商業施設テナントの内装申請で失敗しない!必要な図面と許可一覧を徹底解説

商業施設テナントの内装工事で必須となる図面と各種許可、申請のポイントを徹底解説

初めて商業施設のテナントで内装工事を計画している方、「どんな図面や申請が必要なの?」「何から準備したらいいかわからない」と不安に感じていませんか。建築や申請の専門用語が多く、手続きも複雑に思えてしまいますよね。しかし、必要な準備や流れをきちんと押さえておけば、余計なトラブルを防ぎ、スムーズにテナントオープンへと進めます。この記事では、初心者の方にも分かりやすく、内装申請に欠かせない図面や許可、申請の全体像と実践的なポイントを解説します。この記事を読めば、「具体的に何を揃えればいいか」「どう進めればいいか」が明確になるはずです。

商業施設テナントの内装申請とは?おさえておきたい基本の流れ

内装申請とは何か

商業施設のテナントで店舗や事務所などを開業する場合、建物内部を自分たちの業態やイメージに合わせて工事(内装工事)することが一般的です。ですが、施設全体の安全や環境を守るため、勝手に工事を始めることはできません。
この内装工事を行う前に、建物のオーナーや管理会社、さらに行政機関(消防・保健所など)に対して「こんな工事をします」と設計図や申請書類を提出し、許可を得る必要があります。これが「内装申請」と呼ばれる一連の手続きです。

内装申請~オープンまでの流れ

  • テナント契約・内装工事計画スタート
  • 各種設計図・必要書類の作成
  • 施設管理側への申請・承認
  • 行政(消防・保健所など)への許認可申請
  • 建築確認申請(必要な場合)
  • 許可取得後に工事着手
  • 工事完了・各種検査・最終手続き
  • オープン

この中でも「どんな図面が必要か」「どんな許可や申請が必要か」が最大のポイントとなります。以下で詳しく解説しますので、ひとつずつチェックしていきましょう。

内装申請に必要となる図面一覧とその役割

内装申請では、あなたの店舗の計画を正確に伝え、安全・衛生・法令順守を守るために、多種多様な図面を用意します。主に必要になる図面とその用途、作成の注意点を解説します。

1. 平面図(へいめんず)

施設内の区画全体を真上から見た図面です。
用途:

  • 壁や仕切り、入口、窓、カウンター、什器の配置がわかる
  • 各スペースの寸法や面積の把握、避難経路の確認
  • 施設管理者や行政が、計画全体を把握しやすい

チェックポイント:

  • 縮尺・方位・寸法は正確に
  • 出入口や窓、トイレ、厨房などの配置が分かるよう明示
  • 必ず最新の施設図と照合しながら作成

2. 立面図(りつめんず)

店内や外観の正面・側面を垂直方向から見た図面です。
用途:

  • 壁や天井の仕上げ、棚・什器の高さ、看板やサインの位置確認
  • デザイン意図や安全性(圧迫感や視認性など)のチェック

チェックポイント:

  • 正面だけでなく、側面や背面も必要な場合が多い
  • 照明など設備の高さも分かるように

3. 詳細図

厨房やトイレ、カウンター、什器、機器の設置部分など、特に詳細な構造・納まりを示す図面です。
用途:

  • 複雑な構造や作り付け家具の仕様を正確に伝える
  • 施工業者が実際に作業しやすくする
  • 消防や保健所申請で、衛生・安全面のチェックを受ける

チェックポイント:

  • 機器や什器の寸法・材質・詳細な取付方法まで正確に
  • 特に水回りや熱源、避難経路付近は法令遵守が必須

4. 設備図

電気・ガス・給排水・空調・照明など設備の配線、配管、機器配置を示す図面です。
用途:

  • 各種設備の安全な配置と容量確認
  • 消防や保健所などの申請時や、施設側の安全管理に必須

チェックポイント:

  • 既存の施設設備との接続方法も明確に記載
  • 新設・移設・撤去する設備は色分けや記号でわかりやすく

5. 避難経路図

火災や地震など非常時の避難経路を示す図面です。
用途:

  • 出入口、非常口、避難誘導灯、消火器など防災設備の配置
  • 消防署への申請や、施設管理・スタッフ教育にも重要

チェックポイント:

  • 矢印や色分けでルートを明示
  • 施設全体の避難経路と整合性をとる

6. 構造計算書(場合による)

壁や天井、什器などに大きな変更や重量物設置がある場合、強度や耐震性を証明するための計算書が必要になります。
用途:

  • 既存建物への負荷が許容範囲内であることを証明
  • 安全性を重視する商業施設では提出を求められることが多い

チェックポイント:

  • 専門家(建築士など)による作成が必要
  • 提出義務の有無は施設や工事内容次第。必ず事前確認を

内装工事で必要な主な許可・申請の種類と手続きの流れ

1. 消防申請(消防署への申請)

火災時の安全確保や防災設備の設置・改修計画を消防署へ届け出る手続きです。
主な内容:

  • 消火器・火災報知器・スプリンクラー・誘導灯などの設置計画
  • 避難経路や非常口が確保されているか
  • 使用する内装材の難燃性や、厨房設備の安全性

ポイント:

  • 「防火対象物工事等計画届」や「消防用設備等設置届出書」など、必要書類が複数
  • 消防署職員が現地検査に来る場合も
  • 着工前に必ず申請・承認取得が必要(無許可工事は大きなペナルティ)

2. 保健所許可(衛生面の申請)

飲食店や食品を扱う業態では、保健所の営業許可が必要です。施設の衛生基準や厨房・トイレ等の設計を審査されます。
主な内容:

  • 厨房・食材保管・手洗い・トイレなど衛生設備の配置
  • 換気・排水・手洗い場の数や位置
  • スタッフ動線や、客席と厨房の区分け

ポイント:

  • 店舗オープン前の現地検査が必須
  • 図面(平面図・詳細図・設備図など)を提出。保健所指定の内容を満たすこと
  • オープン直前に許可証が交付されるので、スケジュール管理が重要

3. 建築確認申請

建築基準法に基づき、建物や内装工事が法令に適合しているかを確認するための申請です。
主な内容:

  • 大規模な間仕切り変更・天井や床の構造改修
  • 新たな出入口や窓の設置
  • 耐火・避難・採光・換気・断熱など各種基準のクリア

ポイント:

  • 「増築」「大規模な修繕」などの場合に必要。小規模な模様替えは不要なケースも
  • 商業施設管理者が一括して行う場合もあるが、念のため自店舗にも必要か確認を
  • 建築士や指定確認検査機関に依頼し、審査に数週間かかることも

4. その他の許可・申請

  • 看板やサイン設置の許可(屋外広告物条例など)
  • 消防法・建築基準法以外の業法(美容室・理容室の保健所許可など)
  • 商業施設の独自ルールによる申請(騒音・臭気・営業時間など)

注意:

  • 業態や地域によって追加で必要な申請があるので、必ず施設管理者や行政窓口で確認を

図面や申請書類を揃える際の実践的なチェックリスト

内装申請は提出先や目的ごとに求められる図面・書類が細かく異なります。以下のチェックリストで抜け漏れのないよう準備しましょう。

  • 平面図・立面図・詳細図・設備図・避難経路図など、各種図面を整理
  • 図面にすべての寸法、材料名、設備機器名を記入
  • 消防申請用の「消防設備図」「避難経路図」「難燃材料証明書」などを準備
  • 保健所申請用の「厨房設備配置図」「トイレ・手洗い場の詳細図」等を準備
  • 構造計算書の要否を施設管理者や設計士に確認
  • 建築確認申請が必要な場合、建築士に早めに相談
  • 施設独自の申請書・同意書の有無も要チェック

また、各図面・書類は「原本」と「コピー」「PDFデータ」など複数形式で用意しておくとスムーズです。

申請の注意点とスムーズに進めるためのコツ

1. 早めのスケジュール管理

各種申請には審査や現地検査が必要なため、思ったよりも日数がかかることがあります。
・テナント契約前や設計段階から管理者・行政窓口に相談をしておく
・オープン時期から逆算し、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。

2. プロに相談・依頼するのも安心

図面作成や申請書類は、建築士・設計事務所・工事会社などプロの力を借りるのが安心です。複数業者に見積り・相談し、信頼できるパートナーを選びましょう。

3. コミュニケーションと確認を怠らない

・施設管理者のルールや行政の最新基準は必ず都度確認を
・不明点や疑問はすぐに相談し、書類作成もダブルチェック
・工事中も進捗や問題点を共有し、申請通過後の追加工事などにも注意しましょう。

よくある質問とその解決策

Q1. 飲食店以外でも保健所の許可は必要?

飲食業や食品製造・販売、理美容業など特定の業態では保健所の営業許可が必要です。事務所や物販店などでは不要な場合が多いですが、提供するサービス内容によって異なるケースも。念のため開業予定地の保健所に相談しましょう。

Q2. どこまでが「内装工事」で申請が必要?

間仕切り壁や天井、床の張替え、厨房・トイレなどの設備工事は「内装工事」に含まれ、申請が必要です。什器の入れ替えや簡単な装飾だけなら不要な場合もあります。グレーなケースは管理者に確認を。

Q3. 図面は自分で描いてもいい?

簡易なレイアウトなら自作でもOKですが、消防・保健所・建築確認など公式な申請用は専門知識が必要です。建築士や設計士に依頼すると確実です。

Q4. 商業施設管理者への申請と行政への申請は何が違う?

施設管理者への申請は、施設の統一ルールや安全管理のための手続き。行政への申請(消防・保健所・建築確認など)は法令遵守や公的な許認可のためのものです。両者の提出内容やタイミングを間違えないようにしましょう。

まとめ:安心してテナント内装申請を進めるために

商業施設テナントの内装工事には、「平面図」「立面図」「詳細図」「設備図」「避難経路図」など多くの図面と、「消防申請」「保健所許可」「建築確認申請」など各種の許可・申請が必要となります。最初は不安に思うかもしれませんが、事前に情報収集と準備をしておけば、必要な手続きも一つ一つクリアできます。
大切なのは、「何を・いつまでに・誰に」提出しなければならないかを正確に把握し、わからないことは早めにプロや行政窓口に相談することです。
この記事を参考にして、ぜひ安心して内装工事の計画・申請を進めてください。新しいお店のオープンがスムーズに進むことを、心から応援しています!