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ウレタン防水とは?特徴・施工手順・耐用年数を徹底解説!失敗しない選び方とメリット

ウレタン防水を完全ガイド:意味・工法・手順・注意点まで現場視点でやさしく解説

「ウレタン防水って何?FRPやシート防水とどう違うの?」「ベランダや屋上で使えるの?」——そんな疑問をお持ちの方へ、現場で実際に使われる言い回しや、手順・注意点まで、専門知識がなくても分かるようにやさしく解説します。この記事を読めば、ウレタン防水の基礎から工法の選び方、失敗しないポイントまでがひと通り理解でき、業者との打ち合わせでも安心して話ができるようになります。

現場ワード(ウレタン防水)

読み仮名うれたんぼうすい
英語表記Polyurethane Waterproofing (Liquid-Applied Membrane)

定義

ウレタン防水とは、液体状のウレタン樹脂を下地に塗り重ねて一体の防水膜(塗膜)を形成する工法の総称です。コテやローラーで施工でき、複雑な形状や段差、立上りにも連続した防水層を作れます。代表的な工法は「密着工法」と「通気緩衝工法」。膜厚(まくあつ)は用途によりおおむね1.5〜3.0mm程度を確保し、上部に紫外線から守るトップコートを施します。

ウレタン防水の基礎知識

どんな場面で使われる?

屋上、バルコニー、共用廊下、庇(ひさし)、立上り、ドレン周りなど、雨水がかかる水平面や立上りに幅広く使われます。新築・改修のどちらにも対応し、既存防水の上から(カバー工法)施工できる場合もあります。

他防水との違い(ざっくり比較)

  • FRP防水:硬くて強靭、バルコニー向き。角に強いが振動や下地の動きに追従しづらい場面も。匂いが強いケースあり。
  • シート防水:ゴム・塩ビシートを貼る。均一な性能を出しやすいが、複雑形状が苦手なことも。
  • ウレタン防水:液体なので複雑形状に強く、つなぎ目のない一体膜を作れる。天候・下地条件の影響を受けやすいので施工管理が重要。

工法の種類と選び方

密着工法(直接密着)

プライマーで下地と付着させ、ウレタン塗膜を直接密着させる基本工法。下地の含水が少なく、動きが小さい場面に向きます。改修で既存防水が健全な場合、研磨・清掃・プライマー後に重ね塗りするケースもあります。

通気緩衝工法(絶縁工法)

下地と塗膜の間に通気緩衝シート(マット)を敷設し、脱気筒で下地の水分・水蒸気を逃がしながら塗膜を作る工法。膨れ(ブリスター)対策として改修屋上で多用されます。下地に含水がある、または動きが見込まれるときに有効です。

1液型と2液型

  • 1液型:開缶してそのまま施工でき扱いやすい。硬化は空気中の湿気や酸素との反応。
  • 2液型:主剤と硬化剤を混ぜて使う。硬化が安定しやすく、厚膜・高耐久仕様に採用されやすい。

どの工法・材料を選ぶかは、下地の状態(含水・ひび割れ・動き)、既存防水の種類、求める耐久性、予算、工期、臭気対策などを総合して判断します。

施工手順(代表例)

共通の基本フロー

  • 下地調整:ケレン清掃、脆弱部の補修、段差調整、クラック処理、目地シーリング更新。
  • プライマー塗布:下地や既存防水の種類に合う専用プライマーを均一に塗布。
  • 防水主材1層目:膜厚を拾いながらコテ・ローラー・ゴムベラで塗布。
  • 防水主材2層目:1層目硬化後に塗り重ねて所定膜厚を確保。
  • トップコート:耐候性確保・紫外線保護・色調整・汚染防止。遮熱タイプを選べる場合も。

通気緩衝工法の追加ステップ

  • 通気緩衝シートの貼付:下地に密着させず、指定の重ね幅で敷設。
  • 脱気筒の設置:屋上中央から高所に向けて適切数量を配置し、内部の水蒸気を逃がす。

乾燥・硬化の目安

気温20℃前後で、指触乾燥まで数時間、歩行可能まで24時間前後、完全硬化に24〜48時間程度が一般的な目安です(製品仕様優先)。低温時は硬化が遅れます。

施工時の環境条件(目安)

  • 気温5℃以上、湿度85%以下、露点差3℃以上を目安に実施(一般的な塗装・防水の基準)。
  • 降雨・結露・強風時は避ける。施工直後の降雨もNG。
  • 新設コンクリートは十分な養生後に。下地含水が多い場合は通気緩衝工法を検討。

現場での使い方

言い回し・別称

  • ウレタン、ウレタン塗膜、防水ウレタン、塗膜防水(ウレタン系)
  • 通気(通気緩衝)、密着(密着工法)、立上り先行、2層目流し

使用例(3つ)

  • 「今日は立上り先行でウレタン1層目入れて、平場は明日流すよ。」
  • 「既存の含水が高いから、今回は通気でいこう。脱気筒は3本追加ね。」
  • 「膜厚拾えてる?2ミリは確保したいからスキ取りしながら均して。」

使う場面・工程

バルコニーや屋上の改修工事での下地調整〜プライマー〜主材二層〜トップコート。水切り・ドレン・入隅出隅などの取り合い処理では、シーリング・補強クロス・増し塗りといった細部処理の指示にも「ウレタン」が使われます。

関連語

  • プライマー:下地と主材の密着を高める下塗り材。
  • 通気緩衝シート:下地の水分・水蒸気を逃がすためのマット。
  • 脱気筒:内部水蒸気を外へ排出する部材。膨れ防止。
  • トップコート:紫外線・汚れから塗膜を保護する上塗り材。
  • 膜厚:塗膜の厚み。性能に直結する重要管理項目。

メリット・デメリット(現場目線)

メリット

  • 継ぎ目のない一体防水で、複雑形状・狭小部にも対応しやすい。
  • 改修時に既存防水の上から施工できるケースがあり、廃材が少なめ。
  • 弾性があり、微細なひび割れに追従しやすい。
  • 遮熱トップなどオプションで温度上昇抑制や汚染低減が期待できる。

デメリット

  • 天候・温湿度の影響を受けやすく、施工管理が難しい。
  • 膜厚不足・ピンホール・付着不良など、手元の技量差が仕上がりに出やすい。
  • 溶剤系材料は臭気が出る場合があり、居住中工事では配慮が必要。

耐用年数・メンテナンスの目安

一般的な目安として、ウレタン塗膜防水の耐用年数は約10〜12年程度とされます(設計・仕様・気候・メンテ状況に左右)。5〜7年ごとのトップコート再塗装で表面劣化を抑え、主膜の寿命を延ばすのが定番。定期点検で膨れ・ひび・ドレン詰まりなどを早期発見し、部分補修を行う運用が推奨です。

適用部位と下地条件

  • 適用部位:屋上、バルコニー、廊下スラブ、庇、塔屋天端、立上り、笠木取り合いなど。
  • 適用下地:コンクリート、モルタル、セメント系ボード、既存の塗膜防水やシート防水(状態により可)、金属部(専用プライマー)。
  • 下地含水率:一般に低いほど良い。目安として含水率8%以下が推奨されることが多いが、製品仕様に従う。
  • 動きが大きい部位:目地・クラックはシーリングや補強布で先行処理。

品質チェックとよくある不具合

チェックポイント

  • 膜厚:所定膜厚を膜厚計や目安塗布量で管理。角や立上りは不足しやすい。
  • 付着:クロスカットや試験片、または実施工での剥がれ有無を確認。
  • ピンホール:気泡・微細欠陥。上塗り前に入念に点検・補修。
  • 勾配・排水:水たまり(ポンディング)を生じないよう勾配調整。

よくある不具合と予防

  • 膨れ:下地水分・残留溶剤・負圧。通気緩衝工法や脱気筒、乾燥期間の確保で予防。
  • 付着不良:埃・油分・水分の残り、プライマー不適合。下地清掃と適合材料の徹底が必須。
  • 膜厚不足:角・端部・配管根本で起こりやすい。補強クロスや増し塗りで対策。
  • 割れ:下地の大きな動きや急激な温度変化。目地設計と弾性の確保で緩和。

安全・衛生・近隣配慮

  • PPE(保護具):防毒マスク(溶剤系)、手袋、保護メガネ、長袖。
  • 換気・臭気対策:居住中工事は特に計画的に。低臭材料の選択も検討。
  • 火気厳禁:多くの溶剤系は引火性あり。喫煙・火花作業の分離徹底。
  • 雨仕舞い:切り回し時は養生で漏水を防止。天気予報と露点管理。

道具と消耗品(現場定番)

  • 混合:撹拌機(ミキサー)、計量カップ・はかり、攪拌棒。
  • 塗布:コテ、ゴムベラ、ローラー、刷毛、スキージー、スパイクローラー。
  • 計測:膜厚ゲージ、温湿度計、含水率計。
  • 下地:サンダー、ワイヤーブラシ、ケレン用ヘラ、モルタル・フィラー類。
  • 養生:マスカー、テープ、立入禁止表示、コーン、養生シート。

費用感と工期の考え方(目安)

費用は面積、下地状態、工法(密着/通気)、積算条件、地域、搬入経路で大きく変動します。一般的な改修バルコニーで、ウレタン塗膜防水は1平米あたり数千円台後半〜1万円台程度のレンジが目安として用いられることがありますが、事前調査と見積もり比較が不可欠です。工期は気象条件の影響を強く受け、数日〜1週間程度(規模次第)を見込むのが無難です。

よくある質問(Q&A)

Q1. FRP防水とどちらが長持ち?

部位や仕様によります。FRPは硬く強靭、ウレタンは弾性・複雑形状対応に優れます。いずれも定期的なトップコート再塗装と点検が耐用年数を左右します。用途・下地条件・周辺環境で選ぶのが正解です。

Q2. 雨が降ったらどうなる?

施工中・硬化前の降雨は不良の原因です。雨予報時は施工を避け、やむを得ず中断する場合は防水養生で雨仕舞いを確保します。硬化後は当然防水性能を発揮します。

Q3. 臭いが心配です。

溶剤系は臭気があります。低臭タイプや水性、作業時間帯の配慮、換気、近隣への事前周知で対応します。どうしても臭気NGの場所では材料選定から相談しましょう。

Q4. 下地が濡れていてもできますか?

基本的には不可。含水が多いと膨れ・付着不良の原因になります。乾燥期間の確保や通気緩衝工法の採用など、事前の下地診断が鍵です。

Q5. メンテのタイミングは?

5〜7年を目安にトップコートの再塗装、10年前後で全体の状態を再評価し、部分補修または再防水を検討します。定期点検が結果的にコストダウンにつながります。

初心者でも分かる要点まとめ

  • 「ウレタン防水」は液体を塗って一体の防水膜を作る工法。複雑形状に強い。
  • 工法は「密着」と「通気緩衝」。下地が湿っていたり動くなら通気が有利。
  • 膜厚・付着・ピンホールの管理が命。天候と乾燥時間も成否を分ける。
  • 耐用年数は目安10〜12年。トップコート再塗装と定期点検で長持ち。
  • 見積りは現場調査が前提。工法・仕様書・保証内容まで確認すると安心。

関連用語ミニ辞典

  • 入隅・出隅:床と立上りの内角・外角部。補強と膜厚確保の要所。
  • ドレン:排水口。詰まりは漏水の大敵。金物の取り合い処理が重要。
  • フィラー:不陸調整や欠損補修に使う材料。
  • クラック:ひび割れ。幅に応じてVカット・シーリング・補強布。
  • ケレン:素地調整作業。付着性に直結する基本工程。

業者選びのポイント

  • 現場調査の丁寧さ:含水測定・既存防水の判定・勾配や排水の確認があるか。
  • 提案の具体性:工法選定理由、膜厚、補強部位、使用材料の仕様書提示。
  • 実績と写真:同規模・同条件の施工事例を確認。
  • 保証とアフター:保証年数、定期点検、トップコート再塗装の計画提案。

最後に:失敗しないコツ

ウレタン防水は「どの材料を使うか」以上に「どの条件で、誰が、どう管理して塗るか」で結果が決まります。下地の状態を見極め、工法を正しく選び、天候と乾燥時間を守る。この基本を押さえれば、バルコニーも屋上も長く安心して使い続けられます。疑問があれば遠慮なく業者に質問し、仕様書や工程表を一緒に確認していきましょう。あなたの現場が、雨に強い快適な空間になりますように。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

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