賃貸物件の原状回復はどこまで借主負担?費用・トラブル防止のために知っておきたいこと
「賃貸の退去時、原状回復費用ってどこまで自分で払うの?」「敷金はちゃんと返ってくるの?」
このような疑問や不安をお持ちではありませんか?原状回復や修繕費用についてよく分からず、退去時に高額な請求を受けてしまわないか心配な方も多いでしょう。
本記事では、はじめて賃貸を退去する方にも分かりやすく、原状回復の基本から費用の目安、注意点、トラブル防止策まで丁寧に解説します。読むことで、「自分がどこまで負担する必要があるのか」「どんな備えができるのか」がクリアになり、不安なく退去日を迎えられるはずです。
原状回復とは?賃貸契約における基本を理解しよう
原状回復の意味と賃貸契約との関係
原状回復とは、賃貸物件を「借りたときの状態に戻して返す」ことだと思われがちですが、実はそうではありません。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によると、原状回復義務は“通常の使用による損耗や経年変化”を除いた、「借主の故意・過失または善管注意義務違反による損傷」の修復に限られます。
つまり、普通に住んでいてできた傷や汚れは借主が負担しなくてOK。
賃貸契約書にも「原状回復義務」について記載があることが多いですが、内容が法律やガイドラインに沿っているかを必ず確認しましょう。
どこまでが「借主負担」?基本の考え方
借主負担になるのは、主に次のような場合です。
- 故意や過失でついた傷・汚れ(例:飲み物をこぼして床をシミにした、タバコのヤニ等)
- ペットによる壁紙の引っかき傷や臭い
- 無断でDIYや模様替えをした箇所
- 善管注意義務違反(窓を開けっぱなしによる雨漏りなど)
一方で、次のような「通常利用による損耗や経年劣化」は原則として借主負担にはなりません。
- 家具設置による床やカーペットのへこみ
- 日焼けによる壁紙や畳の変色
- 設備の自然消耗(給湯器やエアコンの寿命による故障など)
原状回復費用の主な種類と相場
よくある修繕項目と費用目安
賃貸の退去時に発生しやすい修繕費用には以下のようなものがあります。なお、金額は目安ですので実際は物件の種類や地域によって異なります。
- クロス(壁紙)張替え費用:1㎡あたり1,000~1,500円程度。6畳間全体なら30,000~50,000円が一般的。
- 畳の表替え:1枚あたり4,000~8,000円。6畳間で24,000~48,000円。
- フローリング補修:小規模な傷で5,000~20,000円、大きな張替えなら50,000円以上。
- ハウスクリーニング:1Kで15,000~25,000円、2LDKで30,000~50,000円程度。
- 設備の交換(コンロ・給湯器・エアコン等):経年劣化が原因なら大家負担、故障原因が借主にあれば借主負担。
一般的に、上記のうち「通常使用による汚れや消耗」分は貸主負担(敷金から差し引かれない)、借主の過失が原因の場合のみ負担となります。
敷金返還と修繕費用の関係
退去時、敷金の中から原状回復費用が差し引かれ、残りが返還されるのが一般的です。
敷金全額が戻ることもあれば、修繕費用が高額な場合は「追加請求」となることもあります。重要なのは、納得できない費用明細には必ず説明を求めることです。
- 必ず修繕内容ごとに明細をもらいましょう
- 根拠となる単価・面積・割合が明記されているか確認
- ガイドラインを根拠に不当な請求は拒否できる
借主負担となるケースの具体例と注意点
「借主負担」になりやすい実例
具体的に、次のようなケースでは原状回復費用の借主負担となる可能性が高いです。
- タバコのヤニや臭いによるクロス全面張替え
- ペットによるフローリングや壁の傷、臭い
- 重い家具をずらした際にできた大きな傷
- 釘やねじを壁に打ち込んだ穴
- 壁や扉の落書き、シール跡などの著しい汚れ
- 水漏れ・雨漏り等の放置によるカビや腐食
- 無断のDIYやリフォームによる変更
「貸主修繕範囲」と借主負担の線引き
貸主(大家)が負担する修繕範囲は、通常の生活で生じる摩耗や老朽化に基づくものです。壁紙や床の経年劣化、設備の寿命による交換などは貸主負担が原則。
ただし、契約書や特約で「全て借主負担」と記載されているケースもごく稀にありますが、消費者契約法やガイドラインに反していれば無効です。
納得できない請求があれば、内容証明郵便や専門家への相談も検討しましょう。
退去時の原状回復トラブル防止ガイド
賃貸トラブルが起きやすい場面と理由
原状回復をめぐる賃貸トラブルは非常に多いです。トラブルになりやすい理由は主に次の3つです。
- どこまでが借主負担か曖昧
- 修繕費用が高額だが明細が不透明
- 貸主や管理会社の説明不足
事前にガイドラインの知識を持っておくことで、無駄な費用負担や揉め事を避けられます。
退去前にできる!トラブル予防チェックリスト
退去時にトラブルを避けるためには、次のポイントを押さえておきましょう。
- 入居時の状態を写真で残す(小さな傷・汚れなども撮影)
- 契約書・重要事項説明書の「原状回復」の項目を事前に確認
- 退去立会い時に修繕箇所を一緒に確認し、記録を残す
- 見積もりや請求書の明細を必ずもらう
- 不明点や疑問点はその場で遠慮なく質問
- 必要なら消費生活センターや専門家に相談
DIY修繕はやっても大丈夫?注意点とコツ
「クロスの小さな傷や画鋲の跡くらい、自分で直しておけば費用が安くなるかも…」と考える方もいるでしょう。
確かに市販の補修材で簡単なDIY修繕をするのは問題ありませんが、やりすぎると逆に費用が高くなるリスクもあります。
- 貼り替えたクロスの色や柄が合わず、逆に全面張替えが必要になる
- フローリング補修材の使い方を誤って悪化させてしまう
- 無断で大がかりな修繕やリフォームを行うのは絶対NG
DIY修繕をする場合は、「目立たない範囲・簡単な傷のみ」「分からない場合は事前に管理会社に相談」が鉄則です。
原状回復費用が高額請求された際の対処法
もしも「納得できない高額な原状回復費用」を請求された場合、以下の流れで対応しましょう。
- 請求内容の明細・根拠資料をもらい、自分の負担範囲を再確認
- 国交省ガイドラインと照らし合わせ、不当な請求部分を指摘
- 管理会社や貸主と丁寧に協議し、記録を残す
- 話し合いで解決しない場合は、消費生活センター・弁護士・不動産専門の相談窓口を活用
泣き寝入りせず、納得できるまで粘り強く対応しましょう。
費用を抑えるために!原状回復で損しないコツ
敷金返還を最大化するポイント
退去時にできるだけ多く敷金を返してもらうためには、次の工夫が大切です。
- 普段から室内を清潔に保つ(特に水回りのカビ・汚れ防止)
- 退去前にハウスクリーニングを自分で徹底
- 小さな汚れや傷はこまめに補修しておく
- 喫煙やペット飼育がある場合は消臭・消毒をしっかり
- 契約書やガイドラインで負担範囲を確認し、根拠を持つ
- 疑問は管理会社と事前に相談する
退去時修繕の「よくある誤解」
退去時の原状回復について、次のような誤解が広まっていることが多いです。
- 「壁紙の全張り替えは必ず借主負担」→通常使用によるものなら貸主負担
- 「ハウスクリーニング費用は全額借主負担」→特約がなければ貸主負担が原則
- 「入居時よりも綺麗にして返さないと追加請求」→借りた時と同等で十分
- 「DIY修繕で完璧に直せば費用はゼロ」→下手なDIYは逆効果になることも
正しい知識を持つことで、無駄な不安・出費を防げます。
原状回復の流れと退去までのスケジュール
退去の基本ステップ
賃貸物件退去時の一般的な流れは以下の通りです。
- 退去希望日の1~2ヶ月前に管理会社へ連絡(契約書の規定日数を確認)
- 退去立会い日を決定し、管理会社と日程調整
- 家具・家電等の荷物をすべて撤去
- 掃除・簡単な補修を事前に済ませておく
- 立会いで傷・汚れの有無を管理会社と一緒に確認
- 修繕箇所・費用について明細を書面で受け取る
- 原状回復費用を精算(敷金返還・追加請求の有無を確認)
- 敷金の残額がある場合は指定口座へ返金される
円満退去・敷金返還のコツ
退去時にトラブルなく、気持ちよく敷金を返してもらうためには、以下のポイントを意識しましょう。
- 入居時・退去時ともに現状を写真で記録
- 修繕箇所は立会い時に双方立ち合いで確認
- 疑問や不安はその場で管理会社に相談
- 修繕費用の明細は必ず書面でもらう
- 納得できない場合はすぐにサインしない
まとめ:原状回復で損しないための安心ガイド
賃貸の原状回復費用は「どこまでが借主負担か」が分かりづらく、不安を感じる方が多いものです。しかし、国のガイドラインや契約条件を正しく理解し、事前に備えることで多くのトラブルは防げます。
入居・退去時の写真記録、修繕箇所の明細請求、DIY修繕の注意点など、今回ご紹介したポイントを押さえておけば、原状回復で損をしたり、不当な請求に悩まされることはありません。
もし分からないことや不安な点があれば、一人で悩まず、専門家や信頼できる不動産会社に相談することも大切です。
原状回復や敷金返還、賃貸トラブルでお困りの方は、ぜひ一度、弊社MIRIXにご相談・ご依頼ください。経験豊富なスタッフがあなたの理想の住み替えや円満な退去を全力でお手伝いいたします。安心して新しい生活へと踏み出しましょう!