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自閉装置とは?建設内装現場での役割・種類・選び方を徹底解説

  1. 自閉装置(ドアクローザー)をやさしく解説|現場での意味・種類・調整・注意点
  2. 現場ワード(自閉装置)
    1. 定義
  3. まず押さえたい:自閉装置の基本と役割
    1. 基本の仕組み
    2. 何のために必要?
  4. 自閉装置の種類(現場でよく出る形)
    1. 開き戸系
    2. 引戸系
    3. 付加機能の例
  5. 現場での使い方
    1. 言い回し・別称
    2. 使用例(3つ)
    3. 使う場面・工程
    4. 関連語
  6. 選び方のポイント(失敗しない基準)
    1. 1. 扉条件に適合する「番手・容量」
    2. 2. 取り付け方式・納まり
    3. 3. 機能オプション
    4. 4. 法規・運用要件
  7. 取り付けの考え方(基本手順とコツ)
    1. 表面付けドアクローザーの一般的手順
    2. フロアヒンジの留意点
  8. 調整の基本(スムーズに閉じて、きっちり掛かる)
    1. よくある3系統の調整
    2. バックチェック・遅延閉鎖の設定
  9. よくある不具合と対処
  10. 安全・法規のポイント(実務での判断軸)
  11. 代表的なメーカー(例)と特徴
  12. 図面・見積りでのチェック項目
  13. 現場の小ワザ・あるある対策
  14. 用語ミニ辞典(サクッと把握)
  15. よくある質問(Q&A)
    1. Q1. 自閉装置とドアクローザーは同じですか?
    2. Q2. 防火扉にホールドオープンを付けても大丈夫?
    3. Q3. 閉まるのが早くて危ない。どのネジを触ればいい?
    4. Q4. オイル漏れは修理できますか?
    5. Q5. ドアストッパーと自閉装置は併用できますか?
  16. チェックリスト(引き渡し前の最終確認)
  17. まとめ:自閉装置を味方に、品質と安全を両立
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自閉装置(ドアクローザー)をやさしく解説|現場での意味・種類・調整・注意点

「自閉装置って、ドアクローザーのこと?フロアヒンジも入る?」——建設内装の現場で一度は聞く疑問です。言葉は聞いたことがあっても、厳密な意味や選び方、現場での調整ポイントまで知っている人は意外と少ないもの。この記事では、内装工事に携わる初心者の方にもわかりやすく、自閉装置の基礎から実務で役立つコツまで、やさしく丁寧に解説します。仕上げの品質・安全・法規対応のすべてに関わる重要パーツなので、この記事を読み終える頃には「自閉装置まわりは任せて」と自信を持って言えるようになります。

現場ワード(自閉装置)

読み仮名英語表記
じへいそうちSelf-closing device / Door closer

定義

自閉装置とは、開いた扉や引戸を人が手を離した後に自動で閉じるよう制御する機構の総称です。代表例は「ドアクローザー(表面付けタイプ)」や「フロアヒンジ(床埋め込み)」、スプリングヒンジ、引戸用クローザーなど。内部のバネ(スプリング)の力で扉を閉じ、油圧や空圧のダンパーで速度を調整します。防火区画の扉では、確実に閉まること(自閉)が求められるケースが多く、安全・防煙・遮音・空調効率に関わる重要部材です。

まず押さえたい:自閉装置の基本と役割

基本の仕組み

多くの自閉装置は、開ける時にバネを蓄力し、手を離すとその力で扉を閉じます。油圧(オイル)を通る通路の絞りをネジで調整することで、閉まる速度や最後の「ラッチング」動作(戸先を確実に引き込む動き)をコントロールします。床埋め込みのフロアヒンジも原理は同様で、軸(ピボット)を中心に扉を回転させながら制御します。

何のために必要?

  • 安全性の確保:不用意な開放を防ぎ、共用部や屋外からの侵入・風圧の影響を低減。
  • 防火・防煙:区画の扉を確実に閉め、火災時の煙の拡散を抑える(設計・用途により求められる)。
  • 衛生・空調:トイレや厨房、空調ゾーンの気密・臭気対策、エネルギーロス抑制に有効。
  • 遮音・プライバシー:会議室・病室などの音漏れや視線を軽減。
  • 建具保護:強風や勢いでバタンと閉まるのを抑え、建具・枠・金物の寿命を延ばす。

自閉装置の種類(現場でよく出る形)

開き戸系

  • ドアクローザー(表面付け):最も一般的。扉上部に本体、扉や枠にアームを取り付ける。
  • フロアヒンジ:床埋め込みで意匠性が高く、ガラス扉などに多い。両開き(センターピボット)にも対応可。
  • スプリングヒンジ/オートヒンジ:ヒンジ内蔵タイプ。軽量扉や意匠優先で採用。

引戸系

  • 引戸クローザー(ソフトクローズ含む):引き残し後に自動引き込み。速度・終端のショック緩和。
  • 上吊り引戸用クローザー:レール内蔵または後付けユニットで自閉機能を付与。

付加機能の例

  • バックチェック:開けすぎの急激な動きを緩め、壁や人への衝突を防ぐ。
  • ディレードアクション(遅延閉鎖):医療・搬送で通行時間を確保するため閉まるのを遅らせる。
  • ホールドオープン(任意角度保持):所定角度で開いたまま保持。ただし防火扉では用途・法規に要注意。

現場での使い方

言い回し・別称

  • クローザー/ドアクローザー/ドアチェック(古くからの呼称)
  • フロアヒンジ(床ヒンジ)/オートヒンジ
  • 引戸クローザー/ソフトクローザー(引戸)
  • 自動閉鎖装置(火災検知等と連動する装置)と混同注意:自閉装置はバネで自動的に閉じるものの総称

使用例(3つ)

  • 「この扉、防火区画だから自閉装置は必須。ラッチ強めに調整しておいて。」
  • 「風が強いから第一速度を落として、ラッチングだけ少し強めにしよう。」
  • 「フロアヒンジのオイル抜けっぽい。閉まりが甘いから安全のため交換提案しよう。」

使う場面・工程

  • 金物取り付け:建具吊り込み後、クローザー本体・アーム・ブラケットを所定位置へ固定。
  • 調整:閉鎖速度(第一・第二)とラッチング、必要に応じバックチェック・遅延閉鎖を微調整。
  • 検査・引き渡し:防火区画・共用部は特に「確実に自閉・確実にラッチ」を複数回確認。
  • 保守・改修:経年でのオイル漏れ・緩み・歪みの点検、交換提案。

関連語

  • ラッチ(錠の掛かり)/受座(ストライク)/戸当たり/ドアストッパー(保持)
  • ピボット(軸金物)/アーム(クローザーの連結部)
  • 自動閉鎖装置(感知器・電磁石連動)/常時閉鎖式・自動閉鎖式(防火戸の種別に関わる語)

選び方のポイント(失敗しない基準)

1. 扉条件に適合する「番手・容量」

扉サイズ・重量・使用頻度・風圧条件に合わせて番手(サイズ)や容量を選定。大きすぎると開けにくく、小さすぎるとラッチ不良や急閉が発生。屋外や風の影響がある出入口は一段強めを選ぶことが多いです。

2. 取り付け方式・納まり

  • 表面付け(スタンダード/パラレルアーム/トップジャムなど)
  • フロアヒンジ(床堀りが可能か、既存床の納まりはどうか)
  • ヒンジ内蔵(意匠優先・軽量扉向け)

枠の見付け寸法、天付け・横桟の有無、ガラス扉か木・鋼製か、で最適解が変わります。

3. 機能オプション

  • バックチェック(人の挟み込みや壁破損防止)
  • 遅延閉鎖(カートやストレッチャー通行など)
  • ホールドオープン(用途・法規の確認が前提)

4. 法規・運用要件

防火区画などでは「確実な自閉」が必須条件となる場合が多く、意匠や使い勝手よりも確実性を優先。常時開放運用をしたい場合は、感知器連動の自動閉鎖装置や電磁ストッパーの採用可否を設計者と事前協議しましょう。

取り付けの考え方(基本手順とコツ)

表面付けドアクローザーの一般的手順

  • 型紙を当て、扉・枠の下地位置を確認(ビス位置が空洞にならないよう注意)。
  • 本体とアームを仮付け。扉が干渉しないか、開き角度を確認。
  • 本締め後、速度・ラッチの調整を実施。最後にカバーを取り付け。

ポイント:枠の剛性が弱いとビスが緩みやすく、ラッチ不良や騒音の原因に。下地補強を忘れずに。

フロアヒンジの留意点

  • 床堀り寸法・水平レベルが命。ケースの歪みは自閉不良の原因。
  • 扉吊り込み後に芯心の通り、クリアランス、戸当たり位置を再確認。
  • ガラス扉は金物のかみ込み寸法と加工精度が重要。メーカー仕様書に厳密に従う。

調整の基本(スムーズに閉じて、きっちり掛かる)

よくある3系統の調整

  • 第一速度(スイープ):全開〜中間までの閉鎖速度。人通りや風を見てゆっくりめに。
  • 第二速度(ローカ):中間〜ラッチ直前の速度。勢いを出し過ぎると危険。
  • ラッチング:最後の数度でカチッと掛ける力。扉の反りや気圧差に合わせて微調整。

多くはネジを「時計回りで遅く」「反時計回りで速く」が基本。調整ネジの刻印(1・2・Lなど)はメーカーごとに表示が異なるため、機種の取説を確認してください。調整は少し回して試し、反応を見ながら段階的に行うのがコツです。

バックチェック・遅延閉鎖の設定

バックチェックは開き角の手前から効かせ、壁や手にぶつかる「ガツン」を抑える程度に。遅延閉鎖は介助や搬送が必要な空間のみ。不要な場所で強く効かせると利用者のストレスになります。

よくある不具合と対処

  • 最後に掛からない(半ドア):ラッチ不足。ラッチング強化、ストライク位置再調整、扉反りの確認。
  • 勢いよく閉まって危険:第一・第二速度を落とし、バックチェックも検討。風の影響が強い場合は容量見直し。
  • 閉まりが遅すぎる:速度を上げる。油温が低い冬場は反応が鈍いことがあるため微調整で対応。
  • オイル漏れ:本体交換が基本。オイルが枠や床に垂れる前に早めの措置を。
  • ビス緩み・がたつき:固定や下地不良。増し締め・補強、場合により位置見直し。
  • 異音(ギー・ガリ):軸やアームの摩耗、取付角度不良。清掃・注油(指示がある範囲)と部品交換。

安全・法規のポイント(実務での判断軸)

防火区画の扉では、設計図書や仕様書に基づき「扉が自力で確実に閉鎖し、ラッチが掛かること」が求められることが多いです。常時開放したい運用がある場合は、感知器連動の自動閉鎖装置や電磁式ホルダーと組み合わせる設計が必要になることがあります。現場判断でホールドオープンやストッパーを付けるのは原則NG。必ず設計者・監理者と協議し、要求性能に適合させてください。

代表的なメーカー(例)と特徴

  • 日本ドアチェック製造(NEWSTAR):ドアクローザー・フロアヒンジの老舗ブランド。国内現場での流通が広く、型式も豊富。
  • リョービ(RYOBI):表面付けクローザーで広く普及。汎用から機能付きまでラインアップがある。
  • ドーマカバ(dormakaba):グローバルブランド。フロアスプリングやクローザーの意匠性・機能性に強み。
  • スガツネ工業:建築金物総合メーカー。引戸用ソフトクローズなども扱い、家具・建具の軽量用途に強い。

機種選定は「扉条件(寸法・重量・頻度)」「取り付け納まり」「必要機能」の三点をまず固め、各社の対応表で番手を合わせるのが確実です。

図面・見積りでのチェック項目

  • 建具表の金物欄に「自閉装置(種類・機能)」の明記があるか。
  • 枠・扉の下地がクローザーのビス保持に十分か(木下地・鋼板厚・アンカー位置)。
  • フロアヒンジの床堀り・防水納まり(エントランスなど)とレベル調整の手当。
  • 防火区画の場合の要件(常時閉鎖/自動閉鎖/ホールドオープン可否)。
  • 清掃・保守のアクセス(カバー脱着、点検口の有無)。

現場の小ワザ・あるある対策

  • 風が強い出入口:第一速度をやや遅め、ラッチ強めで「バタン」を防止。戸当たりも併用。
  • 静かに閉めたい室内:第二速度をゆっくり、ラッチは必要最小限。戸先のゴム調整で音対策。
  • 高齢者施設・病院:遅延閉鎖を活用しつつ、指詰めリスクが出ないよう速度は控えめに。
  • 框ガラス扉:フロアヒンジの芯心・ガラス加工精度を最優先。現場合わせの微修正は慎重に。

用語ミニ辞典(サクッと把握)

  • 自閉装置:開いた扉を自動的に閉じる機構の総称。
  • ドアクローザー:表面付け自閉装置の代表。アームで扉を制御。
  • フロアヒンジ:床埋め込み型の自閉装置。意匠性・大型扉に適する。
  • ラッチング:最後に錠を掛けるために戸先を押し込む動作。
  • バックチェック:開けすぎ時のショックを緩和する機能。
  • 自動閉鎖装置:感知器や電磁ホルダーと連動し、火災時に自動で閉鎖させる装置。自閉装置とは別概念。

よくある質問(Q&A)

Q1. 自閉装置とドアクローザーは同じですか?

A. ドアクローザーは自閉装置の代表的な一種です。自閉装置には他にもフロアヒンジ、スプリングヒンジ、引戸クローザーなどが含まれます。

Q2. 防火扉にホールドオープンを付けても大丈夫?

A. 設計・法規上の要件次第です。常時開放したい場合は、感知器連動で火災時に自動閉鎖できる仕組みが必要になることがあります。現場判断での取り付けは避け、設計者に確認してください。

Q3. 閉まるのが早くて危ない。どのネジを触ればいい?

A. 速度調整ネジで第一・第二速度を下げ、必要ならバックチェックを強めます。ネジ表示や回す方向は機種により異なるため、該当機種の取扱説明書を確認の上、少しずつ調整してください。

Q4. オイル漏れは修理できますか?

A. 多くの場合は本体交換が基本です。オイルが漏れ始めると性能が安定せず、二次被害(床汚れ・滑り)につながります。

Q5. ドアストッパーと自閉装置は併用できますか?

A. 機能上は併用できますが、防火区画や安全上の要件によってはNGの場合があります。任意で開放保持する金物の使用は、設計条件に従って判断してください。

チェックリスト(引き渡し前の最終確認)

  • 扉を任意の角度から離しても、自力で確実に閉まりラッチが掛かる。
  • 人の通行に対して閉鎖速度が適切で、指詰めリスクが低い。
  • 開けすぎ時でも壁や人に衝突せず、バックチェックが有効。
  • ビスの緩み・本体のがたつきなし。オイル漏れなし。
  • 防火区画・運用要件に適合。不要なホールドオープン・ストッパーなし。

まとめ:自閉装置を味方に、品質と安全を両立

自閉装置は、ただ扉を「閉める」だけの金物ではありません。防火・防煙・安全・衛生・省エネなど、建物の性能を確実に支える重要パーツです。現場では「扉条件に合う番手を選ぶ」「納まりに合う方式を選ぶ」「速度・ラッチをていねいに調整する」「法規・運用要件を守る」の4点を徹底するだけで、トラブルの多くは未然に防げます。迷ったときは、設計者やメーカーの技術資料を参照し、安易な現場合わせに頼らないこと。しっかり選び、正しく取り付け、気持ちよく閉まる扉を引き渡しましょう。これが、内装現場で信頼される仕事につながります。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

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