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ジグソーとは?現場で失敗しない使い方と選び方・安全ポイント徹底解説

建設内装の現場ワード「ジグソー」完全ガイド—用途・刃の選び方・安全な切断のコツ

「ジグソーって何に使うの?丸ノコとどう違う?刃はどれを買えばいい?」——初めて現場に出ると、こんな疑問が次々と出てきますよね。この記事では、建設内装の現場でよく耳にするワード「ジグソー」を、用途・使い方・刃(ブレード)の選び方・安全ポイントまで、ていねいに解説します。これを読めば、仕上がりの差が出る小回りの効く切断が安全にこなせるようになります。

現場ワード(キーワード)

読み仮名じぐそー
英語表記Jigsaw / Jigsaw saw (Electric jigsaw)

定義

ジグソーは、上下(往復)運動する細い刃(ブレード)で材料を切断する電動工具です。曲線切りや内側からの切り抜き、細かな形状の加工が得意で、木材・樹脂・薄い金属板などを対象に使われます。内装では、配線や器具用の開口加工、造作材の曲線加工、カウンターや棚板の切り欠きなど、丸ノコでは難しい「自由曲線」や「内側からのスタート」作業で活躍します。

ジグソーの特徴と「できること/できないこと」

ジグソーの強みは、小回りの良さと形状追従性です。下書き線に合わせて曲線・S字・円形を切る、内側の開口を作る、といった用途に適します。一方、厚物の長手直線や、切り口の直角精度・スピードでは丸ノコに劣ります。適材適所を理解することが、現場効率と仕上がりの鍵です。

  • 向いている作業:曲線切り、内側開口(先穴を開けてから)、小さなR加工、微調整の切り欠き、化粧面の割れを抑えた加工(逆刃などの活用)
  • 対応材料:木材(合板・無垢・集成材)、石膏ボード、化粧板、塩ビ板・アクリルなどの樹脂、アルミ・鉄の薄板(適切な刃と設定が必要)
  • 不向き・禁止:コンクリート・モルタル・タイル(専用工具使用)、厚い金属やステンレスの高速切断、真っ直ぐ長い直線の高精度加工(丸ノコ推奨)

刃(ブレード)の種類と選び方

仕上がりの7割は「刃選び」で決まります。シャンク形状・材質・歯ピッチ・刃先形状を材料と目的に合わせて選びましょう。

シャンク(取り付け部)の形状

現在の主流はTシャンク(ボッシュ系)。Uシャンクは旧型で、工具によっては取り付かないことがあります。新品購入や刃の補充はTシャンクを基本に選ぶと安心です。

材質の目安

  • HCS(炭素鋼):木材向け。柔らかく食いつき良いが、金属には不向き。
  • HSS(高速度鋼):金属向け。耐熱性が高く、薄板の金属切断に。
  • BiM(バイメタル):汎用・耐久性バランス。木も金属も対応可能(硬材・合板にも耐性)。
  • HM/TC(超硬・カーバイド):石膏ボードやFRP、セメントボード等の摩耗材に強い。

歯ピッチ(TPI)と刃先形状

  • 粗目(TPI小):速いが荒い。解体・ザックリ切断向け。
  • 細目(TPI大):遅いが綺麗。化粧材・合板の仕上げ切りに。
  • 逆刃(Down-cut):表面側のバリを抑える。化粧面上から切るときに有効。
  • プログレッシブ刃(可変ピッチ):厚材~薄材まで対応、曲線にも使いやすい。
  • 金属用(細目・ストレート刃):アルミ・鉄の薄板向け。低速で使用。

材料別の例:化粧合板=細目・逆刃/無垢材=中目~細目/石膏ボード=超硬・荒目/アルミ薄板=HSS細目/塩ビ・アクリル=細目で低速、溶け対策に休み休み切る。

基本の使い方手順(安全と仕上がりを両立)

  • 1. 準備:材料固定(クランプ必須)、養生(ベースで材料を傷つけないようテープを貼る)。保護メガネ・防塵マスク・イヤーマフを着用。
  • 2. 刃の装着:電源プラグを抜く or バッテリーを外す → 材料に合わせた刃を装着。正しく奥まで差し込みロックを確認。
  • 3. 設定:ストローク数(回転数)とオービタル量を材料に合わせる。綺麗に切りたいときはオービタル“弱~OFF”。速さ重視は“強”。
  • 4. マーキング:切り線をはっきり書き、化粧材はマスキングテープで割れ防止。内側開口は角に下穴(ホールソー or ドリル)をあける。
  • 5. 始動:ベース全面を材料に密着させ、刃が材料に当たらない位置でスイッチON。十分な回転を確認してから切り出す。
  • 6. 送材:押し付けず、工具の自重+軽い押しでまっすぐ送る。曲線は急ハンドル禁止。刃を焦らせない。
  • 7. 仕上げ:コーナーは無理に回さず、別方向から切りなおす。切断後はバリ取り(紙やすり・面木)。
  • 8. 停止:刃が止まるまで待ってから置く。バッテリー機はトリガーを離し完全停止を確認。

現場での使い方

内装現場での「ジグソー」の呼び方や使い回し、具体的な使用シーン、関連ワードをまとめます。

言い回し・別称

  • 電動ジグソー、ジグソー本体、ジグ(略称されることも)
  • 刃=ブレード、替刃、Tシャンク(刃の規格名)
  • オービタル(ペンジュラム)=前後振り機構のこと

使用例(3つ)

  • 「洗面カウンターのボウル開口、先にホールソーで穴あけてジグソーで回しておいて」
  • 「この化粧合板は逆刃でいこう。オービタル切って、養生テープも忘れずに」
  • 「石膏ボードの丸開口、墨出してジグソーで軽くR切りね。集じんホースつないで」

使う場面・工程

  • 造作大工:天板・棚板のシンクや配管開口、巾木やカウンターの切り欠き、曲線装飾の加工
  • ボード工:器具・点検口の曲線開口(ただし直線はカッター併用が基本)
  • 設備・電気:ダンドリ段階の開口調整(仕上げ材は大工と連携)
  • リフォーム:既存家具・化粧面材の部分加工、微修正

関連語

  • 丸ノコ:直線高速切断が得意。長い直線加工はこちら。
  • セーバーソー/レシプロソー:解体向け。荒く速い。
  • トリマー/ルーター:面取りやテンプレート加工で高精度仕上げ。
  • マルチツール(オシレーティング):コーナーの突き切りや際切りに最適。

仕上がりを良くする実践テクニック

  • 化粧面は「逆刃」+「オービタルOFF」+「テープ養生」。必要なら裏返して裏面から切る。
  • ベース(シュー)に養生テープや樹脂シューを装着し、材料面の擦り傷を防ぐ。
  • ガイド治具(円切りジグ・フェンス)を使い、円や準直線の精度を上げる。
  • 刃の曲がりを防ぐため、無理な送りをしない。厚物は2回に分けたり、オービタルを活用。
  • 切断面のバリは、紙やすり#120~#240で軽く面取り。塗装・メラミンは特に丁寧に。
  • アクリル・塩ビは低速+休み休み切って溶けを防ぐ。専用細目刃を使用。

安全ポイントと現場マナー

  • 刃交換時は必ず電源OFF・バッテリー外し。回転が完全停止してから工具を置く。
  • 保護具は基本装備:保護メガネ、防塵マスク、イヤーマフ。手袋は薄手で巻き込みに注意。
  • 被削材の固定は絶対。クランプや作業台で「浮き」をなくす。
  • 隠れた金物・釘を事前確認。検知器や下地図面で干渉を回避。
  • 粉じん対策:集じん機接続 or ブロワ機能+集合清掃。共用スペースは養生の徹底。
  • 延長コードの踏み抜き・引っ掛け防止の配線ルートを確保。足元のKY(危険予知)を共有。
  • 高所・片手作業は禁止。常にベース全面を接地させ、安定姿勢で。

よくある失敗と対策

  • 切断線が蛇行する:ベース密着不足・送り過多。ブレードの摩耗も疑う。ガイド使用で補正。
  • 刃が曲がる(傾く):厚物に対して細い刃・速すぎる送り。太めの刃+オービタル+2工程切断。
  • 化粧面が欠ける:逆刃・細目刃、オービタルOFF、テープ養生、裏切りを活用。
  • 焦げ・溶け:回転数を下げ、休止を挟む。刃の交換・冷却。樹脂は細目低速。
  • ビビリ音・仕上がり粗:材料固定不足。クランプを追加し、ベースの接地を意識。

関連工具との違い(使い分けの基準)

  • 丸ノコ:直線の速さと直角精度は圧倒的。曲線は不可。ジグソーはその逆を担う。
  • セーバーソー/レシプロソー:解体・太材の荒切りに。仕上げ切りには不向き。
  • トリマー/ルーター:テンプレートで高精度・美観を追求。切断というより「仕上げ加工」。
  • マルチツール:際切り・差し込み切りが得意。ジグソーが入りにくいコーナー向け。

代表的なメーカー(国内現場で馴染みのあるブランド)

メーカーによって操作感や機能が異なります。以下は国内現場でよく見かける代表例です。

  • マキタ(Makita):国内現場での普及率が高い総合電動工具メーカー。18V・40Vmaxなどバッテリー展開が豊富で、低振動・低騒音モデルや工具レス刃交換が使いやすい。
  • HiKOKI(ハイコーキ):旧日立工機。ハイパワーなブラシレス機や細かなスピードコントロールが特長。LED・集じん対応など現場機能が充実。
  • ボッシュ(BOSCH):Tシャンク規格の本家。ブレードの品揃えが豊富で、木工〜金属まで用途別に選びやすい。ジグ(治具)も多彩。
  • 京セラ(KYOCERA/旧リョービ):取り回しの良いスタンダード機を展開。軽作業・DIY寄りから現場対応までラインアップがある。
  • フェスツール(FESTOOL):プロ向け高級機。精度・視認性・集じん設計に定評。価格は高いが仕上がり重視の造作で支持がある。

選定のコツ:手に合うグリップ形状(トップハンドル/バレル型)、視認性(LED・ブロワ)、オービタル段数、ベースの剛性、集じん接続、刃交換のしやすさなどを店頭で確認しましょう。

電源方式の選び方(充電式 or 交流式)

  • 充電式:取り回しが良く、リフォーム現場や脚立作業に有利。バッテリー共用の利点大。長時間連続切断なら予備バッテリー必須。
  • AC(コード式):軽量で安定出力。ベンチ作業や加工場向け。コード養生と取り回しに注意。

メンテナンスと保管

  • ブレードは消耗品。切れ味低下や焦げ、蛇行が増えたら即交換。
  • ベースの平滑を維持。傷・歪みは仕上がり悪化の原因。保護カバーの活用。
  • 切粉・粉じんはエアブローや掃除機で除去。可動部にゴミが溜まると精度低下。
  • バッテリーは適正温度・残量で保管。充放電サイクルを意識し寿命を延ばす。

現場で役立つ小ワザ(時短・品質UP)

  • 内側開口は四隅に10〜12mmの下穴を開け、Rを残すと角割れしにくい。必要なら後でのみ・ヤスリで角出し。
  • 円切りは円切りジグ or コンパスガイドを使用。中心穴を細めにし、最後は軽く面取り。
  • 石膏ボードはカッターが基本だが、大径の円や曲線は超硬刃+集じんでジグソーが早い。
  • 合板の層割れ防止に、切り線をカッターで浅く「罫書き」しておくと仕上がりが良い。

FAQ(よくある質問)

Q. 石膏ボードに使っても大丈夫?

A. 可能です。超硬(カーバイド)系のボード用刃を使い、オービタルは弱め、粉じん対策に集じん機を接続しましょう。直線はカッター併用が早く綺麗です。

Q. 金属も切れますか?

A. 薄いアルミや鉄板なら可能です。HSSやBiMの細目刃、低速回転、潤滑スプレー(現場環境に配慮)を使うと刃持ちが良くなります。厚物やステンレスは無理をせず専用工具へ。

Q. バッテリー式とコード式、どちらが良い?

A. 現場移動や取り回し重視ならバッテリー式、連続作業や加工場での安定運用ならコード式が向きます。バッテリープラットフォームを他工具と揃えると運用が楽です。

Q. 集じんは必要?

A. 作業者の健康と周辺の汚れ防止に有効です。ジグソー本体にアダプタがあれば集じん機を接続し、ない場合も切断方向やブロワを工夫しましょう。

Q. 刃はどのくらいで交換する?

A. 使用時間よりも「症状」で判断します。焦げやバリ増加、蛇行、切断時間の伸びは交換サイン。化粧材は早め早めの交換が仕上がりを保ちます。

法令・資格と基本ルール(一般的な目安)

ジグソーの使用自体に特別な国家資格は不要ですが、事業者の安全衛生教育や社内ルール、現場ごとの安全講習に従う必要があります。共用スペースの養生、粉じん・騒音の配慮、工具の点検記録と異常時の即時報告は基本マナーです。

まとめ:ジグソーを味方にすれば、仕上がりが一段上がる

ジグソーは「曲線」と「内側開口」に強い、内装現場の頼れる相棒です。ポイントは次の3つ。材料に合う刃を選ぶこと、ベースをしっかり当てて無理をしないこと、安全・粉じん対策を徹底すること。丸ノコやトリマーと使い分ければ、スピードと美観の両立が可能です。最初はゆっくり丁寧に、設定と刃を見直しながら経験を積んでいきましょう。仕上がりの良さは、そのひと手間から生まれます。