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夜間工事とは?現場で必要な知識・注意点と効率アップのコツを徹底解説

夜間工事のすべて:内装現場で失敗しないための基礎知識と現場運用のコツ

「夜間工事って何を指すの?昼と何が違うの?安全面や騒音は大丈夫?」——初めて内装工事の計画や見積に関わると、こうした疑問が必ず出てきます。夜間工事は、店舗やオフィス、商業施設、駅ナカなど「昼は止められない場所」でよく選ばれる現場スタイル。メリットが大きい反面、準備不足だとトラブルにつながりやすいのも事実です。本記事では、建設内装の現場で日常的に使われる現場ワード「夜間工事」を、初心者にもわかりやすく、実務目線で丁寧に解説します。言い回し・使い方から工程管理、近隣配慮、必要機材、関連法規や見積の考え方まで、これ一つで疑問が解消できるようにまとめました。

現場ワード(夜間工事)

読み仮名やかんこうじ
英語表記Nighttime Construction / Night Work

定義

夜間工事とは、主に22時以降〜翌朝にかけて行う工事の総称です。内装分野では、テナント営業やオフィス稼働を止めないために、閉店・終業後の時間帯で施工・搬入・撤去・切替試運転などを行う運用を指します。労働基準法上は22時〜翌5時が「深夜」にあたり、この帯の作業には割増賃金や安全配慮が必要です。現場では「夜勤」「ナイター」「夜間作業」とも呼ばれ、音出し制限や搬出入ルール、警備立会、道路使用許可など、昼間工事とは異なる条件を前提に計画します。

夜間工事が選ばれる理由とメリット・デメリット

夜間工事が求められる代表的な理由は以下の通りです。

  • 営業優先:店舗・オフィス・商業施設は昼間稼働のため、工事は閉店後・終業後に限定される
  • 交通と物流:駅・空港・人通りの多いエリアは、夜間のほうが安全に搬入出しやすい
  • ビル規程:管理規約で「音出し」「搬入」「停電・断水切替」が夜間指定のケースが多い

主なメリット

  • 営業・業務への影響が少ない(売上や業務停止を避けられる)
  • 搬入・搬出の動線確保がしやすい(エレベーターの占有・動線確保が可能)
  • 人流・車両が少なく安全に作業区画を確保しやすい

主なデメリット

  • 割増賃金・交通費などコスト上昇(深夜割増のため見積は昼間より高くなるのが一般的)
  • 騒音・振動・臭気への厳しい配慮(近隣クレームリスクが高い)
  • 人員確保が難しい・疲労管理が課題(連勤・連続夜勤の負担)
  • 関係者の立会・許可の調整が複雑(警備・管理会社・行政手続き等)

夜間工事の計画と事前調整

夜間工事の成否は「事前調整の質」でほぼ決まります。最低限、以下は押さえましょう。

ビル・施設側のルール確認

管理会社・警備会社と以下を確認します。

  • 作業可能時間帯(例:23:00〜4:30、音出しは25:00まで 等)
  • 音出し・振動・臭気の制限(機材や工法の制約につながる)
  • 搬入出ルートと台数制限(エレベーター予約、かご台車の使用可否)
  • 停電・断水・空調停止の切替時間と立会の有無
  • 鍵・セキュリティカードの管理、入退館手続き
  • 工事届・作業計画書・養生計画・産廃搬出申請の要否

行政・警察関係の手続き(必要な場合)

敷地外の占用・車両停車・搬入で道路を使用する場合は、所轄警察署への道路使用許可が必要になることがあります。道路を継続的に占用する場合は、道路管理者(国・都道府県・市区町村)への道路占用許可も別途必要です。自治体の条例による騒音・振動規制の時間帯や作業制限も確認しましょう。

工程・人員・シフト

夜間の短時間で成果を出すには、段取りが命です。

  • タスク分解:1晩で必ず終わらせる工程と、翌日に持ち越せる工程を峻別
  • クリティカルパス:停電切替・機器搬入など時間制約のある作業を最優先に配置
  • 人員配置:音出し時間内に集中投入、静音時間は別作業に切替
  • 引継ぎ:日中班との引継ぎ資料(写真・図面・指示)を事前共有

工程別・夜間ならではの注意点(内装)

解体・斫り

騒音・振動が最大の課題。低騒音工具の選択、音出し可能時間内へ集約、コンクリート斫り範囲の事前マーキング、発生材の即時搬出計画が肝心です。振動で既存テナントに影響を与えないよう、離隔や時間配分を慎重に。

LGS組・ボード貼り

切断音やビス打ち音が出るため、切断は可能なら昼間に先行加工、夜間は組立中心に。ボード粉じんは集塵機を連動使用し、通路養生とこまめな清掃を徹底します。

造作・建具・什器

搬入路の寸法・エレベーター荷重を事前確認。深夜は人員が限られるため、ユニット化・分割搬入で時間短縮。建具吊り込みは騒音の少ない時間帯に。

床(シート・タイルカーペット・塗床)

接着剤の臭気対策が重要。低臭タイプの採用や換気計画を立てます。塗床の場合は硬化時間と引渡時刻の逆算が必須。夜間は温湿度が下がるため硬化が遅れる場合があり、メーカーの仕様書に沿った養生時間を確保します。

内装仕上(クロス・塗装)

水性中心で臭気を抑えるのが基本。乾燥時間確保のため、送風や除湿を併用。塗装は換気経路の確保を忘れず、近隣テナントへの臭気流入を防ぎます。

設備(電気・空調・給排水)

停電・断水・系統切替・試運転は、管理会社の立会やテナント側の了承が必要なことが多い工程。夜間帯の切替はリスクも高いため、チェックリストとダブルチェック体制で臨みます。漏電・漏水の監視は終業直前だけでなく、作業中も定期確認を。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では「夜間工事」のほか、以下の言い回しが使われます。

  • 夜勤/ナイター(夜間作業全般を指す口語)
  • 夜間切替(設備の系統切替・停電切替がメインの夜間作業)
  • 音出し時間(騒音を伴う作業が許される時間帯)
  • サイレント帯(音が出せない時間帯。静かな作業に切替)

使用例(3つ)

  • 「今夜は23時入り、音出しは25時まで。解体は先にやって、3時からは静音作業に切り替えよう。」
  • 「明日、電気の夜間切替があるから、管理会社と立会時間を合わせておいて。」
  • 「搬入は夜間枠でエレベーター占有取れた。かご台車を多めに回して一気に上げよう。」

使う場面・工程

商業施設のテナント入替、オフィス改修、駅ナカ・空港内の什器更新、ホテルの客室リニューアル、インフラの機器切替など、営業や運用を止められない現場で用いられます。工程では、解体・搬入・系統切替・試運転・クリーニング・仮設撤去など、短時間で成果が出やすいタスクが夜間向きです。

関連語

  • 道路使用許可/道路占用許可
  • 工事届・作業届(ビル管理)
  • 音出し/サイレントタイム/低騒音工具
  • 停電切替/断水・通水試験/立会
  • 深夜割増/シフト/仮眠・休憩
  • 養生/防音シート/集塵機/負圧養生

夜間特有の安全対策と健康管理

安全対策

  • 照度の確保:影が強く出ないよう、バルーンライトや拡散型LED投光器を併用
  • 視認性の向上:反射ベスト・ヘッドライト・階段段鼻の蓄光テープ
  • 墜落・転倒防止:開口部・段差の明示、配線の跨ぎ防止、仮設通路の滑り対策
  • KY活動の実効性:夜間特有のリスク(眠気・薄暗さ・搬入台車暴走)を具体化
  • 防犯・鍵管理:入退館記録、持出品管理、個人情報・重要物の養生と施錠

健康管理

  • 深夜帯はミスが増えやすいため、短時間でも休憩・水分補給を確保
  • 連続夜勤の回避、前後日のスケジュール緩和で疲労蓄積を防止
  • カフェインの摂り過ぎに注意し、終了後の睡眠環境(遮光・耳栓)を整える

騒音・粉じん・臭気のコントロール

夜間は近隣が静かな分、少しの音・匂いでもクレームになりやすいです。

  • 騒音:低騒音工具・振動抑制、音出し時間内に集約、ハンマードリルの打撃数調整
  • 粉じん:切断機は集塵機連動、負圧養生、通路のマット養生と清掃を高頻度に
  • 臭気:水性材料の選択、換気計画、活性炭フィルタ使用、臭気の強い作業は最後に実施

照明・電源・必須機材(代表例とメーカー)

夜間工事で活躍する機材例と、代表的なメーカー(一般的に知られる範囲)を紹介します。

  • LED投光器・バルーンライト:日動工業、岩崎電気など(現場照明・電工ドラムも豊富)
  • 電動工具・集塵機:マキタ、HiKOKI(旧日立工機)など(低騒音仕様・連動集塵が充実)
  • 発電機(現場電源が不十分な場合):ホンダ、ヤマハなどの小型インバーター発電機
  • 測定・検査:レーザー墨出し器、照度計、騒音計、検電器、漏電遮断器付き分電箱
  • 養生材:防音シート、ゴムマット、床養生ボード、コーナーガード、養生テープ
  • 搬入機材:かご台車、平台車、ラッシング、スロープ板、養生スロープ

機材の選択は現場条件・管理規程に依存します。メーカーの仕様書・安全基準を必ず確認してください。

搬入出・仮設・セキュリティ運用

夜間は少人数での搬入出が多く、動線と仮設の精度が品質に直結します。

  • 搬入計画:エレベーターの占有時間・荷重・停車階、トラックの待機場所を事前確保
  • 仮設電源:容量・ブレーカ位置・漏電遮断の確認、分岐は管理会社の承認に従う
  • 養生計画:通路・エレベーター内・角の保護、台車の騒音対策(ゴムタイヤ・マット)
  • セキュリティ:カード・鍵の受け渡しはサインで記録、持出品のチェックリスト化

労務・見積・コストの考え方

夜間工事は昼間と同じ単価では成立しないことが一般的です。

  • 賃金:22時〜翌5時の深夜作業は、通常の賃金に対して25%以上の割増が必要(労働基準法)
  • 動員コスト:深夜交通費、車両・機材の夜間回送、警備立会費、ビル側手数料
  • 段取り費:事前搬入・事後清掃・養生復旧の時間を確保(実作業以外の時間を見積反映)
  • リスクバッファ:切替作業の想定外に備え、予備時間・予備部材を準備

見積では「夜間割増」「音出し制限対応」「立会・申請費」等を費目として明記すると、発注者との認識差が減ります。

よくあるトラブルと回避策

  • 音出し時間を超過:サイレント作業のバックアップメニューを用意、段取り替えを即判断
  • 鍵・カードの紛失:入退館と鍵管理をダブルサインに、持ち出し禁止ルールの徹底
  • 搬入エレベーターが使えない:予備ルートの確認、時間変更の連絡先を事前共有
  • 停電切替で設備が復帰しない:事前の試験・逆戻し手順(ロールバック)・連絡網を準備
  • 臭気クレーム:換気導線の再設計、活性炭フィルタ追加、作業順序の入替

夜間工事チェックリスト(現場配布用のたたき台)

  • 管理会社・警備との事前調整完了(作業届、音出し時間、立会の有無)
  • 道路使用・占用許可の要否確認、必要時は許可証の現場携帯
  • 搬入計画(台数・ルート・エレベーター予約・荷重)と予備ルート
  • 照明・電源・予備バッテリー・延長コード・漏電遮断の確認
  • 低騒音工具・集塵機・防音養生の手配、替刃・消耗品の予備
  • 粉じん・臭気対策(負圧養生、換気計画、活性炭、養生材)
  • 停電・断水・切替の手順書、チェックシート、ロールバック手順
  • 人員配置表(音出し時間に集中配置、サイレント作業の担当)
  • 安全(反射ベスト・墜落防止・足元養生・KYシート・救急セット)
  • 終了後の清掃・原状回復・鍵返却・作業報告(写真付き)の段取り

関連法規・規程のポイント(概要)

  • 労働基準法:22時〜翌5時は深夜割増が必要。長時間・連続勤務の無理な設定は避ける
  • 労働安全衛生法:夜間の安全確保(照度、墜落・感電・挟まれ防止)
  • 騒音・振動規制:自治体条例・指導基準に従う(時間帯・場所により制限あり)
  • 道路関係法令:道路使用許可・道路占用許可は用途により別手続きが必要
  • 建物管理規程:入退館・搬入・停電・防災・防犯のルールを遵守

詳細は各法令・各自治体・各施設の規程を必ず一次情報で確認してください。

用語辞典的な補足(夜間工事まわりのミニ用語)

  • 音出し時間:騒音・振動を伴う作業が許可されている時間帯。現場ごとに異なる
  • サイレント帯:音が出せない時間。養生・墨出し・拾い出し・クリーニングなどに充てる
  • 夜間切替:電気・水・空調・通信などの系統切替を夜間に行うこと
  • 立会:管理会社やテナント担当者が作業や切替に同席し確認すること
  • 負圧養生:養生空間を排気して粉じんや臭気が外へ漏れないようにする方法

初心者がまず押さえる実践ポイント

夜間工事の経験が浅い方は、以下の3点に集中するだけで事故や手戻りが大きく減ります。

  • 時間の二重管理:開始・音出し・切替・撤収・清掃の「シーンごと」にタイムテーブル
  • 関係者の一元連絡網:管理・警備・設備・運送・各職種の緊急連絡先を一枚に
  • 写真とメモの即時共有:作業前後や切替前後は必ず写真。朝の引継ぎ資料にそのまま転用

まとめ:夜間工事は「段取りと気配り」が9割

夜間工事は、単に作業時間が夜になるだけではありません。限られた時間、厳しめのルール、クレームリスクをどう乗り切るか——つまり「段取り力」と「気配り」が成果の9割を決めます。本記事のチェックリストとポイントを使って、事前調整・工程計画・安全対策・近隣配慮を固めれば、夜間でも安定した品質と効率を両立できます。初めての方でも心配はいりません。ひとつずつ準備を積み上げれば、夜間工事は必ずうまく回せます。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
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