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テフロンテープとは?正しい使い方・選び方と現場で役立つ活用術を徹底解説

水まわりの漏れ止めの定番「テフロンテープ」完全ガイド:現場の正しい選び方と巻き方

「テフロンテープって何に使うの?」「どっち向きに巻けばいい?」——はじめて工具を触る方や、DIYで水栓交換に挑戦する方が必ずぶつかる疑問です。建設内装の現場では毎日のように出番がある基本アイテムですが、正しい選び方や巻き方を知らないと、せっかく締め込んでもじわっと漏れる、ネジを痛める、といったトラブルにもつながります。本記事では、現場で当たり前に使われている「テフロンテープ」(一般名:PTFEシールテープ)について、用途から巻き方、失敗例、プロの小ワザまで、初心者にも分かりやすく丁寧に解説します。読了後には、「これで安心して使える」と感じていただけるはずです。

現場ワード(テフロンテープ)

読み仮名てふろんてーぷ(一般名:しーるてーぷ/PTFEしーるてーぷ)
英語表記PTFE thread seal tape(plumber's tape)

定義

「テフロンテープ」とは、フッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)製の非常に薄い帯状テープで、主に管用テーパねじ(配管のオス側ねじ山)に巻き付けて、ねじの隙間を充填・潤滑し、液体や気体の漏れを防ぐためのシール材です。現場では通称で「テフロン」「シールテープ」と呼ばれますが、素材の一般名はPTFEで、「テフロン」はデュポン社の登録商標に由来する呼び名です。

何に使うもの?基本の仕組み

配管の世界では、金属や樹脂の「管用テーパねじ(Rねじ)」をねじ込み、金属面同士の密着とねじ山の噛み合わせでシールします。とはいえ金属面には微細な凹凸があり、そのままでは毛細管現象で水や空気がにじみます。ここで役立つのがPTFEシールテープです。

PTFEは非常に化学的に安定で、表面エネルギーが低く、柔らかく延びやすい特性があります。ねじ山に巻いたテープが締め込みの圧力で押しつぶされ、微小な隙間を埋めながら、同時に潤滑剤の役割を果たして「スムーズに締まる」のに「漏れない」状態を作ります。つまり、テープ自身がガスケット(パッキン)のように機能する仕組みです。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では次のような言い方をよくします。

  • 「テフロン、巻いといて」
  • 「シールテープで処理しておいて」
  • 「PT(管用テーパ)だからテフロン必須ね」

「テフロン」は通称で、製品名としては「シールテープ」「PTFEシールテープ」と表示されていることが多いです。

使用例(3つ)

  • 洗面水栓の止水栓(オスねじ)を壁中のソケットにねじ込む前に、ねじ山へテフロンテープを7〜10周ほど巻いてから接続する。
  • 温水便座の分岐金具や給湯器まわりのねじ込み継手に、巻き方向を確認しつつPT1/2のオス側へ適量を巻いて漏れを防止する。
  • 設備更新で古い配管を再利用する際、ねじ部の汚れを落とし、テフロンテープを新規に巻き直して再組立てする。

使う場面・工程

使うのは基本的に「ねじ込み継手(管用テーパねじ:R)」の接続工程です。水道・衛生設備(蛇口、止水栓、継手)、空調・冷媒配管の一部のねじ、設備機器の接続口など。工順としては「清掃→巻く→ねじ込む→漏れ検査」の流れに組み込みます。

関連語

  • 管用テーパねじ(R、PT):ねじの山が先細りの規格ねじ。テフロンテープを使う代表。
  • 管用平行ねじ(G):パッキンやOリングでシールすることが多く、テフロンテープは原則不要。
  • 液状シール剤(スレッドシール):ロックタイト等。粗いねじや振動で緩みやすい箇所で併用・代替する場合あり(製品指示に従う)。
  • パッキン・Oリング:座面で密封する別系統のシール材。フレア・フェルール・パッキン接続はテフロンテープ不要。

正しい巻き方(手順とコツ)

巻き方の基本は「向き」「回数」「位置」です。これを外すと漏れやすくなります。

手順

  • 下地の清掃:ワイヤーブラシやウエスでねじ部のサビ・古いテープ・油分を除去。乾いた状態で作業。
  • 開始位置:オスねじの先端から1〜2山は空け、2山目あたりから巻き始める。先端まで覆うとテープ片が配管内へ入りやすくなる。
  • 巻く方向:ねじ込む方向に沿って巻く。右ねじ(通常)は「ねじ先から見て時計回り」。逆に巻くと締め込み時にほどける。
  • テンション:軽く引っ張り気味に張力をかけ、ねじ山に食い込ませる。ふわっと巻かない。
  • 重ね具合と回数:7〜10周が目安(細ねじや状態により調整)。重ねは1/2〜2/3程度ずつオーバーラップ。
  • 仕上げ:巻き終わりの端をねじ山に押さえつけて固定。はみ出す部分はカットして整える。
  • ねじ込み:まっすぐ当てて手で可能な限り入れる。最後にスパナで増し締め。過大トルクは割れ・破損を招くため禁物。

回数の調整の目安

・新品の精度のよい金属ねじ:6〜8周程度。・古いねじ、ガタが大きい:10〜12周まで増やす。・樹脂継手:製品の指示に従い、回数は少なめ+過大トルク厳禁。

巻いた後のチェック

  • ねじ先端からテープが見えていないか(流路塞ぎのリスク)。
  • 巻き方向が正しく、締め込みでめくれていないか。
  • 漏れ試験(水張り・エア)でにじみがないか。必要ならやり直す。

選び方(幅・厚み・密度・用途)

PTFEシールテープは見た目が似ていますが、仕様や用途表示が異なります。ラベルの適用流体・圧力・温度の記載を必ず確認してください。

  • 幅:一般的には12〜13mm幅が使いやすい。太い配管には19mm幅も。
  • 厚み(密度):薄手は巻き数で調整しやすい。粗いねじや金属配管には中厚〜高密度タイプが安定。
  • 長さ:10〜15mが標準的。現場常備なら20m以上の業務用も便利。
  • 用途表示:水道用、油・化学薬品対応、ガス用など。用途外使用は厳禁。
  • 色分け:白(一般水道向け)が多い。黄色などで「ガス用」と明示されたタイプもあるが、地域・事業者の基準に従うこと。
  • 適用温度・圧力:PTFE自体は広い温度域(目安:-100〜+200℃以上)に耐えるが、テープの厚みや相手材、接続規格により実用条件は異なる。製品仕様を優先。

これだけはNG(よくある失敗と対処)

  • 逆向きに巻く:締めるほどほどける。必ず右ねじは時計回り。
  • 先端まで覆う:白いテープ片が流路に入り、フィルターやバルブを詰まらせる。先端1〜2山を空ける。
  • 巻き過ぎ:過大トルクになり、雌ねじや機器の割れ・破損の原因。適正回数に。
  • 汚れ・油の上から巻く:密着せず漏れの原因。必ず清掃・脱脂。
  • 平行ねじやパッキン接続に使用:座面シールが基本の接続には不要。むしろ不具合の元。
  • 再利用:外したら原則巻き直し。古いテープは取り除き、新しく巻く。
  • ガス配管への安易な使用:ガス事業者の基準・指定品に従う。一般の白テープは使用不可のケースあり。

適用可否と安全・基準の考え方

・水道:飲料水系では「水道用途適合」等の記載がある製品を選定。機器側の保証条件にも留意。・ガス:地域ガス事業者・施工基準に従う。指定の高密度テープや液状シール剤が求められる場合がある。・薬品・油:PTFEは耐薬品性に優れるが、溶媒や高温下での圧力条件は製品仕様で必ず確認。・建築設備の検査:水圧試験や気密試験での再増し締めは禁止。漏れが出たら巻き直しが原則。

現場で役立つ小ワザ(プロの所作)

  • ねじ先端の面取り確認:バリがあるとテープが裂ける。軽く面取りしてから巻くと綺麗に収まる。
  • 巻き始めは「押さえ」から:最初の半周は親指で押さえつつ強めに張って食い込ませる。
  • 段差の「戻り巻き」:段付きのねじは一度段差側へ半周戻すように角を埋めてから通常巻きに入ると漏れにくい。
  • 液状シール剤の併用:粗いねじや振動部では、製品指示に従って薄く併用する場合あり(混用可否はシール剤の取説に従う)。
  • 仕上げの見た目:はみ出しをカットし、同一方向のヘアライン状に整えると「仕事がきれい」に見える。

メーカー・取り扱い例(参考)

以下は国内で「シールテープ(PTFEテープ)」を取り扱う代表的な例です。購入時は用途(例:水道用、ガス用)と仕様を必ず確認してください。

  • カクダイ(KAKUDAI):水道用品総合メーカー。水まわりの小物から専門部材まで幅広く扱い、シールテープも定番。
  • SANEI(サンエイ):住宅設備・水栓金具メーカー。補修・接続用のシールテープを展開。
  • トラスコ中山(TRUSCO):プロ向け工具・副資材の供給。業務用PTFEテープを取り扱い。
  • モノタロウ(MonotaRO):EC型の工場・現場向けストア。自社ブランド含め多様な規格を入手可能。

「テフロン」はデュポン社の登録商標に由来する呼称で、一般名はPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)です。製品のラベルは「シールテープ」「PTFEテープ」と表記されます。

用語辞典:覚えておきたい関連キーワード

  • PT(R)ねじ:管用テーパねじ。自己密封性があり、テープで補助シールするのが一般的。
  • Gねじ:管用平行ねじ。座面シール(パッキン・Oリング)を使う。テープは原則不要。
  • シール剤(液状):ねじ用の嫌気性シール剤や溶剤系シール剤。テープの代替・補助として用いる。
  • 締付トルク:必要以上に強く締めると雌ねじの割れや機器損傷の原因。メーカー指定を優先。
  • フレア・フェルール継手:管端加工とナットで座面密封する方式。テープを使わない。

ケース別の判断基準

水栓金具の更新

配管側がR(オス)ねじの場合、テープを正方向に7〜10周。相手が樹脂ソケットや機器口なら、過大トルク防止のため回数少なめ+手締め基準を守る。

古い鉄管の再接続

ねじの荒れが目立つ場合、中厚〜高密度タイプのテープに切り替えるか、薄手テープを12周程度まで増やす。漏れたら必ず巻き直す。

ガス機器まわり

地域のガス事業者の指定資材・基準に従う。ガス用表示のある高密度テープや専用シール剤を使用。迷ったら施工要領書を確認。

よくあるQ&A

Q. 何周巻けばいい?

A. 目安は6〜10周。ねじ精度・材質・状態により増減します。手でねじ込んだときに「適度な抵抗を感じる」程度が適正です。

Q. やり直すとき、上から巻き足してもいい?

A. 推奨しません。古いテープをすべて除去し、新しく巻き直すのが基本です。

Q. どの接続にも使える?

A. いいえ。パッキンやOリングで座面シールする接続、フレア・フェルール・圧着継手などには使いません。ねじ込みテーパ接続が対象です。

Q. テープの色に意味はある?

A. あります。一般的な白は水道用が中心。黄色などに色分けされたガス用などもあります。色だけで判断せず、用途表示と仕様を確認してください。

Q. 液状のシール剤と併用してもいい?

A. 併用可否はシール剤の取扱説明書に従います。相性の悪い組み合わせもあるため、製品指示が最優先です。

チェックリスト(施工前後)

  • ねじ部は清掃・乾燥済みか。
  • 巻き方向は締め込み方向と一致しているか。
  • 先端1〜2山は空いているか。
  • 適正な回数で均一に巻けているか。
  • はみ出しは除去され、見た目も整っているか。
  • 漏れ試験を実施し、問題がないか。

コストと在庫の考え方

PTFEシールテープは単価が安く、1本で複数現場に対応できます。現場常備なら、標準幅(12〜13mm)薄手と中厚の2種を置いておくのが効率的。ガス案件がある事業者は指定のガス用テープや液状シール剤も合わせて在庫するのが無難です。

トラブル事例と対処

  • にじみ漏れが止まらない:巻き方向・回数・開始位置を見直し、ねじ部の損傷有無を確認。古いテープを完全除去して再施工。
  • ねじが途中で固く入りきらない:巻き過ぎの可能性。少し減らすか、薄手テープに変更。雌ねじの汚れ・変形も確認。
  • 白いカスが出る:先端まで覆っている、またはねじ内にちぎれたテープが残存。清掃後、先端を空けて巻き直し。

初心者でも失敗しないポイントまとめ

  • 右ねじは時計回り。迷ったら「ねじ込む方向に巻く」と覚える。
  • 先端は空ける。巻き始めは2山目から。
  • ふわっと巻かず、軽く引っ張り気味に密着させる。
  • 回数は6〜10周を基準に、ねじ精度で調整。
  • だめならためらわずにやり直す。上から足さない。

まとめ

テフロンテープ(PTFEシールテープ)は、ねじ込み配管の漏れを防ぐ最も身近で強力な味方です。ポイントは「清掃」「正しい向き」「適正回数」「先端を空ける」の4つ。さらに、接続形式の見極め(テーパ/平行)、用途表示の確認(水道/ガス/薬品など)、過大トルクの回避を徹底すれば、初心者でも確実なシールが可能になります。現場で当たり前に使われる“基本”ほど、丁寧な手順が仕上がりに直結します。本記事を手元の虎の巻として、安心・安全な配管作業に役立ててください。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

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