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積算書とは?内装工事現場で失敗しない見積り作成の基本とチェックポイント

  1. 現場ワード「積算書」徹底ガイド:内装工事の数量拾いと原価を見える化する資料
  2. 現場ワード(積算書)
    1. 定義
  3. 積算書の役割とメリット
  4. 積算書の基本構成(よく使う項目)
  5. 内装工事でよくある積算項目と計算例
    1. LGS(軽量鉄骨)・PB(石膏ボード)
    2. 天井仕上(ジプトーン・化粧ボードなど)
    3. クロス(壁紙)
    4. 床仕上(長尺シート、タイルカーペットなど)
    5. 塗装
    6. 付帯工事・諸経費
  6. 数量の拾い方(初心者向け手順)
  7. 歩掛・単価の考え方(材工共と材工分離)
  8. 見積書・内訳書・実行予算との違い
  9. 現場での使い方
    1. 言い回し・別称
    2. 使用例(3つ)
    3. 使う場面・工程
    4. 関連語
  10. 積算書の作り方ステップ(失敗しない基本手順)
  11. チェックリスト(提出前・発注前に)
  12. 変更・追加工事への対応(差分積算のコツ)
  13. よくあるミスと回避策
  14. 内装工事で押さえておきたい単位と計算法
  15. 実務で便利な小ワザ
  16. Q&A(初心者の疑問に回答)
    1. Q. 積算書があれば見積書はいらない?
    2. Q. 材工共と材工分離はどちらが正解?
    3. Q. 歩掛の基準はどこから?
    4. Q. 端数処理はどうする?
  17. ケーススタディ:小規模オフィスの間仕切り追加
  18. 提出・説明のコツ(説得力を上げる見せ方)
  19. ミニ用語集(内装の積算でよく出る言葉)
  20. まとめ:積算書は“現場を強くする”台帳
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現場ワード「積算書」徹底ガイド:内装工事の数量拾いと原価を見える化する資料

「積算書って見積書と何が違うの?」「どう作れば間違えない?」――初めて内装工事の実務に関わると、こんな疑問が出てきますよね。この記事では、現場で職人や現場監督が日常的に使うワード「積算書」を、やさしい言葉で丁寧に解説します。数量の拾い方、単価・歩掛の考え方、見積書との違い、チェックポイントまで、実務でそのまま使える形でまとめました。読み終えるころには、積算書が「怖い紙」から「頼れる相棒」へ変わるはずです。

現場ワード(積算書)

読み仮名英語表記
せきさんしょCost estimate sheet(Quantity takeoff)

定義

積算書とは、内装工事に必要な作業・材料を項目ごとに整理し、「数量」「単価」「金額」「根拠(歩掛・仕様・図面参照)」を明示した技術・原価資料です。図面や仕様書から数量を拾い(数量拾い・拾い出し)、妥当な単価や歩掛(作業に必要な労力・時間の目安)を当てはめ、費用を積み上げていくためのもので、見積書の裏付けとなる“台帳”の位置づけです。

積算書の役割とメリット

積算書は「いくらかかるか」を出すだけの紙ではありません。工事計画から原価管理、変更対応まで、幅広く効きます。

  • 見積りの根拠を明確化:数量・単価の裏付けがあるため説明しやすい
  • 漏れの防止:工種別に項目化することで拾い漏れ・ダブりを防ぐ
  • 原価管理の基準:実行予算・発注・仕入・請求の整合を取りやすい
  • 変更への強さ:仕様変更や追加工事が出た際に差分をすぐ算出できる
  • 現場の合意形成:協力業者、監督、施主とのコミュニケーション材料になる

積算書の基本構成(よく使う項目)

内装工事の積算書は、概ね次のような欄で構成されます。項目名は会社ごとに若干の呼び名の違いがありますが、考え方は共通です。

  • 工種・区分:LGS、PB、GL、クロス、床、塗装、建具、タイル、共通仮設など
  • 項目名:壁下地組、天井下地、石膏ボードt12.5張り、ビニルクロス量産品張り、長尺シート貼りなど
  • 仕様・品番:材料のグレード、品番、厚み、メーカー、仕上げ種別
  • 数量・単位:m、m²、枚、式、人工(にんく)など
  • 単価:材工共(材料+施工込み)または材工分離(材料単価と手間を分ける)
  • 金額:数量×単価
  • 歩掛・根拠:施工歩掛、見積根拠、参照図番、現場条件(階高、搬入条件など)
  • 諸経費:現場管理費、一般管理費、共通仮設費、運搬費、廃材処分費など
  • 小計・値引・消費税・合計:集計欄

ポイントは「数量」「単価」「根拠」の3点セットを必ず揃えること。これがあるだけで、後の手戻りやトラブルを大きく減らせます。

内装工事でよくある積算項目と計算例

LGS(軽量鉄骨)・PB(石膏ボード)

壁・天井の下地とボード張りは内装の“骨格”です。数量の基本は長さと面積。

  • 壁下地(LGS):壁長さ×天井高さ=面積(m²)を基に、スタッドピッチで本数を算定。役物(ランナー、補強、開口まわり)は別途。
  • PB張り:壁面積(開口部を控除)×層数。二重張りの場合は2層分。
  • 計算例:壁長さ18.0m×高さ2.6m=46.8m²、開口合計3.0m² → 有効面積43.8m²。PBt12.5一重張り、単価(材工共)1,400円/m² → 61,320円。

天井仕上(ジプトーン・化粧ボードなど)

天井は足場条件の影響が大きいので、施工条件を根拠欄に必ず記載します。

  • 面積=天井平面図から拾い。梁や段差は役物で別計上。
  • 足場・脚立・ローリングタワーの必要性は歩掛に直結。

クロス(壁紙)

クロスはm²計上が基本。量産品と1000番台で単価差が出やすい工種です。

  • 数量=壁面積+天井面積(貼る部位により)− 開口分
  • 副資材(パテ、のり、コーキング)は材工共に含むか、別計上かを明示
  • 計算例:壁43.8m²、量産品クロス単価1,050円/m² → 45,990円

床仕上(長尺シート、タイルカーペットなど)

  • 数量=床面積(実測優先)。巾木はm計上。
  • 搬入経路や既存撤去の有無、下地調整の程度を根拠に記載。

塗装

  • 数量=m²。素地調整(ケレン)、下塗り・中塗り・上塗りの工程を明記。
  • 塗回数で歩掛が変わるため、仕様を明確に。

付帯工事・諸経費

  • 養生費、運搬費、残材処分費、夜間・休日対応、駐車場費等は漏れやすい代表例。
  • 「式」でまとめる場合は根拠(数量×単価の内訳)を書いておくと後で強い。

数量の拾い方(初心者向け手順)

積算の精度は「拾い」で決まります。図面を読むコツと順序を押さえましょう。

  • 1. 仕様を確定:仕上表・断面詳細・納まり図で材料と厚み・等級を確認
  • 2. 図面セット:平面図→天井伏図→展開図→詳細図の順で確認
  • 3. スケッチ化:面積や長さを拾う前に、部屋ごとに簡単な「拾いスケッチ」を作る
  • 4. 数量を拾う:壁・天井・開口部を順に。開口控除のルールを決めて一貫させる
  • 5. 条件メモ:階段搬入、エレベーター有無、夜間作業、クリアランス等を根拠欄へ
  • 6. 相互チェック:同じ面から複数の工種(ボード、クロス、巾木)を横断的に確認
  • 7. 合算と丸め:端数処理(例:材料取り都合で5%上乗せ等)は根拠を記載

歩掛・単価の考え方(材工共と材工分離)

歩掛(ぶがかり)は、一定量を施工するのに必要な作業量(時間・人工)の目安です。現場条件や職人の熟練度で変動するため、あくまで「基準+現場補正」で考えます。

  • 材工共の単価設定:材料費+副資材+手間+ロス率+現場条件補正を1単価にまとめる。小口工事や反復案件で使いやすい。
  • 材工分離の設定:材料は見積仕入ベース、手間は人工(1人工×単価)で算定。大規模や複雑な案件、合い見積時に透明性が高い。
  • 現場補正の例:高所・狭所・搬入難・養生強化・工程制約(夜間)などは歩掛を重めに設定。

見積書・内訳書・実行予算との違い

似た書類が多いので、関係を整理します。

  • 積算書:数量・単価・根拠を詳細に記した内部資料。見積の“元データ”。
  • 見積書:対外提出用。合計・主要内訳を簡潔に。価格交渉の主戦場。
  • 内訳書:見積書の補足。工種・項目まで開示することが多い。
  • 実行予算:受注後の社内用原価予算。積算書を基に利益計画まで落とし込む。
  • 請求書:出来高または出来形ベースで請求。積算書は差額・変更の根拠になる。

現場での使い方

積算書は「作って終わり」ではなく、打合せ・発注・変更対応にフル活用します。

言い回し・別称

  • 別称・略:積算、積算台帳、拾い表、拾い、BOQ(Bill of Quantitiesに近い概念)
  • 現場での言い回し:「拾い合ってる?」「積算出しといて」「根拠どこ?」

使用例(3つ)

  • 「クロスの数量、展開図で拾い直して。積算書の根拠欄に図番を入れておいて」
  • 「LGSの単価が合わない。材工分離で見直して、人工根拠を積算に追記しよう」
  • 「追加の間仕切り1面、積算書で差分を作るから、開口と補強の条件教えて」

使う場面・工程

  • 入札・見積段階:数量拾い、単価設定、値入れ、提出書類作成の元
  • 受注後:実行予算化、協力業者への発注単価の設定、材料手配数量の確定
  • 施工中:追加・変更の差分計算、出来高整理、原価進捗の確認
  • 竣工:精算、次案件の単価データ更新、歩掛の改善

関連語

  • 数量拾い(拾い出し)、歩掛、材工共、材工分離、人工、出来高、実行予算、内訳書、仕様書、設計図、納まり図、共通仮設費、現場管理費、一般管理費

積算書の作り方ステップ(失敗しない基本手順)

  • Step1 要件整理:工期・仕様・品質・安全条件(夜間・騒音)をヒアリング
  • Step2 図面チェック:最新版かを確認。リビジョン管理を積算書に明記
  • Step3 分解:工種→項目→作業に分け、漏れない見出しを作る
  • Step4 数量拾い:面積・長さ・個数・式。計算は参照図番や式を根拠欄へ
  • Step5 単価設定:過去実績、仕入見積、現場条件補正を加味
  • Step6 諸経費:共通仮設、搬入、廃材、養生、諸検査費、駐車場などを反映
  • Step7 検算:別視点での概算チェック(m²単価×総面積の逆算など)
  • Step8 共有:社内レビュー→見積書・内訳書へ転記→協力業者と条件すり合わせ

チェックリスト(提出前・発注前に)

  • 数量:開口控除は一貫しているか、二重張り・入隅出隅の増しは反映したか
  • 仕様:厚み・等級・品番・張り方向・目地・下地処理が明確か
  • 条件:搬入・養生・仮設・夜間・騒音・共用部の扱いなど、特記条件を根拠化
  • 単価:材工共/分離の方針は明記したか、値入れのロジックは一貫しているか
  • 諸経費:処分費、交通費、駐車場、雑材、消耗品、試験・検査費の漏れなし
  • 整合:見積書・内訳書・積算書の数字が一致しているか
  • 版管理:図面のリビジョン・日付・ファイル名を記録したか

変更・追加工事への対応(差分積算のコツ)

変更が出たら、最初の積算書を「基準」として使います。差分の考え方はシンプルです。

  • 変更点を赤入れ:図面・仕様の差分を明確化(Before/After)
  • 数量差分:増減m²・m・個を拾う。撤去・再施工は別項目に分ける
  • 単価差分:材料グレード変更、施工条件の悪化(夜間・養生強化)を補正
  • 諸経費の波及:搬入回数増、廃材増、段取り替えの発生を忘れない
  • 履歴管理:変更番号・日付・承認者を積算書に追記し、後日の証跡とする

よくあるミスと回避策

  • 開口控除の過不足:扉・窓の面積控除ルールを冒頭で定義して統一
  • 下地の見落とし:仕上げだけ拾って下地を忘れる。展開図と断面を横断チェック
  • 廃材・運搬を入れ忘れ:処分費は重量・材種で変動。現場出入口距離も根拠に
  • 足場条件の過小評価:高所作業は歩掛を重めに。ローリングの組解体時間を含める
  • 端数の過信:材料取り(ロール・定尺)を意識したロス率を根拠化

内装工事で押さえておきたい単位と計算法

  • m²(平方メートル):壁・天井・床の面積。壁は長さ×高さ−開口
  • m(メートル):巾木、見切り、コーキング、ランナー
  • 枚・本:ボード、建具、枠材など数量品
  • 式:複合作業の一括計上(根拠内訳の記載が重要)
  • 人工:1人が1日で施工できる量の基準。人工単価×人工数=手間費

実務で便利な小ワザ

  • 拾い色分け:工種別に蛍光ペンで図面マーキング。重なりを可視化
  • 逆積みチェック:m²単価×総面積で概算→詳細積算の合計と差額を確認
  • 現場写真メモ:搬入動線や養生対象を写真で根拠化。後で効く
  • テンプレ化:案件ごとに積算書テンプレを更新し、次回の精度とスピードを上げる

Q&A(初心者の疑問に回答)

Q. 積算書があれば見積書はいらない?

A. 役割が違います。積算書は内部の根拠、見積書は対外提出。両方必要です。

Q. 材工共と材工分離はどちらが正解?

A. 案件次第です。小規模・短工期は材工共でスピーディに、大規模・競争性が高い案件や透明性重視なら材工分離が向きます。

Q. 歩掛の基準はどこから?

A. 自社実績、過去現場の出来高、協力業者の経験値が現実的です。現場条件で補正し、根拠に記録します。

Q. 端数処理はどうする?

A. 材料取りの都合(ロール巾、定尺長さ、ケース入数)を優先。ロス率を仮定する場合は根拠欄に記載します。

ケーススタディ:小規模オフィスの間仕切り追加

条件:高さ2.6m、間仕切り長さ4.0m、片面PB二重張り、反対面シングル、クロス仕上げ、巾木あり、夜間作業。

  • LGS下地:壁面積 4.0×2.6=10.4m² → 材工共 単価(条件補正込み)2,200円/m² → 22,880円
  • PB張り:二重側 10.4×2=20.8m²、シングル側 10.4m²、合計31.2m² × 1,400円=43,680円
  • クロス:31.2m² × 1,050円=32,760円
  • 巾木:4.0m × 600円=2,400円
  • 養生・搬入・処分:式 12,000円(夜間対応含む根拠化)
  • 小計合算→現場管理費・一般管理費→消費税→合計

このように、数量→単価→条件補正→諸経費→合計の順で積み上げると、説明可能な数字になります。

提出・説明のコツ(説得力を上げる見せ方)

  • 根拠の可視化:図番、写真、仕様の引用を「どの数字にも1つ根拠」を徹底
  • 比較表:変更前後の差分は表で。増減理由を1行コメント
  • 条件明記:夜間・搬入制限・車両手配など、コストに効く条件は太字相当で目立たせる(文面上の強調に留める)

ミニ用語集(内装の積算でよく出る言葉)

  • 拾い(数量拾い):図面から数量を数え上げること
  • 歩掛:一定の数量を施工するための作業量の目安
  • 材工共/材工分離:単価のまとめ方の違い
  • 共通仮設費:仮囲い・養生・清掃・仮設電気など現場共通の費用
  • 実行予算:受注後に作る自社の原価計画
  • 出来高:ある時点までの完成量。部分請求の基準

まとめ:積算書は“現場を強くする”台帳

積算書は、ただの見積り下書きではありません。数量・単価・根拠を整理し、条件を言語化した“現場の設計図”です。拾いの精度、歩掛の妥当性、諸経費の網羅、そして変更に耐える記録。この4点を守れば、見積りの説得力が増し、発注・原価管理・追加精算までブレない運用ができます。最初は時間がかかっても、テンプレとチェックリストを磨けばスピードも精度も上がります。次の案件から、ぜひ「根拠のある積算書」で現場をリードしてください。

株式会社MIRIX/ミリックスのロゴ
執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
  • 情報の扱い:記事は現場経験・法令・公的資料を根拠に作成。広告掲載時は本文中に明示します。
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