セルロースファイバー断熱材の施工・供給を行う

同じカテゴリでも性能値・防火区分・施工方法が異なるため、設計意図(外皮性能・防火・コスト・施工性)に合わせて選定します。

選び方の考え方(迷ったらここを見る)

  • 省エネ性能の目標:求める外皮性能(断熱等級や地域条件)に応じてλ×厚みで必要性能を満たす
  • 部位の条件:外壁通気層の有無、屋根の換気計画、床下環境(水分・白蟻)を考慮
  • 工期・施工体制:職人の得意分野や現場規模。吹付が有利か、板材で確実にいくか
  • 防火・法規:可燃材の被覆要件、界壁・竪穴・設備シャフトの区画条件に適合
  • 維持管理:後で点検・更新しやすいか、濡れリスクが低いか
  • コストバランス:材料単価だけでなく、施工手間・ミス耐性も含めた総合コストで判断

現場で役立つ小ワザ・プロのひと工夫

  • 先に「欠損リスト」を作る:窓周り、コンセント、設備立上り、梁成の変化点などを図面でチェック
  • 切りしろ+5〜10mm:繊維系は微妙に大きめにカットし、軽く密着させると隙間が出にくい
  • ボックス裏は防気カバー:内装気密を確保しつつ、発熱・防火の取り合いも担保
  • 継ぎ目は千鳥に:ボード系はジョイントを揃えずずらして熱橋・漏気を抑制
  • 写真管理:断熱・防湿の施工状態は石膏ボードで隠れる前に記録。引渡し後の説明にも有効

リフォーム・改修でのポイント

既存建物では、壁内の状態が読みにくいのが難点。部分的な開口検査で構造・防湿の向き・配線密度を確認し、可能なら室内側からの付加断熱や、外装更新時の外張り断熱を検討します。既存の湿気問題がある場合は、先に通気改善・雨仕舞補修を優先。天井裏や床下は、気流止めの設置だけでも体感が大きく改善する事例が多いです。

よくある質問(FAQ)

Q. 断熱材は厚いほど良い?

A. 基本的には厚いほど熱は通りにくくなりますが、部位の納まり・通気・防火・コストのバランスが重要。必要性能を満たしたうえで、欠損ゼロと気密の確保が優先度高めです。

Q. 吹付ウレタンとグラスウール、どちらがいい?

A. どちらも適材適所。吹付は連続気密がとりやすく複雑形状に強い。一方グラスウールは不燃でコストに優れ、吸音も得意。設計意図と現場条件で選び分けます。

Q. 結露を防ぐコツは?

A. 防湿層を室内側で連続させること、通気層を確保すること、貫通部の気密処理を丁寧に行うこと。湿気の通り道を設計通りに作るのが肝心です。

Q. 断熱材はカビますか?

A. 無機繊維自体はカビの栄養になりにくいですが、濡れて含水が続くと周辺材でカビが発生しやすくなります。雨養生・湿気管理・防湿施工が重要です。

現場チェックリスト(配布用メモ)

  • 断熱ラインは図面通りに連続しているか
  • 窓・配管・ボックス周りの欠損と気密処理はOKか
  • 防湿層の重ね・テーピングは連続しているか
  • 通気層・屋根換気の確保に干渉していないか
  • 濡れ・汚れ・圧縮・落下など施工不良はないか
  • 法規上の防火区分・被覆要求を満たしているか
  • 写真・是正記録を残したか

用語ミニ辞典(断熱まわり)

  • 熱橋(ヒートブリッジ):金物や躯体を通じて熱が逃げやすい部分。付加断熱や間に断熱スペーサーで低減
  • 気流止め:部位間の空気の流れを止める部材。断熱の効きを高め、結露を抑える
  • 防湿層:室内側に設ける湿気のバリア。ビニールシートや気密シート、面材・塗膜で代替する場合も
  • 透湿抵抗:湿気の通しにくさ。外側ほど通しやすく、内側ほど通しにくい「内弱外強」が原則
  • 付加断熱:既存の充填断熱にさらに外側(または内側)から断熱層を追加すること

まとめ:言葉の意味がわかると、現場の“正解”が見えてくる

断熱材は、ただ「入れれば良い」材料ではありません。熱を止め、湿気をコントロールし、火に配慮する——複数の要件を同時に満たすことで、はじめて本来の性能を発揮します。現場ワードとしての「断熱材」の意味、素材ごとの違い、欠損ゼロと気密・防湿の基本、部位別の要点を押さえれば、設計意図を崩さずに高い施工品質へとつながります。迷ったら、連続・防湿・通気・防火の4点に立ち返り、メーカー資料・仕様書で裏を取る。これがプロの段取りです。今日の現場から、ひとつずつ実践していきましょう。

株式会社MIRIX/ミリックスのロゴ
執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
  • 情報の扱い:記事は現場経験・法令・公的資料を根拠に作成。広告掲載時は本文中に明示します。
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