物件は気に入ったのに、予定している厨房機器を置けるか分からない。内装の見積もりを取ったら、ダクトや電源の追加費用が別に出てきた。飲食店の開業では、客席の雰囲気と同時に「調理できる設備」と「工事できる建物条件」を決めることが大切です。
MIRIXでは、店舗内装や厨房換気の工事について、現地の状態と営業内容を伺いながら相談を承ります。物件契約前、機器が未決定、図面が手元にない段階でも、現在分かっている情報から整理できます。
飲食店の内装工事は、メニューと営業方法から組み立てる
内装を考える最初の材料は、好みの写真だけではありません。どの料理を、何人で、一度に何食つくるのかによって、熱源・冷蔵保管・洗浄・盛り付けに必要な場所が変わります。持ち帰りを扱うなら、店内客の会計と商品受け渡しが同じ場所に集中しないかも見ておきたい点です。
例えば、加熱調理を多く行う店と、既製品の盛り付けが中心の店では、厨房から出る熱や油煙、洗い物の量が違います。同じ面積だから設備費も同じ、という比較はできません。まだメニューが確定していない場合は、必ず扱いたい調理と将来追加したい調理を分けると、いま必要な設備を絞りやすくなります。
客席数は厨房の処理能力と一緒に検討します。席を増やしても、洗浄や配膳が詰まると料理を出すまでの時間に影響します。調理担当・配膳担当がすれ違う位置、使用済み食器を戻す経路、食材を納品する時間を仮の平面図に書き込むと、設備寸法だけでは分からない使いにくさが見えてきます。
開業後の変更に備える場合も、全ての設備を最初から増設する必要はありません。追加用の配線経路や点検口を残す案と、当初から容量を増やす案を分け、初期費用と後から行う工事の範囲を比べます。
物件契約前に、内装と設備の工事ができるか確かめる
「飲食店可」という募集表示だけでは、希望する業態で使えるとは限りません。調理内容、営業時間、臭気、客の出入りなどについて条件が付いていることがあります。募集資料と賃貸条件、管理会社の回答を同じ物件の情報としてそろえ、口頭説明だけで判断しないことが大切です。
居抜き物件では、残っている機器の所有者と使用権、故障時の負担を確認します。見た目が整っていても、前の店が使えた設備を今回も同じ能力で使えるとは限りません。清掃・点検・修理を含めて再利用できるかを見極めてから、残す設備と入れ替える設備に分けます。
| 確認するもの | 契約前に聞きたいこと | 内装費への影響 |
|---|---|---|
| 使用条件 | 予定業態・営業時間・看板の条件 | 計画変更や追加設備の必要性 |
| 排気経路 | 屋外までのルート・共用部使用の可否 | ダクト延長・足場・防音対策 |
| 電気とガス | 供給容量・増設可否・工事の担当 | 幹線やメーター側工事の有無 |
| 水と排水 | 接続位置・口径・床下の経路 | 床上げ・排水経路の変更 |
| 残置設備 | 所有者・動作確認・撤去条件 | 修理費と撤去処分費の分担 |
スケルトン物件も「何もないから自由」とは限りません。床や壁に新しい穴をあけられるか、共用設備に接続する際に指定業者が必要か、搬入に使うエレベーターの時間を予約できるかなどが工事を左右します。物件を比較している段階なら、候補ごとに不明点を並べて、内装費だけでなく開業までの実現性も検討できます。
厨房機器は、寸法・電源・給排水を一つの表で整理する
機器を先に購入してから配置を決めると、搬入できない、必要な電源がない、点検のために引き出せないといった問題が起こります。機器の幅・奥行・高さに加え、接続条件、放熱や扉開閉に必要な空間、重量をメーカー資料で確認します。中古機器の場合も型番を特定し、仕様と状態を別々に調べます。
冷蔵庫の扉を開けたときに通路がふさがらないか、食洗機から出した食器を一時的に置けるか、熱い鍋を持って客席への出入口を横切らないか。こうした動きは、設備配置を決める前に実際の作業順でたどってみると整理しやすくなります。
| 機器の例 | 工事前に確認する条件 | 配置で見落としやすいこと |
|---|---|---|
| 加熱機器 | 熱源・消費量・排気条件 | 周囲との離隔・フードとの関係 |
| 冷蔵冷凍庫 | 電源・放熱・搬入寸法 | 扉の開閉と食材の補充動線 |
| 食器洗浄機 | 電源・給湯・排水条件 | 前後の食器置場と蒸気 |
| シンク・手洗い | 給水・給湯・排水の接続 | 作業区分と清掃のしやすさ |
| 作業台・棚 | 固定方法・必要な下地 | 取り出す高さと機器点検の空間 |
電気容量は機器の定格を単純に足しただけで確定できません。同時に使用する機器、回路の分け方、既存設備の状況を踏まえて専門業者が確認します。コンセントの数だけを増やして解決しようとせず、厨房機器の一覧と既存分電盤の情報をセットで相談してください。仕様が未決定の機器は、そのことが分かる状態で見積もりに残します。
換気は排気量だけでなく、給気と排出口まで考える
厨房の換気計画では、フードや換気扇の大きさだけで判断しません。調理で発生する熱や油煙を捕らえ、ダクトを通して排出する経路と、その分の空気を店内へ取り込む給気を一緒に考えます。客席のエアコンを追加するだけでは、厨房の排気や臭気の問題が解消しない場合があります。
既存ダクトを使うときは、経路・寸法・接続先・清掃状態・点検できる場所を確認します。見える部分だけを交換しても、先に詰まりや不具合が残っていれば使い勝手は改善しません。上階や他区画と関係する部分は、所有者と管理会社の条件を確認して工事範囲を決めます。
排出口の位置は近隣の窓や通路、給気口との関係にも注意が必要です。臭い・音への対応が必要な場合は、どの設備で何を軽減する計画か、維持管理を誰が行うかまで見積もりと一緒に説明を受けます。敷地外や共用部分へ無断でダクトを延ばすことはできません。
清掃や修理のしやすさも設計に含めます。フィルターやファンを取り外すための空間がなく、造作を壊さないと点検できない状態では、営業開始後の負担が大きくなります。デザインで隠す部分と、日常点検のために開けられる部分を分けておくと安心です。
厨房機器や換気設備が決まる前でもご相談ください。物件資料と予定メニューから、現地で確認すべき工事を整理します。
排水・床・清掃動線をそろえて、営業後の手間を減らす
厨房の床は、仕上げ材の色や滑りにくさだけでなく、普段どのように清掃するかで考えます。水を使う範囲、食材や油が落ちやすい場所、排水口や配管の位置を把握し、建物の防水条件を踏まえて計画します。既存床の上に仕上げを重ねると、出入口に段差ができたり機器の高さが合わなくなったりする場合があります。
油脂や固形物の処理では、グリース阻集器などの設備について、業態と建物条件に合う仕様・設置場所を確認します。容量だけでなく、ふたを開けて清掃できるか、周囲に物を置いて塞がないか、回収物を運ぶ経路が確保できるかも重要です。必要性や仕様をすべての店舗で一律に決めず、計画に合わせて関係窓口・管理者と確認します。
| 場所 | 現地で見る点 | 見積もりで分ける項目 |
|---|---|---|
| 厨房床 | 下地・防水・段差・排水の位置 | 撤去、下地補修、防水、仕上げ |
| 排水管 | 既存接続口と必要な勾配 | 新設、移設、清掃・補修 |
| グリース阻集器 | 設置場所と清掃スペース | 本体、接続、周囲の床復旧 |
| 壁・機器の裏 | 水はねと清掃できる隙間 | 仕上げ、下地、脱着できる部分 |
| ごみ置場 | 保管と搬出の経路 | 区画、床・壁の仕上げ、管理条件 |
設備を引き渡された後の清掃方法を確認しておくと、内装工事と運用の間の抜けを減らせます。特に新しく責任者を置く店舗では、止水栓・ブレーカー・点検口の位置、定期的に清掃する部位を図面や写真で引き継ぎます。専門作業を伴う部分をスタッフの自己判断で分解しないよう、相談先も控えておきましょう。
保健所・消防・建物管理者への相談を、設計と並行する
営業許可、消防関係の届出、貸主の工事承認は、それぞれ確認する相手と内容が異なります。一つの窓口に相談したから全てが承認された、という扱いにはできません。営業する所在地、業態、既存用途、工事内容をもとに、必要な手続きと担当者を整理します。
東京都の営業許可・届出案内でも、特別区などは各保健所への確認が必要とされています。厨房や手洗いなどを造ってから変更する負担を減らすため、計画段階の図面で所在地の保健所へ相談し、必要な設備条件を設計に反映します。
消防関係は、東京消防庁の飲食店開業者向け案内などを参照し、所轄消防署に工事内容と使用開始予定を伝えます。既存の感知器や消火設備、避難に関わる配置などは、内装変更の影響も含めて確認する事項です。必要な届出の期限や検査日程は、実際の計画を示して確認してください。
MIRIXとの打ち合わせでは、どの資料を工事側が用意し、どの申請や相談をお客様が行うかを決めます。申請代理や許可取得が全ての内装工事に自動的に含まれるわけではありません。図面を直した場合は版と日付をそろえ、管理会社と行政窓口へ異なる図面を出さないようにします。
内装工事の費用は、本体・設備・開業準備を分けて比較する
飲食店の工事費を比較するときは、坪単価だけでなく、どこまでが含まれているかを確かめます。厨房機器をお客様が購入する案と、工事会社が手配する案では見積総額の見え方が違います。機器代が含まれていない安い見積もりを、そのまま一括手配の見積もりと比べることはできません。
設計変更、解体後に分かる下地の傷み、指定業者の設備工事など、見積時点で確定できない部分は「別途」とだけ書かず、確認方法・担当者・金額が決まる時点を聞いておきます。補修の必要性が出た場合は、写真と工事範囲、増額、日程への影響を確認してから進めます。
| 費用の区分 | 主な内容 | 比較の条件 |
|---|---|---|
| 内装・造作 | 床壁天井、カウンター、棚 | 数量、材料、下地処理 |
| 厨房と接続 | 厨房機器、給排水、電源 | 本体支給の有無、接続担当 |
| 換気と空調 | フード、ダクト、給気、空調 | 屋外までの範囲、試運転 |
| 建物側の工事 | 指定業者工事、共用部の対応 | 貸主負担と借主負担の分担 |
| 施工条件 | 搬入、養生、夜間作業、廃材搬出 | 時間制限と回数 |
| 開業準備 | 家具、食器、通信、試作など | 工事見積外の支出を別管理 |
費用を調整するなら、まず営業に必要な設備と開業後でも追加できる装飾を分けます。安全や必要な設備性能を下げるのではなく、既存設備の活用、造作の範囲、素材の選び方を比較します。店舗全般の工事比較は飲食店・店舗内装工事の費用と選び方でも確認できます。
開業日から逆算し、工事完了と営業開始を別に設定する
内装の仕上げが終わった日と、そのまま営業できる日は同じとは限りません。機器の接続・試運転、必要な確認や検査、従業員の練習、食材搬入、清掃などを予定に入れます。固定の開業日がある場合は、間に合わせるために省けない工程を先に明らかにし、工事範囲や発注時期を調整します。
- 物件・業態と設備条件の確認
契約状況、調理内容、既存設備を共有し、調査日と確認先を決めます。
- 配置・仕様・見積もりの確定
管理会社や関係窓口への相談結果を反映し、機器納期と工事範囲を確定します。
- 契約・発注・着工準備
支払条件、追加変更の扱い、搬入と養生、近隣への案内担当をそろえます。
- 施工・設備の試運転
電源・給排水・換気の接続を確認し、内装の傷や建具の動きも点検します。
- 引き渡しと開業準備
取扱説明、清掃、必要な検査、スタッフの作業確認を済ませて営業につなげます。
発注した機器が遅れる場合は、内装だけ先に進めてよいかを判断します。本体がなければ接続や寸法の最終確認ができない工程もあるためです。工事会社・機器会社・お客様の間で、搬入日、接続日、試運転の立会いを同じ工程表に記載します。見積もりを取る時点で「工事日数」と「相談から営業可能になるまでの期間」を分けて聞くと、予定の食い違いを減らせます。
MIRIXの店舗造作・厨房換気工事と相談の進め方
MIRIXの公開施工実績には、店舗の部分的な造作と、飲食店厨房の換気設備修理があります。以下はそれぞれの施工範囲に対する実績額です。店舗新装一式の相場や、今回の物件へそのまま当てはまる料金ではありません。
| 実施工事 | 確認できる内容 | 工期・税込費用 |
|---|---|---|
| 港区・店舗の造作工事 | 2026年/木工事とエアコンカバー製作・取付 | 2日間/約14万円 |
| 港区・飲食店舗の厨房換気ダクト修理 | 2026年/現地確認・見積もり後にダクト修理 | 1日間/約34万円 |
造作を検討する場合は、見せたいデザインと、エアコンや設備を点検できる状態を一緒に相談できます。厨房換気の不具合や再利用の判断は、機器だけでなく周辺のダクトや使用条件も現地で確認し、修理・交換・別途調査の範囲を整理します。
最初のご相談では、所在地、物件が契約前か契約後か、予定業態、開業希望時期をお知らせください。資料がある場合は、募集図面、室内と厨房予定場所の写真、機器一覧が役立ちます。全てがそろっていなくても構いません。予算や工事内容がまだ固まっていない部分は、その段階からお話を伺います。
飲食店の内装・厨房設備をまとめて相談したい方へ。現在の物件条件と開業予定から、必要な工事と見積範囲をご提案します。
よくある質問
- 物件契約前でも相談できますか?
-
はい。候補物件の資料と予定業態をもとに、設備や管理条件の確認事項を整理できます。入室して調査できるかは、仲介会社や管理会社とも調整します。
- 居抜きなら工事費は必ず安くなりますか?
-
必ずではありません。設備の状態、所有関係、調理内容との適合を確認し、清掃・修理・撤去まで含めて比較します。使えない機器を残す前提では見積もりを決めません。
- 厨房機器を自分で買っても工事を依頼できますか?
-
支給機器の条件を確認してご相談を承ります。型番、寸法、接続仕様、納品方法を共有し、荷受け・搬入・据付・接続・試運転を誰が行うか決めます。
- 換気扇を大きくすれば煙や臭いは解決しますか?
-
機器だけでは判断できません。フード、ダクトの経路、給気、排出口、建物条件を確認して対応を考えます。周辺への影響も含めて現地調査が必要です。
- 保健所や消防への手続きも全て任せられますか?
-
工事に伴う資料や調整については相談できますが、申請主体や代理対応の範囲は個別に確認します。工事契約前に担当と含まれる業務を決めてください。
- 開業日が決まっています。急いで着工できますか?
-
物件条件、必要な承認、機器の納期と工程を確認して判断します。希望日を先に共有いただき、工事後の試運転・検査・営業準備も含めて日程を相談します。
- 工事後に追加費用が増えないようにするには?
-
確定した範囲と未確定部分を分けた見積もりが重要です。追加工事は内容・金額・日程を確認し、承認方法を決めてから進めます。
- 図面や具体的なデザインがなくても大丈夫ですか?
-
まずは室内写真や希望する店の雰囲気、調理内容から相談できます。図面の有無や採寸の必要性を確認し、次に決める事項を整理します。


