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野縁とは?意味・寸法・使い方を徹底解説!内装現場で役立つ基礎知識

野縁を完全ガイド:読み方・役割・寸法の目安と現場での使い方、施工のコツまで

「野縁って何?胴縁とは違うの?どのくらいの寸法で組めばいいの?」——内装やリフォームの情報を検索していると、現場で当たり前に飛び交う言葉に戸惑うことがありますよね。この記事では、建設内装現場で日常的に使われるワード「野縁(のぶち)」について、読み方から役割、寸法やピッチの考え方、実際の使い方までを、初めての方にもわかりやすく丁寧に解説します。プロの視点で具体例とチェックポイントを盛り込み、読後には「現場で何を指しているのかがはっきりわかった」と感じていただける内容にしました。

現場ワード(キーワード)

読み仮名のぶち
英語表記ceiling furring / furring strip (ceiling batten)

定義

野縁(のぶち)とは、天井仕上げ材(石膏ボード、化粧吸音板、羽目板など)を張るための「天井下地材」のことです。木材(木野縁)または軽量鉄骨(LGS:Light Gauge Steel)の金属材で格子状の骨組みをつくり、その上にボードや仕上げ材を留め付けます。壁の下地材である「胴縁(どうぶち)」と似ていますが、野縁は天井専用の呼称です。荷重を受け、平滑な面(レベル)を確保し、照明・点検口・設備配管などの納まりを成立させる重要な役割を担います。

野縁の基礎知識:何のために必要?

天井は「平らに見える」ことが大切です。上階の梁や配管の干渉、既存天井のたわみ、建物の誤差など、躯体の状態は必ずしも理想的ではありません。そこで野縁で基準の高さ(レベル)を出し、均一なピッチで骨組みを組むことで、仕上げ材をまっすぐ、確実に留められる状態を作ります。また、野縁は設備機器(ダウンライト、換気口、スプリンクラー)や点検口の取り付けベースにもなります。防火・遮音・断熱の仕様を成立させるうえでも、適切な材料選定と組み方が求められます。

野縁の種類(木製・金属製)と特徴

木野縁

木材で組む伝統的な天井下地です。手に入りやすく加工が容易で、小規模リフォームや住宅の一部改修でも使いやすいのが特長。ビスや釘の保持力が高く、軽量の仕上げ材に向きます。乾燥状態や反り・節の有無によって品質差が出るため、含水率や材質の選定、反りの確認が重要です。

金属野縁(軽天/LGS)

軽量鉄骨(薄板鋼材)で組む天井下地です。直線性・安定性が高く、耐火・遮音・大型空間などの仕様に適します。専用の「野縁(バー)」と「野縁受け(チャンネル)」、吊りボルトやハンガーを組み合わせて施工します。規格部材で品質が安定し、施工スピードも出しやすい一方、部材選定や吊り量の検討など、事前の計画が重要です。

寸法・ピッチ・支持間隔の目安(考え方)

寸法やピッチは仕上げ材の種類・厚み・重量、天井に吊る設備の有無、防火・遮音仕様などで変わります。具体値は各メーカーの施工マニュアルや設計図書に従うのが原則ですが、現場でよく使われる考え方の目安を紹介します。

木野縁の断面の目安

  • 一般的な住宅・軽天井:おおむね30×40mm前後
  • 仕上げ材が重い・下地補強が必要:厚み/幅を1サイズ上げる(例:30×45、40×40など)
  • 注意:含水率が高い材は痩せや反りで面不良を起こすため避ける

金属野縁(LGS)の考え方

  • 「野縁(バー)」と「野縁受け(チャンネル)」を格子に組み、吊りボルトで支持
  • 部材サイズは現場条件・スパン・荷重に応じて選定(メーカー標準表に準拠)
  • 意匠上の納まり(段差天井・ルーバー・開口)に合わせて補強部材を追加

ピッチ・支持間隔の目安(一般的傾向)

  • 野縁(横通し)のピッチ:おおむね300mm前後または450mm前後(石膏ボードのサイズ・厚みによる)
  • 吊りボルト(または吊り木)の間隔:おおむね900~1200mm程度(天井荷重や仕様により変更)
  • 点検口・器具周り:周囲に補強(根太状の受けを増設)

上記はあくまで方向性の目安です。最終値は、仕上げ材(例:石膏ボードは吉野石膏などのメーカー)、下地材(JFE建材や日鉄建材などのLGSメーカー)の仕様に必ず合わせてください。

現場での使い方

言い回し・別称

  • 野縁(のぶち)
  • 木野縁/軽天野縁(材質で区別)
  • 野縁受け(メインの受け材、チャンネル)
  • 吊り木(木)、ハンガーボルト・ハンガー(LGS)
  • 注意:胴縁は本来「壁下地」。天井は野縁が正しい用語

使用例(3つ)

  • 「この部屋、野縁ピッチは303で。点検口周りは補強入れてね」
  • 「今日はレベル出して野縁受けを先行、明日バーを流して配線確認」
  • 「ダウンライト位置で野縁が干渉するから、欠き込みか受け替えで納めよう」

使う場面・工程

  • 墨出し(レベル・中心・開口)→ 吊り(吊り木/ハンガーボルト)→ 野縁受け組み → 野縁を流す → 直し(レベル調整)→ 設備開口の補強 → ボード張り
  • リフォームで既存天井を真っ直ぐにしたいとき、天井ふところを確保したいとき(配管・配線・断熱材)、遮音や耐火仕様を成立させたいとき

関連語

  • 胴縁(壁下地)/根太(床下地)/下地組み
  • 野縁受け(チャンネル)/Cチャン/ハンガーボルト/ハンガー金具
  • 石膏ボード/吸音板/点検口/ダウンライト

施工の流れとコツ(プロがやっている手順)

1. 墨出し(レベルと基準)

レーザーで天井レベル墨を出し、壁面に通りよく回します。開口位置(照明・点検口)もこの段階でマーキング。レベルの基準がブレると、以降の作業がすべて歪むため、最重要工程です。

2. 吊りの設置(吊り木/ハンガーボルト)

木の場合は梁などに吊り木を設置、LGSの場合はアンカーからハンガーボルトを所定ピッチで垂らします。アンカーは下地の強度・種類に適合したものを選び、引張試験値に見合う仕様で施工。天井裏の設備経路に干渉しない位置を意識します。

3. 野縁受け(チャンネル)を流す

部屋の長手方向や納まりを考慮して、真っ直ぐで通り良く取り付けます。この段階でレベル調整をきっちり。歪みがあると「仕上げの波」になります。

4. 野縁(バー/木材)を組む

指定ピッチで格子に組み、ジョイントはズラして剛性を確保。器具・点検口位置は補強材で四方を囲うとビスが効きやすくなります。

5. 仕上げ前チェック

  • レベル(レーザーで面一か)
  • ピッチ(指定通りか)
  • 固定(ビスの長さ・本数・めり込み具合)
  • 開口部補強(落下・たわみ対策)
  • 設備との干渉(配線配管の逃げ)

材料選定と固定のポイント

木野縁の選び方

  • 乾燥材で反り・ねじれ・大きな節のないもの
  • 厚みと幅は仕上げ材の重量・スパンで決定(迷えば一回り上を検討)
  • 接合はコーススレッドや釘。効きが悪い箇所はあて木や受け材を追加

LGS野縁の選び方

  • メーカーの許容スパン表に合わせたサイズ選定
  • ハンガー金具・ボルト径(M8/M10など)は荷重や仕様に合わせる
  • 耐火・遮音仕様は部材・ビス・ボード厚・目地処理までトータルで守る

よくある失敗と対策

レベル不良(波打ち)

原因は吊りのレベル合わせ不足や、反った材の使用。対策はレーザーで全周確認、反り材の排除、ジョイント位置の分散。仕上げ前に長いアルミ定規で面を当てて調整します。

ビスの保持力不足

木材の端部に近すぎる留め、硬い部材への短すぎるビスが原因。適切なビス長さと位置で再施工し、下地を一枚足すなどの対策を取ります。

器具干渉

器具の埋め込み深さや配線ルートの確認不足。先行で開口墨・下地補強を入れ、設備業者と位置合わせを事前に行うのが鉄則です。

ピッチの取り違い

303mmと455mmの混在ミスなど。最初に一方向だけ墨を通し、干渉物を避けたうえで全体に展開します。材料納まり(ボードの割付)を先に決めると失敗が減ります。

安全・品質・法規の留意点

  • 耐火・準耐火建築物:天井の構成(下地材、ボード厚、留付け間隔)は設計・認定仕様に厳密に従う
  • 天井落下防止:大型空間や重量物吊り込みは、支持金物の仕様・数量・座屈対策を確認
  • 遮音・断熱:野縁の組み方だけでなく、充填材(断熱材・吸音材)や目地処理が効く
  • 既存改修:アスベスト含有の可能性がある既存材は事前調査が必須

プロが使うチェックリスト(着工~仕上げ前)

  • レベル墨・開口墨は通っているか(写真記録)
  • 支持間隔・ピッチは指示値か(数値メモ)
  • アンカー・ハンガーは適合品か(メーカー表示確認)
  • 補強は必要箇所に入っているか(器具、点検口、重い仕上げ)
  • 防火・遮音仕様はボード厚、ビスピッチまで含めて守れているか

初心者が混同しやすい用語の違い

  • 野縁:天井の下地材
  • 胴縁:壁の下地材(同じ「縁」でも用途が違う)
  • 根太:床の下地材
  • 廻り縁:天井と壁の取り合いに付く見切り材(仕上げ材・化粧材)

代表的な関連メーカー・資料(参考にすると良いもの)

具体仕様は各社のカタログ・技術資料に準拠してください。以下は現場でよく参照されるカテゴリと例です。

  • 石膏ボード・天井材:吉野石膏、大建工業、ケイミュー など(施工マニュアルに下地ピッチの目安あり)
  • 軽量鉄骨下地(LGS):JFE建材、日鉄建材 など(許容スパン・部材選定表あり)
  • ビス・ファスナー:若井産業、他
  • 工具:マキタ、HiKOKI など(レーザー墨出し器、インパクトドライバ等)

メーカー名はカテゴリ理解のための代表例です。品番や寸法は物件の仕様書やメーカー最新資料に必ず合わせてください。

現場で役立つちょいテク

  • 割付先行:ボードサイズと開口位置を先に割り付け、野縁ピッチを決めると継ぎ目や開口の切り欠きが最小化
  • ジョイントずらし:野縁の継ぎ目は一列に並べず千鳥にして、たわみ・音鳴りを防止
  • 見切りの逃げ:廻り縁やカーテンボックスなど、後付の化粧材の取付位置に下地を先回りで仕込む
  • 設備連携:ダウンライトやスピーカーの開口は、設備図・照明配置図と相互確認

Q&A:よくある疑問

Q. 野縁の読み方は?「のえん」ではないの?

A. 正しくは「のぶち」です。現場では「のぶち」と発音します。

Q. 胴縁と何が違う?

A. 野縁は天井用、胴縁は壁用の下地材です。役割と使う場所が異なります。

Q. ピッチは303mmと455mmどっちが正しい?

A. 仕上げ材の種類・厚み・重量で変わります。石膏ボードならメーカー推奨値に合わせるのが原則。軽量仕様なら303mm、厚物なら455mmなど、設計指示を優先してください。

Q. 木とLGS、どちらがいいの?

A. 小規模・簡易な改修や加工性重視なら木、耐火・遮音や大空間で精度重視ならLGSが選ばれる傾向です。物件の用途・仕様・コストで決めます。

Q. DIYで組める?

A. 小さな天井なら木野縁で可能ですが、レベル出し・支持強度・防火遮音などプロの判断が必要な要素が多いです。重量物や設備が絡む場合は専門業者に依頼しましょう。

用語辞典ミニ(関連ワードのおさらい)

  • 野縁受け:野縁を受ける主材。LGSではチャンネル状部材。
  • ハンガーボルト:アンカーから天井下地を吊るためのボルト。
  • 吊り木:木下地を吊る木材。梁などからぶら下げる。
  • レベル墨:天井高さの基準線。レーザーで出すのが一般的。
  • 点検口:天井裏の点検用開口。周囲は補強が必須。

まとめ:野縁を理解すれば、天井工事の全体像が見える

野縁は、天井の仕上がりを左右する「見えない要の部材」です。正しい読み方は「のぶち」。役割は、平滑な天井面を作り、仕上げ材や設備を安全に支えること。木製と金属製(LGS)があり、寸法やピッチは仕上げ材と仕様によって決まります。現場では「野縁受け」「吊り」「ピッチ」「補強」といった言い回しがセットで使われ、工程としては「墨出し→吊り→受け→野縁→調整→仕上げ」が基本。レベルの正確さ、支持間隔、補強の適切さが品質の肝です。迷ったときは、必ず設計図書とメーカーの最新施工資料に立ち返りましょう。野縁を理解できれば、天井工事の計画・確認・コミュニケーションが格段にスムーズになります。あなたの「?」が少しでも「なるほど!」に変われば幸いです。