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床塗装の基礎知識と失敗しない選び方|現場で役立つ種類・工程・費用ガイド

現場の「床塗装」をまるっと理解するガイド|種類・工程・費用・失敗しないコツ

「床塗装って、何を塗るの?どんな時に必要?」そんな疑問を持って検索にたどり着いた初心者の方へ。この記事では、建設内装の現場で職人が日常的に使う現場ワード「床塗装」を、やさしい言葉で丁寧に解説します。用途や種類の違い、実際の施工の流れ、費用の目安、よくある失敗と対策まで、現場目線でわかりやすくまとめました。読み終えたころには、現場での会話や見積書の内容がぐっと理解しやすくなります。

現場ワード(床塗装)

読み仮名 ゆかとそう
英語表記 Floor Coating / Floor Painting

定義

床塗装とは、コンクリートやモルタルなどの床面に塗料や樹脂を塗布して、ほこりの発生を抑え、汚れや摩耗・薬品・衝撃から床を守り、見た目や機能性を高める施工の総称です。薄膜の防塵塗装から、エポキシやウレタンなどで数ミリ厚の強靭な塗床(ぬりゆか・流し床)まで含みます。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では、以下のように呼ばれることがあります。

  • 床塗り/防塵塗装(薄膜仕上げの総称)
  • 塗床(ぬりゆか)/流し床(自流平の厚膜仕上げ)
  • エポ床(エポキシ系の床塗り)/ウレタン床
  • フロアコーティング(住宅分野での呼び方)
  • ライン塗装(区画線・通路表示を塗る場合)

使用例(会話の実例・3つ)

  • 「機械搬入の前に床塗装いれて、防塵で仕上げといて。」
  • 「厨房は水かかるから、ノンスリップのウレタン床でいこう。」
  • 「この倉庫、フォークリフト走るから厚膜のエポ床じゃないと剥がれるよ。」

使う場面・工程

使う場面は、工場・倉庫・厨房・駐車場・商業施設・病院・学校・マンション共用部・オフィスなど、ほこり対策や耐久性が求められる床全般。工程としては、下地調整→プライマー→欠損補修・目止め→中塗り→上塗り→養生・硬化→検査が基本です。

関連語

  • プライマー/シーラー(下塗り材)
  • 下地処理(研磨・ケレン・油分除去・含水率確認)
  • ポットライフ(可使時間)/レベリング(平滑に流れる性質)
  • ピンホール(微小な穴)/ブリード(可塑剤・アスファルトのにじみ)
  • 導電・帯電防止(静電気対策の床塗り)

床塗装の種類と特徴(どれを選べばいい?)

代表的な種類

床塗装には、性能・厚み・工期・臭気などの違いによって多様な種類があります。代表例を用途別に整理します。

  • 防塵塗装(薄膜・0.1〜0.3mm)
    ・特徴:ほこりを抑えて清掃性を改善。短工期・低コスト。
    ・用途:倉庫の軽歩行、物置、一般共用部の簡易保護。
  • エポキシ系(中膜〜厚膜・0.5〜3mm+)
    ・特徴:耐摩耗・耐薬品・平滑性が高い。工場床の定番。
    ・注意:湿気・結露に弱いタイプがあるため環境条件の確認が必要。
  • ウレタン系(中膜・柔軟性あり)
    ・特徴:衝撃・温度変化に強め。やや弾性がありクラック追従性に優れるタイプも。
    ・用途:駐車場、屋外通路、厨房(防滑タイプ)など。
  • MMA(メタクリル)系(速硬化)
    ・特徴:低温でも硬化が速く、短時間で開放できる。
    ・注意:強い臭気があるため換気・近隣対策が必須。
  • 水性アクリル・水性エポキシ(低臭・低VOC)
    ・特徴:室内で臭気を抑えたい場合に有効。
    ・注意:耐久・耐薬品性は溶剤型や厚膜タイプに劣ることがある。
  • 導電・帯電防止床(特殊機能)
    ・特徴:静電気対策が必要な電子工場・医療分野などで使用。
    ・施工:導電プライマーや銅箔テープでアースを取る仕様が一般的。
  • ノンスリップ仕上げ(防滑)
    ・特徴:骨材(砂)を散布・混入して滑りにくくする。
    ・用途:厨房、スロープ、屋外通路、駐車場。

厚みと耐久の目安

  • 薄膜(〜0.3mm):軽歩行・防塵目的。安価だが耐久は控えめ。
  • 中膜(0.5〜1.5mm):人の歩行や台車程度。平滑で清掃性良好。
  • 厚膜(2〜4mm・自流平):フォークリフトなど重荷重・高耐久用途。

屋内外・用途での選び方のコツ

  • 工場・倉庫(フォークリフト走行):厚膜エポキシ、耐摩耗型を検討。
  • 厨房・水回り:ウレタン系の防滑仕上げ。耐熱湯・耐油性を確認。
  • 駐車場:屋内はエポキシorウレタン、屋外露出は耐候性のあるウレタンが無難。
  • 短工期・夜間工事:MMAや速乾型仕様を検討。ただし臭気対策を必ず。
  • 病院・学校・オフィス:低臭の水性系や低VOC仕様で安全性と快適性を両立。

施工の流れ(工程を具体的に)

1. 現地調査・仕様選定

用途、荷重(人・台車・フォークリフト)、薬品使用の有無、水濡れ・屋内外、工期・臭気制限、既存の床の状態を確認し、仕様を決めます。設計図・面積・下地の種類(コンクリート/モルタル/アスコン)を把握します。

2. 下地調整(最重要)

  • 油・汚れ除去(アルカリ洗浄・溶剤拭き)
  • 研磨・ケレン(サンダー・ショットブラスト等で目荒らし)
  • 含水率確認(一般に8%以下を目安。仕様により許容範囲が異なる)
  • ひび割れ補修(Uカット+シール/エポキシ注入)、欠損補修
  • レイタンス除去、脆弱部の撤去

下地が不十分だと、後の剥離・ピンホール・膨れの原因になります。

3. プライマー(下塗り)

下地と塗膜の密着を高め、吸い込みを抑えます。湿気に配慮した水性・透湿型プライマーを選ぶ場面もあります。

4. 補修・目止め・中塗り

ピンホールや巣穴を目止めし、必要に応じてパテや樹脂モルタルで平滑化。中塗りで所定の膜厚を確保します。自流平タイプはゴムレーキでならし、脱泡ローラーで気泡を抜きます。

5. 上塗り(トップコート)

耐摩耗・耐汚染性・色調を仕上げます。防滑仕上げは骨材散布や混入を行います。導電仕様は上塗りで抵抗値を調整します。

6. 養生・硬化・検査

  • 歩行可能:数時間〜翌日(材料・温度による)
  • 車両走行可能:1〜7日程度(仕様次第)
  • 検査:膜厚、付着、外観、色ムラ、見切り、段差、排水勾配周りの確認

塗装時は一般に「下地温度5℃以上」「相対湿度85%以下」「露点との差3℃以上」を目安にします(材料の仕様書を優先)。

道具・機材と現場テクニック

  • 機材:ポリッシャー/サンダー/ショットブラスト、産業用掃除機、含水率計、温湿度計、膜厚計、脱泡ローラー、ゴムレーキ、コテ、各種ローラー・刷毛。
  • 養生:マスカー、養生テープ、見切り定規、立上り用のコーナーツール。
  • 安全:有機溶剤マスク、送気マスク(必要に応じて)、防爆型送風機、火気厳禁、換気計画。

コツ:ピンホール対策は「十分な下地乾燥」「目止め」「脱泡」。端部や柱まわりは先行で刷毛取りをしてから広面積を流すとムラが出にくいです。

費用相場・工期の目安

実際の費用は下地状態・面積・仕様・立地条件で大きく変わります。以下は一般的な目安です(材料+施工・下地調整込みの概算)。

  • 防塵塗装(薄膜):1,500〜3,500円/m²
  • エポキシ中膜(2〜3層):3,500〜7,000円/m²
  • エポキシ厚膜・自流平(2〜4mm):6,000〜12,000円/m²
  • ウレタン防滑(骨材入り):4,000〜9,000円/m²
  • MMA速硬化:8,000〜15,000円/m²

工期は、100〜300m²程度の一室で1〜3日(下地良好・薄膜)〜3〜7日(厚膜・補修多い場合)が目安です。開放時間(歩行・車両)は材料の仕様に従って計画しましょう。

失敗例と対策(現場で本当に多いトラブル)

  • 剥離:原因は下地油分・脆弱層・含水過多・結露。対策は徹底した下地処理、適切なプライマー選定、環境条件の管理。
  • ピンホール・泡:下地の空隙や湿気、厚塗り、脱泡不足。対策は目止め、薄塗り多層、脱泡ローラー、材料の温度管理。
  • 白化・艶引け:高湿度・結露・低温。対策は塗装時期の調整・暖房・換気、仕様書の環境条件を厳守。
  • タイヤマーク・黒ずみ:柔らかい塗膜や未完全硬化。対策は十分な養生期間の確保、耐摩耗性の高いトップコート。
  • 骨材の露出・はがれ(防滑):散布量・押さえ不足。対策は仕様通りの散布と上塗りでの適正包み込み。

メンテナンスと寿命の目安

日常清掃は中性洗剤+モップが基本。フォークリフト走行など負荷が高い環境では、数年ごとにトップコート更新で寿命を延ばせます。薄膜防塵は3〜5年程度で再塗装を検討、厚膜エポキシは環境により5〜10年以上持つ場合もあります(いずれも目安)。摩耗や光沢低下、剥離が目立つ前に計画的な更新を。

よくある疑問(Q&A)

Q1. 床塗装と「コーティング」は違う?
A.住宅分野ではフローリングに薄膜で透明樹脂を塗る「フロアコーティング」を指すことが多く、工業・商業床で言う床塗装(塗床)は、より厚膜で機能性(耐摩耗・耐薬品等)を重視します。現場では「目的と下地」を先に伝えると誤解が減ります。
Q2. コンクリートが新設。いつ塗れる?
A.一般に充分な乾燥が必要です。季節や厚みにもよりますが、標準的な土間コンクリートで4〜8週間以上、含水率8%以下を一つの目安とします。速乾プライマーや透湿型仕様でも、結露や表面含水はNGです。
Q3. DIYでもできる?
A.小面積の防塵塗装なら可能ですが、下地調整・含水率・環境管理が肝。厚膜や防滑、導電など機能性仕様はプロに任せるのが安全です。機械研磨や粉じん対策、臭気・換気にも配慮が必要です。
Q4. 厨房で滑らない床にしたい。
A.油・水に強いウレタン系の防滑仕様が定番。骨材の粒度で滑りにくさを調整できます。清掃性とのバランスを見て粒度・露出量を決めましょう。
Q5. 臭いが心配。低臭でできる?
A.水性エポキシや水性アクリルなど低臭仕様が選べます。夜間工事や稼働中施設では換気計画も併用すると安心です。

チェックリスト(発注・見積時に確認)

  • 用途・荷重・薬品の有無・屋内外・臭気制限・工期制約
  • 下地の状態(油・脆弱部・ひび割れ・含水率)と補修範囲
  • 仕様書(膜厚・層構成・色・防滑の有無・導電の有無)
  • 養生期間と開放スケジュール(歩行・車両)
  • 品質確認方法(膜厚、付着、外観)と保証条件

代表的なメーカー(順不同・概要)

床用塗料は多くの国内外メーカーが供給しています。以下は代表例(簡単な特徴)。製品選定は最新のカタログ・技術資料をご確認ください。

  • アトミクス株式会社:床用塗料・塗床材に強み。工場・倉庫向けのラインアップが豊富。
  • 日本ペイント株式会社:総合塗料メーカー。建築・工業・防食まで幅広く展開。
  • 関西ペイント株式会社:総合塗料メーカー。床・防水・内外装仕上げ材を提供。
  • エスケー化研株式会社:建築仕上げから床材まで幅広い製品群。
  • 大日本塗料株式会社:工業・防食・建築用など総合的に展開。
  • 菊水化学工業株式会社:建築仕上げ材や床材、改修向け製品を展開。
  • スズカファイン株式会社:建築仕上げ材・床材の製品を供給。
  • シーカジャパン(Sika):海外系。高性能樹脂床材・補修材のグローバルブランド。

同じ「エポキシ床」でも、耐薬品・帯電防止・速硬化など細かな仕様が異なります。現場条件に合わせ、メーカーの技術資料や施工要領書で適合性を確認してください。

ライン塗装・区画線も「床塗装」の一部

倉庫や工場では、通路・安全帯・保管エリアを色分けするライン塗装がセットになることが多いです。床本体の塗装後、所定の養生期間を置いてから専用塗料でラインを施工します。摩耗が早い箇所は、上からクリアトップで保護すると長持ちします。

環境・安全への配慮

  • 臭気対策:換気・作業時間帯の調整・低臭材料の選定。
  • 防爆・火気:溶剤型は火気厳禁。火花が出る機材は養生・許可制で管理。
  • 粉じん管理:下地研磨時は集じん機を併用、周辺養生を徹底。
  • 作業環境:温湿度・露点管理。温湿度計・赤外線温度計で確認。

現場ワードのツボ(覚えておくと会話が楽)

  • 「流し床」=自流平の厚膜仕上げ。レベリングで平滑に「流して」仕上げる。
  • 「ポットライフ」=2液反応型の混合後の可使時間。超過すると硬化不良・ムラの原因。
  • 「目止め」=下地の巣穴を塞いでピンホールを防ぐ前処理。
  • 「導電・帯電防止」=静電気を逃がす床。仕様外の上塗りで抵抗値が変わることに注意。

ケース別のおすすめ仕様例(目安)

倉庫(台車中心・低臭希望)

  • 水性エポキシ薄〜中膜+クリアトップ。短工期・低臭・清掃性重視。

工場(フォークリフト・耐油)

  • 厚膜エポキシ自流平(2〜3mm)+耐摩耗トップ。ピンホール対策を重点管理。

厨房・食品工場(防滑・耐熱湯)

  • ウレタン防滑(骨材入り)仕様。排水方向と立上り増し塗りを忘れずに。

短時間開放(夜間〜翌朝オープン)

  • MMA速硬化仕様。臭気・換気・近隣説明とセットで運用。

見積書の読み方のコツ

  • 「下地処理一式」の中身を確認(研磨方式、補修量、含水対策)。
  • 層構成(プライマー/目止め/中塗り/上塗り)と膜厚が記載されているか。
  • 色番号、艶(艶有り・3分艶・艶消し)、防滑の粒度・方法(散布/混入)。
  • 養生期間と開放条件(歩行・車両)、施工可能温湿度、保証範囲。

まとめ(これだけは押さえる)

床塗装は「下地」「用途」「環境」の3点で決まります。下地が整っていなければ何を塗っても長持ちしません。用途に合った材料・厚みを選び、温湿度や臭気など現場条件を守ることが成功の近道です。この記事を参考に、仕様選定と見積確認のポイントを押さえて、失敗のない床塗装を実現してください。