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給湯器とは?種類・選び方・交換費用まで現場で役立つ知識を徹底解説

内装現場で迷わない「給湯器」入門ガイド——種類・選び方・段取り・費用までやさしく解説

「給湯器って何を選べばいいの?」「エコジョーズやエコキュートって何が違うの?」——そんな疑問を抱えて検索しているあなたへ。この記事は、建設内装の現場で実際に使われている言い回しや段取り、職人同士のコミュニケーションのコツまで含め、初心者にもわかりやすく解説します。読み終えるころには、種類の違い、設置の注意点、交換費用の目安までイメージできるはず。現場に入る前の予習にも、打ち合わせや見積もりの準備にも役立ててください。

現場ワード(給湯器)

読み仮名きゅうとうき
英語表記Water heater

定義

給湯器とは、キッチン・洗面・浴室などに供給する「お湯(温水)」をつくる機器の総称です。住宅や小規模店舗では、ガスの瞬間式(いわゆるガス給湯器)が最も普及していますが、電気を使う「電気温水器」や「ヒートポンプ式(エコキュート)」、寒冷地で使われる「石油給湯器」などもあります。内装工事の現場では、水道・ガス・電気・排気(またはドレン)・リモコン配線など複数の工種と絡むため、段取りと情報共有がとても重要な設備のひとつです。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では以下のような呼び方・略称がよく使われます。会話の流れをつかむ目安にしてください。

  • ガス給湯器(ガス瞬間湯沸かし器)/エコジョーズ(高効率ガス給湯器の総称)
  • 電気温水器/エコキュート(ヒートポンプ給湯機)
  • 号数(ごうすう:給湯能力の目安。16号・20号・24号など)
  • 給湯専用/オート/フルオート(機能差:湯はり・追いだきの自動化レベル)
  • 屋外壁掛け/屋外据置/PS設置(パイプスペース設置)
  • 前面排気・上方排気(排気方向の指定)
  • 追いだき配管・循環金具・ドレン(配管種別や凝縮水の排水)

使用例(会話の一例)

  • 「今回の給湯器、24号のフルオートで。エコジョーズだからドレンの逃しも準備しといてね。」
  • 「PS設置の前面排気に変更になったから、ボックス内のクリアランス要確認でお願いします。」
  • 「既存LPから都市ガスに切り替え予定?機器の品番とガス種、間違えないように見積り修正します。」

使う場面・工程

内装工事の流れの中で、給湯器は以下のような局面で頻出します。

  • 設計・見積り段階:機種・号数・設置場所・排気方向・燃料種(都市ガス/LP/電気/石油)の確定
  • 解体・撤去:既存機器の取り外し、ガス・水・電気の安全措置と止水・閉栓
  • 配管・配線:給水・給湯・追いだき・ガス・電源・リモコン・ドレンのルート確保と貫通部処理
  • 機器取付・接続:金具固定、水平出し、接続後の漏れ・通電・作動確認
  • 仕上げ・引き渡し:リモコン設定、取扱説明、保証書・試運転記録の整理

関連語

  • 号数:毎分の出湯量の目安(例:24号は水温+25℃で毎分約24L)。同時使用箇所数の参考にします。
  • エコジョーズ:ガスの潜熱回収で効率を高めた高効率給湯器。ドレン排水処理が必要。
  • エコキュート:ヒートポンプでお湯を作る電気給湯機。貯湯タンクを併設します。
  • 追いだき:浴槽の湯を温め直す機能。配管と循環金具が必要になります。
  • フルオート:自動湯はり・自動保温・自動足し湯まで対応する上位機能。
  • PS設置:集合住宅などのパイプスペース内に設置する方式。排気・換気条件の確認が重要。

給湯器の主な種類と特徴

ガス給湯器(瞬間式)

最も普及しているタイプ。都市ガスまたはLPガスを燃料に、必要なときだけ瞬間的に加熱します。湯切れが少なく、コンパクトで屋外壁掛け設置が主流。高効率タイプは「エコジョーズ」と呼ばれ、省エネと光熱費削減に貢献します(凝縮水のドレン排水が必要)。

電気温水器(貯湯式)

深夜電力などでタンクにお湯を貯めて使うタイプ。設置スペースは必要ですが、ガスを使わないためガス工事が不要。瞬間式ほどの出湯レスポンスはありませんが、オール電化住宅やガスインフラのない地域で採用されます。

エコキュート(ヒートポンプ式)

空気の熱を利用して効率よくお湯をつくる電気式。省エネ性に優れ、貯湯タンクとヒートポンプユニットを屋外に設置します。設置スペースと200V電源が必要で、基礎のレベル出し・防振も要検討。寒冷地仕様などのバリエーションがあります。

石油給湯器

寒冷地や灯油インフラが整っている地域で採用されるタイプ。高火力で湯の立ち上がりが速いのが特徴。燃料タンクの設置・給油動線の確保が必要です。

選び方のポイント(失敗しない基本)

1. 燃料・インフラの確認

都市ガス・LPガス・電気・石油のいずれが使えるかを最初に確認。ガス機器はガス種が品番で異なるため、都市ガスとLPの取り違えに注意。既存からの交換でも必ず現物・銘板・配管を確認しましょう。

2. 号数(同時使用の目安)

同時に使う箇所(キッチン+シャワーなど)と必要湯量から号数を選定。一般的な戸建て・ファミリーなら20〜24号、単身や店舗の手洗い中心なら16号など、使用シーンで変わります。冬場の水温低下も考慮すると余裕を見た選定が安心です。

3. 機能(給湯専用/オート/フルオート)

バスまわりの使い方で決めます。給湯専用はシンプル、オートは自動湯はり・追いだき対応、フルオートは自動足し湯まで可能。ご家庭の入浴スタイルや介護の有無で快適性が大きく変わります。

4. 設置方式・排気方向

屋外壁掛け・屋外据置・PS設置など、建物条件で選択が分かれます。集合住宅ではPS内のクリアランス、排気方向(前面・上方など)や換気条件の確認が必須。エコジョーズはドレン処理の可否も事前にチェックします。

5. 配管・電源・スペースの適合

給水・給湯・ガス・追いだき・リモコン・電源(100V/200V)を図面と現場で二重チェック。配管ルートや貫通部の位置、凍結対策の断熱、将来のメンテナンススペースも考慮します。

6. 省エネ・ランニングコスト

毎月の光熱費に直結する項目。ガスならエコジョーズ、電気ならエコキュートが省エネ志向。初期費用とランニングコスト、使用パターン(共働き・在宅時間・入浴回数)を踏まえて総合判断するのがコツです。

交換費用・工期の目安

住居条件や下地・配管の状態で変動しますが、一般的な目安は以下の通りです。

  • ガス給湯器(給湯専用・16〜20号):本体+標準工事でおおむね10万〜25万円程度
  • ガス給湯器(追いだき・オート/フルオート・20〜24号):15万〜35万円程度
  • エコジョーズ(高効率):ドレン処理や部材追加で+数万円になることがあります
  • エコキュート(貯湯タンク付き):30万〜60万円程度(基礎・搬入経路・電源工事で変動)

工期は、同等品へのガス給湯器交換で半日〜1日程度が一般的。配管の引き直しやPS内の仕様変更、電気系統の増設が絡むと1〜2日以上かかることもあります。現地調査で「設置スペース」「搬入経路」「既存の排気方向・ガス種」「ドレンの行き先」を必ず確認しましょう。

施工の基本手順とチェックリスト

手順の流れ(概略)

  • 安全措置:ガス・水・電気を止め、周囲養生。ガスは有資格者の管理下で作業。
  • 既存撤去:配管・配線を丁寧に切り離し、取付金具やアンカーを確認。
  • 下地確認:新機器のビス位置・重量に耐える下地の有無、PS内クリアランスの点検。
  • 新規取付:水平を出して本体固定。配管接続はシール材・ガス機能部材の指定に従う。
  • ドレン処理:エコジョーズ等は勾配や排水先を確認。凍結・臭気逆流対策も検討。
  • 配線接続:電源・リモコン・アースの接続。リモコン通信は極性や芯数の仕様に注意。
  • 試運転:漏れ検査(給水・給湯・ガス)、電装確認、湯温・流量・追いだき動作をチェック。
  • 引き渡し:ユーザーへ操作説明、凍結防止の注意、保証書と取説の保管案内。

内装側の要注意ポイント

  • 仕上げ厚みで配管芯がずれないか(タイル・二重下地など)。
  • 点検・メンテ用の開口確保(PSや点検口)。
  • 貫通部の防火区画・防水処理(建築側の責任範囲を明確に)。
  • 凍結リスクのある外壁面では配管断熱と保護カバーを検討。

安全と資格・法令の基本

ガス・電気・排気(換気)は、事故に直結する重要ポイントです。ガス配管・接続は各地域のガス事業者が定める有資格者、または指定工事店による施工が原則。屋内・PS設置では排気・換気条件の適合確認が必要です。電気式(エコキュート等)は専用回路や容量確認が必要になる場合があり、電気工事士による施工が安全です。内装業者の立場では、関係業者間の情報共有と工程調整、仕上げ・開口・下地の適合確保に責任を持ちましょう。

主要メーカーと特色(代表例)

  • リンナイ(Rinnai):国内大手。ガス給湯器のラインナップが幅広く、リモコンの操作性に定評。
  • ノーリツ(NORITZ):高効率機種や浴室リモコンのインターフェースが充実。戸建ても集合住宅も対応。
  • パロマ(Paloma):コストバランスの良い機種構成。小規模現場から集合住宅まで対応。
  • パーパス(PURPOSE):業務用含む幅広い展開。省エネ機種や集合住宅向けPS仕様も取り扱い。
  • パナソニック(Panasonic):エコキュートのラインが豊富。快適機能と省エネの両立を重視。
  • 三菱電機(Mitsubishi Electric):寒冷地対応のエコキュートや制御技術に強み。
  • ダイキン(Daikin):空調の知見を活かしたヒートポンプ技術に定評。
  • コロナ(CORONA):エコキュートや電気温水器、寒冷地対応の実績が豊富。

メーカーは工務店・管理会社の標準仕様や地域のサポート体制で選ばれることが多く、保守網や部品供給体制も意思決定のポイントです。

よくあるトラブルと現場での対処ヒント

  • お湯が出ない:ガス栓・止水栓・電源の状態、エラー表示を確認。混合水栓のストレーナー詰まりも要チェック。
  • 温度が安定しない:流量が少なすぎる、シャワーヘッドの目詰まり、給湯設定温度の不一致などが原因になりがち。
  • 異音・振動:取付金具の緩み、配管のバイブレーション、PS内の共鳴など。固定や防振材の見直しで改善することがあります。
  • ドレン水漏れ(エコジョーズ):勾配不足、接続不良、凍結対策不足。排水先と処理方法を再確認。
  • 凍結:外気に晒される配管の断熱・保護不足。凍結予防ヒーターや凍結予防運転の案内をユーザーへ。
  • リモコン不点灯・通信不良:配線接触不良、芯数・接続端子のミス。極性仕様や延長距離の注意点を再確認。

いずれも安全に関わるため、無理な自己判断は禁物。エラーコード表示や症状を整理し、メーカーサポートや有資格工事店へ連携するのが基本です。

交換時期とサイン

一般に、家庭用ガス給湯器は「設計上の標準使用期間」が約10年と案内されることが多く、使用環境によっては10〜15年程度で交換検討のタイミングを迎えます。以下のサインがあれば早めの点検・見積もりをおすすめします。

  • 着火しづらい、勝手に消火する、エラーが頻発する
  • お湯の温度が安定しない、出湯量が落ちた
  • 本体からの水漏れ・錆び・変色、異臭・焦げ臭
  • リモコン表示が不安定、ボタン反応が悪い

突然の停止で生活に支障が出ないよう、10年前後を目安に計画的な点検・更新を考えておくと安心です。

内装現場で役立つ豆知識(実務のコツ)

  • 既存踏襲が安全:排気方向・設置位置・ガス種・追いだき有無など、既存と同等仕様は工期・コストが読みやすい。
  • 余裕の号数選定:冬場の同時使用や将来的な家族構成変化を見込んで、ワンランク上を検討する価値あり。
  • 配管断熱で快適性アップ:給湯配管の断熱は湯待ち短縮や省エネに寄与。特に屋外露出部は丁寧に。
  • PSは点検性が命:扉開閉や前面クリアランス、リモコン線の整線など、後のメンテを想定した納まりを。
  • 施主説明の準備:湯はり温度・省エネ運転・凍結予防・非常時(断水・停電)対応など、使用ガイドを渡すと満足度が上がる。

ミニ用語辞典

  • PS(パイプスペース):配管をまとめて通す縦シャフト。集合住宅でよく使われます。
  • 循環金具:浴槽と給湯器を追いだき配管でつなぐ部材。浴槽内の吸込・吐出の役割。
  • マルチリモコン:台所・浴室など複数箇所に設置するリモコンセットのこと。
  • 中和器(エコジョーズ):酸性のドレン水を中和してから排水する部材。
  • 前面排気・上方排気:設置条件に応じて排気の方向を指定する仕様。

FAQ(よくある質問)

Q. 16号・20号・24号の違いは何ですか?

A. ざっくり言うと同時に使えるお湯の量(出湯能力)の違いです。複数箇所を同時に使うなら号数を上げると余裕が出ます。世帯人数や使用タイミングから選ぶのがコツです。

Q. エコジョーズにすると何が変わる?

A. 高効率でガス代の削減が期待できますが、凝縮水(ドレン)の排水が必要になります。排水ルートが取れるか、現場で事前確認しましょう。

Q. エコキュートとガス給湯器、どちらが良い?

A. 初期費用・設置スペース・既存インフラ・使用パターンで向き不向きが変わります。オール電化や深夜電力の活用、将来の光熱費を重視するならエコキュート、コンパクトさと湯切れの少なさ・即応性ならガス給湯器が有利です。

Q. 室内(PS)に設置しても大丈夫?

A. 機器がPS設置対応で、排気・換気条件を満たす必要があります。集合住宅では管理規約や設備基準の事前確認が必須です。

Q. 自分で交換してもいい?

A. ガス接続や電気工事、排気・換気の適合は安全に直結します。原則として有資格者・指定工事店へ依頼することをおすすめします。

まとめ:用語を押さえれば、現場はもっとスムーズに

給湯器は「号数」「機能(給湯・オート・フルオート)」「設置方式」「燃料種」を押さえるだけで、現場での会話が一気にスムーズになります。見積もり・設置では、既存機器の品番・排気方向・ガス種・配管ルート・ドレンの可否を事前にチェック。安全面では、有資格者による施工と、排気・換気・電源の適合確認が肝心です。この記事を現場前のチェックリスト代わりに、快適で安心なお湯のある暮らしづくりに役立ててください。