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PF管とは?意味・サイズ・使い方をわかりやすく解説|施工現場で失敗しない選び方ガイド

PF管を現場目線で徹底解説|意味・用途・選び方・施工のコツまで

「PF管って何?CD管とどう違うの?サイズはどう選べばいい?」——初めて建設・内装の電気配線に触れると、こうした疑問がたくさん浮かびますよね。この記事では、現場で日常的に使われるワード「PF管」を、専門知識がない方にもわかるように丁寧に解説します。違い・用途・サイズ選び・施工の注意点まで、実務で困らないレベルでまとめました。読み終わる頃には「PF管を自信を持って指定・手配・施工できる」知識が身につきます。

現場ワード(キーワード)

読み仮名ぴーえふかん
英語表記Plastic Flexible Conduit(PF conduit)※日本の電設資材での分類名

定義

PF管とは、電線を保護するための「合成樹脂製の可とう電線管」の一種で、屋内の隠ぺい配線や露出配線、屋外の露出配線など、幅広い用途に使える柔らかい蛇腹状の保護管のこと。一般にグレー(屋内向け)や黒(屋外向け・耐候タイプ)の色味で流通し、対応する専用コネクタ・サドル等の付属部材と組み合わせて使用します。なお、同じ可とう電線管でも「CD管」はコンクリート埋設用に限定されるのに対し、PF管は露出・隠ぺいともに使えるのが大きな特徴です(ただし詳細は製品仕様・各種規程に従うこと)。

PF管の基礎知識

PF管は何の略?

PFは「Plastic Flexible(プラスチック・フレキシブル)」の頭文字として理解されることが多く、日本の電設資材分野で通用する種類名称です。JISなどの規格に基づく「合成樹脂製可とう電線管」の区分のひとつで、現場では「グレーのフレキ」「PF」と略して呼ばれます。

形状・材質のイメージ

PF管は、外周が蛇腹(コルゲート)になった柔軟な樹脂管です。手で曲げられる可とう性があり、曲げ加工に専用のバネやベンダーを要する金属管と比べ、狭い場所や入り組んだ経路でも取り回しが容易。材質は製品によって異なり、難燃性や自己消火性、耐候性など、用途に応じた性能を持つラインアップが用意されています。

色と用途の目安

現場でよく見るのはグレー(屋内一般用)とブラック(屋外や日射が当たる環境に配慮した耐候タイプ)。同じ柔らかい樹脂管でも、オレンジ色の「CD管」は用途が異なるため、色で使い分ける習慣が根づいています。ただし、色=性能はメーカーや品番で差があるため、最終判断は必ずカタログ・仕様書で確認してください。

現場での使い方

PF管は、住宅・オフィス・商業施設など、電気や弱電の配線を保護する基本部材です。現場の「言い回し」から、具体的な使用例、工程での位置づけ、関連語まで整理します。

言い回し・別称

  • 「PF(ピーエフ)」「グレーのフレキ」「フレキ管(樹脂)」
  • 「黒PF(屋外用)」「耐候PF」「防水PF」など、仕様で呼び分けることも
  • 「CD」と混同を避けるため、意図的に「PF」と明言するのが安全

使用例(3つ)

  • 使用例1:天井裏で照明回路を振る際に「ここはPF16で2本通して、点検口手前でボックス立ち上げ」。
  • 使用例2:屋外のEV充電器用で「外壁は黒PFで露出、ボックスは防水コネクタで止めて雨仕舞い」。
  • 使用例3:改修現場で通信配線を増設するときに「既設ルートに追従してPFで新設、通線は潤滑剤使って一発で通す」。

使う場面・工程

  • 配管計画:経路検討、曲げ回数、貫通部の位置、固定ピッチの目安を決める。
  • 先行配管:軽量間仕切り・天井下地の施工に合わせて、PF管を先行で敷設。
  • 器具・ボックス取り合い:専用コネクタでボックスに接続、防火区画や防水を配慮。
  • 通線:絶縁電線・ケーブルを通線ワイヤーで引き込み、ラベルで系統管理。
  • 検査・試験:絶縁抵抗、結線確認、表示・固定状態の最終チェック。

関連語

  • CD管:可とう電線管の一種。主にコンクリート埋設用。露出・屋外は基本的に不可。
  • サドル・バンド:PF管を下地や躯体に固定する金物。固定ピッチは環境・サイズで調整。
  • PFコネクタ・ボックスコネクタ:PF管とボックスを連結する専用継手。屋外は防水形を選ぶ。
  • 通線ワイヤー(フィッシュテープ):電線をPF管内に通すための工具。
  • 通線潤滑剤:引き込み抵抗を下げ、被覆傷つきを防ぐゲルや液体。

PF管とCD管の違い(初心者が最初に押さえるポイント)

現場で混同しやすいのがこの2つ。使い分けを間違えると手戻り・不適合につながります。

  • 用途の違い:CD管は主にコンクリートに埋設して使う前提。PF管は屋内の露出・隠ぺい、屋外露出など幅広い場面で使えるタイプが用意されています。
  • 色の違い:CD管はオレンジが一般的。PF管はグレーや黒など。色は目安で、最終判断は品番と仕様で必ず確認。
  • 性能の違い:PF管は難燃性や耐候性のバリエーションがあり、露出での使用や日射条件に適合する製品が選べます。CD管はコンクリート保護下での使用を想定した設計が一般的。
  • 規程の観点:使用区分・占積率などの詳細は内線規程・メーカー仕様を必ず参照。

サイズ・選び方の基本(失敗しないコツ)

PF管は「呼び径」でサイズを選びます。現場でよく出るのは16・22・28など。細いほうが取り回しは楽ですが、電線の本数・太さ・曲げの多さによっては通線が難しくなります。以下の観点で検討しましょう。

検討のステップ

  • 1)通す電線・ケーブルの種類と本数を洗い出す(同時に通すか、将来の予備も含めるか)。
  • 2)配管経路の曲げ回数・曲げ半径を確認(曲げが多い・急だと通線抵抗が増加)。
  • 3)管内に余裕を残す考え方を徹底(配線後に抜き差し・増設が必要になることも想定)。
  • 4)屋内/屋外/防水/耐候など環境要件をチェック(外壁直射なら耐候タイプを選択)。
  • 5)メーカーのカタログにある「適合電線本数の目安」や「占積率の参照表」で最終決定。

現場の感覚的な目安としては、「ぎりぎり入る」ではなく「作業と将来性に余裕がある」サイズを選ぶ方が、工期短縮・トラブル回避につながります。

曲げについて

PF管は手曲げができますが、無理な急曲げは通線性を悪化させ、被覆傷や断線リスクを高めます。製品ごとの最小曲げ半径の目安が示されているので、それに従ってルート取りを行いましょう。曲げ回数が増える場合は、途中にプルボックスやアウトレットボックスを設けるのが定石です。

必要な部材・工具

主な部材

  • PF管本体(屋内用/屋外耐候用など)
  • PFコネクタ(ストレート/防水形など)
  • ボックスコネクタ・カップリング・エンドキャップ
  • サドル・バンド(固定金具)、アンカー・ビス類
  • プルボックス・アウトレットボックス(途中引き込み・器具取り合い用)

主な工具

  • PFカッター(または刃が逃げにくいカッター)、リーマー(端面の面取り)
  • 通線ワイヤー(フィッシュテープ)・通線潤滑剤
  • インパクトドライバー、ステップル・サドルの固定用ツール
  • テスター(導通・絶縁確認)、ラベルプリンター(配線表示)

基本の施工手順

現場の標準的なフローを、初めての方にもわかるように噛み砕いて説明します。

  • 1. 事前計画:回路図を見て系統と配線ルートを決定。曲げ回数や中継ボックスの位置を決め、貫通部は防火・防水条件を確認。
  • 2. 墨出し・マーキング:サドル位置、曲げポイント、ボックス高さをマーキング。
  • 3. 切断・端末処理:PF管を必要寸法で切断し、端面のバリを除去。端末にエンドキャップやテープで養生すると通線性が上がる。
  • 4. 敷設・固定:サドルでまっすぐ・均等に固定。無理なテンションや急曲げを避け、余長は適度に確保。
  • 5. ボックス接続:専用PFコネクタで確実に接続。屋外や湿気が多い場所は防水コネクタやパッキン付きの製品を採用。
  • 6. 通線:通線ワイヤーを先行させ、潤滑剤を適宜使用して電線を引き込む。識別用に色分けやラベル表示。
  • 7. 検査・仕上げ:通線後の導通・極性・絶縁を確認。固定状態、見栄え、表示をチェック。

屋外・水回りでの注意点

  • 耐候性:直射日光・風雨に晒される場合は、耐候仕様(一般に黒色など)のPF管を選択。
  • 防水:ボックス接続は防水コネクタ、貫通部はシーリング材や防水ブッシングで雨仕舞い。
  • 固定:屋外では温度変化で伸縮が出やすい。固定ピッチや伸縮逃げを考慮し、振動のある場所は固定点を増やす。
  • 腐食・電食:金物の選定に注意し、ステンレスや防錆処理品を選ぶと安心。

安全・法規のポイント(必ず確認)

  • 有資格作業:電気工事に該当する作業は、原則として電気工事士の資格が必要です。
  • 規程・規格:合成樹脂製可とう電線管としての使用区分、管内に収める電線の条件、占積率の考え方などは、内線規程・関連規格・メーカー仕様を参照。
  • 防火区画:区画貫通部の処理は、防火措置(不燃材・シーリング)を計画に沿って実施。
  • 接地・等電位:金属ボックスや他設備との取り合いで必要な場合、関連規程に従って処理。

ルールは現場・自治体・監理方針で細部が異なることがあります。最終判断は図面・仕様書・監理者指示・メーカー技術資料に従ってください。

よくある失敗と対策

  • 間違った選定(CDとPFの取り違え):色だけで判断せず、品番・用途区分を現場で復唱確認。
  • 細すぎる選定:将来増設や通線性を考慮し、ワンサイズ上を検討。曲げが多い経路では特に余裕を。
  • 急曲げ・曲げ回数過多:最小曲げ半径を守り、必要に応じて中間ボックスを設置。
  • 固定不足:垂れ・振動で美観・耐久性に影響。均等ピッチで確実に固定し、端部は特に丁寧に。
  • 屋外の紫外線劣化:耐候仕様を選ぶ。既設の劣化は点検時に交換検討。
  • 端面バリ残り:通線時に被覆を傷つける原因。切断後は必ず面取り。

代表的なメーカーと特徴

PF管は多くの電材メーカーから供給されています。ここでは現場で広く流通しているメーカーを紹介します(詳細な品番・性能は各社カタログをご確認ください)。

  • 未来工業株式会社(MIRAI):電設資材の専業大手。PF管本体から各種コネクタ、サドル、ボックスなど周辺部材まで幅広いラインアップ。現場での使い勝手を重視した工夫が多く、在庫性が高いのも特徴。
  • カナフレックスコーポレーション株式会社(Kanaflex):樹脂ホース・配管の大手。可とう電線管分野でも各種サイズや用途別製品を展開。柔軟性と耐久性のバランスに定評があります。

上記以外にも、電設資材を扱う国内各社がPF管とそのアクセサリーを供給しています。屋外用・防水用・高柔軟タイプなど、工事条件に合わせて選べるため、現場要件を定義したうえで比較検討するのがコツです。

用語辞典(PF管まわりの基礎用語)

  • 可とう(フレキシブル):手で曲げられる柔軟性を持つこと。
  • 占積率:電線管の内側に、電線がどのくらいの割合を占めるかの指標。通線性・放熱・規程適合に関わるため重要。
  • ボックス:配線の接続・分岐・器具取り付けに使う箱。露出用・埋込用・防水形などがある。
  • 通線ワイヤー(フィッシュテープ):PF管内に電線を通すためのワイヤー状工具。
  • サドル:管を壁・天井・床などに固定する金物。U字形のものが一般的。

ケーススタディ:現場での選定フロー例

条件:屋外の壁面にEVコンセントを新設。幹線盤近くの盤内から外壁まで約10m、屋外露出5m、曲げ3箇所、将来増回路の可能性あり。

  • 1)環境判断:屋外露出があるため「耐候仕様のPF管(一般に黒)」を候補に。
  • 2)電線条件:回路容量に合うケーブルサイズを確定。将来増設を考慮し、占積率に余裕を持たせる。
  • 3)曲げ対策:曲げが多いため、中間にプルボックスを1箇所設置し、通線性を確保。
  • 4)接続部:屋外ボックスは防水コネクタで結び、貫通部はシーリングと防水ブッシングで雨仕舞い。
  • 5)固定:屋外区間の固定ピッチは適切に詰め、熱伸縮の逃げも考慮。

FAQ(よくある質問)

Q1:PF管とCD管、どちらを選べばいい?

A:コンクリートに埋設するならCD管が前提。露出や隠ぺいで汎用的に使うならPF管が基本です。屋外や日射がある場所は、PF管でも耐候仕様を選んでください。

Q2:サイズはどう決める?

A:通す電線の種類・本数・経路の曲げ具合を見て、メーカーの「適合本数の目安」や占積率の解説に従って選定します。作業性と将来の増設も考慮し、余裕あるサイズを選ぶのが実務的です。

Q3:PF管は屋外で必ず黒にすべき?

A:日射・風雨がある環境では耐候仕様が安全です。黒色が耐候仕様の目印になっている製品は多いですが、色ではなく仕様書(耐候・防水性能の記載)で最終判断してください。

Q4:PF管の切断は普通のカッターで大丈夫?

A:切れますが、端面がガタつきやすくバリも出やすいです。専用のPFカッターや刃がしっかりした工具を使い、面取りまで行うと通線がスムーズになります。

Q5:通線が重くて電線が動かない…

A:曲げが多い・急すぎる・サイズがタイト・潤滑剤未使用などが原因です。中間ボックスの増設、通線潤滑剤の使用、ワンサイズ上のPF検討などで改善します。

現場メモ(プロのちょいコツ)

  • 通線前に、PF管の端から端まで通線ワイヤーが貫通するか先に確認すると手戻りが減る。
  • 器具手前は、将来の入替・点検を想定して少し余長を残すと後が楽。
  • 同経路で弱電と電力を混在させない。ノイズや規程上の問題が出やすい。
  • 見えるところの露出は、サドル位置を通りよく揃えると仕上がりが一段上がる。
  • 屋外は紫外線で経年劣化する。定期点検時に表面のひび割れ・退色をチェック。

まとめ:PF管は「広く使える」汎用の可とう電線管。用途と環境に合わせて正しく選ぼう

PF管は、屋内の隠ぺい・露出から屋外の露出まで、幅広い場面で使える柔軟な電線保護管です。CD管との使い分け、サイズ選び、耐候・防水といった環境条件、そして固定・曲げ・通線の基本を押さえれば、初めての方でも失敗をぐっと減らせます。最後は必ずメーカーの仕様書や内線規程等で最終確認を行い、現場条件に合った安全・確実な施工を心がけてください。困ったときは「余裕を持つ」「中間で区切る」「正しい部材を使う」という三原則に立ち返るのがコツです。