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パイプカッターとは?種類・使い方・選び方を徹底解説【初心者にもわかるプロの技】

  1. プロが教える「パイプカッター」入門ガイド:用途・種類・選び方から安全な使い方まで
  2. 現場ワード(キーワード)
    1. 定義
  3. 現場での使い方
    1. 言い回し・別称
    2. 使用例(3つ)
    3. 使う場面・工程
    4. 関連語
  4. 種類と仕組み
    1. ホイール(円盤刃)式
    2. クイックアジャスト式(ワンタッチ送り)
    3. ラチェット式(狭所・高荷重)
    4. チェーン式(大径管)
    5. 塩ビパイプカッター(せん断式)
  5. パイプカッターの選び方
  6. 実践:正しい切断手順
    1. ホイール式(銅・ステンレスなど)の基本手順
    2. 塩ビパイプカッター(ラチェット式)の基本手順
    3. 狭所でのコツ
  7. 仕上げ・バリ取りの重要性
  8. 安全対策と現場マナー
  9. よくある失敗と対処法
  10. メンテナンスと保管
  11. 代表的なメーカーと特徴
  12. 価格相場の目安
  13. 基礎知識:呼び径と外径の違いに注意
  14. 現場の時短テクニック
  15. ケーススタディ:どの工具を使う?
    1. エアコンの冷媒配管(銅管1/4・3/8)
    2. 洗面所リフォームでのVP20・VP25切断
    3. 狭い天井内のステンレス薄肉管(SUS)
  16. チェックリスト:作業前後に確認
  17. よくある質問(FAQ)
    1. Q. 金ノコとパイプカッター、どちらが良い?
    2. Q. ステンレス管に銅管用のカッターは使える?
    3. Q. 切断後に差し込みが固いのはなぜ?
    4. Q. 既設の水が残っている配管は切って大丈夫?
  18. ミスを防ぐ要点まとめ
  19. 用語ミニ辞典
  20. 現場に持っておくと安心なセット
  21. 最後に:初心者へのアドバイス
    1. 「建築用語」関連記事
    2. 提供サービス

プロが教える「パイプカッター」入門ガイド:用途・種類・選び方から安全な使い方まで

「パイプカッターって何?本当に必要?どうやって使うの?」——給排水や空調、電気設備などの内装工事の現場で一度は耳にするこの言葉。初めてだと、どの工具を選べばいいのか、使い方は合っているのか不安になりますよね。本記事では、現場で毎日のようにパイプカッターを使うプロの視点から、基本の定義、種類、正しい使い方、失敗しないコツ、安全対策までを丁寧に解説します。読み終える頃には、「これなら現場で迷わない」と自信が持てるはずです。

現場ワード(キーワード)

読み仮名ぱいぷかったー
英語表記pipe cutter(tubing cutter)

定義

パイプカッターとは、パイプ(管材)をまっすぐ・きれいに切断するための専用工具の総称です。主に円盤状のカッティングホイール(切断刃)をパイプ外周に当て、回転させながら少しずつ締め込み、材料を塑性変形と切削で切り離します。銅管・アルミ管などの薄肉管に使う「チューブカッター」、鋼管・ステンレス管に対応した重作業向け、狭所用のクイックアジャスト式、大径で使うチェーン式などがあります。なお、現場では塩ビ管(VP/VU)をハサミのようにせん断する「塩ビパイプカッター(ラチェット式)」も広い意味でパイプカッターと呼ばれることがあります。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では以下のように呼ばれます。状況により呼称が変わるため、混乱しないようにしましょう。

  • パイプカッター(総称)
  • チューブカッター(銅管・冷媒管など薄肉管向け)
  • 塩ビカッター/塩ビパイプカッター(ラチェット式の樹脂管用)
  • チェーンカッター(鋳鉄管・大径用チェーン式)

使用例(3つ)

  • 「2分の銅管、パイプカッターでカットして、内外面のバリ取っといて」
  • 「このVP50は塩ビカッターで一発、面取りまで頼む」
  • 「狭いからクイックアジャストのチューブカッター持ってきて」

使う場面・工程

  • 給排水配管の切り回し(VP/VU、ポリ管、SUS、SGPなど)
  • 空調・冷媒配管の銅管切断(フレア加工の前工程)
  • スプリンクラー・消火設備の管切断(仕様により工具選定)
  • 電気設備の電線管(厚鋼・薄鋼・ねじなし)の切断場面

関連語

  • リーマー/バリ取り工具:切断後の内外面のエッジを取る工具
  • フレアリングツール:冷媒配管のフレア加工に使用
  • チューブベンダー:管の曲げ加工に使用
  • パイプソー/バンドソー:切断機械。肉厚や特殊材で使い分け

種類と仕組み

ホイール(円盤刃)式

最も一般的。パイプをローラーと刃で挟み、回転させながら徐々に締めていく方式です。薄肉の銅・アルミ管から、対応モデルによってはステンレス・鋼管まで切断できます。利点は切断面が真円に近く、切り粉が出にくいこと。欠点は厚肉材では時間がかかることです。

クイックアジャスト式(ワンタッチ送り)

ノブの引き出しやスライドで素早く管径に合わせられるタイプ。天井内や壁際の狭所で威力を発揮します。頻繁に寸法を切り替える現場では作業効率が上がります。

ラチェット式(狭所・高荷重)

ラチェットハンドルで段階的に力を伝えるタイプ。厚めのステンレスや鋼管、スペースが限られ大きく回せない箇所で便利です。

チェーン式(大径管)

チェーンに複数のカッティングホイール(またはスコアリングポイント)が付いたタイプで、鋳鉄管や大径管を一周巻き付けて切断します。地中配管や既設更新工事で活躍します。

塩ビパイプカッター(せん断式)

ラチェット機構のハサミ型。VP/VUなど塩ビ管や架橋ポリエチレン管(対応モデルのみ)を切断。切断面が潰れにくく、手ノコより速く静かに切れます。ホイール式とは構造が異なり、用途に応じて使い分けが必要です。

パイプカッターの選び方

失敗しないためのチェックポイントを押さえましょう。対応材質と適用径を最優先に確認します。

  • 対応材質:銅・アルミ・ステンレス・鋼・塩ビなど。ステンレスは専用ホイールが必要なことが多い
  • 適用外径範囲:現場で扱う呼び径ではなく「外径」で確認
  • 狭所対応:クイックアジャスト、ショートボディ、ラチェットハンドルの有無
  • 替刃の入手性:汎用ホイールが使えるか、メーカー純正の供給状況
  • 内蔵リーマー:チューブカッター一体型は携行に便利
  • 耐久性と重量:金属ボディで剛性が高いほど長持ち。高所作業は軽さも重要
  • グリップ性:濡れ手袋でも滑りにくい形状・表面処理
  • メンテナンス性:ねじ送りの滑らかさ、注油のしやすさ、清掃性
  • コスト:頻度・用途に応じてミドル〜プロ向けを選定

目安として、冷媒用銅管中心なら外径4〜28mm程度対応の小型チューブカッター、給排水の塩ビ主体なら呼び径13〜50(場合により75)対応のラチェット式塩ビカッター、金属配管が多い現場はステンレス対応ホイール式を用意すると安心です。

実践:正しい切断手順

ホイール式(銅・ステンレスなど)の基本手順

  • 墨出し:切断位置をマーカーで360度回すように均一にマーキング
  • 固定:可能なら万力やパイプバイスで軽く固定。既設配管は支持金具を活用
  • セット:ローラーと刃でパイプを挟み、ガタなく当たる程度に軽く締める
  • 初期スコア:1〜2周は軽い締め付けで均一な筋を付ける(曲がり防止)
  • 本切断:1〜2周ごとにノブを1/8〜1/4回転程度締め足す。無理に締めすぎない
  • 潤滑:鋼・ステンレスは切断油を少量使用で刃持ち・仕上がり向上
  • 切り離し:最後は力を抜き、バリの立ちを抑えながら離す
  • バリ取り:内面はリーマー、外面は面取りツールやヤスリで軽く45度程度
  • 清掃:切粉や油分をウエスで除去。接続前に再度内外面を確認

塩ビパイプカッター(ラチェット式)の基本手順

  • 墨出し:スコヤやスケールで垂直に印を付ける
  • 刃の当て方:印に対して刃を垂直に当て、パイプを奥までしっかり受け面に当てる
  • 切断:ラチェットで段階的に押し切る。最後は急がず、潰れないよう均等に力をかける
  • 面取り:外周を軽く面取りし、差し込み抵抗とOリング傷つきを防ぐ

狭所でのコツ

  • クイックアジャスト式を選ぶとセットが早い
  • 周囲に干渉物がある場合はハンドルの振り角が小さいもの(ショートハンドル、ラチェット)を使う
  • 壁や器具を養生して傷を防止。ウエスを一巻きすると安心

仕上げ・バリ取りの重要性

切断面のバリは漏れ・詰まり・ガスケット損傷の原因です。特にフレア接続やロウ付け前は、内面の僅かなバリでも流路を乱しトラブルになります。以下を徹底しましょう。

  • 内面:リーマーや面取りビットで軽くさらう。削りすぎは強度低下に注意
  • 外面:差し込みやフレアの当たり面だけ軽く面取り
  • 清掃:切粉の除去、溶剤拭き(材質に適したもの)で接着やロウ付けの密着性を確保

安全対策と現場マナー

  • 保護具:手袋・保護メガネを着用。切断端面は想像以上に鋭利
  • 落下防止:高所ではランヤードや工具落下防止コードを使用
  • 漏水・漏ガス:既設配管は系統停止・ドレン抜き・圧抜きを確認し、養生と受け缶を準備
  • スパーク・火気:可燃物近傍では火気厳禁。代替方法の検討と養生
  • 周囲配慮:切断時の姿勢とモノの置き場を整理。通行帯を塞がない

よくある失敗と対処法

  • 切断面が斜めになる:初期スコアが偏っている。最初の数周は軽い締めでガイドを作る
  • パイプが潰れる・口すぼまり:締め過ぎ。1周ごとに少しずつ増し締め、支持をしっかり
  • バリが大きい:一気に切った、刃が摩耗。締め込みを小刻みにし、替刃を交換
  • 刃が欠ける:材質不適合や潤滑不足。ステンレスは専用ホイール、切断油を併用
  • 切り粉・カスが配管内へ:切断方向を配慮し、切断後に内面清掃を徹底

メンテナンスと保管

  • 清掃:使用後は切粉・油分を拭き取り、可動部に薄くオイル
  • 替刃管理:欠け・摩耗は早めに交換。予備を常備
  • 送りネジ:ガタ・渋さが出たら清掃と注油。砂・粉じんの噛み込みを防ぐ
  • 保管:ケースや工具箱で刃を保護。高温多湿は錆の原因

代表的なメーカーと特徴

安心して選べる定番メーカーを挙げます(五十音順)。いずれも国内外の現場で実績があるブランドです。

  • RIDGID(リジッド/米国):配管工具の世界的ブランド。剛性・耐久性に優れ、ステンレス対応のプロモデルが充実
  • MCC(松阪鉄工所):日本の老舗ツールメーカー。使いやすいサイズ感と替刃供給の安定性が強み
  • TOP工業:国産の堅実な作りで、軽量・狭所向けモデルが人気
  • ロブテックス(エビ印):チューブカッターや塩ビカッターなど精密加工品に定評
  • SK11(藤原産業):コストパフォーマンスに優れ、入門用・予備として最適
  • モノタロウ(PB):現場の消耗品・替刃の調達がしやすく、コスト管理に向く

どのメーカーも材質や適用径に応じて多数のモデルをラインナップしています。替刃の共通性や入手性も実用上の重要ポイントです。

価格相場の目安

  • 小型チューブカッター(銅管・外径28mm前後まで):約1,500〜6,000円、プロ向けは4,000〜15,000円
  • ステンレス対応中型:約8,000〜25,000円
  • チェーン式大径用:約30,000〜100,000円以上
  • 塩ビパイプカッター(ラチェット式):約1,000〜5,000円、業務用は〜10,000円程度

使用頻度が高いほど刃と送りネジの品質差が効いてきます。長期的コストを考えると、メイン工具はミドル〜ハイグレード、予備はコスパ重視が無難です。

基礎知識:呼び径と外径の違いに注意

工具選定は「外径」で行います。日本の管規格は「呼び径」と実際の「外径」が一致しないことが多く、銅管(冷媒用)はインチ系外径表記、塩ビ管(VP/VU)はJIS規格で外径が決まっています。購入時・現場持ち込み時は、対象管の外径を実測またはカタログで確認しましょう。

現場の時短テクニック

  • 同一寸法を量産する際は、ストッパー(簡易当て木や止め輪)で長さを再現
  • 狭所では初期スコアを丁寧に作ってから最小回転で仕上げる
  • フレア加工前の銅管は、切断→内バリ取り→外面軽面取り→清掃の順を徹底
  • 塩ビ接着は切断→外面取り→乾拭き→プライマー→接着の段取りを崩さない

ケーススタディ:どの工具を使う?

エアコンの冷媒配管(銅管1/4・3/8)

小型チューブカッター(外径4〜28mm)+内外面リーマー。フレア前提なのでバリ取り必須。切断油は基本不要、清掃を重視。

洗面所リフォームでのVP20・VP25切断

ラチェット式塩ビカッター。切断面の外面取りで差し込み抵抗を低減。接着工程まで一連で行い、乾燥時間を確保。

狭い天井内のステンレス薄肉管(SUS)

ステンレス対応のホイール式チューブカッター+切断油。クイックアジャストがあると取り回しが楽。替刃はSUS専用を使用。

チェックリスト:作業前後に確認

  • 材質・外径に合ったカッターか(SUSに銅管用の刃を使っていないか)
  • 刃の状態は良好か(カエリ・欠け・摩耗)
  • 狭所での回転スペースは確保できるか、代替手段は?
  • 切断後の内外面のバリは除去済みか
  • 接続方式(差し込み・ねじ・フレア・ロウ付け)に応じた仕上げになっているか

よくある質問(FAQ)

Q. 金ノコとパイプカッター、どちらが良い?

A. まっすぐでバリの少ない切断が必要ならパイプカッターが有利。金ノコは万能ですが、切断面の修正に時間がかかります。スペースや材質、数量で使い分けましょう。

Q. ステンレス管に銅管用のカッターは使える?

A. 本体は共用できても刃は別。SUS専用ホイールを使用し、切断油を併用してください。銅管用で無理に切ると刃の欠け・偏摩耗・切断面不良の原因になります。

Q. 切断後に差し込みが固いのはなぜ?

A. 外面の面取り不足や楕円化が原因。外面に軽く面取りを行い、潤滑剤(接着前提なら不可)や清掃で改善します。

Q. 既設の水が残っている配管は切って大丈夫?

A. 基本は系統停止・ドレン抜きが前提。残水があると切粉が流入し、機器トラブルや接続不良につながります。受け缶・養生も準備しましょう。

ミスを防ぐ要点まとめ

  • 「外径」と「材質」から工具と刃を決める
  • 初期スコアは軽く、締め込みは小刻みに
  • ステンレスは専用刃と切断油で刃持ちと精度を確保
  • 切断後の内外バリ取りと清掃を習慣化
  • 狭所はクイックアジャストやラチェット式を活用

用語ミニ辞典

  • スコアリング:刃で外周に浅い筋を付け、ガイドにする工程
  • リーマー:内バリを取るテーパー状の工具。チューブカッター内蔵型もある
  • 面取り:切断端の角を落とす仕上げ。組付け性とシール性を高める
  • 呼び径:配管の規格呼称。工具選定は外径で行う

現場に持っておくと安心なセット

  • 小型チューブカッター(外径〜28mm)+予備ホイール
  • 塩ビパイプカッター(〜φ60程度)
  • 内外面リーマー、面取りツール、ヤスリ、切断油
  • マーカー、スケール、養生用ウエス

最後に:初心者へのアドバイス

パイプカッターは「ゆっくり・均一に・丁寧に」が鉄則です。焦って一気に締め込むと、斜め切りやバリ増大、接続不良の原因になります。材質・外径に合う工具を選び、初期スコアを丁寧に作ってから、1〜2周ごとに少しずつ締める——この基本さえ守れば、誰でもプロ並みの切断面が出せます。安全と品質、そして段取りを意識して、確実な施工につなげていきましょう。

株式会社MIRIX/ミリックスのロゴ
執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
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