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糊付機とは?種類・選び方・使い方まで徹底解説【内装工事のプロが教える現場の必須アイテム】

糊付機をゼロから理解する:仕組み・種類・選び方・使い方・メンテまでをやさしく解説【内装現場の必須ツール】

「糊付機って何?どうやって使うの?必要な場面は?」そんな疑問に、内装仕上げの現場で実際に使っているプロの視点で丁寧にお答えします。この記事では、糊付機の基本、現場での活用シーン、選び方、メンテナンス、トラブル対応までを網羅。初めての方でも自信を持って使い始められるよう、専門用語はかみ砕いて説明します。読み終えたときに「疑問が解消された」と感じられる内容を目指しました。

現場ワード(糊付機)

読み仮名のりつけき
英語表記Wallpaper pasting machine(Wallcovering pasting machine)

定義

糊付機とは、壁紙(クロス)や壁装材の裏面に、接着用の糊(のり)を一定量・一定幅で均一に塗布するための専用機械です。用意した壁紙を機械に通すだけで、必要な幅・長さに合わせて素早く糊を塗り、カットまで行えるため、仕上がりの品質が安定し、作業効率が大きく向上します。

糊付機の役割とメリット

内装仕上げ工事において、糊付機は「スピード」と「均一性」を担う要の道具です。手塗りに比べてムラが出にくく、接着不良や剥がれ、ジョイントの浮きといった仕上がりトラブルを抑えられます。

  • 塗布量が一定で、端までムラなく塗れる
  • 幅と長さを揃えやすく、ロスが少ない
  • 張り込みのテンポが上がり、工程全体が安定する
  • 同じ条件を再現しやすいので、複数名で作業する現場でも品質を合わせやすい

主な構造と各部名称

メーカーや機種で細部は異なりますが、基本構成は大きく変わりません。名称は現場の呼び方に近い表現で紹介します。

  • 糊槽(ホッパー):糊を入れるタンク。蓋付きで異物混入を防ぐ。
  • 塗布ローラー:糊を受け取り、壁紙裏面に均一に転写するローラー。
  • 送りローラー(フィード):壁紙をまっすぐ送り出す駆動部。
  • 巾出しガイド:壁紙の幅をきっちり合わせ、端糊不足やはみ出しを防ぐ。
  • 糊量調整ダイヤル(クリアランス調整):塗布量を調整する機構。
  • メーターカウンター:必要な長さを測り、カットのタイミングを合わせる。
  • カッター部(裁断刃):所定の長さで壁紙を切断する刃。替刃式が一般的。
  • スタンド・脚:設置・折りたたみができ、現場移動に対応。

これらが連動することで、「幅を合わせて」「適量の糊を」「必要な長さ」で用意し、すぐ張れる状態のクロスを連続して作れます。

種類と選び方

種類(代表的な分類)

糊付機にはいくつかのタイプがあります。現場の規模や運搬条件、求めるスピードに応じて選びます。

  • 手動式:ハンドル等で送りを行うシンプルなタイプ。軽量で持ち運びが楽。戸建てや小規模現場に向く。
  • 電動式:モーターで安定した送りができ、連続作業に強い。大型現場や長尺壁装材にも対応しやすい。
  • 軽量・コンパクト機:集合住宅の多現場巡回や狭い改修現場向け。収納性と設置性に優れる。

選び方のポイント

はじめて導入する場合は、次の観点をチェックしましょう。

  • 対応幅:一般的な巾(例:92cmクラスの壁紙)への対応可否。トリミングの有無も確認。
  • 糊量調整の幅:薄手・厚手・不織布など素材別に微調整できるか。
  • 清掃のしやすさ:パーツの分解性や隅の洗いやすさ。日々の手入れが品質に直結。
  • 重量と収納性:エレベーター無し物件や狭小現場での取り回し。
  • 替刃・消耗品の入手性:カッター刃や消耗ローラーの供給が安定しているか。
  • メンテナンス体制:故障時の対応や部品供給、レンタル・代替機の手配。
  • 予算と現場規模:工期・数量・人員に見合った投資か。必要ならレンタル活用も有効。

糊付機の基本的な使い方(手順)

初めてでも迷わないよう、代表的な流れを段階的にまとめます。機種ごとの取扱説明書は必ず確認してください。

手順1:設置・水平出し
安定した場所にスタンドを組み、機械を固定。水平が狂うと片側の糊量が変わることがあるため、足元のガタつきを止めます。

手順2:清掃状態の確認
前回の糊が残っていないか、ローラーの表面に固着物がないかを確認。異物はスジや塗布ムラの原因になります。

手順3:糊の準備
指定の濃度までよく攪拌した糊を糊槽に投入。粘度は季節・材料によって調整。夏場は若干かため、冬場はやや緩めるなど現場条件に合わせます。

手順4:幅・ガイド調整
貼る壁紙の巾に合わせてガイドをセット。端糊不足やはみ出しを避けるため、実測の巾で追い込みます。

手順5:糊量(クリアランス)調整
試し塗りで、端まで均一に糊が乗る最小量を探るのが基本。薄手クロスは少なめ、厚手・不織布系はやや多めが目安。

手順6:メーター合わせ・送り出し
必要寸法にカウンターを合わせ、壁紙を通して送り、指定長さでカット。番号や部屋名を書いて束ねておくと張り込みがスムーズ。

手順7:作業中の微調整
温湿度や糊の吸水で塗布条件が変わるため、こまめに端部やジョイントの状態を確認し、糊量や送りテンションを微調整します。

手順8:片付け・洗浄
作業後は速やかに分解清掃。ローラー・糊槽・カバー類をぬるま湯で洗い、糊残りゼロまで徹底。水分を拭き取り、可動部に負荷がかからない状態で乾燥・保管します。

現場での使い方

言い回し・別称

現場では次のような呼び方を耳にします。

  • 糊機(のりき)/のり機
  • 自動糊付け機
  • 壁紙糊付け機/クロス糊付け機

使用例(3つ)

  • 「巾920で糊機セットして、糊は気持ち軽めで。」
  • 「洗面所の分は先に回しといて。メーター2.4で5本。」
  • 「薄手だから端糊もう一段増やして。試しで一本流すよ。」

使う場面・工程

主にクロス張りの「糊付け工程」で使用します。新築・改修どちらでも、下地処理(パテ・研磨・シーラー)を終え、採寸・割り付けが決まった段階で稼働。量が多い現場では「先行で回す班」と「張り班」に分業し、テンポよく進めます。

関連語

  • クロス(壁紙)/不織布壁装/ビニル壁紙
  • ジョイント(継ぎ目)/突き付け/重ね切り
  • パテ/下地調整/シーラー
  • メーター(長さカウンター)/巾出し
  • 糊(でん粉系・樹脂系)/初期接着/オープンタイム

糊の種類と相性

糊付機で使う糊は、壁紙や下地の条件に合っていることが重要です。一般的な考え方を示します(製品ごとの仕様に従って選定してください)。

  • でん粉系:作業性が良く、一般的なビニル壁紙で多用。初期接着は樹脂系より穏やか。
  • 樹脂系(エマルジョン等)の併用:初期接着を補強したい、重量物や不陸が出やすい場合に添加・併用することがある。
  • 不織布・厚手材:糊量をやや多めに、オープンタイムを確保して馴染ませると張りやすい。
  • 薄手・透けやすい材:糊量は控えめ、端糊の「はみ出し」に要注意。下地色の影響や水分での伸びを考慮。

気温・湿度・下地の吸い込みで条件は変化します。同じ製品でも季節で施工感が変わるため、試し塗りと小面積テストを習慣にすると失敗が減ります。

よくあるトラブルと対処

  • 端糊不足でジョイントが浮く:ガイドと糊量を再調整。端部の塗布跡を目視確認してから量産。
  • 糊スジ・ムラ:ローラーの汚れ、異物付着、クリアランスの偏りが原因。停止して清掃と再調整。
  • メーターずれ:送りテンションとカウンターの校正を確認。長さ違いは仕上がりの段取りに響くため初期に修正。
  • 糊ダレ・はみ出し:糊が多すぎる、オープンタイム過多、気温高め。量を絞るか手元で余分を処理。
  • 送りが蛇行:巾出しガイドの押さえ不足、壁紙のロール自体の巻き癖。手前で矯正し、ガイドを丁寧に合わせる。
  • 異臭・カビ:清掃不良や保管環境の高温多湿。作業毎のフル清掃と乾燥、蓋の開放保管を徹底。

メンテナンスと保管

糊付機は「清掃命」です。糊残りは故障・不良・衛生問題の元になります。

  • 分解清掃:ローラー、糊槽、カバー、カッター周りを毎回洗浄。ぬるま湯とスポンジで優しく、固着部は時間を置いてふやかす。
  • 刃の管理:カッター刃は切れ味が落ちたら即交換。無理に使うとバリや紙切れの原因。
  • 可動部チェック:送りローラーの摩耗、ベアリングの異音、ガイドのガタを定期点検。
  • 乾燥と防錆:水分を完全に拭き取り、風通しの良い場所で乾燥。金属部の錆に注意。
  • 運搬・保管:専用ケースや養生で衝撃防止。寒冷地では凍結や結露を避ける。

安全・衛生の注意点

  • 刃物の取り扱い:電源OFF・手袋着用で替刃交換。誤作動防止の確認を徹底。
  • 指挟み防止:ローラー近傍に手を入れない。送り時は声掛けで合図し、二人作業時の連携を取る。
  • 滑りリスク:床に落ちた糊は即拭き取り。足元の滑りは重大事故につながる。
  • 衛生管理:糊の使い回しは避け、長時間放置した糊は廃棄。アレルギーがある場合は保護具を検討。

メーカーと調達方法

糊付機は内装工具の専門メーカーが複数取り扱っています。代表例として、内装工具・機械のラインアップで広く知られるメーカーに極東産機などがあります(機種・仕様は各社公式情報をご確認ください)。購入以外にも、工具レンタル店や内装資材商社でのレンタル・スポット調達が一般的です。初導入で迷う場合は、まずレンタルで試し、現場に合う仕様を見極めてから購入する方法が安全です。

作業品質を上げるコツ(プロの視点)

  • 朝一の「試し一本」をルール化:端糊、糊量、メーター、送りテンションを必ず確認。
  • 材料ごとのマイ設定メモ:薄手・厚手・不織布などで決まり値を記録し、次現場で即再現。
  • 束の整理:部屋名・面名・高さ・順番をラベル化。張り班の段取りが段違いに良くなる。
  • 環境管理:高温・低温・多湿で糊の効きが変わる。換気・室温・オープンタイムを現場でチューニング。

用語ミニ辞典(糊付機まわり)

  • オープンタイム:糊付け後、貼るまでに置く時間。馴染みと伸び調整のために確保。
  • 巾出し:壁紙の実寸に合わせてガイドを設定すること。
  • ジョイント:壁紙の継ぎ目。突き付けや重ね切りで処理。
  • 初期接着:貼りたて直後の保持力。樹脂系併用で補強する場合がある。
  • スリッター:一部機種にある両サイドの耳切り・巾調整用カッター機構の総称。

よくある質問(FAQ)

Q. 初めてでも使えますか?

A. 基本操作はシンプルです。最初は「試し一本」で糊量・端糊・長さを確認し、問題がなければ本番へ進む、という流れを守れば大丈夫。安全面と清掃だけは妥協しないでください。

Q. どの糊でも使えますか?

A. 糊付機対応の壁紙用糊を使用してください。濃度や添加剤の比率は製品仕様に従い、材料・季節に合わせて粘度を調整しましょう。

Q. 電動と手動どちらが良い?

A. 小規模・移動重視なら手動、数量が多くテンポ優先なら電動が向きます。現場条件と予算で選び、必要に応じてレンタルで試すのがおすすめです。

Q. 清掃のコツは?

A. 「分解→ぬるま湯→柔らかいスポンジ→完全乾燥」。固着前に即洗うのが最大のコツです。ローラーの角や端部の糊残りをゼロにする意識を持ちましょう。

まとめ

糊付機は、壁紙施工の品質とスピードを同時に引き上げる現場の心強い相棒です。仕組みはシンプルですが、「幅設定」「糊量調整」「清掃」の3点を丁寧に守ることで、ジョイント浮きやムラといったトラブルを大幅に減らせます。種類や機能は現場の規模や運搬条件で最適解が変わりますが、まずはレンタルや小規模機から試し、手に馴染む一台を見つけるのが近道。この記事が、糊付機の理解と実践の一歩を支える参考になれば幸いです。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
  • 品質・安全:社内施工基準書/安全衛生計画に基づく現場管理、是正手順とアフター基準を公開
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