面材張りの意味・手順・失敗しないコツを、現場感覚でていねいに解説
「面材張りって何をする工程?」「石膏ボードや合板を貼るのと何が違うの?」——はじめて現場ワードに触れると、そんな疑問がわいて当然です。本記事では、建設内装の現場で職人が日常的に使う言葉「面材張り」を、専門用語をなるべくかみくだきながら説明します。工程の流れ、材料の選び方、ビスのピッチや継ぎ目の取り方など、実践で役立つポイントをまとめました。読み終えたころには、図面や打合せでこの言葉が出ても迷わず会話に入れるようになります。
現場ワード(面材張り)
| 読み仮名 | めんざいばり |
|---|---|
| 英語表記 | Board installation / Paneling(状況により Sheathing) |
定義
下地(木下地や軽量鉄骨〈LGS〉、コンクリートなど)に、板状の面材(石膏ボード、合板、けい酸カルシウム板、MDF、OSB など)を所定の順序と固定方法で取り付ける作業・工程の総称。壁・天井・床下地、間仕切り、耐火・遮音・耐力補強など、目的に応じて材料や張り方が変わるのが特徴です。単に材料名で呼ぶ「ボード張り」「合板張り」も面材張りに含まれます。
現場での使い方
言い回し・別称
- ボード張り(PB張り)…石膏ボードを指す略称。PB=Plaster Board。
- 合板張り(コンパネ張り)…構造用・普通合板を下地に張ること。古い表現でコンパネと呼ぶことも。
- ケイカル張り…けい酸カルシウム板の取り付け。
- 面材二重張り・千鳥張り…継ぎ目をずらしながら2層で張る方法。
- GL張り…コンクリート面に専用ボンドで石膏ボードを直貼りする工法。
使用例(3つ)
- 「午前はLGSのスタッド立てて、午後から片面の面材張り入ろう」
- 「ここ耐火指定だからPBは二重で。ジョイントは千鳥で頼む」
- 「面材張り前に電気配線と開口位置、必ず通り合わせしといて」
使う場面・工程
面材張りは下地組みの後、仕上げ前のタイミングに行います。一般的な室内壁の流れは次の通りです。
- 墨出し・下地組み(木下地/LGS)
- 配線・配管・断熱充填・補強胴縁の取り付け
- 面材張り(片面→内部確認→反対面)
- ジョイント処理(パテ・テープ)
- 仕上げ(クロス・塗装・化粧板など)
関連語
- 通り取り…壁の真っ直ぐさ・面のフラットさを出す調整。
- 千鳥(互い違い)…継ぎ目をずらして重ねる貼り方。
- ビスピッチ…ビスの間隔。仕様書や材料ごとに基準がある。
- 不燃・準不燃・難燃…材料の燃えにくさ区分。法規で指定される。
- GL工法…コンクリートにボード用接着材で直貼りする工法。
面材の主な種類と特徴(どれを、どこに使うか)
面材張りの成否は材料選定で半分決まります。代表的な面材の用途と特徴を把握しましょう。
- 石膏ボード(PB)…室内壁・天井の標準。安定した平滑面が得やすく、遮音・耐火に有利。耐水タイプ(グリーン)や高強度タイプもあり。
- 合板(構造用/普通)…棚や手すりなどのビス効きが必要な面の下地、床下地、耐力壁の面材に。湿度変化で伸縮するためクリアランスが必要。
- けい酸カルシウム板(ケイカル)…不燃性・寸法安定性に優れ、厨房・機械室・外部に面する軒天などにも使われる。切断時の粉じん対策が必要。
- OSB・MDF・パーティクルボード…什器の下地や意匠用途、木質内装で使用。OSBやパーティクルは構造用として使うケースも。
どの材料も「厚み」「サイズ」「不燃区分」「表面仕上げの相性(クロス・塗装・化粧シート等)」を踏まえて選びます。法令や設計指定がある場合は必ず従ってください。
基本の手順(壁・天井の面材張り)
代表的な壁の面材張りの手順を、現場のコツといっしょにまとめます。数値は一般的な目安で、実際は仕様書・メーカー基準を優先します。
1. 墨出し・通り確認
レーザーやチョークラインで基準を出し、下地の通りと直角をチェック。ゆがみが大きいと仕上げで「目違い」が生じやすく、パテ処理が増えます。
2. 下地の準備
LGSや木下地のピッチ、補強の有無(手すり・TV・棚のビス留め位置)を再確認。配線・配管・断熱材の納まりもこのタイミングで最終チェックします。
3. 面材の割付・加工
- ジョイントはスタッド(下地)上で拾う。
- 継ぎ目が一直線に重ならないよう千鳥にする。
- 開口部は角から45度の切り欠きや、角に割付を当てないなど、クラック対策をとる。
4. 取り付け(ビス・接着)
- ビスピッチの目安(例):周辺部150mm程度、中央部200〜300mm程度。
- ビスのめり込み:PBは表紙を破らずにわずかに沈める。合板は座面をフラットに。
- 端部のビス位置:面材端から10〜15mm程度内側。割れ防止に注意。
- 合板は伸縮を見込んで板間に2〜3mmのクリアランス。PBは密着を基本に、無理な突き付けは避ける。
- GL工法はメーカー指定のボンド量・ピッチ・養生時間を厳守。
5. ジョイント処理
クロス仕上げなら、目地テープ(紙・ファイバー)+下塗りパテ→中塗り→上塗り→研磨の順。塗装仕上げはより面精度が求められるため、光を当てながら段差・ヘコミ・ビス頭の浮きを徹底的に消します。
下地別の張り方ポイント
木下地(胴縁・間柱)
- 木の含水率で動くため、合板の伸縮クリアランスを確保。
- ビスは木ビス。下穴が必要な部位は割れに注意。
- 補強が必要な位置は合板を先行で仕込んでおくと後が楽。
LGS(軽量鉄骨)
- LGS用の先端が鋭いドリルビスを使用。
- スタッド位置を「探針」や磁石・レーザーで読み、ビスが抜けないように。
- 遮音が必要な場合は二重張り+グラスウール充填が定番。
コンクリート(GL工法/直貼り)
- 下地は清掃・プライマー処理。レイタンス・油分を除去。
- ボンドのピッチ・厚みは製品基準に合わせ、ムラを出さない。
- 高さがある面は「通り」を見ながら当て木・仮固定で面精度を担保。
品質を左右するチェックポイント
- 通り・平滑性…定規・レーザーで高低差を確認。光だまりが出ない面をつくる。
- 目違い・段差…ジョイント部分の段差は最低限に。パテで消せる範囲に抑える。
- ビス浮き・めり込み過多…パテ割れの原因。均一な沈み具合に。
- ジョイント位置…下地で拾えているか、千鳥になっているか。
- 開口部の納まり…角割れ対策、見切り材・額縁との取り合い。
- 法規適合…不燃・遮音・耐火などの指定通りの材料・層構成になっているか。
安全・衛生(切断・運搬・粉じん対策)
- 切断時は保護具(防じんマスク・メガネ・手袋)を着用。
- 長尺・重量物は2人以上で運搬。壁立てかけ保管は転倒防止の養生を。
- 粉じんは掃除機併用の切断や集じん機で最小化。現場共用部分は養生を徹底。
よくある失敗と対策
- ビスが抜ける/効いていない…下地を外している。スタッド位置の確認を徹底、ビスの長さ・種類も適正化。
- ジョイントが割れる…下地が貧弱、端部ピッチが粗い、パテ工程を省略。端部はピッチを詰め、テープ処理を丁寧に。
- 仕上げに映り(凹凸・目地)が出る…通り不足。下地・面材取り付け時の面調整とパテの精度を上げる。
- 合板が膨らむ・隙間が開く…湿度変化。クリアランス確保と現場の養生・換気を行う。
面材張りに使う代表的な工具・消耗品
- インパクトドライバー/ボード用スクリュードライバー(深さ調整付き)
- カッターナイフ・定規・ボードカンナ(PBの切断・面取り)
- 丸ノコ・ジグソー・ホールソー(合板・開口加工)
- レーザー・チョークライン(墨出し・通り確認)
- メッシュテープ・紙テープ・各種パテ・サンダー(ジョイント処理)
- ボードビス・木ビス・LGS用ビス、必要に応じて接着剤(GLボンド等)
用途別の張り方の考え方(選び方のポイント)
遮音を高めたい場合
- PB二重張り+ジョイント千鳥+中空部にグラスウール充填が基本。
- コンセントボックス周りの気密を確保。隙間はシーリングで処理。
耐火が求められる場合
- 設計指定の不燃材・層構成を厳守(PB二重以上・ケイカル併用など)。
- 貫通部(配管・ダクト)まわりは耐火措置を施工手順書どおりに。
ビス保持力が必要な場合
- 仕上げの裏に合板下地を仕込む。PB+合板の順序や厚みは仕様に合わせる。
- 下地位置を記録(写真・墨)しておくと、後の機器取り付けがスムーズ。
湿気・水がかかる場所
- 耐水PBやケイカルなど、耐湿性・不燃性がある面材を選ぶ。
- 防水は別途必要。面材はあくまで下地であり、防水層ではない点に注意。
メーカー例(代表的な国内メーカーと特徴)
具体名は参考情報として。採用は設計・仕様書・流通状況に合わせて判断してください。
- 吉野石膏株式会社…石膏ボードの国内大手。一般PBから耐水・高強度・遮音・耐火用途までラインアップが広い。
- チヨダウーテ株式会社…石膏ボードや内装建材を展開。室内空気質に配慮した製品なども取り扱う。
- 大建工業株式会社…天井材・不燃板・吸音材など内装建材全般に強み。用途別の天井・壁材が豊富。
- ニチアス株式会社…けい酸カルシウム板をはじめとする不燃材料・耐火断熱材の大手。
- 株式会社ノダ…化粧合板・造作材・建具など。内装意匠材の選択肢が多い。
- 日本ノボパン工業株式会社…構造用パーティクルボード(耐力面材)で知られる。
現場で迷わないQ&A
Q. 面材張りと「仕上げ張り」は何が違う?
A. 面材張りは下地を作る工程の総称で、仕上げ(クロス・塗装・化粧板など)を受けるための面を整えます。化粧ケイカルや化粧合板など、面材自体が仕上げとなる場合もありますが、そのときも取り付け方の基本は同じです(傷・汚れ対策はより厳密に)。
Q. ビスピッチは必ず決まっている?
A. 施工要領書や設計図書に規定があるのが原則。記載がない場合は材料・用途ごとの一般値(周辺150mm、中央200〜300mm程度)を採用し、現場監督と合意してください。
Q. 継ぎ目のテープは省略できる?
A. 基本的に不可。テープは割れ防止の要。特にPBの突き付け目地はテープ+パテが標準です。
チェックリスト(今日から使える最終確認)
- 材料:厚み・サイズ・不燃区分は発注書どおりか。
- 下地:ピッチ・通り・補強は図面どおりか。配線・断熱は完了済みか。
- 割付:ジョイントは千鳥。開口部の角に継ぎ目が来ていないか。
- 固定:ビスピッチと端部距離、沈み具合は適正か。
- 面:反り・段差・ビス浮きなし。光で見て違和感がないか。
- 法規:不燃・遮音・耐火の指定層構成を満たしているか。
- 記録:隠ぺい前に写真を撮影(下地位置・配線・補強)。
まとめ:面材張りは「面をつくる」基礎技術。基本を守れば仕上げが決まる
面材張りは、単にボードを貼る作業ではありません。下地の通りを見極め、用途に合う面材を選び、継ぎ目・ピッチ・順序を守って「仕上げが美しく納まる面」をつくることが仕事の核心です。工程の前後で電気や設備との取り合い確認を怠らず、千鳥や二重張り、パテ処理などの定石を確実に押さえれば、パフォーマンスと仕上がりは段違いに向上します。図面や仕様に迷ったら、監督・設計と早めにすり合わせを。基本に忠実な面材張りが、内装の完成度を大きく左右します。









