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LGS下地とは?基礎知識から施工手順・メリットまで徹底解説【建設内装現場の必須ワード】

LGS下地をやさしく解説:意味・部材・施工手順・現場での言い回しまで一気にわかる

「LGS下地って何?木下地と何が違うの?どの工程で出てくる言葉?」——内装工事の資料や現場で耳にして、モヤっとされている方も多いはず。この記事では、実際の内装施工で使われる現場ワード「LGS下地」を、初心者にもわかる言葉で整理して解説します。言い回しや使用例、部材の名前、施工の流れ、チェックポイントまでを1ページで把握できる内容です。読み終わるころには、図面や打合せ、現場会話がグッと理解しやすくなります。

現場ワード(キーワード)

読み仮名えるじーえす したじ(けいてつ したじ/けいりょうてっこつ したじ)
英語表記Light Gauge Steel framing (Metal Stud Framing)

定義

LGS下地とは、溶融亜鉛めっきされた薄板鋼板(軽量鉄骨)で組む室内の下地フレームのこと。壁・間仕切りや天井の骨組みに使われ、スタッド(縦材)やランナー(床・天端の横材)、野縁・野縁受け(天井)などの鋼製部材で構成します。木下地に対して「軽鉄(けいてつ)」とも呼ばれ、仕上げ材(主に石こうボード=PB)を張るための基盤となります。

LGS下地の基本構造と主な部材

壁の骨組み(基本)

壁のLGS下地は、床と天井にランナーを流し、その間にスタッドを立てて組みます。開口部(ドア・窓)には補強材を入れ、必要に応じて間柱のピッチや板厚を変えます。設備配管・電気配線の通り道にもなります。

  • ランナー:床・天井に固定するガイド材。スタッドの受け。
  • スタッド:ランナー間に建てる縦材。C型(Cチャン)形状が一般的。
  • 補強材:開口周り・壁掛け荷重部に入れる材。板厚や二重組みで対応。
  • ビス類:テクス(ドリルねじ)など、鋼板用ねじで固定。

天井の骨組み(基本)

天井のLGS下地は、スラブや梁から吊りボルトで「野縁受け(主材)」を吊り、それに「野縁(小梁)」を組んで面を作るのが基本です。天井高さや照明・空調の開口配置に合わせて割付します。

  • インサート/アンカー:スラブに吊りボルトを固定するための金物。
  • 吊りボルト:天井下地を吊る全ねじの棒鋼。レベル調整に使用。
  • 野縁受け:天井の主材。吊りボルトで吊る。
  • 野縁:仕上げボードを受ける二次材。ピッチで組む。

どちらも最終的に石こうボード(PB)を張り、ジョイント処理ののち仕上げ材へと進みます。

現場での使い方

言い回し・別称

  • LGS(えるじーえす)/軽鉄(けいてつ)/軽量下地(けいりょうしたじ)
  • スタッド・ランナー(壁)/野縁・野縁受け(天井)/Cチャン
  • PB(プラスターボード)下地=LGS+石こうボードの組合せを指すことも

使用例(現場会話の例文 3つ)

  • 「この間仕切りはLGS下地で、スタッド@303で建てといて」
  • 「天井は軽鉄で組んで、レベルはレーザーで合わせ。野縁は@303ピッチね」
  • 「この壁、後から壁掛けあるからスタッド補強入れて板厚上げとこう」

使う場面・工程

  • 墨出し(壁芯・仕上げ面・開口位置のマーキング)
  • 壁:ランナー取付 → スタッド建込み → 開口・補強 → 設備配線・断熱 → PB張り
  • 天井:インサート/アンカー → 吊りボルト → 野縁受け・野縁組み → PB張り

関連語

  • PB(プラスターボード):仕上げ前の下地板。LGSにビス止め。
  • GL工法:ボードを直張りする工法。LGS下地を使わない場合もある。
  • スパン・ピッチ:部材の間隔設定。図面・メーカー仕様で決定。
  • 遮音・断熱:LGS壁間にグラスウール等を充填して性能確保。

LGS下地を選ぶ理由(メリットと注意点)

メリット

  • 軽量で直線性が高い:狂いが少なく、仕上がりが安定する。
  • 不燃・耐火に有利:内装制限や防火仕様に適合させやすい。
  • 施工スピード:規格材で寸法管理しやすく、現場生産性が高い。
  • 湿気に強い:木材より含水による変形が起きにくい。
  • 設備配管の通り道を確保しやすい:開口・貫通などの計画がしやすい。

注意点・デメリット

  • 熱橋・音橋になりやすい:断熱・遮音は仕様設計と充填で対策が必要。
  • 切断端部のバリ・鋭角:手指のケガに注意。保護具と端部処理を徹底。
  • 錆への配慮:屋内でも結露・水濡れリスクがある場所は仕様確認。
  • ビス選定がシビア:鋼板厚に適したねじ径・長さ・種類を使う。

施工手順(現場イメージを掴む)

壁LGS下地の基本手順

  • 墨出し:壁芯・仕上がり線・開口位置をレーザー等で明示。
  • ランナー取付:床・天井にランナーを固定(アンカー・ビス)。
  • スタッド建込み:指示ピッチで立て込み、水平・直角を確認。
  • 補強・見切り:開口枠、壁掛け荷重部、端部の見切りを施工。
  • 設備配線・断熱:貫通位置の保護・断熱材充填・気密処理(仕様に応じて)。
  • ボード張り:PBをピッチ管理でビス止め、目地は割付に配慮。
  • 継ぎ目処理:パテ・テープ処理のための下地精度を確保。

天井LGS下地の基本手順

  • インサート/アンカー:スラブに所定ピッチで設置。
  • 吊りボルト:天井高さをレーザーで出し、ナットでレベル調整。
  • 野縁受け組立:主材を吊り込み、通り・レベル・ピッチを確認。
  • 野縁組み:仕上げ割付に合わせて二次材を組む。
  • 設備開口:照明・吹出し・点検口の下地を事前に用意。
  • ボード張り:ジョイント位置を管理し、ビスピッチを守って張る。

いずれも「図面・仕様・メーカー標準施工要領」が最優先。現場判断が必要なときは監督・設計に確認しましょう。

ピッチ・寸法の目安(まずはここから)

ピッチや材寸は建物用途・仕上げ・要求性能で変わるため、最終判断は図面と仕様書で確認が原則です。実務でよく出る目安をあくまで参考として挙げます。

  • 壁スタッドピッチ:@303mm(3尺ボード対応)、@455mm(性能・開口で増減)
  • 天井野縁ピッチ:@303mmまたは@455mm(ボード厚・割付により調整)
  • スタッド幅:45・65・75・100mmクラスが一般的(壁厚・充填材で選定)
  • 鋼板厚:内装は薄板中心(仕様で決定)。荷重部は板厚増や二重組み。

機器の荷重、遮音・耐震の要求がある場合は、板厚・補強・ビス種類を含めて必ず仕様確認を。曖昧なときはメーカーの技術資料に当たりましょう。

品質確保のコツとチェックリスト

よくある不具合

  • 通り・レベルの狂い:ボードジョイントに影響、仕上がりに反映。
  • ピッチ違い:たわみ・ビス効き不足の原因。
  • 開口補強不足:建具のガタつき、機器の落下リスク。
  • ビス頭の出・めり込み:パテ割れや仕上げ不良の原因。

現場チェックの要点

  • 墨と下地の一致(壁芯・仕上げライン・開口位置)
  • スタッド・野縁のピッチ、直角・通り・レベル
  • 開口・荷重部の補強(板厚・二重組み・受けの有無)
  • ビス種・長さ・ピッチ・下穴の適正(鋼板厚に適合)
  • 設備貫通部の処理(スリーブ・防火・遮音・気密の要求確認)
  • 錆・汚れ・濡れの有無(保管・養生も含む)

安全と段取り(初心者ほど大切)

  • 保護具:手袋・長袖・保護メガネ。切断端部のバリでの負傷を防止。
  • 切断・穴あけ:火花・切粉対策。周囲の可燃物・養生を確認。
  • 高所作業:脚立・足場の安定、工具の落下防止、二人作業の合図。
  • 資材搬入:長尺材の搬入経路・保管スペース・湿気リスクを事前確認。

代表的メーカーと関連素材

LGS下地の鋼製下地材(スタッド・ランナー・野縁等)は、国内では専門メーカーが規格製品として供給しています。設計条件に合わせた板厚・形状・規格をカタログで確認しましょう。

  • JFE建材株式会社:鋼製内装下地材の大手メーカー。各種スタッド・ランナー・天井材を展開。
  • 日鉄建材株式会社:鋼製建材全般を扱うメーカー。内装用軽量形鋼もラインアップ。

仕上げに使う石こうボードは、以下のような国内メーカーが広く採用されています。LGS下地と組み合わせて用います。

  • 吉野石膏株式会社:一般ボードから耐火・遮音ボードまで幅広い製品を展開。
  • チヨダウーテ株式会社:各種石こうボード・付属材を供給。

断熱・遮音材は用途に応じてグラスウールなどを充填します。具体仕様は設計・メーカー資料で要確認です。

道具・消耗品の基本セット

  • 測量:レーザー墨出し器、スケール、下げ振り、水平器
  • 固定:インパクトドライバ、ハンマードリル(アンカー用)
  • 切断・加工:金切りバサミ、切断機、面取り工具、ヤスリ
  • 金物・消耗品:インサート/アンカー、吊りボルト・ナット、ドリルねじ(テクス)、ビス各種
  • 養生・安全:手袋、保護メガネ、養生シート、集じん機

木下地との違い(ざっくり比較)

  • 精度:LGSは直線性が高く狂いにくい。木は調整の幅があるが湿気で動く。
  • 耐火:内装制限下ではLGS+PBの方が仕様を満たしやすいことが多い。
  • 施工性:LGSは規格材でスピードが出る。木は現場合わせしやすい。
  • コスト:物件・仕様で逆転あり。性能要求・手間・数量で総合判断。

ケース別のポイント

遮音が大事な壁

  • スタッドを二重(ダブルスタッド)にする、または共鳴を避ける割付。
  • ボード二重張り+目地ずらし+グラスウール充填。
  • コンセントボックス背中合わせ回避、貫通部の遮音処理を徹底。

重量物を取り付ける壁

  • 補強下地(板厚増・二重組み・合板併用など)を設計段階で指示。
  • 支持荷重・位置を事前確定。後追いは手戻りが大きい。

湿気・結露が懸念される場所

  • 換気計画と断熱・防露を確認。濡れ厳禁、保管・施工時の水濡れ対策。

よくある質問(FAQ)

Q. LGSと軽鉄は同じ意味ですか?

A. 現場ではほぼ同義で使います。LGSはLight Gauge Steelの略、軽鉄・軽量鉄骨は日本語表現です。

Q. ビスは木用と共通で使えますか?

A. 基本不可です。鋼板の厚みに適合した鋼板用のドリルねじ(テクス)など、メーカー推奨のものを使います。

Q. ピッチは303mm固定ですか?

A. 代表的な目安ですが固定ではありません。ボード種類、荷重、遮音・耐火、天井高さなどで変わります。図面・仕様を最優先してください。

Q. ボードは何を張ればいい?

A. 用途で異なります。一般、耐火、耐湿、遮音などがあります。設計の指定に従い、メーカーの標準施工要領に沿って施工します。

初心者がまず覚えておきたい要点(まとめ)

  • LGS下地=鋼製の壁・天井の骨組み。スタッド・ランナー・野縁がキーパーツ。
  • 言い回しは「軽鉄」「スタッド@303」「野縁組み」など。文脈で意味を掴む。
  • 施工は墨出しが命。通り・レベル・ピッチ・補強を外さない。
  • 仕様・メーカー手順を最優先。わからなければ必ず確認。
  • 安全第一。切断端部と高所、落下物に注意。

LGS下地は内装の「骨」。ここが整えば仕上げは美しく、性能も出ます。この記事を足がかりに、次は実際の図面やメーカーのカタログを並べて見てみましょう。現場の会話も一気にわかりやすくなります。