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ジョイントボックスとは?種類・使い方・選び方を徹底解説【現場で失敗しないポイント付き】

ジョイントボックスの基礎と実務ガイド|用途・種類・選び方・施工のコツまで一気にわかる

「ジョイントボックスって何? 配線の途中でよく聞くけど、どこに置いて何に使うの?」——現場の会話で耳にしつつ、はっきりしたイメージがつかめず不安な方は多いはず。本記事では、建設内装の電気まわりで欠かせない“ジョイントボックス”について、意味・種類・使い方・選び方・施工の注意点まで、職人の現場目線でわかりやすく整理しました。これを読めば、図面に出てくる記号の意味や、材料手配・取付位置の判断、検査で指摘されないためのポイントまでスッキリ理解できます。

現場ワード(ジョイントボックス)

読み仮名じょいんとぼっくす
英語表記Junction box

定義

ジョイントボックスとは、電線やケーブルの「接続(ジョイント)や分岐」を安全・確実に行い、接続部を保護するための箱形ケースのことです。天井内や壁内、露出配線などで導体同士を接続する際に、接続部をボックス内に収め、ふたをして外力・ほこり・湿気から守り、点検・修理もしやすくします。照明回路の分岐、コンセント回路の延長、弱電(通信・LAN・インターホン等)の中継など、室内の内装電気工事で広く用いられます。

ジョイントボックスの役割と基本構造

ジョイントボックスの第一の役割は「接続部の保護」と「点検性の確保」です。電気工事では、導体の接続箇所をむき出しにせず、ふた付きのボックス内に納めるのが基本。こうすることで、短絡・発熱・被覆劣化・機械的損傷のリスクを下げ、将来の点検・改修にも備えられます。

基本構造はシンプルで、箱本体(本体側面にノックアウト穴やケーブル用のグランド・コネクタ取付部)と、ふた(ビス止めやワンタッチ)がセット。内装工事では、軽天の野縁やランナー、軽量鉄骨や木下地、コンクリートにアンカー・インサート・バンド・サドルなどで支持固定します。

なお、よく混同されるのが「アウトレットボックス」。アウトレットボックスは器具(照明器具・コンセント・スイッチなど)を直接取り付ける前提のボックスを指すことが多いのに対し、ジョイントボックスは“接続や分岐のみを行うためのボックス”を指すのが基本です。ただし現場では文脈で呼び分けが曖昧なこともあり、図面記号や仕様書の表記を確認するのが確実です。

種類(形状・材質・設置環境・用途)

形状による分類

丸形(天井内での照明分岐などに多い)と四角形(壁内・露出配線での分岐や結線スペースの確保に有利)が代表的です。四角形には浅型・深型があり、分岐点数が多い、コネクタやスリーブがかさむ場合は深型を選びます。取り合う配線管の本数・方向に合わせてノックアウトの位置や数を検討します。

材質による分類

樹脂製(合成樹脂)は軽量で施工が早く、屋内天井・壁内のケーブル工事に多用されます。金属製は金属管工事や露出配線での機械的強度・耐久性を求める場合に用いられます。接地(アース)処理や絶縁距離の確保など、材質に応じた取り扱いが必要です。

設置環境による分類

屋内一般形、防雨形(屋外や湿気の多い場所)、防塵・防水形(粉じん・水滴がかかる可能性がある場所)など、環境に応じて選定します。防水・防塵の性能は製品の等級表示(例:IP表記)で確認し、パッキンやグランドの締付けで性能を発揮させます。

用途による分類

電力(照明・コンセント)用、弱電(LAN・電話・TV・インターホン等)用に分けて使うのが基本。電力と弱電はボックスも配線ルートも分離し、干渉やノイズ混入を避けます。必要に応じて端子台内蔵タイプやケーブルグランド付きタイプなど、用途特化の製品もあります。

現場での使い方

ジョイントボックスは、配線ルートの途中に設けて分岐・延長・変換を行います。軽天の天井裏では照明回路の中継、壁内ではコンセント回路の分岐が典型例。弱電では、LANの延長やライン切替の中継点として使います。

言い回し・別称

  • Jボックス/J-BOX(ジェイボックス)
  • 分岐ボックス(分岐点を設ける意での通称)
  • (文脈によって)アウトレットボックスと呼ぶことも

使用例(3つ)

  • 「この照明はここでJボックスかまして2系統に分けよう」=天井内の一点で2回路に分岐。
  • 「この壁の中、J入れてからコンセント2口に飛ばして」=壁内でコンセント用ケーブルを分岐。
  • 「弱電は弱電でJ立てて、電力とは分けといて」=ノイズ混入や規定違反を避けるための分離。

使う場面・工程

  • 配線計画の段階:回路ルート上の分岐点・延長点・器具集中エリアに配置を検討
  • 墨出し〜下地工事:支持が取りやすく点検できる位置に実体配置を決め、支持金具を用意
  • 配管・配線:ボックスに管・ケーブルを引き込み、余長を確保して接続
  • 検査前:ふたを閉める前に結線状態・表示・締付けを確認。必要に応じて通電試験

関連語

  • アウトレットボックス(器具取付用が中心)
  • プルボックス(配線引き込み・引き出しの中継・曲がり軽減用の大サイズ箱)
  • ボックスコネクタ/ケーブルグランド(ボックスと管・ケーブルを接続する金具)
  • スリーブ(圧着スリーブ)/差し込みコネクタ(結線部品)
  • CD管・PF管・金属管(配管種別)

選び方のポイント(失敗しない目安)

  • 回路・分岐の数:結線点数やコネクタの大きさに対し、ゆとりのある容量を選ぶ。ふたが無理なく閉まり、導体が圧迫されないサイズが基本。
  • 導体と管の種類:VVFや弱電ケーブルの外径、PF・CD・金属管の径と口数に合うノックアウト・コネクタ構成を確認。
  • 設置環境:屋内一般/屋外・湿気/粉じん・水滴など、環境条件に合う形状・等級を選定。パッキン・グランドの付属有無もチェック。
  • 材質と仕上げ:樹脂製で軽量・施工性重視か、金属製で堅牢性・接地重視か。仕上がりとコスト、支持方法を総合判断。
  • 点検性:天井内は点検口から手が届く位置・高さか。壁内は点検口の有無、将来の改修を想定したアクセス性を確保。
  • 表示・識別:回路番号や用途をふた・本体にマーキングしやすい面積・仕上げか。
  • 工程・手配:現場での取付スピード、ビスの共通化、在庫性(入手しやすさ)を考慮。変更・追加にも耐える汎用性を持たせる。

施工の基本手順(電力系の一例)

  • 位置決め:図面と干渉(ダクト・配管・照明レイアウト)を確認し、点検口や器具からの距離を検討。
  • 支持:軽天なら吊りボルト・ハンガー、ランナーなら専用金具、躯体ならアンカー等で確実に固定。落下・共振・熱の影響を避ける。
  • 導入部の準備:ノックアウトを外し、口径に合うコネクタやグランドを取り付け。バリ取りや締付トルクに注意。
  • 配線引込:ケーブル外装を必要最小限だけ剥き、導体に傷をつけない。余長は結線・再施工に十分な長さを確保。
  • 結線:圧着スリーブや差し込みコネクタ等、回路電流・導体サイズに適合した部材を使用。接地(アース)は確実に共締め・結線。
  • 絶縁・保護:必要に応じ自己融着テープやビニルテープで補強し、導体露出がないことを確認。
  • 表示:ボックス本体・ふたに回路番号・行き先・日付・担当などを明記。将来の保守が圧倒的に楽になる。
  • 最終確認:ふたを閉め、ビスの緩み・配線の噛み込みがないか点検。必要に応じ導通・絶縁の測定を実施。

施工は有資格者(電気工事士)によることが前提です。メーカーの施工説明書と現場の仕様書、関連ルールに従いましょう。

よくある失敗と対策

  • ふたが閉まらない(容量不足):分岐を増やした結果、コネクタがかさばる。対策は「深型に変更」「分岐点を2箇所に分割」「コネクタサイズの見直し」。
  • 点検できない位置に設置:天井点検口から遠すぎる/壁内で完全に塞がる。計画段階で点検口位置とセットで検討し、図面に反映。
  • 混載(電力と弱電の同居):ノイズや規定違反の原因。ボックス・配線ルートを物理的に分離し、識別色・ラベルで明確に。
  • ケーブル被覆の剥き過ぎ/傷つけ:発熱・劣化要因。ストリッパーのサイズ設定、剥き長さの事前確認、刃の当て方を統一。
  • アースの処理忘れ:金属製ボックスや金属管の接地忘れは重大。チェックリストにアース項目を追加し、目視で緑黄線の連続を確認。
  • 防水・防塵性能を活かせていない:グランド緩み・パッキン噛み込みで等級を満たせず。規定トルクで均等に締め、最終確認を実施。
  • 耐火区画の貫通処理不備:火災時の延焼経路になる。貫通部は指定材料でシーリング・パテ処理を行い、写真記録を残す。

品質と安全を守るチェックリスト

  • 図面・仕様書と型番が一致しているか(環境等級・材質・サイズ)
  • 支持方法が適切か(許容荷重・支持間隔・振れ止め)
  • 導入部にブッシングやコネクタを使用し、エッジで被覆が傷つかないか
  • 導体の接続方法(圧着/コネクタ)が導体サイズ・電流に適合しているか
  • アースの連続性(テスターで確認)
  • 回路番号・用途の表示がふた・本体に明確か
  • ふたのビスが最後まで確実に締まっているか(締め過ぎも注意)
  • 点検口から手が届く位置か(天井内・設備干渉なし)

主なメーカーと特徴(例)

未来工業:合成樹脂製ボックスの定番。ノックアウト・付属品のバリエーションが豊富で、屋内用から防雨形まで現場対応力が高いのが特徴。施工性を意識したアイデア製品も多いです。

パナソニック:金属・樹脂ともにラインアップが広く、アウトレットボックスや関連器具と合わせた統一感ある選定が可能。電設資材全体での互換性・入手性に強みがあります。

日東工業:防水・防塵ボックスやキャビネットで実績豊富。屋外・機械室など厳しい環境でのボックス選定時に頼れるメーカーです。

上記以外にも、現場や地域の流通網に合ったブランドが多く存在します。互換性や入手性、添付の金具・パッキンの仕様は型番ごとに異なるため、カタログ・施工説明書の確認を徹底してください。

用途別の具体例と考え方

天井内の照明分岐

丸形樹脂ボックスを使用し、器具位置からのケーブルをまとめて分岐。照明器具のメンテナンス性を考え、点検口の近くや梁・ダクトとの干渉がない位置に配置します。将来の器具交換を見越して回路表示は必須です。

壁内のコンセント回路

四角形ボックス(浅型/深型)で分岐。間柱や軽量鉄骨の位置を確認し、ボックスの厚みが仕上げ材と干渉しないよう注意。断熱材を併用する壁では、ケーブルの熱影響や気流止めにも目配りします。

弱電の中継(LAN・TV・インターホン)

弱電は弱電専用のボックスで、電力系とは分離。曲げ半径・余長を十分確保し、コネクタや機器の仕様(カテゴリ規格・インピーダンス等)を満たす取り扱いが重要です。識別用の色分けやラベル管理を徹底します。

図面記号・呼称の読み解き方

図面上で「J.B.」「J-BOX」「J」などと略記されることがあります。アウトレットボックスは「O.B.」「OB」と表記される場合も。凡例に違いがあるため、設計図の凡例・仕様書・機器リストで定義を必ず確認しましょう。迷ったら、分岐専用か器具取付を伴うかを設計・監督へ確認するのが早道です。

検査で指摘されやすいポイント

  • ふたの未締結・ビス不足:仮設のまま忘れがち。完了前に100%確認。
  • 混在(電力・弱電):基本的にNG。ボックス・管を分ける。
  • 結線部の被覆長さ不適:銅線露出やより戻り不足。適正長さを徹底。
  • 表示なし:回路不明は将来トラブルのもと。番号・用途・日付を記入。
  • 点検不可:アクセス性が悪い配置。点検口の追加や位置見直しを。

現場の豆知識・小ワザ

  • 配線の取り回しは「後から入る線を上」に重ねると、点検時の取り出しが楽。
  • 余長は軽くコイル状にまとめ、結束バンドは締め過ぎない。熱で締まる余地を残す。
  • ふたの内側に回路表を貼っておくと、保守が段違いに早い。
  • 金属ボックスではエッジで被覆を切りやすい。ブッシングやスリーブで保護。
  • 将来の増設を想定し、ノックアウトは必要数のみ抜く。塞ぎキャップの用意も吉。

よくある質問(FAQ)

Q. ジョイントボックスとアウトレットボックスは何が違う?

A. 一般的には、ジョイントボックスは接続・分岐専用、アウトレットボックスは器具の取付を前提としたボックスを指します。ただし現場では呼称が混在することもあるため、図面の凡例・仕様で確認してください。

Q. 天井裏のジョイントボックスは、必ず点検口から触れますか?

A. 点検可能な位置に設置するのが基本です。将来の点検や不具合対応を考えると、点検口から手が届き、周囲の設備と干渉しない場所に配置します。

Q. 防水タイプが必要かどうかの判断は?

A. 屋外、湿気・水滴・結露が想定される場所、清掃水がかかる恐れがある環境では防雨・防水形が必要です。製品の等級表示(例:IP表記)と、グランド・パッキンの正しい施工で性能を確保します。

Q. 電力と弱電を同じボックスにまとめても良い?

A. 原則避けます。ノイズ・誤接続のリスクが高く、ルール面でも分離が基本です。ボックス・配線ルートともに分け、識別表示を徹底しましょう。

Q. どの結線方法が良い?(圧着か差し込みか)

A. 回路電流・導体サイズ・施工環境で選びます。圧着スリーブは確実性が高く、差し込みコネクタは施工スピードと点検性に優れます。いずれも適合サイズ・工具・施工手順を守ることが前提です。

用語辞典ミニ(関連ワード)

ボックスコネクタ:ボックスと管・ケーブルを機械的に固定し、導入部を保護する金具。PF・CD・金属管それぞれに適合品があります。

プルボックス:長い配線の引き回しや曲がりが多いルートで、配線の通線を助けるための中継ボックス。ジョイント(結線)をしないことも多いですが、点検・引き替えのために設置します。

端子台:ボックス内や盤内に設置し、導線の取り外し・識別を容易にする接続部材。回路整理に有効です。

まとめ:ジョイントボックスを制する者は、現場の電気を制す

ジョイントボックスは、配線の分岐・接続を安全に行い、点検性を確保するための“当たり前だけど重要な箱”です。形状(丸・四角/浅・深)、材質(樹脂・金属)、環境(屋内・防雨・防塵防水)、用途(電力・弱電)を踏まえて、ゆとりあるサイズと点検しやすい位置を選びましょう。施工では、支持の確実さ、導入部の処理、結線の適合、アースの連続性、表示の明確さが肝。よくある失敗(容量不足、混載、点検不可)を避けるだけで、品質と安全性は大きく向上します。

図面の凡例・仕様とメーカーの施工説明を確認しつつ、現場の実情(アクセス性、将来の改修、調達性)を折り合わせる。——このバランス感覚さえ押さえれば、ジョイントボックスで迷うことはぐっと減ります。今日からの現場で、ぜひ活用してください。

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執筆者: 株式会社MIRIX(ミリックス)

内装工事/原状回復/リノベーション/設備更新(空調・衛生・電気)

  • 所在地:東京都港区白金3-11-17-206
  • 事業内容:内装工事、原状回復、リノベーション、設備更新(空調・水道・衛生・電気)、レイアウト設計、法令手続き支援など内装全般
  • 施工エリア:東京23区(近郊応相談)
  • 実績:内装仕上げ一式、オフィス原状回復、オフィス移転、戸建てリノベーション、飲食店内装、スケルトン戻し・軽天間仕切・床/壁/天井仕上げ、設備更新 等
  • 許可・保険:建設業許可東京都知事許可 (般4)第156373号、賠償責任保険、労災完備
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